ピピピピ

澪「うーん、朝か…大学行かないと…」

澪ママ「大学?何言ってるの!高校行ってきなさい!」

澪「…え?」

澪ママ「今日始業式なんでしょ」

澪(…そうだ…混乱してたけど私は高校1年生で、今日は2学期の始業式…)

澪「じゃあ行ってきます…」

澪ママ「澪元気なかったけど大丈夫かしら?」

澪「おはよう律」

律「おー澪、今日は起きるの遅かったな」

澪「起きるの遅かった私に起こされる奴に言われたくない」

律「へへっ、いつもすまんね」

澪「謝るなよ、なんか変な感じだから」

律「私が謝るのはおかしいことかよ!」

澪「ああ、今日は雪でも降るな」

律「そこまでか!そこまでなのか!」

澪「ようムギ」

紬「おはよう澪ちゃん」

澪「あれ?ムギは一緒じゃ…」

紬「?私はこっちの教室だけど…」

律「クラス違うもんなー私達」

澪(そうか、私がムギと同じクラスなのは3年のときだけ…)

澪(3年の時…?何考えてるんだ、私は…)

澪「…ぅ」

律「どうした?澪…」

澪「…う…グス…」

紬「澪ちゃん大丈夫!?お腹痛いの!?」

澪「…こんなの…違う…」

律「…こんなときにさわちゃんが居てくれたら…」

澪(居て『くれたら』…?)

紬「さわ子先生は関係ないでしょ!ねぇ、澪ちゃん、どうしたの?」

澪「さわ子先生はどこだ…」

紬「何を言って…」

律「桜ケ丘総合病院だ」

紬「りっちゃん!」

律「必要なんだろ、さわちゃんの助けが」

澪「律…ありがとう!」ダダダ

紬「澪ちゃん行っちゃった…」

律「あいつ朝から変だったしな、きっと何かあんだろ」

紬「いいの?りっちゃん」

律「私はあいつを信じるだけさ」

澪(先生が病院…これもモエブターの仕業なのか…?)ハァハァ

澪(何もなければいいけど…)

澪「着いた…」


桜ケ丘総合病院

受付「山中さわ子さんの面会ですね、どうぞこちらです」

澪「…!!」

唯「澪ちゃん…お見舞い、来てくれたんだ…」

さわ子「…」

澪「さわ子先生は…!?」

唯「見ての通り、意識不明だよ…」

唯「トラックから私をかばってくれたせいでこんなことに…」

澪「さわ子先生!私です!助けてください!」

唯「ちょっと!先生は意識…」

さわ子「…ぃ…」ピク

澪「先生!」

唯「意識が…回復した!?」

さわ子「…み…お…ちゃ…」

澪「先生!」

さわ子「…あ…あなたの…う…しろ…モ…エ」

澪「モエブターが居るんですね!」

さわ子「ブレス…レット…ある…」

唯「無理しないで!さわちゃん!」

澪「唯、頼む!さわ子先生に全部話させて!」

さわ子「ふく…は…ぶ…しつ…」フッ

唯「さわちゃん!」

澪「唯はさわちゃんを見てやってくれ、私は用事が出来た」

唯「うん…」

澪(さわ子先生が言ってたこと…)

澪(部室に服がある…ブレスレットがある…)

澪(モエブターを倒して世界を戻すんだ!)

バタン!


