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――ああ、今からどうなるんだろう。

少し手足は振るえ
甘いさくらんぼによって
湧き出た唾液をゴクリと一飲みします。

身体は凄く熱くなっていました

お姉ちゃんは私の言葉に頷くと
さくらんぼに目をやりました。
無造作に一つ摘み口へ。

そして前歯に挟み込み
ニコっと満面の笑顔になります。

本当に眩しいくらいの笑顔です。

息をこらして胸の前で手を握ります。

私の鼓動がますます早くなり
自分では抑えきれないほどです。

お姉ちゃんは少し汗で
額に張り付いた私の髪の毛を掻き分けてくれました。

そして自分の額を私の額にくっつけます。
目の前はお姉ちゃんの顔だけです。
もうお姉ちゃんしか見えません。

お姉ちゃんの吐息が
私の唇にかかるくらいまで近づいています。

後少し――。

私は目を閉じました。
緊張や恐怖心から逃れるためではありません。

――お姉ちゃんを受け入れるために。

視界が失われると足元がおぼつかず
座っていても倒れそうな感覚です。

でも大丈夫。目の前にお姉ちゃんが居るから。
支えてくれるお姉ちゃんが居るから――。

そして、それを皮切りに
お姉ちゃんが私の頬に手を添え



お姉ちゃんと私の唇が一つに重なりました。


唇が触れ合った瞬間
私とお姉ちゃんは身体がビクっと痙攣しました。

子どもの時とは違う、初の体験と感触。
お姉ちゃんの身体も震えています。

私達は暫くそのまま口付けを交わしていました。
お姉ちゃんの鼻息が私の顔に触れます。
くすぐったいけど
どことなく心地いい――そんな感触です。

薄目を開けるとお姉ちゃんは頬を朱くして目は瞑っています。
真剣だけど――かわいいな、そう思える表情でした。

幼き日の遊びとは違い
正真正銘のファーストキス。

――とっても甘かった。

さくらんぼだから甘いのか。
お姉ちゃんの唇だから甘いのか。

私にとって、そんなのどちらでもいいのです。

世界で一番好きな人――愛している人とキスが出来た。

ただ、その事実が私を得も言わぬ幸福感に浸らしてくれます。

再び目を閉じた瞬間に唇をこじ開けられ
異物――さくらんぼが入ります。

そして後からお姉ちゃんの舌が入ってきました。

憂「んっ……」

お姉ちゃんの舌先と私のそれが触れ合います。
先ほどより、一層身体が震えますが
この行為は止まりません。

憂「はっ……おねえひゃ……」

くぐもった声を漏らしつつ私はお姉ちゃんを求めました。

さくらんぼを無視して
ただただお姉ちゃんと舌を絡めるだけになりました。

――練習ってなんだろうね。

暖かくなったさくらんぼが
私の口の中に取り残されています。
それを押し付ける感じでお姉ちゃんの口へ押し込みます。

唯「んっ……ひゃ」

口の隙間から艶かしい声色が漏れ
それがさらに私の情動を掻き立てました。

お姉ちゃんと唇と私の唇が橋となり
行ったり来たりするさくらんぼ。

唾液が、開いた唇の隙間から顎を伝い私達の服へ沁み込みます。

舌が触れ合う感触とさくらんぼの丸い感触が気持ちよくて……。

頭の中が真っ白になり、意識が飛びそうでした。

それから私の身体は弛緩し力が入らなくなりました。

後ろに倒れそうになりますが
頬に添えてたお姉ちゃんの左手が背中に回り支えてくれます。

右手は私の左手と絡み合い、力強く握ってくれました。

お姉ちゃんに支えられている
この心地よさが堪らなく好きです。

後はお姉ちゃんに身を任せ、されるがままになりました。

お姉ちゃんが私の舌の上でヘタを押さえつけています。
ああ、結ぼうとしているのかな。

私もヘタを押さえつけますが

――やっぱりダメだよ。実が付いたままだもん。

憂「おね……はっ……さくらんぼ」

唯「うい……ふぁ」

ぽろりと口から零れるさくらんぼ。

唯「はぁ……はぁ」

憂「お、ねえちゃ……」

お姉ちゃんは、私をそのままゆっくり床に仰向けに寝かせ
私を見詰めながら手探りでコタツ上のさくらんぼを掴みます。

焦る気持ちが先走ったのか、お皿がひっくり返った音がしました。

そして掴んださくらんぼをまた口へ含みました。

三つほど掴んでましたが、二つぽろりとまた床へ落ちます。

憂「あ……さ、んっ」

言葉を発する前にお姉ちゃんの唇で塞がれました。

お姉ちゃんはまた私の頬に手を添えひたすら舌を絡めます。
そんなお姉ちゃんが愛しく、背中に両手を回し強く抱きしめます。

お姉ちゃんがガリっと実を噛んだらしく
先ほどより甘い味が口の中へと広がりました。

唯「お、はぁ……。おいひい?」

憂「あふ……うん…………はぁ」

あれからどれくらい時間が経ったのでしょうか。
口の中のさくらんぼはどちらが飲み込んだらしく
綺麗さっぱり無くなっていました。

それでもただひたすらに口付けをし
舌を絡めるだけになった私達。

リビングには
私達の淫靡とも呼べる音が響き渡るだけでした。

でも、流石に疲れたのか
ゆっくりとお姉ちゃんが顔を上げました。

艶っぽい表情を浮かべ、肩で息をするお姉ちゃん。
唇には私の唇へと通ずる糸が出来ていました。

それを畳む様にまたキスをしてきました。

私は全身が幸福感に包まれましたが
何とも言えない虚無感と脱力感にも包まれました。

実の姉にこんなにも濃厚な口付けをし
欲情とも言える感情までも抱いてしまったからでしょうか。

――でも、またやりたい。

この想いが暫く抜けることはないと思います。

お姉ちゃんは唇を離し、私の頭を優しく撫でてくれました。
そして、唇周辺の唾液を指で拭いてくれました。
ぷるっと唇が揺れた気がします。

憂「お姉ちゃん……」

唯「ういー。さくらんぼ無くなっちゃったね」

ニコニコと、笑顔のお姉ちゃん。
耳元へ顔を近づけ囁きました。

唯「明日も“練習”しようね」

憂「う……ん……」

練習――そう練習です。明日も。きっとその次の日も。

身体をゆっくり起こし、お姉ちゃんを見詰めました。

唯「さあ、ご飯作ろう。手伝うよー、お腹空いちゃった」

うん、お腹空いたね。お姉ちゃんの好きな物作るよ。

そして明日も“さくらんぼ”沢山買ってくるからね。

――本当に明日が楽しみだね、お姉ちゃん。





                          おしまい



最終更新:2010年11月02日 22:47