梓「なんか暇だね、憂。」
憂「そうだね、梓ちゃん。」
梓「外はいきなり雨が降りだしてるし。」
憂「そうだね。」
梓「私の家って音楽関係の物しかないから、こんな日は困るんだよね」
憂「でも私の家だと、お姉ちゃんが邪魔だって言ったのは誰だったかな?」
梓「・・・そうでした。」
憂「うーん、梓ちゃん家ってゲームとかおもちゃとか無いのかな?」
梓「おもちゃ・・・憂の口から出るとなんか淫靡な香りがするね。」ゴクリ
憂「そうかな?」
梓「なんとなくね。」
憂「ふーん、変な梓ちゃん。」
梓「あ!そう言えば・・・」
憂「ん?なにかな?」
梓「ちょっと待っててね。」
梓「お待たせ。」
憂「なにかな、その鞄?」
梓「災害用の避難袋だよ。母さんに点検する様に言われてたのすっかり忘れてたよ。」
憂「それはちょうどいい退屈凌ぎだね。」
梓「うん。ついでだから使えるかどうかも確認しとかないとね。」
憂「えっとまずは・・・ロープだね。」
梓「ロープと言うか縄かな。」
憂「赤いのは目立つからかな?」
梓「きっとそうだよ。」
憂「うん、なかなかシッカリしてるし、大丈夫だね。」
梓「だね。次は蝋燭か。」
憂「これも赤いんだね。」
梓「赤が好きなのかな?もしかしてシャア専用だったりして。」
憂「ごめん、それちょっと分からないよ、梓ちゃん。」
梓「・・・あ、そう。」
憂「次は、なんだろこれ?ハタキにしてはちょっと変だよね?」
梓「そうだね、なんに使うのかな?」
憂「取り敢えず保留かな?」
梓「そうだね。次は?」
憂「うん、これもよく分からないね。おっきい注射器かな?」
梓「またよく分からないね、これも。」
憂「これも保留かな?次は・・・なんだろ、水着にしては素材が変だよね。エナメルレザーかな?」
梓「なんか溺れる気満々な感じだよね。」
憂「あはは、だよね。」
梓「それも保留かな、次は?」
憂「次は、ハイヒール?だけど、踵が凄く細くて高いよ、これ?」
梓「ふむ、足元にガラスなんかが散らばってる時用かな?」
憂「なるほど・・・災害用品は奥が深いね。」
梓「だね。で、次は?」
憂「次は・・・これもよく分からないな、なんだろアイマスクかな?」
梓「おー!タキシード仮面様みたいだね。」
憂「ごめん。それもちょっと分からないよ。」
梓「・・・忘れて、お願いだから。」
憂「ふふっ、梓ちゃんって可愛いよね。」
梓「やめてよ、恥ずかしい//」
憂「エヘヘ。次は・・・マッサージ器かな?」
梓「避難所生活は肩がこるらしいからね。」
憂「なるほど、電池は大丈夫かな?スイッチはこれ?」ウインウイン
梓「大丈夫みたいだね。」
憂「なかなか気持ち良さそうな動きだね。どれどれ。」ブーン
梓「どんな感じ?」
憂「うん、このイボイボが肩のツボを刺激してなかなかいいよ。」グリグリ
梓「へぇー、なかなかの優れ物だね、それは。」
憂「うん、このちっちゃい方も結構ツボを刺激していい感じかな。」ブィーン
梓「やるな!災害用品って感じだね。」
憂「そうだね。次は、本が一冊。『猿でも分かる縄の縛り方』だって。でも、人を縛ってどうするのかな?」
梓「ちょっと見せて。なるほど、災害時に骨折をした箇所なんかを固定するためかな?」
憂「なるほど、きっとそれだよ。さすが梓ちゃんだね。」
梓「そんな・・・照れるね//」
憂「取り敢えずこんな感じかな?」
梓「みたいだね。」
