澪「だ、誰かいるの…?」

純「……」キョロキョロ

純「一応…誰もいないみたいです」

澪「そ、そうか…」

澪「でもじゃあ、あの音はなんだったんだ……」

純「まさか…幽霊とか?」

澪「ひぃいっ!?」

純「あはは、冗談ですよ冗談」

澪「オバケナンカイナイ、オバケナンカイナイ…」ガクガクブルブル

純「あ…」

純(オバケ苦手なんだ)

澪「う~…」ブルブル

純「……」

純(澪先輩って…想像してたのと全然違う)

純(本当は怖がりで、繊細な人…)

純「……」

純(けど、そっちの方がいいかも!)

純(よく分からずに憧れてた時よりも、親近感がわくし)

純「澪先輩!」

澪「…へ?」

純「もう遅いし、帰りましょうか」

澪「あ…うん…」

純「手」

澪「な、なに…?」

純「手をつないで帰りませんか?」

澪「え…」

純「そうすれば怖くないですし」

澪「……」

純「ほら」

――ぎゅっ

澪「あっ…」

純「えへへ、帰りましょう」

澪「…う、うんっ!」

純(澪先輩の手、大きい)

純(でも…すっごく可愛い)


梓「ふぅ…なんとか逃げ出せましたね」

唯「二人ともどうなったんだろ~」

梓「さぁ…」

唯「…えへへ」

梓「どうしたんですか?」

唯「なんだか懐かしいね」

梓「え?

唯「私たちもあんな風に二人で練習したことあるじゃん」

梓「…そうでしたっけ」

唯「そうだよ~。それで今みたいに仲良くなったんだし」

ぎゅーっ

梓「うぅ…///」

唯「二人っきりだとおとなしいね」

梓「人前じゃ恥ずかしいに決まってるじゃないですか」

唯「ところで気になってたんだけど、この紙はなに?」

梓「あ、ちょっ!!」

唯「…歌詞?」

梓「そ、それはまだ未完成です!」

唯「ほぇ?」

梓「本当はもっと完璧にして唯先輩に歌ってあげようと思ったんです…」

唯「えー、十分完璧だよ?」

梓「ダメです。友達に見せたら反応イマイチだったし…」

梓「今度完璧に仕上げますから」

唯「えへへ、楽しみにしてるねあずにゃん!」

梓「…はい///」

唯(それにしてもあの時の澪ちゃんたち、昔の私たちみたいだったな~…)

唯(ホントに懐かしい)



――帰り道


純「……」

澪「……」

純「少し寒いですね」

澪「そうだな」

純「……」

澪「……」

純「手…」

澪「うん?」

純「あったかいです」

澪「私も」

純「……」

澪「……そうだ」

純「どうしたんですか?」

澪「これ、純に渡そうと思って…」

澪「はい」

純「これは…?」

澪「純のために書いた詞。読んでくれると嬉しいな」

純「……」

澪「ど、どう…?」

純「う~ん…よく分かんないです」

澪「えぇっ!?」

純「でも嫌いじゃないですよ、この詞」

澪「ほ、本当!?」

純「はい!」

澪「良かった~、まか書いてくるからな!」

純「なら今度はもう少し分かりやすいやつにしてくださいね」

純「キミのハートはドーナツ、とか」

純「ちょっとついていけないです」

澪「うっ!?なんかグサッときた…」

純「あはは、でもさっき言ったとおり嫌いではないですよ。澪さんの詞」

純「よく分かんなくても、想いは伝わってくる感じがするし…」

澪「うぅ…ありがとう純!」

澪「そう言ってもらえるだけでも嬉しいよ!!」

純「そ、そうですか…」

澪「よし、今度はもっとすごいのを書こう」

純「……」

純「澪先輩」

澪「なに?」

純「また…ベース教えてもらってもいいですか?」

澪「ああ、もちろんいいよ」

純「迷惑じゃないですかね?」

澪「なんで?」

純「だって私はジャズ研だし…澪先輩は軽音部とかでいろいろ忙しいし」

澪「なに言ってるんだよ、そんなの気にしないって」

純「…えへへ、じゃあ遠慮なく」

澪「なんでも頼んでいいぞ。だって私は純の先輩だからな」

純「――だったら」

純「抱きついてもいいですか…?」

澪「えっ…」

純「あはは、なんちゃって」

純(我ながら大胆すぎたかな…)

澪「……」

純「じょ、冗談ですから気にしなくても…」

――ぎゅっ

純「あ……」

澪「むしろ私が抱きつきたかった」

純「えっ…え???」

澪「ふふ、あったかいなぁ…」

純「えっと……」

純「そう、ですね…」

澪「ふふっ」

純「……クスッ」

澪「……」

純「……」

澪「そろそろ行こっか」

純「はい」

澪「なぁ純」

純「なんですか?」

澪「純にゃんって…呼んでいい?」

純「えー、語呂悪いですよそれ」

澪「でも呼びたい」

純「だけど純にゃんって…」

澪「呼びたい!」

純「うっ…」

純(結構ワガママなところもある…)

澪「…だ、だめ?」

純「……」

純(でもまぁ…いっか。それも含めて澪先輩なんだし)

純「じゃあ…二人っきりのときだけですよ?」

澪「!」

澪「ありがとう純にゃん!!」

純「やっぱり慣れないなぁ…」

澪「…ねぇ純にゃん」


純「今度はなんですか?」

澪「…なんでもないや」

純「えー気になるじゃないですか」

澪「今度…詞にして伝える」

純「今じゃダメなんですか?」

澪「今はダメ…」

澪「また今度な」

純「じゃあ、楽しみにしてますよ」

澪「ああっ!」



――ぎゅっ



おわり



最終更新:2010年10月13日 23:23