唯「じゃあ次は私だね! これは自信作だよ!」
律「お、そうなのか」
紬「楽しみねー」
唯「(まあ全部憂に作ってもらったんだけどね……)」
「では、発表します!」
「タイトルは、え~と……」
「(やばっ 憂にタイトルまで考えてもらってなかったよ~……)」
澪「どうした?」
唯「え、えっと、タイトルは"秋"!」
梓「実にシンプルですね……」
唯「えへへー」
紬「タイトルじゃなくて曲で語るってことね。 楽しみだわ~」
唯「えっと、使ったのは"U&I Studio"だよ!」
梓「なんですかそれ? 初めて聞きましたけど……」
唯「超最新型のシーケンサなのです!」
「(実は憂の名前をもじっただけだよ…… ごめんね憂……)」
ジャジャジャジャジャン……
タラリラリロリ…
パラララーン…
一同「おーー!!」
紬「凄いわ唯ちゃん! まるでプロが作ったみたい!」
梓「曲の完成度はもちろん…… 各パートごとの音量バランスやパン振りも完ぺきです」
律「やっぱあんなこと言いだすだけはあるなー」
唯「えへへー」
澪「(やばい…… 唯だけには負けないと思ってたけど……)」
※唯は32点くらい
唯「じゃ、次はムギちゃんだね」
紬「はーい♪」
紬「えっと、タイトルは"交響曲第一番 嬰ハ長調"よ!」
唯「うお、すごいクラシックっぽい!」
梓「オーケストラの編成なんですね?」
紬「そうよ~」
「使ったのは律ちゃんと一緒のSONARよ」
律「お!? ムギも意外と庶民派なんだな」
紬「ただ、音源を変えてみたの」
「EAST WESTのQLSOよ」
梓「ひえっ!? それって10万円くらいするやつじゃないですか!」
律「そ、そうなのか…… やっぱり庶民とは違いますわね~」
紬「家にたまたまあったのよ~」
「じゃあ、聞いてください!」
サッサッサーン
プップクプー
フォフォフォフォー
ホルーン
一同「うわああ! すごい!」
梓「本当に交響曲ですね! 超大作です!」
唯「やっぱムギちゃん、キャリアが違うね……」
律「これには敵わないよな~ なぁ、澪」
澪「え!? あ、あぁ、そうだな」
「(私も張り切ってオーケストラの曲にしたけど……レベルが違いすぎるよ……)」
唯「それでは採点タイムです!」
ジャカジャカ
唯10点 澪9点 律10点 梓9点
紬「まあ! 38点だなんてすごいわ!」
律「こりゃもうムギの優勝だな~」
澪「あ、あぁそうだな! 私の曲なんか聞くまでもないよ! 解散解散!」
唯「だめだよ澪ちゃん! せっかく作ってきたんだし!」
梓「そうですよ、しかも澪先輩はDTM初挑戦なんですから」
唯「そうそう! 澪ちゃんが主役みたいなもんだからね」
律「ほらほら~、みんなこう言ってるぜ~?」
澪「うぅぅ……」
唯「では澪ちゃん! 張り切ってどうぞ!」
澪「えっと、タイトルは……"森のリスさんの1日"だ」
律「(うわ…… とことんメルヘンだな~)」
梓「(童謡じゃないんですから……)」
澪「仕様機材は、Dominoっていうやつだ」
唯「結局フリーのやつにしたんだね」
律「音源にお金をかけたんだよな?」
梓「澪先輩のことですから、ベースにはとことんこだわってそうですね!」
澪「え? 音源もDominoだけど……」
唯「え?」
紬「澪ちゃん、Dominoは音源じゃなくてMIDIシーケンサよ」
梓「簡単に言うと、いろんな音源から音を鳴らしてあげる楽器みたいなものですね」
律「音源は別に用意して引っ張ってこなきゃいけないんだぜ?」
澪「そ、そうなの?」
「でも律や梓だって音源の話してなかったじゃないか!」
梓「SONARやFLには初めから音源も入ってるんですよ」
律「割と高品質なんだぜ?」
澪「でも、Dominoだって初めから音が鳴ったぞ!」
唯「え、澪ちゃんそれってもしかして……」
「MSGS?」
梓「あれ、澪先輩マカーじゃなかったんですか?」
律「いやいや、MSGSなんてありえないだろ! あんなの誰もつかわねーし」
