昼休み

律「おっしゃめしだーっ!」

唯「おっ!元気バクハツだねロりっちゃん!」

律「あったりまえだろー!きょうはいつもの7ばいははらぺこなんだこちとら!」

澪「…今日はお弁当なのか?」

律「おう!かあさんがつくってくれた!へへへ~、たのしみだな~」

紬「わあ、可愛いお弁当箱~♪」

律「…なんかきゅうにいやなよかんがしてきた…」

カパッ

律「あんのじょうだああ!!」

唯「…キャラ弁だね」

律「くそう…やけにニコニコしておべんとうわたすとおもったら…」

紬「まあいいじゃない。お母様もきっと嬉しいのよ、ちっちゃいりっちゃんが来てくれて」

唯「そうだよ!私だってうれしいもん!」

律「そうかぁ?…まあどっちにしたってたべるけどさ」

澪「(うれしい、か…)」

律「ん?みお、どうかしたか?」

澪「え?い、いや、別に…」

紬「…」

唯「はい、それでは手を合わせて!いっただっきまーす!」

律「いただきまーす!」もぐもぐ、もぐもぐ、もぐもぐ

律「ああ~、くやしいけどうまいなあ…はらわたにしみるう…」あむあむ、はぐはぐ

紬「はわわ~」

唯「はうう…やっぱりかあいいねえ…」

律「んああ?ふつうにたべてるだけだぞ?」

唯「でも、ほら、回り見てみてよ~」

律「まわり…?げっ!?」

一同「かわいい…」ポワーン

律「な、なんだおまえら!みるな!みるなっ!」

姫子「り、りっちゃん!私のハンバーグ、食べてみて!」

信代「あっ、じゃあその次は私の玉子焼き食べてよ!」

律「えぇ?いや、ありがたいけど…そんなたべれない…」

澪「…動物園の餌付けショーみたいだな」



放課後

律「あふぅ~…」

紬「ふふっ、お疲れ様~♪」

律「まったくだよ…すきあらばだれかがだきついたりほおずりしたりしてくるしまつ…」

唯「おぉ~、かわいそうなロりっちゃん…!」すりすり

律「つっこむきりょくもないわ…」

紬「ほらほら元気出して~?今日のおやつはりっちゃんの好きなミルクレープよ♪」

律「わーい!おねえちゃんありがとお!」

梓「切り替え早っ!」

澪「……まんま子供だな…」

律「いただきま~す!ん~、おいしぃよぉ~!」にこにこ

唯紬梓「(かわいい…)」キュン!