憂「でも、肝心の水や食料がなにも無いのがちょっと気になるけど、大丈夫かな?」
梓「それはまた別に用意してるのかも?」
憂「きっとそうだね。食料用は保冷バッグとかかな?」
梓「かな?取り敢えず後はこれらが使えるか確かめておかないとね。」
憂「いざという時に使えませんでした、では意味が無いもんね。」
梓「うん、今のところ縄とマッサージ器は大丈夫だったね。」
憂「そうだね。それじゃますばどれからかな?」
梓「取り敢えずこの水着かな?穴とか開いてたら困るし。」
憂「それは確かに困っちゃうね。」
梓「うん、それじゃ憂が着てみてよ。」
憂「え?私が着るの?」
梓「だって・・・これどう見ても私にはサイズが。」
憂「うーん、確かに。」
梓「・・・なんかちょっと傷付いたかも。」イジイジ
憂「あはは、ごめんごめん。それじゃ私が着てみるよ。その、ちょっと恥ずかしいけど//」
梓「平気であんな白いビキニを着てるのに、なにを今更って感じだけどね。」
憂「それもそうだね、エヘヘ//」
梓「まったく羨ましい限りだよ、このわがままバディが!」
憂「バディ・・・なんかちょっと親父臭いよ、それ。」ジトーッ
梓「・・・またまた忘れて、お願い。」
憂「それじゃ恥ずかしいから、後ろを向いててね、梓ちゃん//」
梓「あ、うん。分かった。」クルッ
憂「よいしょ・・・あれ?」
梓「どうかしたの、憂?」
憂「あ、うん・・・あの、この水着ちょっと変だよ?」モジモジ
梓「変?」
憂「う、うん。その、胸の辺りがちょっと、ね//」
梓「見てもいいかな?」
憂「う、うん//」
梓「・・・変というか、丸出しだよねパイオツ。」
憂「・・パ・・イ」
梓「・・・お願い、なにも言わないで。泣いちゃうかもしれない、私。」ウルウル
憂「反省しなさい、メッ!」
梓「・・・はい。」ショボーン
憂「うむ、許してあげよう、エヘヘ」
梓「とっ、取り敢えず水着は大丈夫だね。それじゃ次はついでにこのヒールを履いてみてよ。」
憂「そうだね、えっとこんな高いヒール履いた事無いから、少し怖いな、よっと。」プルン
梓「うおぉ、屈むたびにスッゴイ揺れるね、憂のパイオ・・・胸。」ゴクリ
憂「もう、梓ちゃんのエッチ!そんな娘はこのヒールで踏んじゃうぞ、エイッ!」グリグリ
梓「にゃああ、らっ、らめぇぇぇぇ//」
憂「・・・なんだか気持ち良さそうだね、梓ちゃん?」ジーッ
梓「そっ、そんな事ないって//あーいたいいたいやめてー。」
憂「ふーん、まっ、いいか。」
梓「そうそう、次はついでにこのアイマスクをだね。」
憂「えっと、これの意味がイマイチ分からないよね?」
梓「うん・・・なんかそれ憂の顔が見えなくて勿体ないよ。それは無しの方向で。」
憂「初のダメダメさんだね、このマスクは。」
梓「そうだね。それじゃ次はこの縄の結び方の練習をしてみよっか?」
憂「そうだね、いざという時にスムーズに結べる様に練習しないとだね。」
梓「それじゃこの『猿縄』に載ってる実用的な感じの奴は・・・やっぱ、これかな?」
憂「ふむふむ、亀甲縛りか。なるほど亀の甲羅みたいだね。」
梓「トンちゃんみたいでちょっと可愛いかも?」
憂「だよね。それじゃ梓ちゃん、服を脱いでもらえるかな?」
梓「えっ!ぬ、脱ぐの?//」
憂「うん、だってこの『猿縄』には裸の絵が使われてるから、服を着てるとどこをどう縄を通すのか分りにくいよ。」