澪「え? 何の話?」
唯「えーと……」
紬「と、とりあえず聞いてみればわかるんじゃないかしら!」
梓「そうですね。 まずは聴いてみましょう」
澪「そうだ! きっとMSGSじゃないからな! たぶん……」
「データはこのUSBにはいってるから」
唯「わかった、再生するね…… ってあれ!?」
澪「どうした?」
唯「澪ちゃんこれ…… MIDIファイルだよ……」
澪「え?」
梓「みんなmp3にしてますよ」
澪「だ、だって、DTMっていったらMIDIだろ?」
律「あちゃー、やっぱわかってなかった……」
紬「澪ちゃん、MIDIっていうのは単なる楽譜にすぎないの」
澪「へ?」
梓「MIDIデータに書いてある情報を読み取って、音を鳴らしてるんです」
唯「だから色々音源が変えられるんだよ」
「(私でもそれくらいは知ってたよ澪ちゃん……)」
律「ってことは澪が聴いてたのはやっぱり……」
紬「MSGS……」
澪「なっ…… いいだろ別に! 音源なんて関係ないだろ!」
紬「そ、そうよ! MSGSでも完成度の高い曲はいっぱいあるわ!」
梓「確かに、色々なテクニックを盛り込む面白さもありますね」
唯「じゃあ、とにかくこれ再生するよ!」
「音源はもちろんMSGSだよ」
ポチッ
テレーテレーン
一同「(うわ…… 安っぽ……)」
ファー、ファー
梓「(スローストリングスを16分で打ち込んでも聞こえませんよ澪先輩……)」
ドンシャカドンシャカドコドコドン
律「(この曲にスタンダードのドラムはあわないだろ……)」
ベンベベンベベン
澪「(このフレーズには自信ある! ベースに力入れてるんだよな!)」
唯「(ピッチベンドも全然いじってないんだね……)」
梓「プッ、フフ」
澪「!?」
律「(こら梓! 笑っちゃだめだろ笑っちゃ……)」
梓「(す、すいません、つい……)」
パッパカパーパー
澪「(次が一番盛り上がるとこだ!)」
ジャン! ジャン! ジャン!
唯「(オケヒって! ここでオケヒって!)」
紬「(オケヒ3オクターブはやりすぎよ澪ちゃん……)」
デッデッデーン
澪「ふぅ…… 終了だ」
唯「すごい! とっても良かったよ澪ちゃん!」
梓「澪先輩の熱い気持ちが伝わってきました!」
紬「曲の良しあしって音源では決まらないのね!」
律「思い知らされたぜ!」
澪「そ、そうだろ!? やっぱり、音源は関係ないんだよ!」
「(よ、よかった…… みんなこんなにほめてくれてる……) ジーン」
澪「うっ…… うっ……」ウルウル
唯「どうしたの澪ちゃん!?」
澪「こんなに褒めてくれるって…… 思わなくて……」
律「(あちゃー……)」
紬「澪ちゃんの曲素敵だったもの! 当然よ!」
梓「私たちが悪かったです! 澪先輩!」
澪「うぅ…… ありがとーみんなぁ~……」
唯「じゃ、じゃあここで採点タイムです!」
一同「(どうしよう……)」
唯「(ここは35点くらいにしたいとこだね……)」
律「(みんな高めにつけてくるだろうから、私は素直に点入れていいよな…)」
梓「(私厳しいキャラで通ってるし、ちょっと低めにつけてもいいよね)」
紬「(シャランラ~♪)」
唯「それでは、点数ドン!」
唯3点 律5点 紬0点 梓1点
一同「あっ……」
澪「へ?」
唯(しまった………)
梓「(みなさんなんでそんな点数低いんですか~!?)」
律「(ムギの0点はやりすぎだろ……)」
澪「ど、どうした?」
唯「え、えっと……」
律「こ、これは採点ミスで……」
梓「ご、5点満点だと思ってました!(にしても低いけど……)」
澪「そ、そうか、そうだよな」
紬「それは違うわ澪ちゃん!」
紬「正直にいって…… 澪ちゃんの楽曲はだめだめだったわ」
「打ち込みも平坦だし、コード進行も型にはまりすぎてる」
唯「音源が音源だしね……」
紬「でも澪ちゃんの曲からは間違いなく作曲のセンスが見て取れたわ!」
澪「え?」
紬「きちんと勉強すれば、一流の作曲家だって夢じゃない!」
