家事を一通り終えた後、公園で走っていると・・・とうとう律に見つかってしまった。

律が競争しようとか言ってきたので、仕方なくそれを了承した。

まあ、特訓の成果を試すチャンスでもあるしいいか。

律「位置について・・・よーい、ドン!」


あれ?律が随分遅い・・・私が早くなったのかなぁ?


すると突然、律が倒れてしまった。


落ち着け、私・・・こういう時は・・・


なんとか律を私の部屋まで運び、私のベッドに寝かせておいた。

なかなか目を覚まさないので、夕食の材料を買いに出かける事にした。

今日は律もいるし・・・二人分買っておこうかな。


帰ってきても、まだ律は寝ているみたいだった。

今のうちに洗濯物の取り込みと、夕食作りをしておこう。


しばらくすると、私の部屋から物音がした。

律が起きたみたいだ。


ガチャッ

澪「律! 大丈夫か!?」

律「大丈夫だよ、そんなに気にすんなって」

よかった・・・!

澪「律に何かあったら・・・私・・・」グスッ

律「はいはい、分かったから」


澪「夜ご飯は食べれるか?」

律「ああ、平気だよ」

澪「じゃあ、もうリビングに用意してあるから・・・」

律「ほーい」

私の手料理・・・律は気に入ってくれるかなぁ?

律「この包み焼きハンバーグうめー!」

澪「そ、そうか?」モジモジ

律「最近のインスタントってすげーなー!」

澪「えっ・・・」


澪「それ、私の手作りなんだけど・・・」


律「えっ!?」

澪「・・・」グスッ

律「今日は澪のお母さんやお父さんいないからてっきりインスタントかと・・・」

澪「せっかく、頑張って、作ったのにぃ・・・」ポロポロ

律「ごめんごめん! でも確かに美味いぞコレ」

澪「・・・ほんとぉ?」グスッ

律「ああ、マジで!」

やったぁ・・・!

澪「・・・!」パアアッ

律「じゃあ、そろそろ帰りますか」

澪「えっ・・・」

澪「今日、うちに泊まるんじゃないの・・・?」

律「無理無理、明日中学の入学式だぞ?」

澪「でも・・・今日パパもママも帰ってこないから・・・」

澪「ひとりぼっちは、ヤだよぉ・・・」グスッ

律「でもなぁ・・・」

澪「り~つ~ぅ・・・」ウルウル

律「分かった分かった!じゃあ荷物取ってくるから!」


こうして、律が私の家に泊まる事になった。

律が一緒にお風呂に入ろうと言ってきたので、そうする事にした。

二人でお風呂に入るの・・・久しぶりだなぁ・・・


そして私がお風呂から上がると、先に上がった律が牛乳を飲んでいた。

多分、背が低いのを気にしてるんだろう。

そして律は私に牛乳を渡すと、こう言った。

律「そういえば・・・澪っていつから特訓してたんだ?」

私はとても驚いた。なんでバレてるんだ・・・?

ごまかそうとしたけど無駄だったので、正直に話す事にした。


澪「中学校の次は、高校だろ?」

澪「律と同じ高校は無理だと思うから、律と離れ離れになっちゃうだろうから・・・」

澪「今のうちに、律に頼らなくても生きていけるようになりたかったんだ・・・」

澪「それでも、恥ずかしがり屋だったり、怖い話や痛い話が苦手だったりするのは克服できなかったんだけどな・・・」


律「澪・・・」

澪「変わろうと思っても、完全には変われなかった・・・」

澪「私って、ダメなやつだよな・・・」


律「・・・いや、澪は十分変わったよ」

律「運動もできるようになったし、家事もこなせるし・・・」

律「私なんて、もう不要なんじゃないのかな・・・」


律がそんな事を思ってたなんて・・・

意外だった。でも・・・!

澪「そんな事ないよ・・・律は、私を孤独から解放してくれたヒーローなんだから・・・」

澪「私の唯一無二の友達・・・いや、親友だから・・・」

澪「これからも、ずっと一緒にいてくれる・・・?」


律「当たり前だろ!」


律「じゃあ、私はリビングで寝るから」

えっ・・・?