梓「そ、それなら仕方ないかな・・・それじゃ脱ぐね」ゴソゴソ
憂「なんで下着は着けたままなの?」
梓「やっぱり脱がないとダメ、かな?//」
憂「初めてだから、本の通りじゃないと難しいよ。」
梓「うー、分かったよぉ。」スルッ
憂「・・・」
梓「な、なによ?」
憂「ど、どんまいだよ、梓ちゃん!」
梓「どんまい言うなっ!」ニャー
憂「ごめんごめん。真面目にやらないとだよね。」
梓「そうだよ、これは災害時の緊急医療の練習なんだから。」
憂「そうだよね。えっと先ずは、両手を後ろ手に縛って、と。」キュッ
梓「もう少しキツく縛っても大丈夫だよ。」
憂「そうなんだ。これくらいかな?」ギュッ
梓「あ、いい感じかも//」
憂「ん?なんか嬉しそうだね、梓ちゃん?」
梓「き、気のせいだよ、気のせい//」
憂「そっか。次はこれを首のところに、っと。」クルッ
梓「うまいね、憂。」
憂「編み物の要領だよ・・・あ!」
梓「どうしたの?」
憂「あのね『猿縄』だと、胸の谷間で縦に縛るようになってるんだけど・・・」
梓「だけど?」
憂「梓ちゃん谷間が無いからどうしよう?」
梓「・・・適当に真ん中辺りで。」
憂「だね。よし、後は余った縄を、くるくるーっと。」
梓「出来たかな?」
憂「うん、完成!」
梓「おー!本当にトンちゃんの甲羅みたいな模様だよ!」
憂「うーん、胸の辺りが納得いかない。」ムー
梓「・・・なんかごめん。」
憂「ど、どんまい!」
梓「だから、どんまいはやめて・・・お願い。」
憂「あはは、ごめんごめん。」
梓「もー、憂のいじわるっ!見えないようにすればいいんでしょ!えやっ!」ゼンクツッ
憂「あ、女豹のポーズだね!グラビアアイドルみたいだよ、梓ちゃん。」
梓「そうかな?照れるよ//」
ピカッ!ゴロゴロゴローッ!!
憂「うわっ!凄い雷だね!」ビクッ
梓「そっ、そうだね。」ビクビクッ
ガラガラピッシャーン!
パチン
憂「あ、停電しちゃった!真っ暗闇だよ。」オロオロ
梓「外も雨雲で真っ暗だしね。」
憂「どうしよう、梓ちゃん?」ウロウロ
梓「慌てないで、憂!私達がなにをしてたか思い出して!」
憂「そっか!こんな時こそ災害用品の出番だよね!」
梓「今こそ蝋燭の出番だよ!」ビシッ
憂「そうだね。えーっと、あ、あったよ。ついでにライターも。」カチカチ
梓「ライターはさっき無かったような?」
憂「でもあるから、えいっ!」ポッ
梓「まぁ、点いたからいいかな。」
憂「あんまり明るくないね、この蝋燭。」ポタポタ
梓「そうだね・・・あうっ//」
憂「あう?」ポトポト
梓「な、なんでもなひぃーーー//」
憂「ど、どうしたの、梓ちゃん?」ボタボタッ
チカチカッ パッ
憂「あ、電気が点いたよ!」ポタポタ
梓「良かっはぁぁぁぅ//」
憂「さっきから変だよ・・・って、た、大変だよ!蝋燭の蝋が梓ちゃんの背中にっ!!」ポットン
梓「へ、平気だよほぉぉぉぉ//」
憂「ど、どうしよう!?すっ、すぐ消すからね!」タラタラ
梓「けっ、消しちゃらめぇぇぇぇ//」
憂「え?」ポトン
梓「あ、その、う、憂は甘いんだよっ!」
憂「甘い?」ボットン
梓「あ、その、てっ停電は断続的に起こる可能性が高いから、火は暫く点けたままにしておくぅぅぅぅんだよっ!」
憂「なるほど!災害対策は奥が深いね!」ポトポト
梓「はぁぁぁぅっ//」