澪「……」

梓「そういえばさわ子先生のほうはどうなったんですかね…?」

唯「ほえ?さわちゃんがどうかしたの?」

梓「ほら、ご実家にお薬のことを聞いてくれるって言ってたじゃないですか」

澪「でも昨日の今日だからな…大して進展はしてないよ、きっと」

さわ子「一応電話して頼んでおいたわよ?それから例の薬についても調べてくれるように言っておいたわ」

律「まあ、そんなところだよなあ」

唯「でも、私はそんなに焦る必要はないと思うんだよ!ゆっくり歩いてみるのも悪くないと思うよ!」

梓「完全に自分本位からくる理由ですよね、唯先輩」

さわ子「…というか私がいつの間にかさりげなくいることへのリアクションはどうしたのよ!?」

梓「…もうみんな飽きてるんです、その流れ」

さわ子「なっ!?」

紬「先生、ミルクティーでいいですか~?」

さわ子「…ええ……お砂糖たっぷりで…」

梓「まあでも理由はどうあれ唯先輩の言う通りかもしれませんね。お家も学校も受け入れてくれてるわけだし、気ばかり焦ってもしょうがないです!」

澪「まあ、少なくとも受験シーズンくらいまでは、問題はそんなにはないかな…」

唯「満場一致だね!ロりっちゃんはロりっちゃんのままで参りましょう!」

律「みんなひとごとだとおもって…まあ、でも…そうか…そうだよなあ…」

さわ子「ところで軽音部の活動はどうするの?」

唯「あっ!忘れてた!」

さわ子「まったく…文化祭も控えてるんだし、しっかり練習しないと…」

梓「さわ子先生が顧問らしいことを言ってる!?」

さわ子「梓ちゃん、あとで体育館の裏にいらっしゃい?」

紬「あ、そうそう!子供用のドラムセット、見つかったわ!」

律「ほ、ほんと!?」

紬「うん!調べてみたらうちの別荘のほうに1セットだけあったの!明日か明後日にはこっちに届くって!」

律「わあい!おねえちゃんありがとう!」

紬「うふふふふっ♪」

澪「……」

澪「…じゃあ、練習するか」

梓「えっ?」

澪「え、じゃないだろ梓。ドラムがなくても練習くらいいくらでもできるだろ」

梓「それはまあ…そうですけど」

唯「でもそれじゃロりっちゃんが一人ぼっちでかわいそうだよ~」

澪「何がかわいそうなんだ?たまたま楽器がないから練習に参加できないってだけの話じゃないか」

唯「で、でも…」

澪「律をかわいがるのは勝手だけど、けじめはしっかりつけろ、な」

律「ゆい、わたしのことならきにしないでいいよ」

唯「ロりっちゃん…」

律「みおのいうとおりだよ。それにさ、ぶちょうのせいでみんながれんしゅうできないなんてさ、なんか、だめだろ?」

唯「う、うん…わかったよ。練習、がんばるから!見ててね!」

律「おう!」

澪「……」

紬「……」


数時間後

澪「今日はこんなところで切り上げるか」

梓「ふぅ。お疲れ様でした~」

唯「あぅ~、やっぱロりっちゃんのドラムがないとやりづらいね~」

紬「そうね…ドラムセットが早く届けばいいのだけど」

さわ子「それじゃあまた明日ね。遅くならないうちに帰るのよ?」

唯「さよなら~。ふぅ…なんかおなかへっちゃった~!ねえねえ、帰りにアイスでも食べてこーよ!」

梓「そうですね、たまにはいいかもです」

律「わーい!アイスアイス~♪」

紬「ふふふっ、もう落としちゃ駄目よ~?」

律「わ、わかってらいっ!!」

唯「なになに?ロりっちゃんアイス落としたの?」

律「う、うるせえやい!」

梓「あれ?澪先輩?」

澪「あ、ごめん。私、帰るから」

唯「えっ?澪ちゃんもアイス食べてこーよー!」

律「なにかようじでもあるのか?」

澪「あ…いや、別に」

律「じゃあいいじゃんか、ちょっとぐらい!」

澪「…ごめん。ちょっとそういう気分じゃないから。…じゃ、お疲れ様。また明日な」

ガチャッ

唯「ど、どうかしたのかな、澪ちゃん…」

梓「そういえば…今日はちょっと様子がおかしかったです」

唯「はっ!まさか、ロりっちゃんがあんまりに人気者だからやきもちを!?」

律「えっ…」

梓「……ない話ではないですね…」

紬「多分、違うわ」

梓「むぎ先輩。違うって…?」

唯「むぎちゃん、何か心当たりとかあるの?」

紬「…ふふふっ」にこにこ



翌朝

ピンポーン

澪「おはようございます」

律母「あら、澪ちゃんおはよう。りっちゃーん?澪ちゃんが来たわよー?」

律「うーん!ちょっとまっててー!」

律母「早くするのよー?ごめんね、相変わらずずぼらで…」

澪「いえ、慣れてますから。…おばさん。おばさんは…慣れましたか?」

律母「え?…あぁ今のりっちゃんのこと?ええ!何だか毎日新鮮で楽しいわ~!」

澪「…そうですか」

律「おまたせー!おっす、みおー!」

澪「おはよう、律」

律母「じゃ、いってらっしゃい!澪ちゃん、りっちゃんをよろしくね?」

澪「…はい。いってきます」

律「いってきまーっす!!」

澪「………」ざっ、ざっ、ざっ

律「………」とことことこ

澪「………」ざっ、ざっ、ざっ

律「…なあ、みおー!」たたたたっ

澪「ん…?何だ、律?」

律「ちょ、ちょっと、あるくのはやいよ!わたし、こんななんだぞ!?」

澪「あぁ、そっか…ごめん。少しゆっくり歩くよ」

律「うん、よろしく!」

澪「………」ざっ、ざっ、ざっ

律「………」とことことこ

澪「………」ざっ、ざっ、ざっ

律「うぅ…やっぱりはやいじゃんかー!!」

澪「そうか?これでも結構ゆっくりにしてるんだけど…意外と難しいな」

律「…みお!て!てをつなごう!」

澪「手ぇ?な、何でだよ…?」

