教室!
唯「え…。りっちゃんも夢見たの?デビちゃんの」
律「あぁ。別に見たかなかったけどなっ」
唯「ぶー、そんなこと言ってぇ!」
澪「(なんだよ2人して…そんなにデビルちゃんが気になるのかよう…)」
律「デビルじゃねーから」
澪「思っていることに突っ込むなよっ」
唯「…ムギちゃん遅いね」
……。
紬「…唯ちゃん、りっちゃん」
唯「あ、ムギちゃんおはよ~」
律「おー、ムギ。今日は珍しく遅いな。遅刻ギリギリだぜ」
紬「私も見ちゃった」
唯「…えっ?」
澪「(な、何だって)」
律「見たって、三浦茜の夢を…か?」
紬「うんうん!!そうなの!演奏の途中で目が覚めちゃって、続きが見たくて二度寝してみちゃったの~」
律「おいおい…」
唯「デビちゃん、可愛かったでしょー??私も昨日の夢にまた出てきたんだよー」
紬「うんうん」
澪「(何で…私は昨日何の夢も見てないのに…)」
律「それにしても、いよいよ偶然とは思えなくなってきちゃったよな」
唯「今朝ういにも聞いてみたけど、ういは見てないみたい」
紬「何か楽しくなってきちゃったわねっ」
2年2組!教室!
梓「(今日は一緒にお昼ご飯食べてる夢を見てしまった…。そんなに仲がいいのかな私)」ボーッ
憂純「おはよう、梓(ちゃん)」
梓「おはよ、憂」
憂「梓ちゃん、また考え事してるね」
梓「うん…。どうしても気になっちゃって」
純「また夢で出てきた子の事考えてんの?もうすぐ文化祭だってのに余裕あるねー」
憂「今朝、お姉ちゃんからも言われたよ。デビちゃんの夢見たー!?って」
梓「あはは…」
純「デ、デビちゃん…?昨日の三浦って子とは別なの?」
梓「はぁ…」
憂「あ、そろそろ予鈴だ。席戻るね」
梓「うん、ごめんね、何か今は夢の事以外何も考えられなくて」
憂「うぅん、いいよいいよ。また後でね」
純「あれ」
ガララッ(教室のドアが開く音)
クラスメイトA「ねぇ今の子見た?凄い身長高かったね!」
クラスメイトB「髪の色ピンクだったよね。転校生??外国の人かな」
クラスメイトC「染めたにしては綺麗なピンク色だったよねぇ」
梓「(え?)」
梓「ちょ、ちょっと!!」ダンッ(席を立つ音)
クラスメイトA「わ!?」
梓「今言ってた!!!その!!そのピンクの子!!どこ!?」
クラスメイトB「あ、梓ちゃん?」
クラスメイトC「どしたの急に…」
梓「今言ってた子だよ!身長高くて、転校生かなって…!」
クラスメイトA「え?え?」
クラスメイトB「そんな子いた?」
梓「(ちょ…)」
クラスメイトC「?そろそろ先生くるよー」
梓「そんなことは良いから!!その子どこにいるの!?」
クラスメイトA「その子ってどの子?」
梓「今言ってた身長高くて髪の色がピンク色で…」
クラスメイトB「そんな子いたっけ?ピンク?」
クラスメイトA「ちょっとよくわからないんだけど」
梓「え…あ…?(数秒前に貴女達自身で口にした単語でしょうがぁああ…っ)」
クラスメイトC「変な梓ー。」
クラスメイトB「何かあったの?」
梓「ご、ごめん。なんでもない」
憂「…梓ちゃん…」
純「ありゃ重症だわ…」
放課後!部室!
