───小型潜水艦内部───
澪「……終わったんだな…」
律「な~に言ってんだよ。これからさ。何もかも」
澪「…うん、そうだな!」
澪「律と一緒ならきっと…何だってやれる気がする」
律「みんなも忘れるなよ!」
澪「そうだな」フフフ
律「(スネーク……ビッグボス……あんた達は何を思い……何でぶつかったのかはわからない)」
律「(けど……)」
律「(きっと目指している道は……同じだと信じたい)」
律「(みんなが笑って過ごせる眩しい世界に……私はきっとしてみせる)」
いつか、必ず────
1年後────
───とある動物園───
梓「よ~しよし、あずにゃん二号。ゆっくり食べな」
あずにゃん二号「がうがう」
梓「あなたのお母さんはね……とっても優しくて……とっても暖かかったんだよ」
あずにゃん二号「がう?」
梓「ふふ、美味しい?」
あずにゃん二号「がうっ!」
「お~い、そろそろじゃないのか?」
梓「あっ、はい。もうそんな時間でしたか」
「こいつらの世話は俺達に任せといて行けよ」
梓「ありがとうございます。お二人とも。むすたんぐ達のことは感謝してもしきれません」
「むすたんぐは…島を出た瞬間すぐ死んじまったけどな…」
「すまない…」
梓「いいんです。きっとむすたんぐも喜んでます。それに今は新しい命…むすたんぐの子供がむすたんぐの意思を受け継いでますから」
「…そうかい」
梓「はい。人もこうやって…受け継いで行くんです。良いことも悪いことも…。」
だから、良いことをしなきゃです。
天国のむすたんぐの胸を張れるくらいに
───とある研究所───
「博士! この音と音がぶつかった時に出る音波のグラフです!」
紬「ありがとう。ふ~む、これは興味深いわね」
「もしかしたらSONGBOMBの機能を停止させられるかもしれませんね!!!」
紬「そうね。やっと…やっとここまで来たのね」
「博士ー。車回しておきましたよ。確か大事な用があるんでしょう?」
紬「そうなの! ごめんね。後は任せるわ」
「わっかりました!」
紬「あれからもう一年…」
SONGBOMBを止める為に毎日研究に明け暮れていたからあっという間だったわね。
みんな元気にしてるかしら
───とある病院───
「ありがとう唯ちゃん。唯ちゃんの包帯はほんと痛くないわぁ」
唯「いつも練習してるからねっ」フンスッ
「でも妹ちゃん程じゃないわね」
唯「がくっ…。我ながらよく出来た妹だと思いますよ憂は」
「でも二人のおかげでこの病院も凄く明るくて楽しいわぁ。ありがとね、唯ちゃん」
唯「えへへ~」
憂「お姉ちゃ~ん! そろそろ行かないと遅刻しちゃうよ!?」
唯「そうでしたっ!」
「あら? 何か大事な約束かしら?」
唯「うんっ! とって大切な人達とのね! じゃあ憂後は任せた! いってきまーす!」
憂「気をつけてね~」
唯「う~んッ!」
あれからみんな違う場所でそれぞれのやれることをやっています。
それにも色々事情があるんだけど…まあいっか!
とにかく今日! みんなと再会することになってるの!
楽しみ~!
みんな元気にしてるかなぁ
───墓地───
律「おっそいな~みんな」
澪「ちゃんと時間も言ったのか?」
律「言ったに決まってるだろ? そ~んなに私は信用ないのかよっ」
澪「律は肝心なとこで抜けてるからな」
律「なにをぉぅっ!」
澪「なんだよ!?」
律「むむむむ」
澪「むむむむ」
唯「二人ともなんでにらめっこしてるの?」
律「っあッ! 唯! いるなら声かけろよ!」
唯「かけたよ? 今」
澪「……」
梓「唯先輩は相変わらずそうですね」
律「梓!!」
唯「あずにゃ~~~ん!!」ダキッ
梓「やめてぐだざい゛くるし……」
唯「一年分のぎゅーなのです」
澪「溜めんでいい!」スパーン
紬「ふふふ、みんな元気そうね」
律「ムギ!! 白衣なんか着ちゃってすっかり科学者って感じだな」
紬「似合うかしら?」クルクルッ
梓「はい。とても似合ってますよ」
唯「あずにゃん私のナース姿は!?」
梓「コスプレかと思いました」
唯「ががーん」
澪「というか着替えてこいよ…唯は」
唯「だってぇだってぇ…見せたかったんだもん」
律「はいはい似合ってるぞ唯」
唯「ほんとぉ!?」パア~
澪「単純だな」
紬「そこが唯ちゃんのいいとこじゃない」フフ
律「…さわちゃん」
静かに花を手向ける。
澪「さわ子先生…」
唯「さわちゃん先生…」
紬「さわ子先生…」
梓「さわ子先生…」
