平沢宅!

憂「……………ぇ?」カチャン

唯「?」

憂「……なんて?」

唯「ん…お父さんもお母さんも良いって♪」

憂「……」

唯「だから、私するよ!」



唯「ひとり暮らし!」




翌朝!

テクテク

憂「…」トボトボ




憂(………そ、そっかぁ…い、いいなぁーひとり暮らし)

唯(えへへー、いいでしょー)

憂(で、でもっ…大変じゃない?お掃除とかご飯も自分で――)

唯(ぅ~んっ大丈夫だよぉー心配症だなぁ憂はぁ♪)





憂「…」トボトボ

憂(…心配だってしちゃうよ、お姉ちゃん……)

純「うーいっ!おはよ!」バッ

憂「ぁ純ちゃん、おはよう!梓ちゃんも、おはよう!」ニコッ

梓「おはよう~憂」スリスリ
純「あずさ、近い」

憂「今日も仲良しだね♪」

梓「へへ」スリスリ
純「…あ!唯先輩!おはようございます!」

梓「!」バッ
憂「!?」ビク

梓「唯先輩!おはようございます!」キリッ

純「…」
憂「…」

梓「…」

憂「…お姉ちゃん、律さんたちと先に上がったよ?」

梓「キッ」チラッ

純「~♪」ピューイ





憂(ふたりは、夏が始まる頃から…ずっとこんな調子だ)



平沢宅!深夜!

カチ…カチ…カチ…

憂「…」

憂「………どうしたんだろ」モゾモゾ

ガチャッ ト…ト…ト…

憂「……………?」


梓「んっ…っ……ん…ちゅっ…」

憂「!」





憂(梓ちゃんの気持ちは…少し前から、なんとなく気付いていました)


憂("同じ"だからわかる…その衝動…浅ましさ…)



トントン

梓「!?」ビクン

憂(…そうだよ。"私が降りてくる"よ…急いで…)

憂「…」

ガチャッ

憂「梓ちゃん?」

梓「憂…ッ」ドキドキ

憂「大丈夫?純ちゃんは?」

梓「あっ…純、ソファーに寝ちゃって…!何回も起こしたんだけど全然ダメで…!背負ってこうと思ったけど重くて…!」アセアセ


憂(…そんなに慌てなくても大丈夫だよ…目の前にいる娘も"同じ"なんだから…)

憂「…手伝うよ」


純「もうすぐ先輩たちも卒業だねぇ…」

憂「そうだね…」

梓「……」ションボリ

純「…でもアレだよね!大学生になったって、遊びに来れるしさ!」

憂「そうだよ、梓ちゃん」

梓「…ぅん」

純「まぁ…なに、寂しくったってさ…私達がいるし…///」

梓「…」キュン

純「ぅ゙」ズサッ

憂「…」



憂(想われてる人はみんな同じ…向こうからは、どうしたって気付いてはくれない)




純「ねぇ…憂。あずさの事、何か知らない?」

憂("私達"の勝手な想いに気付いて欲しいなんて、それこそ都合が良過ぎるけどね…)

純「誰が見たって、絶対おかしいじゃん!?」

憂「そう…だね…」

純「…何か知らない?」

憂(『アナタノセイダヨ』……口が裂けても言わないけど…)

憂「ごめん。ちょっと…わからないな…」

純「そっか…ううん、ありがと…ごめん」





憂(ダメだよ梓ちゃん…私達の感情は表には出してはダメ…受け入れてくれる人なんて、ほんの一握りなんだよ)


梓「え!唯先輩がひとり暮らし!?……ひ、ひとりで…?」

憂「な、なに言ってるの梓ちゃん…(;^_^)」

純「へえーいいなあ~!羨ましいー」

梓「大丈夫なの…?なんか聞いてるだけで危なっかしいし」

憂「ぅん…」

純「大丈夫でしょ?もう子供じゃないんだからー。エッチな映画だって見れちゃうんだよ?」

梓「何ソレ…」

憂「…」

純「………」チラッ

梓「寂しい…よね」

憂「…」シュン

純「…あ!じゃあ憂も一緒に…」

梓「今とあんまり変わんないよね」

純「…」アセアセ

憂「新たな自分を切り開く為の推敲なる試練…」ボソッ

梓純「ぇ」

憂「って…お姉ちゃん言ってた」

梓純(意味分からん)


