さてそれからしばらく日にちがたちました。
今日はお出かけです。
りっちゃんに誘われて街まで遊びにきました。
集まるのはりっちゃん、澪ちゃんと私の三人です。
ムギちゃんはどうしても外せない用事があるらしく、欠席です。
実はもう待ち合わせ時間を5分ほどオーバーしています。
いつもの喫茶店にもうりっちゃんと澪ちゃんは来ていて、二人で並んでジュースなんて飲んでます。
なぜそんなことがわかるかというと、私も店内にいるからです。
変装して、二人に気付かれないように監視しています。
律「遅いなー、唯のやつ」
澪「唯が遅れるのはいつものことだろ」
- 私もそこまで野暮じゃありませんので二人っきりを邪魔するつもりはありません。
憂とあずにゃんのことでわかったことが一つあります。
それは「おもらしのお世話をしてもらうと好きになっちゃう」ということです。
言葉だけ聞くと無茶苦茶なように感じますがこれはあながち間違いじゃないと思います。
考えてもみてください。
おもらしをしてしまった情けない自分。
そんな自分に優しく手を差し延べ、おしっこまで受け入れてくれるのです。
一種の吊橋効果的なものかも知れません。
共に苦難を乗り越えた二人は結ばれる・・・。
ステキな話じゃないですか。
そう。私は二人の恋のキューピッドになろうとしているのです!
もうあの二人は周りから見てもカップルにしかみえません。
ていうかお互いに気があることがバレバレです。
ということで私がきっかけを作ってあげようかな・・・って。
えへへ、やっぱ澪ちゃんだよね。
えい!
澪「んっ・・・」むずっ
律「ん?どした澪ー?」
しょおお・・・
律「!?」
澪「は、ひっ?・・・り、りつ!見ないでくれぇ!」バッ
律「澪、手ぇどけろ!」
バシャア!
律「・・・わりーわりー!ジュースこぼしちゃったなー!風邪引いたらいけないしすぐ着替えなきゃなー!」
澪「りつ・・・」
律「ほら、お勘定してすぐ帰るぞ」
澪「でも・・・唯がまだ」
律「ん」カチカチ
律「そーしん、と」
律「さ、早く行くぞ」
澪「ん・・・」
見ましたか。
あれこそが恋人が出先でもらした時の模範解答です。たぶん。
わざとジュースをこぼし、店内の人間におもらしをごまかす。
そして早急に家に送り、アフターケアまできっと万全でしょう。
『悪い!澪が体調良くないみたいだから、家まで送るわ。だから約束はまた今度!次はムギも梓も誘ってな』
だ、そうです。
なんか・・・悔しいです。
わたしは今までおもらしをさせてきた人、憂、あずにゃん、純ちゃんに、どんな対応をしてきたでしょうか。
憂はわたしの勝手でわたしに依存させて。
あずにゃんはわたしの勝手で恋心をもてあそんで。
純ちゃんなんて、ほとんど犯したようなものです。
- わたしには、わたしのような異常者には、愛がないのではないでしょうか。
りっちゃんと澪ちゃんのような、互いを気遣う愛が。
そう思うと自分がとても矮小な人間に見えて、無敵なように思えた自分の能力さえも、ちっぽけなものだということに気づきました。
唯「なんだ・・・くだらない・・・」
こんな能力・・・、インターネットで他人のえっちな画像を集めたりするのと同じじゃないか。
自分の欲望のために、人の気持ちを無視して、おもらしさせて・・・。
唯「もう、ぜんぶ、どうでもいいや」
頭の中で、何かが切れて、わたしは店を飛び出しました。
店員さんに呼び止められたけど、問答無用でおもらしさせました。
がむしゃらに走っていくとりっちゃんと澪ちゃんが30mほど先に見えます。
りっちゃんがしゃがみこみました。
きっともらしたのでしょう。
ごめん。ごめん、りっちゃん。
力の制御が利かないんだ。
がむしゃらに走って、走って、走り抜けます。
途中すれ違った人はみんなおもらしをしていました。
老若男女問わず、股間を黄色く染めていました。
ごめんなさい。ごめんなさい。
わたしが、こんなくだらない力を持ってるから。
トラック「ブロロン」しょおおお・・・
帰巣本能というやつがわたしにもあるようで、自然と足は我が家へと向かっていたみたいです。
もう少しで家に着く。そしたらいっぱい寝て、全部忘れるんだ。
全部。全部。
和「あら?唯じゃない。どうしたの急いで」
もう少しだったのに。
唯「はぁっ・・・はぁっ・・・和ちゃん・・・」
和ちゃんは何も警戒しないでわたしに近づいてきます。
やめて。こないで。和ちゃんのおもらしする姿だけは、みたくない。
和「えっ・・・」しょおお・・・
見たくなかったのに・・・。
ぷっつーん。
もう一度何かが切れました。
唯「ぅぅううわああぁぁあああぁああぁあああぁっ!!」ガリガリガリガリ!!!
わたしは座り込む和ちゃんを置き去りに逃げました
家に駆け込んですぐに二階へ上がりました
リビングで憂がおかえりといってくれたけど無視しました
憂はおもらしをしました
わたしは泣いていました
もうなにがなんだかわかりませんでした。
唯「うぅ!うあぁあ!!いやぁぁああぁあああぁあああああっ!!!」
狂ったように泣き叫びました
それはそれは近所迷惑だったことでしょう
しかしなぜかわかるのです
町内の人間がいや市内の人間がいや県内の人間がいや日本中の人間がいやいや世界中の人間がおもらしをしてしまったことが
どうしてかわかるのです
わたしはとんでもないことをとんでもない能力をもっていたようです。
わたしはこの呪われた性癖と能力をもって、一生、生きなければならないのでしょうか。
fin.
最終更新:2010年11月01日 00:38