律「てをつないであるくと、ほちょうをあわせられるんだって!おねえちゃんがいってた!」

澪「……むぎが…」

律「だからさ、て、つないでくれる?」

澪「…うん。いいよ。ほら」スッ

律「わーい!」ぎゅっ

澪「じゃ、行くぞ?」

律「おう!」

律「へへへ~♪」

澪「どうした?うれしそうだな、律」

律「いやさ、みおとてをつないであるくのって、ひさしぶりだな~っておもってさ」

澪「そういえば…そうだな。いつ以来だろう…」

律「ううん…りんかんがっこうのきもだめしのときはおぼえてるなあ」

澪「5年生の時か…」

律「そうそう!みおったら、なにかあるたんびにおびえて、すわりこんじゃってさあ」

澪「そ、それは…まだ子供だったし…」

律「そのたびにわたしがてをひっぱって、たちあがらせてあげたんだぞ?わたしがいなかったらいまごろみおはまだはやしのなかですわってるぞ?」

澪「はいはい…その節はお世話になりました」

律「へへへ~。ま、いまはみおにひっぱってもらってるけどな」

澪「…だな」



唯「おっはよーう!」ぎゅぎゅう~

律「せ、せめてあいさつするよゆうぐらいはあたえてくれ…」

紬「おはよう~」

澪「おはよう唯、むぎ」

唯「澪ちゃんもおはやう~」すりすりすり

律「いいかげんはなせゆい~!」

唯「んもう、水臭いんだから!私のこともお姉ちゃんと呼んでくれていいのに~というか呼びなさ~い!」ずりずり

律「は、はなして、ゆいおねえちゃん…」

唯「うはあ~!かわいい!かあいいよぉ~!」むぎゅぎゅぎゅ

律「は、はかられたぁ…」

紬「ふふふっ、唯ちゃん、そろそろ死んじゃうから離したほうがいいわ~♪」

澪「……」

紬「あ、そうそう!ドラムセットだけど、今日のお昼ごろにはうちに届くらしいの~♪」

律「ほんとか!?」

紬「うん!だから斉藤に、放課後に学校まで持ってくるように言っておいたわ♪」

律「よっしゃー!これでまたドラムがたたけるぜー!ありがとう、おねえちゃん!」

紬「うふふふふっ、どういたしまして~♪」

唯「よかったね、ロりっちゃん!じゃあお礼として私をまたお姉ちゃんと呼びなさい!」すりすり

律「おまえはなにもしてないだろうが!そ、それにおまえにはういちゃんがいるだろっ!?」

唯「う~ん…それがさ、なんか憂ってば最近調子悪いみたいなんだよね…どうしたんだろ」


そのころ2年1組では

憂「あッ…お、お姉ちゃん…そ、そんなところまで…洗わなくても…あんっ!」ビクンビクン

純「…寝言?」

梓「ずっとこの調子だよ…」



放課後

紬「はい。ええ、わかったわ。取りに行くわね」ピッ

律「とどいたのか!?ドラム!」

紬「うん!運ぶからみんなも手伝ってね?子供用だからそんなに重くはないと思うわ」

唯「おう!了解しました!」

梓「澪先輩、行きましょう?」

澪「ああ、そうだな」


律「さいとうさーん!!」たたたたっ

斉藤「こ、これは律お嬢様…!お、お久しぶりにございます!」ドキン!

紬「品物は?」

斉藤「は、こちらにございます。ただ今お運びいたしますので…」

紬「ううん、ここでいいわ。あとは私たちが持っていくから」

斉藤「は。しかし…」

紬「いいのよ。それに部外者が校内に立ち入るとまずいから。ご苦労様、もう戻って結構よ」

斉藤「…わかりました。それでは…」しょぼん


……

律「うんしょ!うんしょ!」にこにこ

梓「うれしそうですね、律先輩」

唯「わっしょい!わっしょい!」にこにこ

澪「御輿か?」

紬「うふふふ~♪到着~!」

律「よーし!セットしようぜー!」


梓「こんな感じですかね」

唯「このドラムもかわいいねえ~」

律「うっしゃあ!さっそくたたくぜ!」

紬「どうぞ~♪」パチパチパチ

律「えっと、イスのたかさは…こんなもんかな?」

唯「ますますもってかわいいねえ~」

梓「唯先輩さすがにちょっとうざいです」

唯「おんやあ?最近私がロりっちゃんにばっか構うから…やきもちですかな?」

梓「馬鹿も休み休み言えです」

唯「おぉぅ…」

律「よっしゃいくぜー!!わん、つー、すりー!」

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

澪「うん、やっぱり律のドラムだな…」

律「うおりゃあ~!」

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

唯「なんだかテレビとかのちびっこ天才ドラマーみたいだね!かわいいなあ~」

梓「(確かにかわいい…)」

紬「(かわいい…けど…)」

紬梓さわ子「(何となくムカつくのはなぜだろう…?)」


シャーン!!ダダダン!

律「はふぅー!おわったぁー!」

紬「ふふっ。どうだった?久しぶりのドラムは?」

律「つ、つかれた……でも…すごくきもちよかった…」

梓「思ったより全然大丈夫でしたね!ドラムの腕は落ちてないです!」

律「でも…いままでよりだいぶつかれるなあ…」

紬「それじゃあお茶にしましょうか♪」

澪「その前に一回合わせないか?」

紬「うぅん…でもりっちゃんの体力的にどうかしら?…できそう?」

律「おう!まかせとけ!わたしもあわせたい!」

紬「うん、じゃあお茶は練習が終わってからね!」

梓「頑張りましょうね!」

さわ子「じゃあ私は先にいただくわね…」

澪「駄目です!」

さわ子「ぶーっ!」


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最終更新:2010年11月06日 03:36