――――

律「なあ、ムギ」

紬「なあに?」

律「ちょっと相談があるんだけど……」

紬「相談?」

律「うん、澪のことなんだけど……」

紬「!」

律「なんか最近澪とうまくいってなくて……」

律「さっきのも見ただろ?」

紬「……」

紬「りっちゃんはどうしてだと思うの?」

律「それが知りたいんだよ……」

紬(りっちゃん……)

律「どうしたらいいんだ……」

紬「りっちゃん、私思うの」

律「え?」

紬「澪ちゃんは、りっちゃんに気付いて欲しいんだと思う」

律「気付くって……何を?」

紬「それはりっちゃん自信が考えなくちゃだめよ」

律「私自身で……」

紬「そうよ、何か大切な事を忘れてない?」

律「大切な事……」

紬「うん、私から話すことはこれ以上ないわ」

律「うん……相談にのってくれてありがとう」

律「でもなんでムギはそう思うんだ?」

紬「ふふっ、秘密♪」


――夜

律「みおー?」

律「……」シーン

律「みお?」

律「……」

律「いない……」

律「……なんだよ」

律「……」

律「いーや、もう寝よ」

律「そのうち帰ってくるだろ」


――朝

律「まだ帰ってきてない……」

律「……」

律「唯の時と同じだ……」

律「やっぱり何かあったんじゃ……」

律「……」

律「捜しにいこう」


――平沢城

律「あの、すみません」

家来「何奴」

律「あ、うどん屋の者なんですが……」

家来「おお、存じ上げておりますぞ」

家来「どうされた?」

律「唯は居ますか?」

家来「城内におられます」

家来「どうぞお入りください」

律「ありがとうございます」


――城内

律「唯!」

唯「あ、りっちゃん!」

唯「どうしたの?」

律「澪ここに来てないか?」

唯「澪ちゃん?」

唯「きてないよ~」

律「そうか……」

律(ここだと思ったんだけどな……)

唯「どうしたの~?」

律「いや、なんでもないよ」

唯「?」

律「ごめん、ありがとな」

――――

律「どこにいるんだ……」

律「……」

律「考えられるのは……梓の家……琴吹城……」

律「!」

律「もしかして……!」

律「絶対あそこだ!」

――――

澪「……」

澪(飛び出してきちゃった……)

 ガラガラッ

澪「!?」

律「はあ……はあ……」

澪(律……!)

律「澪……」

律「やっぱりここにいたのか」スタスタ

澪「……何しにきたんだよ」

律「何しにきたって……急にいなくなったりするから……」

律「心配したんだぞ……?」

澪「……」

律「なあ、み……」

澪「律は……」ボソッ

律「え?」

澪「律は……今の生活をどう思ってるの?」

律「どうって……充実してるとは思ってるよ」

律「店だって繁盛してるし」

澪「……私はあんまり楽しくないよ」

律「え?」

澪「うどん屋で成功するっていう律の夢についていくって決めてたけど……」

澪「でもなんか違うよ……こんなの」

律「……」

澪「新しい人を雇ったりしなくても……」

澪「律と2人だけでやっていければよかった……」ジワッ

律「澪……」

澪「私、律が家具を処分したり家を簡単に手放そうとした時……寂しかった」ポロポロ

澪「隙間風が多くても井戸が遠くても、この家が好きだったから……」ポロポロ

澪「辛い時も楽しい時も居たこの家が好きだったから……」ポロポロ

律「……」

律(そういうことだったのか……)

澪「私わがままだね……」グスッ

律「澪……私……」

澪「ごめんね……」

律「……私こそ……ごめん」

澪「律……」

律「今後のこと、もう一度話し合おう」

律「2人だけで……」

澪「……」

澪「……うん!」グスッ




第三篇 完




~結び~

――後日 平沢城

家来「お手紙が届いております」

唯父「ああ、ありがとう」

唯父「誰かな?」ガサガサ

唯父「お、あの子たちからか」

唯父「えーと……」

唯父「え!?」

唯父「……」

唯父「ふむ……」

唯父「まあ、あの子たちがそう決めたのなら仕方ないか」

――――

純「ねえ、梓ー」

梓「何?」

純「うどん屋だったとこの周辺、なんか静かになったと思わない?」

梓「そうだね」

梓「なんか……寂しくなったかな」

純「うん、いつも賑わってたからね」

梓「うん」

純「はあー」

純「日々の楽しみが減っちゃたなあ」

梓「そんな大げさな」

純「大げさじゃないもん」

梓「ふーん」

――――

紬「りっちゃん」

律「お、ムギ」

紬「戻ることにしたのね?」

律「うん、なんか私……一人で急ぎ過ぎてたみたいでさ」

律「ムギの言ってた通り、大切な事を忘れていたよ」

律「ありがとう、ムギ」

紬「ううん、これはりっちゃんが自分でやったことよ」

紬「私はなにもしてないわ」

律「ムギ……」

唯「なに話してるの~?」

紬「あら、唯ちゃん」

紬「あのね」

律「待って、ムギ」

紬「え?」

律「私が話すよ」

唯「なに~?」

律「あのな、実は――」


その後、律と澪は2人だけでうどん屋をやり直し、みんな幸せに暮らしましたとさ

めでたしめでたし



最終更新:2010年10月30日 21:53