――翌日
律「よし、扉に臨時休業の張り紙をしてっと……」ペタペタ
律「よし!完璧!」
澪「臨時休業なんて初めてだな」
律「そうだな」
唯「私もお城の入り口までついてく~」
梓「私もいきます」
律「行くぞ!ムギ!」
紬「うん!」
――城への道
唯「ムギちゃん!」
唯「いー」グイー
紬「いー」グイー
唯「変な顔~」キャッキャ
紬「唯ちゃんも~」キャッキャ
梓「緊張感ないですね……」
澪「なあ、律」
律「どうした?」
澪「あそこに立ってる人って……」
律「どこ?」
澪「ほらあそこ」
律「あー」
律「あの人がどうした……ってお役人さんじゃないか」
唯「りっちゃんどうしたのー?」
律「ほら、あそこに立ってる人」
唯「あー、あの人知ってる」
唯「前お店に来てた人だよね?」
律「そうそう」
紬「あ、あの人……」
律「ムギ知ってるのか?」
澪「そっか、琴吹家の所属の人か」
紬「ええ」
紬「でもね……あの人は仕事のやり方が手荒くて有名なの」
澪「あー、たしかに……」
律「話かけてみるか」
澪「え、なんで?」
律「一応お客さんだしなー、挨拶くらいは」
澪「まあ……そうか」
――――
律「こんにちはー」
さわ子「あら、あなたたち」
さわ子「たしかうどん屋の」
澪「はい」
さわ子「あら、あなたも一緒なのね」
紬「はい♪」
律「こんなとこに立って何してるんですか?」
さわ子「待ち合わせよ」
唯「誰とですか~?」
さわ子「男の人よ」
唯「もしかして彼氏!?」
さわ子「これから彼氏になるかも知れない人よ」
唯「へー!」
さわ子「でもね……もう待ち合わせの時間過ぎてるのにこないの……」
さわ子「恋文も沢山書いて送ったのに……」
梓「沢山ってどのくらいですか?」
さわ子「墨汁で満たした風呂釜が空っぽになったわ」
律(うわあ……)
梓(こわっ!)
律「あのー……」
さわ子「なに?」
律「誠に申し上げにくいんですが……」
さわ子「?」
律「その男の人はもう来ないんじゃないかと……」
さわ子「なんですって!!」クワッ
澪「ひいっ!?」
さわ子「あなた達に何が分かるのよ!」
唯「怒った!?」
さわ子「SATSUGAIするわよ!」シャー
律「に、逃げろー!」
さわ子「二度と来るんじゃねえ!」
――――
唯「はあ……はあ……」
澪「はあ……はあ……」
律「どうやら触れてはいけない人だったみたいだな……」
梓「そうですね……」
律「ふう」
律「気を取り直していくか」
紬「そうね」
律「何も無かった……何も無かったんだ……」
――城の前
律「ついたー」
澪「なんか既に疲れた……」
律「いいか?ムギ」
紬「はい」
律「私達はついては行くけど、ちゃんと自分の口から伝えなきゃだめだぞ?」
紬「うん、大丈夫よ!」
律「よし」
澪「じゃあ行ってくるよ」
唯「ムギちゃん頑張って!」
梓「頑張ってください!」
律「突入ー!」ダダダ
紬「あ、待って~」タタタ
澪「全く……遊びじゃないんだぞ」スタスタ
梓「……」
梓「なんですか?」
唯「私達、暇だね」
梓「暇ですね」
唯「散歩でもしようか~」
梓「そうですね」
――琴吹城
紬「斎藤!斎藤はどこ!?」
家来「お、お譲様!?」
紬「斎藤を呼んで!」
家来「た、只今!」
律「ムギ気合い入ってんなー」
斎藤「お譲様ー!」ドタドタ
斎藤「お譲様!心配しておりましたぞ」
紬「それより、お父様はいるかしら?」
斎藤「は、はい」
紬「今すぐお父様に会うわ」
斎藤「はっ!」
澪「なんか性格変わってるような……」
――町
唯「もう春だねー」
梓「そうですね」
梓「桜も咲いてきましたし」
唯「ねえ、今度みんなでお花見しようよ!」
梓「いいですね!」
梓「私の家の近くに桜が沢山あるところがあるんです」
梓「演奏会が終わったらそこでしましょう」
唯「やったー!」
唯「楽しみがまた増えたね~」
梓「はい!」
「あー!梓ー!」
梓「え?」キョロキョロ
唯「いまあずにゃん呼ばれたよ」
梓「そうみたいですね」
純「おーい!」タタタ
梓「あ、純だ」
純「今日も来てたんだー」
