――西の廃村
ごろつきA「そろそろ来るんじゃないか?」
ごろつきB「そうだな」
唯(りっちゃん……澪ちゃん……)
ごろつきA「それにしても可愛い女だな」
ごろつきB「うへへ、このまま食っちまおうか?」ジリジリ
唯「いや!?」
律「唯!」
澪(うわ……怖そうな人達……)
ごろつきA「お、きたな」
律「唯を返してもらう!」
ごろつきB「金は持って来たんだろうな?」
律「持ってきた!」
ごろつきA「こっちによこせ」
律「ほら!」
ごろつきA「どれどれ」ジャラジャラ
ごろつきB「へへ、上等上等」
律「金は渡したんだ!唯は返してもらうぞ!」
ごろつきA「あ?何言ってんだ?」
律「え?」
ごろつきB「誰も金を渡せば女を返すとは言ってないぜ?」
律「そんな……!」
澪「ひどい……」
ごろつきA「最近人を斬りたくてウズウズしてたんだ」
ごろつきB「ちょっくらお前ら斬られてくれや」シャキーン
澪「ひいい!?」
唯「そんな……」
律「なんで……」
?「そこまでよ!」ババーン
一同「!?」
ごろつきA「誰だ!?」
和「その人達に手を出したら許さないわ!」
憂「お姉ちゃん!」
唯「!」
律「昨日の2人!」
ごろつきA「驚かせやがって!女が増えただけじゃねえか!」
和「それはどうかしら?」スチャ
憂「お姉ちゃんにこんなことして……絶対に許さない!」シャキーン
ごろつきB「おい、刀抜いたぞ」
ごろつきA「どうやらやる気のようだな」
ごろつきA「まとめて斬ってやる!」
カキーン カキーン
ごろつきA「な……!?」
ごろつきB「つ、強い……!」
律「すごい……!」
唯(あの人達……私を助けてくれようとしてる……)
唯(なんだろう……この感じ……)
唯(なんか……)
唯「……!」キーン
唯「あ……」
唯「わ、私……」
和「ふん!」バキーン
ごろつきA「なふ!?」
ごろつきB「お、おい!」
和「安心して、峰打ちよ」
ごろつきB「くっ!」
ごろつきB「憶えてろー!」ダッ
律「あ、逃げた」
憂「ふう……危なかった……」
唯「憂ぃ!」ギュッ
憂「お姉ちゃん!?」
和「唯、今憂って……」
唯「私、全部思い出したよ!」ブイッ
憂「お姉ちゃん!」パアア
澪「唯の記憶が戻った!?」
和「唯……お帰り……」
憂「お姉ちゃん……よかった……」
律「よかったな」
澪「ああ」
――うどん屋
憂「お姉ちゃんを助けにいってくれてありがとうございます」
澪「いや、私達じゃ何もできなかったよ」
律「でもどうして唯が誘拐されたことや、あの場所が分かったんだ?」
和「あら?そこは問題かしら?」
律「あ、いや……」
律(そういうもんなのか……?)
律「あ」
律「そう言えば、唯はどうしてお城を出て行っちゃったんだ?」
憂「私がお姉ちゃんの氷菓子を食べてしまったら、怒って飛び出して行っちゃったんです……」
唯「まったくひどいよ!憂は!」プンプン
律「そ、そうなんだー……」
律(たったそれだけ!?)
澪(唯らしいと言えば唯らしいか……)
和「唯はこれからどうするつもり?」
唯「え?」
和「あなた自身、どういう行動をするかってことよ」
唯「私は……」チラッ
律「……」
律「唯、お前はお城に帰らなきゃだめだぞ」
澪「そうだな」
澪「お城の人達に迷惑かけたんだ」
澪「ちゃんと謝ってこい」
唯「うん……分かった!」
――――
律「唯、元気でやれよ!」
澪「風邪引かないようにな」
唯「りっちゃん……澪ちゃん……」
律「ん?」
唯「うわあ~ん!」ギュッ
澪「唯……」
唯「やっぱり離れたくないよう……」グスッ
律「だあー!泣くな泣くな!」
澪「またいつでも会えるだろ?」
唯「うん……そうだね……」グスッ
律「いつでも遊びにこい!」
唯「うん!」
憂「お姉ちゃん……」
和「唯……いい人達に出会ったわね……」
――後日
紬「ええ!?じゃあ唯ちゃんは平沢家の当主様の娘だったの!?」
梓「私も実は見覚えがあると思ったんです……」
梓「
平沢唯と言えば、三味線の世界では結構有名ですから」
律「じゃあどうして気付かなかったんだ?」
梓「名字まで分かればわかってましたよ」
梓「姿は以前遠巻きに見ただけだったんです」
紬「お父様も見覚えがあるって言ってたわ」
紬「以前演奏会で見たかもって」
澪「じゃあムギも会ったことがあったんじゃないのか?」
紬「私は外出を禁止されていたから……」
澪「あ、そっか……」
律「それでな~、唯から手紙が来てるんだ」
紬「なんて書いてるの?」ワクワク
澪「お城に遊びに来てくれって」
紬「是非行きたいわ!」
梓「私もです!」
律「うし!みんなで行くか!」
――後日 平沢城
唯「……」チラチラ
憂「お姉ちゃん、中に入ってなよ」
唯「だって~、待ちきれないんだもん」
憂「お姉ちゃん昨日から楽しそうだったもんね!」
唯「うん!」
憂「あ、あれじゃない?」
唯「ほんとだ!」
唯「お~い!」
律「おーす!唯!」
澪「久しぶりだな」
紬「お菓子沢山持ってきたわ!」
唯「わーい!」
梓「こんにちは」
唯「あ~ずにゃん!」ギュッ
梓「わ、また急に……」
憂「みなさんこんにちは」
憂「中へどうぞ」
律「よっしゃあ!」
憂「あ、あなたが梓ちゃん?」
梓「え、うん」
憂「お姉ちゃん、いっつも梓ちゃんのこと話してるんだよ」
梓「え!?なんて?」
憂「あずにゃんは可愛いんだよ~とか、猫みたいなんだよ~とか」
梓「うう……」
憂「よろしくね!」
梓「うん!よろしく!」
――――
梓「ところで律先輩」
律「んー?」
梓「ずーっと疑問に思ってることがあるんですけど」
律「なんだー?」
律「お姉さんに聞いてみなさい」
梓「どうして唯先輩からあんなに美味しいダシがとれたんでしょう?」
律「……」
梓「……」
律「……」
梓(あれ?)
律「……梓」
梓「はい」
律「世の中にはな……触れて良い事柄と触れてはいけない事柄があるんだ」
梓「はあ」
律「私達がそれを知るにはまだ幼すぎるんだよ」
梓「律先輩も分からないんですね」
律「さーて、明日の仕込みしなきゃ」
梓「あ、誤魔化した」
第一篇 完
最終更新:2010年10月30日 21:39