梓「…と。言うことがあったんです」
律「いきなり、と。言うことがあったんです。とか言われてもわからないぞ」
梓「理解してください」
唯「つまり、どういうことなんだい!りっちゃん隊員!」
律「わかりません!!」
梓「…みんなの夢で登場した女の子が実際に存在する…だなんてことは」
律「ありえねーけどなそんなの」
紬「段々ファンタジーっぽくなってきたわ!こういうの好きよ!!」
唯「でもさぁ、あずにゃんが言ってた今朝のことがよくわからないよ」
梓「はい…、それは私もよく…」
梓「確かにクラスメイトの子達は、三浦茜さんの名前は直接出さなくとも、彼女の特徴を良く捉えた言葉を発していました」
梓「でも…」
唯「あずにゃんが話しかけた時には、もう覚えてなかったんだよねぇ」
梓「そこですよね…」
澪「(私だけその子の夢を見てないせいか話しに入れない)」
紬「もしかしたら、もうすぐ…」ボソッ
律「どしたー?ムギ」
紬「んー。やっぱり何でもないっ」
唯「えぇーっ!それは酷すぎるよムギちゃん!」
紬「…まぁまぁ、お茶にしましょう?」
澪「お、おい練習はっ!?」
梓「はぁ…。頭いたい…」
次の日!
2年2組!教室!
梓「(今日は一緒に買い物行ってる夢見ちゃったよ…)」
担任「えー。突然だけど転校生です」
「えっと…、は、初めまして。三浦 茜って言います…。宜しくお願いします」ヘコヘコ
梓「」
純「」
憂「…アレ?」
梓「こ、こここれは一体…」
担任「んー、急だったから席はまだ用意してないけど、一限目が始まるまでには用意するから、ちょっと待っててね」
茜「は、はい。わかりました」
梓「(夢で見た子とそのままだ…!名前も…声も…!)」
授業前!
梓「あの…」
茜「あっ…」
茜「は、はいっ!よろしくお願…」
梓「よろしくね」ジー
茜「…はい」
梓「敬語じゃなくていいよ」
茜「は、う、うん」
梓「…」ジー
茜「…うっ…」
『……』
純「(何この空気…。クラスの人達が誰も近づけないっ!!そしてこの子デカ!!本当に高校2年生なのっ)」
憂「いきなり友達作れて、茜ちゃんも幸せだね」
梓「一限目国語だけど、教科書あるよね?ノートも」
茜「う、うん。昨日教科書とか全部受け取ったから。ノートはメモ用紙でも使うよ。ありがとう梓さ…、梓」
梓「(メモ用紙?)…うん。何か困ったことあったら言ってね。それと…」
茜「…?」
梓「放課後時間ある…かな。案内したい所があって」
茜「放課後?う、うん。今日は草むしりのバイトないし、時間あるよ」
梓「(…草むしり)」
放課後!部室!
梓「こんにちはー…」
律「お、梓良い所に。聞いてくれよ、ついに澪も三浦茜の夢見たってよ」
澪「ひぃいいいいいいいいいいいいっ!!!」
律「…たまに意味わかんないとこで悲鳴あげるよな澪」
唯「あずにゃん分補給ううううううううっ!!」ドタドタ!!抱きっ
梓「にゃぁあっ!?ゆ、唯先輩ちょっと!!今日はっ…」
唯「!…えっ」パッ
唯「あ、あずにゃんその子…!」
紬「今日はお客さんがいるのよね~」
律「へ?」
澪「お、お客…さん?」
茜「どうもこんにちは~…」
律「」
澪「」ガクッ
紬「うふふ」
唯「デビちゃんじゃないかぁあああああああああああああっ!!!!!」抱きっ
茜「ひゃあああああぁあああっ!?!?な、なな、梓!?これはどういう…!?」
梓「あはは…」
唯「夢だけどおおぉぉ!夢じゃなかったぁああっ!」モッフモッフ
紬「夢じゃなかったー」
律「まじかよ。昨日見た夢のままじゃねえか……なぁ澪」
澪「」
律「あれ」
律「と、言うわけで放課後ティータイムの6人目のメンバーが加入してくれた訳だが」
茜「えっ」
唯「夢の通りだね、りっちゃん!!」
律「まさか本当に転校してくるなんてなぁ。しかも夢の通りに2年生で、梓と同じクラス…」
紬「運命だとしか思えないわねっ」
梓「私も何だか嬉しくてつい…、クラスの誰よりも先に話しかけちゃいました」
茜「あの、皆さん?」
唯「同期が増えて良かったね!あずにゃんっ!」
梓「はいっ!」
茜「ちょっとあの…。話が見えないんですけど…」
説明後!
