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梓「そしたらあの千円で新しいスコア買えたのに」

梓「神主さんに言って返してもらおうかな」

梓「さすがにそれは無いか」



梓「純」

梓「どうしたの?嬉しそうだね」

梓「へぇジャズ研の先輩も合格したんだ?よかったね。おめでとう」

梓「あーうん。4人揃って合格」

梓「何よそれ」

梓「私、そんなに先輩の話ばっかりしてる?」

梓「そうでもないよ」

梓「そんなに好きじゃないよ」



梓「あ、先輩方。こんにちは」

梓「いえ、自由に使ってください」

梓「ありがとうございますムギ先輩。いただきます」

梓「卒業旅行ですか?」

梓「どちらへ行かれるんです?」

梓「そんな無計画で大丈夫なんですか?」

梓「澪先輩頑張ってください」

梓「だって唯先輩も律先輩も修学旅行で問題行動ばっかり起こしてたって言うじゃないですか!」

梓「全く…春から大学生なんですよ」

梓「…はいはい」

梓「楽しんできてくださいね」



梓「憂は進路考えた?」

梓「そうなんだ。純は?」

梓「だと思った」

梓「締切いつだっけ?」

梓「そっか」

梓「でも本当早いよね、さっき先輩の進路が決まったばかりだって言うのに」

梓「同じ大学?」

梓「行かないよ」

梓「おかしくない?大学までついてくとか」

梓「うーん…どこにしよう」

梓「え?私がおかしい?」

梓「別にいつもと同じ、普通だよ」

梓「先輩の話なんていつもしてるわけじゃないし」

梓「違う」

梓「寂しくなんてないもん」

梓「…」

梓「…」

梓「うるさい!」

梓「純には分かんないよ!」

梓「純には同じ学年の子がいるじゃん!」

梓「先輩がいなくなって、悲しいねって一緒に泣ける仲間がいるじゃん!」

梓「私には先輩しかいなかった!先輩が部活の全てだった!!」

梓「純には私の気持ちなんて分かんない!」

梓「うるさい!憂にも分かるわけないよ!」

梓「兄弟だもん!ずっと一緒じゃん!」

梓「うるさい!」

梓「うるさいうるさい!」



梓「あ、こんにちは」

梓「3年生は自由登校じゃないんですか?」

梓「そうですか」

梓「…」

梓「あの、言い辛いんですけど」

梓「もう来ないでください」

梓「部室はおしゃべりする場所じゃないんです」

梓「練習したいので邪魔しないでください」

梓「もうい、引退したんですから」

梓「…」

梓「帰らないなら私が帰ります」

梓「さようなら」



梓「憂」

梓「昨日はごめんね」

梓「うん」

梓「そう、唯先輩が…」

梓「ごめんね」

梓「私は大丈夫。ありがとう」

梓「本当にもう大丈夫」

梓「昨日一晩考えたら馬鹿らしくなっちゃって」

梓「先輩のことばっかり考えてる事が」

梓「もう、先輩なんてどうでもいいよ」



梓「今日は誰も部室いないのか」

梓「ああそうか」

梓「今日から卒業旅行だっけ」

梓「楽しんでるかな」

梓「澪先輩が困ってる顔が目に浮かぶ」

梓「帰ってきたらまた部室に来るのかな」

梓「来ないで欲しいな」

梓「…練習しよ」



梓「こんにちは」

梓「帰ります」

梓「え?」

梓「おみやげ?」

梓「ありがとうございます」

梓「楽しかったですか?」

梓「ふふっ」

梓「また唯先輩がですか?」

梓「あははっ」

梓「…」

梓「それじゃ私はこれで…」

梓「何ですか?」

梓「何もないですよ。いつもと同じです」

梓「…」

梓「変わったのは先輩方のほうじゃないですか」

梓「大学大学って。その話ばかり!」

梓「私はまだ高校生です!」

梓「私はまだ来年もこの学校に残るから!」

梓「来年のこと考えなくちゃいけないんです!」

梓「新歓ライブのことも、学園祭の事も、合宿の事も!」

梓「今までは全部先輩方がしてきてくださった事を一人でしなきゃいけないんです!」

梓「今までは先輩方と一緒にしてきた事を一人だけでしなきゃいけないんです!」

梓「先輩がいない部室でどうしろって言うんですか!」

梓「この部屋にいるだけで先輩方のこと考えちゃうんです!」

梓「教室にいても職員室にいても講堂にいても、いつも考えちゃうんです!」

梓「来年の春になったら新しい新入生が入ってきて!」

梓「『軽音部へようこそ!』って言って先輩方と一緒に喜んではしゃぐ事考えちゃうんです!」

梓「もう何も考えたくないです!」

梓「もう何もかも嫌なんです!」

梓「どうして私だけ一人なんですか!」

梓「旅行中、先輩が部室に来ないって思っただけで寂しくて!」

梓「今日来てくれたのがすごい嬉しくて!」

梓「私はこんなに一喜一憂してるのに、先輩方はずっと楽しいままなのが悔しくて!」

梓「私がこんなに怒ってるのに、先輩方はそれも高校生活の想い出の中の一つなんでしょ!」

梓「私はいつも先輩方のことしか考えてないのに、先輩方は私のことなんて全然考えてくれないじゃないですか!」

梓「そんな先輩いりません!」

梓「大学でも外国でもどこにでも行けばいいじゃないですか!」

梓「4人で一緒に行けばいいじゃないですか!」

梓「私を置いて行けばいいじゃないですか!」

梓「私の事忘れて行けばいいじゃないですか!」

梓「私も先輩の事忘れてやるです!」

梓「偶然先輩と会って話しかけられても、思い出すまで時間かけてやるです!」

梓「時間かけても名前出てこなくて、ごめんなさいって言ってやるです!」

梓「早く忘れさせてください!」

梓「早く、今すぐ、卒業しちゃえばいいんです!」

梓「やめてください!」

梓「澪先輩なんて大嫌いです!」

梓「何で私が勝手に怒って酷いこと言ってるのに優しい言葉をかけるんですか!」

梓「律先輩も大嫌いです!」

梓「何でこんなときにも冗談言って和ませようとしてるんですか!」

梓「ムギ先輩も嫌いです!」

梓「紅茶飲んでも落ち着くわけないじゃないですか!」

梓「唯先輩も嫌いです!」

梓「唯先輩のせいで変なあだ名がつきました!」

梓「唯先輩のせいで自分のギターの練習する時間が少なくなりました!」

梓「唯先輩のせいでトンちゃんが後輩になっちゃいました!」

梓「先輩方なんて嫌いです!」

梓「大嫌いです!」

梓「大大大大だいっきらいです!」

梓「嫌いって言ってるのに!」

梓「どうして!」

梓「どうして!!」

梓「どうして抱きしめるんですか…」


律「あーずさ」

紬「梓ちゃん」

澪「梓」

唯「あーーーーーーーーーずにゃん!」

梓「…」

梓「こんなに大切になるなんて思ってなかった」

梓「大事な人たちに出会えるなんて思ってなかった」

梓「やっぱり大好きです」

梓「だから」

梓「軽音部になんて入らなければ良かった」




おわり



最終更新:2010年10月25日 21:13