憂(何かキッカケがあれば…こんな私にも違った未来があるんだろうか)






純「はは……な、何してたの?」

梓「ご、ごめ…」カタカタ

純「………ふ、ふざけてたんだよね………まぁ、よくするよねー女の子同士でもさぁ!」

憂(あぁ………また、やっちゃったんだ…梓ちゃん……)
純「……なんか言ってよ、あずさ…」


律「…またなんかあった?」

憂「…」

唯「ケンカでもしちゃった?」

憂「ううん、してないよ…」
唯律「…」チラッ
純「…私には…わかりません、ごめんなさい」

憂(ね…こうなっちゃうんだよ…梓ちゃん)





平沢宅!

ガサゴソ ドスン

ゴチン☆
唯「アイター」ヒリヒリ

憂「お姉ちゃん!スゴイ音したよ!?何し――」

唯「ぁ憂ー」ヒリヒリ

憂「!……………………お部屋、片付けてるの……?」

唯「あ、うん!…少しずつやっちゃわないとねー」

憂「言ってくれれば手伝うのに…!」

唯「大丈夫だよぉ、これくらいひとりでやるよー」

憂「…」

カチ…カチ…カチ…

憂「…………静かになった…休憩してるのかな…」



ガチャッ

憂「お姉ちゃん、どう進んでる…?」

唯「すぴー」

憂「…」スッ

憂「お姉ちゃんっ…ちゃんとお布団で寝ないと…風邪引いちゃうよっ」

唯「ンン……分度器もおいしいね…むにゃ…」

憂「どんな夢…」

憂「んしょ」ポサッ

唯「……すぴー」

憂「…」

唯「すぴー」

憂「 」


チュッ…



憂「っ……………」ドキドキドキドキ

ダッ バタン

憂「はぁ……はぁ……」ドキドキドキドキ

憂(…こんな事、もうしないって…決めたのに…!!私の馬鹿!)



憂("私にも…"。そんな錯覚をしてしまうのは…きっとあの人達のせい)





澪「…律は、そんな風に悩んでる馬鹿な私も、好きだって言ってくれた…だから、全てが望んだ通りにならなくても、私は今とても幸せだ」

律「鈴木さんのままで接してやればいいんだよ…変に気をつかったり、相手の事を必要以上に想いすぎるから、お互いに反って辛くなる…」

純「私にも…できるかな…」ポロリ


憂(…どうして…そんな風に考えられるんだろう……私は"こっち側"の人間だから、あなた達の立場になって考える言は出来ない…)

憂(仮に私が、"正常"な人間だったとしても、私は今の私を受け入れる事なんてできないだろう…)

憂(だから余計に…)


純「…律さん、なんかカッコよかったね…」




憂(ウラヤマシカッタ…)




純「うん…………憂」

憂「なぁに、純ちゃん…」

純「…今度、憂の話もゆっくり聞きたい」






憂(…どうして私がそう言って欲しい人は、私の事に気付いてすらくれないのだろう)



引越し!

紬「よいしょ!…これでだいたい運び終わったかしら」

唯「うん、ありがとー」

律「くああああ!!腕がいてええ!!」ビリビリ

澪「いちいち大袈裟なんだよ、まったく」

梓「律先輩、殆ど遊んでたじゃないですか…」

唯「みんなホントありがとう!」

律「いいってことよ!これからはここがHTTの第二支部となるんだからな!」

梓「なんですかそれ、初耳です」

澪「でも確かに、親御さんに気兼ねしないで集まれるのはいいかもな」

律「まずは部室の漫画を移送せねば…!」キリッ

紬「それとそれと!大学生の冬は狭いコタツで毎日鍋よね♪」

梓「ま、毎日…」

唯「へへへ。どれも楽しみだね!」

梓「これからどうしますか?もう日も落ちてきましたよ」

澪「そうだな、皆でご飯でも食べに行くか」

紬「ぁ!私、みんなで焼肉食べたい!」ピョコピョコ

律「っしゃあああああ!!!!焼肉ぅうううううぇい!!!!」ガッ


唯「あぁ…みんなゴメン。私今日は…」


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最終更新:2010年10月20日 22:19