梓「うん」
純「唯先輩こんにちはー」
唯「こんにちは!」
純「なにしてるんですか?」
唯「ちょっと暇だったからあずにゃんと散歩してたんだー」
純「へえ、私も一緒にいいですか?」
唯「いいよー」
梓「純はこの町に住んでるんでしょ?」
純「そうだよ」
唯「じゃあ、純ちゃんがいれば安心だね」
純「任せてください!」
梓「どこかいい場所とかあるの?」
純「うーん、場所より歩き回ってた方がいいことあるよ」
梓「いいこと?」
純「そ、いいこと」
唯「楽しみ~」
――殿の間
紬「失礼します」
律(家来沢山いる……)
澪「……」ドキドキ
紬父「紬よ」
紬「はい」
紬父「勝手に城を飛び出していくとは何事じゃ」
紬「ごめんなさい」
紬父「まあ行き先は大方検討がついておったが」
紬「……」
紬父「うどん屋の者よ」
律「は、はい!」
紬父「紬が迷惑をかけたようじゃな」
律「い、いえ!そんなことないです!」
紬父「そうか、そう言ってもらえると助かるのう」
紬「今日はお父様に結婚の件でお話があります」
紬父「おお、やっとその気になってくれたか?」
紬「いえ、私は結婚をする気はありません」
律(お、言った)
紬父「なんじゃと?」
紬「私はまだ結婚なんてしたくありません!」
紬父「……じゃがな紬」
紬父「お前が相手方の息子と結婚すればお前の将来だって……」
紬「政治の道具にされるなんて私は嫌です!」
澪(ムギ……)
紬父「せ、政治の道具じゃと……!?」
紬「私は今を大切にしたいんです!」
紬「将来も大切だけど……今このみんなといる時間を大切にしたいんです!」
紬「他の人に決められた相手と結婚させられてまた縛られたくはないの!」
紬父「……」
紬「……」
紬父「……それがお前の考えだというのか?」
紬「はい」
紬「お父様が分かってくれるまでお城に戻る気はありません」
紬父「……よろしい」
紬「え?」
紬父「ならば出て行くがよい」
紬「っ!?」
律「……」
澪「……」
紬「……はい
紬「失礼しました」
紬「行きましょう」
律「お、おう」
澪「いいのか?」
紬「ええ」
紬父「……」
――町
唯「ねえ純ちゃん、いいことってなあに?」テクテク
純「そのうち分かりますよ」テクテク
梓「どこに向かってるの?」
純「てきとーだよ」
梓「適当って……」
純「あ、あそこ寄っていこう」
唯「お店?」
梓「そうみたいですね」
純「こんにちはー」
店主「おお、純ちゃん」
店主「そちらはお友達かい?」
純「はい!」
店主「ほれ、これ持って行きな!」
純「ありがとうございます!」
店主「ほれ、お友達も」
梓「あ、ありがとうございます」
唯「草もちだー!」
唯「私大好き!」
店主「そりゃあよかった」
店主「また来な!」
純「はーい!」
唯「いいことって、このことだったんだね~」モグモグ
純「私って意外と顔広いんですよ~」
純「お腹が空いたときはこうやって適当にその辺を散歩するんです」
純「そうするとさっきみたいに」
唯「おお~」
唯「純ちゃんお主も悪よのう」
純「唯先輩こそ」
唯「わっはっはっは!」
梓「でもそれってただずるいだけじゃあ……」
純「え?何?」
梓「なんでもないです」パクパク
町人「おお、純ちゃん!」
純「あ、こんにちはー」
町人「丁度よかった!」
町人「これみんなで食べな!」
純「わ、カステラだ!」
唯「わあ!」
純「ありがとうございます!」
町人「いいってことよ!」
唯「純ちゃんすごいね!」
純「えっへん!」
梓(まあいいか……)
――城の外
律「ムギ、良かったのか?」
紬「うん……」
紬「でもごめんなさい……ちゃんと話を終わらせることができなくって……」
澪「いや、ムギは頑張ったよ」
律「そうだな、よくやったよ」
律「私達は何もできなかったし」
澪「ほんとだな」
紬「ありがとう……りっちゃん、澪ちゃん」
律「そういえば唯と梓はどこいったんだ?」
澪「先に帰ったとか?」
律「じゃあ私達も帰るか」
紬「うん!」
最終更新:2010年10月30日 21:44