律「来るのが遅れてごめんな。あの後やっぱり指名手配とか色々厳しくてさ。それでもまあなんとかやってるよ」
さわ子の墓の前に綺麗に一列に並ぶ一同。
律「私達の恩師、さわちゃんに敬礼っ!!!」ビシッ
澪「」ビシッ
唯「」ビシッ
紬「」ビシッ
梓「」ビシッ
律「……。さて、長々とやってて誰かに見つかるとまずいからな。これぐらいにしとこう」
澪「そうだな。律、他に行くとこある?」
律「そうだな~……あっ、そうだ」
2010 8月6日───広島平和記念公園───
夕方になり人も疎らになった平和記念公園で私達は花を手向けた。
私達なんか知り得もしない昔にこんなことがあったなんて信じられないけど……それは確かに起こったことだ。
梓「私達は知らないことだけど…だからって知らないじゃいけないですよね」
澪「……」
律「ああ、そうだな」
答える資格がないと思った澪達に変わって私が答える。
律「これから償って行けばいいさ。私達も」
それは許されることじゃないけど、だからって何もしないんじゃ始まらないから。
澪「…そうだな。私は律と一緒にずっと生きてくって約束したし」
律「ははっ、だな」
目を瞑り、黙祷する。
今生きている私達が、あなた達の思いも明日に持って行きます。
だから、安らかに…
『2010 広島にアメリカが初の参拝。ゆっくりだが動いている、世界は』
唯「りっちゃ~ん! 行くよ~~~!」
遠くから聞こえる唯の声で目を開ける。
振り向いた私は「今行くー」と言いながらみんなが待つ所へ走る。
夕日をバックに横並びしている澪達の顔を眺めながら私は思う。
この道はきっと間違ってなかったと。
だってみんなこんなにも────
笑顔なんだから
END
おまけ
トゥルル、トゥルル…
ピピイュン───
『私です。はい…はい…』
『予定通りメタルギアVOICEは破壊されました。……ええ、……はい』
『資料はビッグボスが奪取しましたが問題ありません。あの技術は
琴吹紬なしではあり得ませんから』
『……はい、……はい。SONGBOMBは役に立ちましたね。おかげでビッグボスの情報もいち早く入りましたし。まさか奴らもあれが盗聴機だとは思ってませんよ』
『はい……はい。では予定通りアウターヘイブンに乗り込み、ビッグボスの動向を探ります。……大丈夫ですよ、潜り込むのは得意ですから』
『では、ゼロ少佐』
トゥルルトゥルル……
ピピイュン───
『久しぶり。元気してた?』
『今忙しいって? いいじゃない別に。私とあなたの仲じゃない』
『……え? こないだの約束破ったって? あれは~ほら……私も色々忙しいのよ』
『今度埋め合わせするからさ! 私が約束守るって言うのは知ってるでしょ?』
『ちゃんと唯先輩と梓に律先輩が来たら洗脳が解けるようにしたじゃない。それのおかげであそこまで律先輩が持ち上げられたんでしょ?』
『……何々? 律先輩は元から凄いって? ああ、まあ確かにね。……はいはい凄い凄い』
『ごめんごめんっ。あっ、キャッチ入った! じゃあまた今度ね、憂』
『私です。はい…はい…、オセロットですか?』
『彼ならドレビンが雷電に運ばせたFOXDIEで今頃……』
『はい、はい。確認が取れ次第報告します』
『あ、キャッチ入った! じゃないちょっと通信が……あーあー……』
ガチャ
トゥルルトゥルル……
ピピイュン
『憂どうしたの?』
『ええっ?! 大事なこと聞き忘れたって? 何々~?』
『……』
『純ちゃんは誰の味方なの?って』
『……』
純『憂に決まってるでしょ』
テッテッテテーン
数年後────
「この大空に翼を広げ……」
「お母さんそれなぁに~?」
「ん? これ? これはね~歌って言うんだよ」
「うたぁ?」
「そう、歌。とても綺麗で楽しくて……聞いてるとみんな笑顔になる魔法なの。私の大切な人が守ってくれたものなんだよ」
「お母さんの大切な人……。じゃあ私も歌いたい!」
「ふふ、じゃあ一緒に歌おっか?」
「うんっ」
「「この大空に~翼を広げ~……」」
今もきっとどこかで、あなたも歌ってますか?
律─────
──────
「へくしっ」
「あ~……寒っ。やっぱりアラスカにこの装備じゃキツかったかな」
『つべこべ言わないで頼むよ! 君が進言したんだろう!?』
「わかってるようるさいな~」
「……も~えろよもえろ~よ~炎よも~え~ろ~」
『どこかの民謡かい?』
「歌だよ、ただの。暖まりそうなやつ選んだだけ」ニカッ
THE END
最終更新:2010年10月09日 22:17