音楽室

澪「ここに…あれか!?」ハァハァ

澪「段ボールに服が一式…でもブレスレットはない…」

澪「とりあえず着てみよう」

澪「変身!」ピカー

澪「霊能力者!」ジャーン

澪「さわこ先生…モエブターを霊扱いは大丈夫なんですか…」

澪「って変身できてる…」

澪「もしかしてブレスレットがあるって言ったのは見えてないだけってことか?」

澪「まぁいいや、とりあえずやってみよう」

澪「破ぁ!」

モ「ぐおおおお!」

澪「ひぃ!後ろに!」

モ「…私がモエブター、ジカンガエシ」

モ「私の能力は時間を巻き戻すこと」

澪「巻き戻してどうなるっていうんだ!」

モ「私の能力があればお前たちはいつだって軽音部でいられる」

モ「それはお前も望んでいるんだろう?」

澪「さわ子先生のいない軽音部なんてありえない!」

モ「奴は危険だ…奴を軽音部に入れることはできない」

澪「だいたい私は思い出に浸る気なんてない!」

モ「そんなことはないはずだ、また新歓ライブをして、合宿をして、学園祭をして…」

澪「私達は…もうとっくに卒業したんだ」

モ「後悔はしていないと?」

澪「当然だ」

モ「…わかった、その決意、忘れるなよ」

澪「ああ、絶対に後悔はしない」

モ「ならば…やれ」

澪「鬼の手!」ズバ

モ「…これでいいんだ」シュワシュワー


ピピピピ

澪「…夢…?」

澪「いや、きっと夢じゃない」

澪「…さて、朝か…大学行かないとな!」

『次元モエブター・ジカンガエシ』完





澪「行ってきまーす」ガチャ

さわ子「澪ちゃん、話があるの」

澪「おふぇ!さわ子先生!」

さわ子「驚き過ぎよ、もう慣れてよね」

澪「いや、驚かないのは難しいですよ…」

さわ子「とりあえず本題に入るわ」

澪「時間ないんで手短にお願いします…」

さわ子「実はこの世界に干渉しているモエブターが最後の1人になったの」

澪「へぇ、それは良かった!」

さわ子「その最後のモエブターっていうのは…」

澪「?」

さわ子「私なの」

澪「はぁ?え、それはどういう?」

さわ子「正確には半分モエブター、半分この世界の人間ね」

さわ子「私はストーリーテラー、能力はオリジナルから乖離した、私の自由に動かせる世界を作る事」

さわ子「でも、私はあなた達も知っている山中さわ子でもある」

さわ子「この体を借りてこの世界のモエブターを干渉できないように動いていたの」

澪「澪じゃあさわ子先生は敵じゃあないんですか?」

さわ子「こら、敵とか言わないの!仮にもあなた達のファンなんだから」

さわ子「でもそうね、私はこの世界に不利になる干渉はしたくはないわ」

澪「じゃあもう戦わなくていいですね、無事解決ですよ!」

さわ子「でも私はこの世界に干渉したくはないの」

さわ子「私の干渉を振り払って…この世界を独立した世界にしてほしいの」

澪「独立した世界…?」

さわ子「物語の終わった後の世界って考えたことある?」

澪「その世界は…消えちゃうんじゃあ…」

さわ子「消えるんじゃないの、永遠になるのよ」

澪「永遠?」

さわ子「物語は終わるまでの時間は読み手によって繰り返される」

さわ子「でも物語が終わった瞬間、読み手は干渉できない新しい世界になるの」

澪「…そんなもんですか?」

さわ子「そんなもんよ」

澪「でも、独立した世界でも…先生がいないと嫌です!」

さわ子「それは大丈夫よ、ストーリーテラーを倒せば、その干渉の痕跡は消える…」

さわ子「つまり、私は元の山中さわ子に戻るだけよ」

澪「…でも」

さわ子「もう説明することはしたし、服を渡すわ」

澪「…この服は…」

さわ子「変身しなさい」

澪「変身!」ピカー

澪「桜高の生徒!」ジャーン

さわ子「その格好、高校時代に固執する、モエブターの最後にはふさわしいと思わない?」

さわ子「…なんてね、私もモエブターだから…最後にあなたの高校時代の姿を見たかっただけよ」

澪「先生…」

さわ子「ほら早くやりなさい!生徒は先生の命令を聞くものでしょ!」

澪「…生徒じゃなくても…先生の言うことは聞きますよ…ふふ…」

澪「…これで終わりだぁ!」

さわ子「そう…これでいいの…」シュワシュワー

『終わる世界』完





N女子大学食

律「よう澪、今日はメシ少ないな」

澪「ああ、最近送別会続きで太っ…お金なくてな!」

律「ふうん、何キロ?」

澪「えっと…3…って言わせんな!」ポカッ

律「あはは!すまんすまん」

澪「ちゃんと減食だけじゃなくて運動もしてるんだけどな…」

澪「…」

律「澪、どうした?」

澪「いや、こんなタイミングでさわ子先生が来そうな気がして…」

律「来るわけないだろ~、ここ大学だぞ」

澪「そ、そうだよな!」

澪(あれから…さわ子先生には会ってないな…)

澪「そうだ、軽音部見てこよう!」

律「突然だなぁ…まぁ行く気だけどな!」

澪「じゃあ唯とムギも呼ぼう!」

律「よっしゃー、行くかー!」

『エピローグ/澪の世界』完

おわり



最終更新:2010年10月08日 00:53