梓「そうです!澪先輩!」
紬「ということで澪ちゃん! 今日から特訓よ!」
澪「え? え?」
紬「私の別荘で作曲のお勉強をするの! 特別講師をお呼びするわ!」
唯「み、澪ちゃんうらやましー!」
紬「これからのHTTは、私と澪ちゃん! 2人で作曲をするの!」
梓「うわーたのしみですねー」
紬「だから澪ちゃん、帰ってすぐ合宿の準備をしてきてね!」
「私は一足先に帰るから! じゃーね!」
澪「あ、ちょっと……」
タッタッタ
唯「いっちゃったね」
澪「な……なんでこんなことに……」
梓「じゃあ今日は解散ですね……」
唯「澪ちゃん頑張ってね」
澪「み、みんなぁ~!!」
澪「うう……」シクシク
律「澪、元気出せって!」
澪「りつ……」
「律も私の曲、だめだめだったと思うか?」
律「え?」
澪「律みたいに上手くはないけど……それでも頑張って作ったのに……」
律「い、いや!そんなことないぞ!」
「澪らしさっていうか…… なんていうか……」
澪「私らしさ?」
律「そう! 1つ1つのノートがすごく丁寧に打ち込まれてて…」
「でもそれでいて時には大胆で……」
澪「律……」
律「とにかく! 私は今日の澪の曲好きだったぞ!」
澪「ほんとか!?」
律「ああ! あの5点っていうの、お世辞でもなくて私の本心だし!(それでも低いけどな)」
澪「あ…… ありがとう律!!」
「やっぱり律は最高の友達だ!」
律「あ、当たり前だろ!」
「これからもなんかあったらすぐ相談しろよ!」
「澪の一番の親友は、私なんだからな!」
澪「ありがとう律……!!」
「もうメールでからかったりしないよな……?」
律「いや、それはわかんねーわな」
ゴチンッ!
律「ったあーい!」
澪「バカ律!」
律「あはは! 冗談冗談!」
律「じゃ、とにかく作曲合宿! ハードだろうけど頑張れ!」
澪「おう! 頑張る!」
──1週間後──
唯「おはよー…… って澪ちゃん!?」
律「どうしたんだその髪型!?」
澪「じ、実は……」
「ムギが『作曲家ならやっぱりこの髪型よね~』って言って……」
律「そ、それでそんなバッハみたいな髪型なのか……」
唯「そのまま音楽室に飾っときたいよ澪ちゃん……」
澪「でも、作曲の腕前はかなり上達したんだ!」
律「ほんとか?」
澪「ああ! 聞いてくれよこの曲!」
唯「聴きどころはどこですか秋山バッハ大先生!」
澪「えー、コホン…… この曲はサビのオーケストラヒットが……」
「って言わせるな! 誰がバッハだ!」
唯「あはは! (え…… またオケヒ……)」
律「(嫌な予感が……)」
澪「じゃあ聞いてくれ!」
ポチッ
カンッ テレレレテレレレ…
ジャッジャーン
唯「(おおっ! すごくかっこいい!)」
律「(曲も打ち込みも…… レベルが段違いだ)」
テレレテレレレ
澪「(次! オケヒだ!)」
ジャラッジャ ジャラッジャ
唯「(すごい! とっても効果的に使われてる!)」
ジャッジャーン
唯「すごいよ澪ちゃん! 完ぺきだね!」
律「めちゃくちゃかっこいいじゃねーか!」
澪「だろ!?」
唯「オケヒも効果的だったね!」
澪「だろ、あれがないとサビが締まんないからな」
律「この曲…… タイトルとかあんの?」
澪「あるぞ! タイトルは……」
「これだ!」
澪「U t a u y o ! M I R A C L E !」
-おしまい-
※DTM全くわからない俺には何がなんだかさっぱりだ
MSGS…Windows標準MIDI音源
Roland SC-55という音源をベースに作成されており
音質はスーファミ並
※MIDI音源買ってきたらどんなソフトでも使えるって事でいいの?
そうだけど
今はMIDI音源は使われてない
PCの"DAW"で制御する
VST音源が主流
DAWはデジタルオーディワークなんとか
SONARとかCUBASEとかのこと
オケヒはスーファミのゲームによくあるイメージ
最終更新:2010年10月23日 01:46