律と一緒に寝たいなぁ・・・

澪「・・・」ジーッ

律「?」

澪「・・・一緒に寝てもいい?」

律「いいけど・・・私、寝相悪いぞ?」

澪「別にいいよ、律と一緒がいいから・・・」


律澪「「おやすみー」」


律と一緒のベッド・・・

何だか、あったかい・・・



翌朝、私が起きると・・・

やはり、律はまだ寝ていた。


しかしいつまで経っても律が起きてこないので、無理矢理起こす事にした。

澪「律!起きろ!」

律「う~ん、あと3時間・・・」ムニャムニャ・・・

澪「早く起きろ!遅刻するぞ!」

ゴチン!


そして、中学校の入学式。

律が寝坊したせいで遅刻しそうになったが、なんとか間に合った。


その次は、入学式後のクラス分け発表。

律と一緒じゃなかったら・・・どうしよう・・・


澪「よかったぁ~! また律と一緒だよぉ~!」

律「でも、そろそろ別の友達も作らないと・・・」

澪「律だけでいい!」

律「あのなぁ・・・」


教室に入ると、いきなり男子達が群がってきた。

今までとは大違いだったので驚いた・・・なんで!?

澪「ひぃぃっ!」

澪「り、律! 助けてぇ~!」

しかし、律は助けてくれなかった。

私のあわてふためく姿を見て笑っていたに違いない。


そのせいで、既に私はグダグダになっていた。

澪「もう死にたい・・・」

律「死ぬな」


そのあと自己紹介させられたような気もするが、頭の中が真っ白だったのでよく覚えていない。

開始早々、今までとは別の意味で学校に来るのが嫌になった。


そんなある日、律がとあるライブのDVDを入手してきたので一緒にそれを見た。

そうすると・・・

律「バンドやろうよバンド~!」

      • 予想通りの発言だ。

澪「・・・」

でも・・・面白いかもしれない。

澪「はぁ・・・仕方ないな」


そして、私達は楽器を買うために貯金を続け・・・

半年後、ようやく楽器を手に入れた。

律「私がドラムで・・・澪がベースか」

律「ギターもキーボードもボーカルもいないじゃん・・・」

澪「それに、ベースはまだしもドラムなんて誰に教わるんだ?」

律「ああ、それならマキちゃんに頼んであるから」

澪「律のくせに用意周到だな」

律「バンドを組めるのは高校に入ってからかなぁ・・・」

澪「でも、この辺で軽音部のある学校は桜高ぐらいしかないぞ?」

律「だったらそこに行けばいいじゃん」

澪「あのなあ・・・」

そのあと私が高校の偏差値表を見せたら、律は唖然としていた。

それでも諦めたくないらしく、勉強を教えてくれと頼んできた。

もちろん、律の事なので三日程でいつも通りに戻ったが。


そして、中3になると・・・

澪「志望校どこにした?」

律「桜高」

まだ諦めてなかったのか。

澪「無理があるだろ・・・」

律「澪は私と同じ高校に行くのが嫌なのか!?」

澪「そうじゃないけど・・・」

律「じゃあいいじゃん!」

はぁ・・・私の仕事がまた一つ増えそうだ。

澪「だったら今日から猛勉強だな!」

律「え~・・・」

澪「私が教えてやるから・・・」

律「さっすが澪~!」



それから約一年間、律に勉強を教えながら自分も勉強し・・・

ついに、運命の時がやってきた。

合格発表の日だ。


律「・・・」ジーッ

澪「・・・」ジーッ


律「あっ・・・あった・・・」

澪「私も・・・」

律「合格だぁー!!」

澪「良かった・・・」ホッ

これからも、律と一緒にいられる・・・!

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澪「・・・という感じかな」


紬「澪ちゃんってりっちゃんの事が大好きだったのね!」

梓「澪先輩って努力家なんですね・・・尊敬します!」


律「私の時と反応が違い過ぎないか・・・?」

唯「だってりっちゃんだもん」

律「何ーッ!?」


澪編おわり



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最終更新:2010年10月18日 22:27