茜「は、はぁ…皆さんの夢の中で私が…」
唯「そうなんだよデビちゃん!最初は私だけかと思ってたんだけど、あずにゃんは何度も見てるって言ってて!」
律「夢の中であたしらと一緒に演奏もしてたんだぜ?」
茜「え、えええ…演奏??」
紬「あらあら。うちは軽音部よ?」
茜「それは梓から聞きましたけど…、私演奏なんて」
紬「あらあら、そんなに難しい物じゃないわ?」
唯「そうだよ!私なんて高校入ってからギター始めたんだし!」フンス
梓「唯先輩はちょっと特殊な気がしますけど…」
澪「」
律「まだ気を失ってたのか」
……。
茜「あのあの…唯センパ…イ?」
唯「んんんん!?なんだいデビちゃんっ!!」
茜「そのデビちゃんって言うのは何なんですか?」
唯「デビちゃんはデビちゃんなんだよっ!!」
茜「そ、そう言われても…。私そんな風に呼ばれたことないですし、名前にデもビもついてないんですけど」
梓「知らない方がいいこともあるよ茜…」
茜「あ、梓?」
律「(夢でデビちゃんのあだ名の由来話してた気がするけど、こりゃ言わない方がいいな)」
紬「あらあら」
澪「ムギさっきからそればっかだな」
紬「澪ちゃんに言われたくないもん!」
澪「…」
梓「そういえば…楽器」
唯「デビちゃん、夢ではグルングルンしたラッパみたいなの吹いてたけど」
茜「ラ、ラッパ?」
律「あー、何ていったっけあれ。トランペット?」
紬「あれはユーフォニアムだわ。うちの学校にも吹奏楽部に置いてあるわね」
茜「あ…」
梓「随分珍しいの使ってましたよね」
梓「軽音のライブでユーフォニアムって何だよ…って、夢なのに突っ込み入れた気がします」
律「あー、確かに。ライブしてる時ちょっと浮いてたかもな」
茜「あ…あります」
唯「お?デビちゃん?」
茜「ユーフォニアム…。家に、ですけど、お父さんの形見でとってあります」
梓「お父さん亡くなってるんだ…」
律「何か…スマン」
茜「あ、生きてます。備兵してて、死んだらコレを形見にでもしてくれガッハッハって言ってました」
澪「そ、それは形見とは言わない!!」
律「お。澪起きてたのか」
澪「おいバカ律。さっき喋ったぞ」
茜「で、でも私、演奏はできないんです」
茜「ユーフォニアムも殆ど手をつけてませんし…困ったら質屋に入れるつもりだったし…」
律「いい機会だし、ちょっと触ってみたらどうだ?確かにうちのバンドと組み合わせにくい楽器ではあると思うけどさ」
紬「そうね…。面白いかもしれない。何より夢の中での私達はとっても楽しそうに演奏していたもの!」
唯「うんうん!いいよいいよUFOニアムー!!」
梓「違うものになってますよ唯先輩」
茜「で、でも…」
律「丁度もうすぐ文化祭だし、茜の初披露は文化祭のライブになりそうだな」
澪「ぶ、文化祭って…。ほとんど余裕ないぞ、もう」
唯「大丈夫!!デビちゃんならできーるっ!!私達がついてる!!」
梓「絶対根拠ないですよねそれ」
茜「(まだ転校初日なのに色々起きすぎて頭が…あぁ…)」
……。
律「で、だ!」
唯「で、だね、りっちゃん!」
律「茜、軽音部の部長として真面目に聞きたい」
茜「は、はい」
律「夢の中の茜はあたしらの夢で出てきた茜だ。それは今あたしの目の前にいる茜じゃない」
茜「……」
律「ここまで勝手に入部したものとして扱っちゃってきたけどさ…。無理強いはしたくない」
律「楽しくやれなきゃしょうがないだろ?茜が嫌なら入部しなくてもいいぜ。他に希望してた部活があるなら尚更だ」
律「だからさ…、別にあたしらに同情する必要はない。正直に答えてほしい!」
茜「り、律先輩…」
茜「(何だかちょっとカッコ良く思えてきた…)」
律「あ、あたしらはさ、あまり上手くないけど…。でも絶対、部活は楽しいと思うから!」
茜「……」
律「軽音部に入ってくれないか?茜」
梓「……」ドキドキ
紬「……」ドキドキ
律「……」ドキドキ
澪「」
最終更新:2010年10月19日 21:49