憂「わっ!梓ちゃんの背中の蝋がもう大変なことに!」タラリ
梓「へ、平気だから、そっそのままぁぁぁん//」
憂「でも、その蝋をなんとかしないと。なにか、はたく物でも・・・ハタキ!ハタキがあったよ、梓ちゃん!」ポタッ
梓「そっ、それだよっ、憂ひぃぃぃぃ//」
憂「よし!これで・・・えいっ!」ピシーッ
梓「っくはぁっ//」
憂「わっ!か、軽くはたいたつもりなのに、すっ、凄い音がっ!!」ポタポタ
梓「ふはっ、お、音だけで全然痛くないから平気だよ。」
憂「そうなの?それじゃ、えいっえいっ!」ピシッパシッ
梓「ふにゃあああああっ//」
憂「おおっ!結構取れたよ!これなら、えいっ!」パチーン
梓「あぁぁうぅいいーーーー//」
憂「ふうっ。だいたい取れたよ、って大変!今度はお尻に蝋がっ!!」ポタポタポタッ
梓「と、取ってくれりゅかにゃはぅ//」
憂「わ、分かったよ、梓ちゃん。えいっ!」ピシーッ
梓「はぁうっ//」
憂「えいっ、やーっ!」パシッパチー
梓「くはっ//」
憂「ていっ!」パッシーン
梓「にゃあぁぅぃ//」
憂「ふうっ、取れたかな。」
梓「あ、ありがとう、うぃぃ//」グッタリ
憂「あれ・・・な、なんで?//」
梓「な、なに?」
憂「あのね、梓ちゃんの、その、あっ、あそこが大変なことに//」
梓「にゃっ?」
憂「その、太腿までビッショリと。ほら//」ツーッ
梓「はぁん//」
憂「あ、梓ちゃん、なんか変だよ?」
梓「こっ、これはその、そうっ、この縄っ!この緊急医療で身体の新陳代謝が活性化されてるからだよっ!」
憂「なるほど!防災対策ますます奥が深いねっ!」
梓「そ、そうなんだよー、は、ははは//」
憂「取り敢えずなにか拭くもの・・・無い。」
梓「な、無いね//」
憂「ふむ、こんな時にも慌てず騒がす災害用品・・・でも、後はこのおっきい注射器だけか。」
梓「そ、そうだね//」
憂「でも、これは流石に今使えるものとは思えないよ?」
梓「冷蔵庫に牛乳ならあった・・・かも?」
憂「牛乳?」
梓「な、なんでもないの!忘れて、ね//」
憂「わかった。ちょっと行って来る!」
梓「・・・//」
憂「ただいま、梓ちゃん。」
梓「あ、あれ?牛乳は?」
憂「うん、美味しかったよ!」
梓「・・・飲んだんだ。」
憂「うん、喉渇いてたし。」
梓「憂って何気にフリーダムだよね・・・」
憂「そうかな?」
梓「うん。」
憂「ついでにタオル持ってきたから、拭いてあげるよ。」フキフキ
梓「・・・ありがとう。なんか、悪いね。」
憂「こんなの全然平気だよ。お姉ちゃんのおねしょの処理なんて、しょっちゅうだし。」
梓「・・・唯先輩、おねしょするんだ。」
憂「あ?今のはナイショにしといてね、梓ちゃん//」
梓「・・・うん。」
憂「あ!雨やんだよ。」
梓「ホントだね。」
憂「そろそろ解こうか、縄。」
梓「そうだね。」
憂「よし!完了。」
梓「うーん、なかなか有意義な時間だったね。」ツヤツヤ
憂「なんか梓ちゃんイキイキしてるね。」
梓「きっとあの縄の緊急医療で身体が健康になったんだよ。」テカテカ
憂「そっか。次は私もしてもらおうかな。」
梓「そうだね。次は憂の家の災害対策の点検もしなくちゃだね。」キラーン
憂「うん。備えあれば愁い無し、だよね。」
憂梓「皆さんのお宅の災害対策は大丈夫ですか?」
お し ま い
最終更新:2010年10月12日 21:06