梓ママ「やーねー、こう見えて私だって音楽業界の人間よ?結構そういう人多いし、理解はあるつもりだけど?」

梓「そ、そう、なの・・・?」

梓ママ「もちろん。これ、お父さんに話しても大丈夫?」

律「え゛」

梓「・・・いいよ」

律「いいのか!?」

梓「はい。いずれ話さなければいけないことだと思ってたので」

律「そ、そっか・・・」

梓「・・・こんな形で両親と会わせることになっちゃって、すみません・・・」

律「・・・」

梓「嫌、でしたよね・・・」

律「梓」

梓「は、はい」

律「お前、敬語になったりタメ口になったり、聞いてるこっちが疲れる。どっちかにしろよ」

梓「それ、今言う必要ありました?」

律「親の前なんだからタメ口の方がいいか、うん。よし、そうしような」

梓「え、え?」

律「なんだよ、ほら。行こうぜ?」グイッ

梓「律・・・!///」

律「う、うっさい///」

梓「・・・///」

律「こ、こうなったらちゃんと挨拶しないとな!」ヘヘッ

梓「あ、うん。そんなことより」

律「人の一大決心を『そんなこと』扱い!?」

梓「お父さんに会う前にその全開になってる社会の窓を閉めておいてね」

律「もっと早く言えよ!!!///」






梓パパ「えーと、梓と付き合ってる(?)田井中さん?」

律「あ、その、はい。そうです」

梓パパ「うーん・・・」

律「・・・」ソワソワ

梓「律、シャキッとしてよ」ボソッ

律「そ、そんなこと言ったって」ボソッ

梓パパ「あのさ」

律「ひゃ、ひゃい!?」

梓「うわ、だっさー」

律「こらぁぁぁ!!」

梓パパ「ははは、本当に仲がいいんだね」アハハ

律「はははっ、す、すみません・・・」

梓ママ「いいのよ?気にしないで?」

律「はい・・・」

梓パパ「それじゃ、お父さんと呼んでみてくれるかな」

律「はい?」

梓「ねぇお父さん、ちょっと黙って」

梓パパ「いいから」

梓ママ「あなた」

律「え、えっと・・・お父さん?」

梓パパ「・・・」

律「・・・」ドキドキ

梓パパ「もう一回」

律「お、お父さん!」

梓パパ「・・・合格ぅ!」

律梓「!!?」

梓ママ「お父さんさっきから何言ってるの?」

梓「そうだよ、さすがの律も戸惑ってるよ」

律「え、えーと、何が合格なんですか?」

梓パパ「色々だよ、家を貸すのも、梓との交際も全部許すからね!」

律「え、なんでこの人こんなにノリ軽いの」

梓「お父さん、ちょっと変わってるんだよ」

律「『ちょっと』・・・?」

梓「何?」

律「なんでもない」

梓ママ「ほら、言ったでしょ?パパもこういうのに理解ある方だって」

梓「理解あるっていうか、なんであんなに嬉しそうなの?」

梓パパ「そりゃ、娘が増えたようなものだから嬉しいよ。りっちゃんはドラムだっけ?」

律梓「りっちゃん!!?」

梓パパ「あれ?嫌だった・・・?」

律「いやいやいや、嫌じゃないですよ?はい」アセアセ

梓「私は嫌」

梓パパ「・・・」シュン・・・

律「いいじゃん、私はフランクに接してもらえて嬉しいぞ?」

梓「そ、そう?」

律「おうっ」

梓パパ「僕、ベースも弾けるから今度みんなでセッションしようね」

梓ママ「あら、じゃあ私はキーボードで参加するわ」

律「おぉ、すげぇ・・・さすが音楽一家」


梓「二人とも今はこんなだけど、楽器持つと人変わるからね」

律「あ、すみません。セッションはやっぱり無しで」

梓ママ「えー」ガーン

梓パパ「僕はりっちゃんが走っても気にしないよ」

律「なんで走り癖あるって知ってるんですか」

梓「さぁ?なんでだろうね」

律「明らかにお前のせいだろぉ!?」

梓ママ「まあまあ」クスクス

梓パパ「じゃあ、部屋はあとで梓に案内してもらって」

律「はい。ありがとうございますっ!!でも、本当にいいんですか?」


梓ママ「いいのよ。長い間、無人にすると物騒だし。使って貰った方が部屋の維持もできるし」

律「でも」

梓ママ「こちらこそ助かったわ」ニコッ

梓パパ「僕らは数ヶ月に一回くらい帰ってくると思うけど、大丈夫かな?」

律「ももももちろんです!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


数十分後



梓ママ「それにしても、ルームシェアしてる先輩と実は付き合ってたとは・・・」

律「隠しててごめんなさい」

梓ママ「いえ、いいのよ。あなた達なりに考えたんでしょう?」

梓「うん。いつ別れるかわかんないんだし、とりあえずまだいっかって話に」

律「なってないぞ!?そんな悲しい憶測の上で決めたことじゃないよな!?」


梓「冗談だよ。ただ律がヘタレてただけ」

律「本当のことだけどそんな言い方しなくてもいいだろっ」

梓パパ「ごめんごめん。もういいよ」

律「どこに行ってたんですか?」

梓パパ「僕の書斎だよ。りっちゃんに使ってもらおうと思って」

律「え!?悪いですよ!?」

梓ママ「いいのいいの。気にしないで好きに使ってね」

律「いやでも」

梓パパ「うん、100万くらいするギターが3本くらい置いてあるけど気にしないでね」

律「滅茶苦茶気になりますけど!?」

梓「よし、じゃあ案内してあげるよ。律の部屋」

律「え、え?」

梓パパ「いってらっしゃい。本当に遠慮しないくていいからねー」

律「え、えっと、それじゃ、いってきます・・・?」

梓「うん。律、こっちだよ」グイッ

律「お、おう」テクテク

梓パパ「気にいって、くれるといいな」

梓ママ「きっと気に入るわよ」

梓パパ「そうかな」

梓ママ「そうよ」

梓パパ「・・・」エヘヘ





律「結構広いなー」テクテク

梓「そう?律の家もあまり変わらなくない?」

律「そうか?」

梓「そうだよ」ガチャ

律「こ、ここか?」

梓「うん、入って」キィィ・・・

律「お邪魔しまーす・・・」ソロソロ

梓「どう?」

律「って、ああぁぁぁ!!」

梓「何っ!?」

律「大きな窓のあるお部屋だぁ!」





おわり



最終更新:2010年10月13日 21:29