律「もしかして、唯ってレズなのか?」

梓「えっ!」

唯「そうじゃなくて……」

律「ん?」

唯「わー!」

ダーッ

梓「なんだったんですかね?」

律「さあ?」

紬「澪ちゃん……」

澪「ぐすっ……うぅ……」

紬「あれは、唯ちゃんの聞き方がちょっと悪かっただけよ!」

澪「律……律……」


澪「…………」

唯「今澪ちゃんが見ていたのは、全部夢だよ!りっちゃんは女の子同士もOKだよ!多分!」

澪「いいんだ……。私と律は、付き合えないんだ……」

紬「まだ決まったわけじゃないわ!」

唯「そうだよ!」

澪「だって……おかしいって……」

紬「きっと、りっちゃんは冗談だと思って……」

澪「無理だったんだ……最初から……」

紬「…………」

唯「諦めたら、そこでおしまいだよ……?」

澪「え……?」

唯「りっちゃんは、澪ちゃんとは昔からずーっと友達なんでしょ?」

澪「うん……」

唯「澪ちゃんとはちょっと意味が違うかもしれないけど、
  りっちゃんも澪ちゃんのことが絶対に好きだよ」

澪「だけど……」

唯「可能性がなくなったわけじゃないんだから、諦めちゃだめ!」

紬「そうよ……!」

唯「りっちゃんに、告白しよう?」

澪「唯……」

紬「澪ちゃんなら、きっと上手くいくはず!」

澪「ムギ……」

唯「最後にもう一回、頑張ってみようよ!」

澪「……わかった。でも、心の準備が……」

紬「それじゃあ、月曜日に告白するのを目標にしましょう?」

唯「澪ちゃん、できるよね?」

澪「あと一ヶ月くらい準備したい……」

唯「できるよね!」

澪「が、頑張る……」

唯「あーずーにゃん!」

ガバッ

梓「もうっ、唯先輩やめてください!」

唯「あずにゃんは柔らかいねー」

律「唯は相変わらずだなあ」

唯「あずにゃん、むちゅー!」

梓「やめてください!」

紬「あらあら、まあまあ……」

律「で、澪はさっきから黙ってどうしたんだ?」

澪「えっ、私!?」

律「さっきからずーっとうつむいてるし、具合でも悪いのか?」

澪「ううん……」

律「おーい、私の目を見ろー!」

ぐい

澪「……っ!」

ぽわわーん

律「おい、顔真っ赤じゃないか」

澪「な、なんでもないよ……」

律「熱でもあるんじゃないか?……」

澪「ないない!」

律「デコ出せデコ」

ぴと

澪「あっ……」

律「うーん、よくわからん。熱いようなそうでもないような……って、澪?」

澪「…………」

紬「澪ちゃん、気絶してるみたい……」

律「ええ!?おい、大丈夫か?」

澪「ん……」

律「お。目、覚めたか?」

澪「律……?」

律「びっくりしたぜー。突然気絶するんだからな」

澪「気絶って……あ……」

律「やっぱり、具合悪かったんじゃないか」

澪「みんなは……?」

律「もう帰ったぞ」

澪「そっか……」

律「私たちも帰るか」

澪「……うん」

律「ここ最近、澪の様子がおかしいと思ってたけど、なにかあったのか?」

澪「別に……」

律「本当か?」

澪「ほ、本当だ!」

律「な、なんだよ大声出して……」

澪「ごめん……」

律「……無理するなよ」

澪「ありがと……」


月曜日

唯「いよいよ今日だね……」

紬「澪ちゃん、できそう?」

澪「ダメかもしれない……」

唯「でも、今更やめるのはなしだからね!当たって砕けろだよ!」

紬「砕けなければいいけど……」

唯「頑張ってね、澪ちゃん」

澪「……もし断られたら、軽音部やめてもいいかな」

紬「どうして?」

澪「だって振られたら、律と一緒にいるの、辛いだろうし……」

唯「そんなこと失敗してから考えればいいんだよ!今は成功することだけ考えて!」

澪「うう……」

唯「そろそろ、りっちゃん来るかな……。澪ちゃん、ファイトだよ!」

紬「きっと、大丈夫だから!」

澪「うん……。よし……!」

律「お、いたいた。澪ー!」

澪「律……」

律「なんだよ、話って」

澪「律……私……」

律「なんだ?」

澪「私、律のこと……きなんだ……」

律「なんて?」

澪「私……律が好きだ!」

律「えっ……」

澪「その……付き合って……ほしいな……」

律「えっと……それってどういう……」

澪「あの……」

律「み、澪……?」

澪「……やっぱり、私とは付き合えないよな……。そうだよな……ごめん……」

律「私は……」

律「澪と付き合っても……いいよ」

澪「えっ……」

律「だから、付き合ってやるって言ってるんだよ」

澪「律……ありがとう。すごく嬉しい……」

律「私も嬉しいよ。まさかそんなふうに見られてたとは思ってなかったけどな」

澪「びっくりした……?」

律「そりゃ、びっくりしない方がおかしいって」

澪「でも、私なんかでいいのかな。律は女同士はおかしいって言ってたし」

律「あれ、聞いてたのか?」

澪「聞いてた……」

律「そうか……」

澪「…………」

律「いやあ、あの時は唯の様子が変だったからつい……」

澪「そっか……」

律「だけど澪が告白なんて、相当勇気がいったんじゃないか?」

澪「うん……」

律「だよなあ。告白してくれて、ありがとな」

澪「うん」

律「へへ……」

澪「律」

律「なんだ?」

澪「不束者だけど、よろしく……」

律「こちらこそ、よろしく」



数日後

律「おーい、澪ー!」

澪「遅いぞ律」

律「ごめんごめん。お詫びにはい、クレープ」

澪「あっ、ありがと」

律「食べさせてやるよ。あーん」

澪「あーん……」

律「どうだ?美味いか?」

澪「美味しい……」

律「よかった。あ、そうだ。ボート乗ろうぜ!」

ギーコギーコ

澪「なあ、律」

律「ん?」

澪「私たち、恋人同士だよな……?」

律「だから二人でデートしに来たんじゃないか」

澪「ならさ、その、キス……」

律「キスしたいのか?」

澪「うん……」

律「いいぜー。ほーら、澪ちゃん。ぶちゅー」

澪「……そんなのじゃやだ」

律「えっ?」

澪「ファーストキスなんだぞ。もっと雰囲気が……」

律「ほーう、澪ちゃんはファーストキスでござりますかー」

澪「律は、初めてじゃないのか……?」

律「へっへっへ」

澪「そんな……」

律「な、なんで泣きそうな顔するんだよ!初めてだよ!初めて!」

澪「本当に……?」

律「ほんとだよ」

澪「じゃあ、早くキス……」

律「わかった。……澪、大好きだぞ」

澪「わ、私も……ん……」

律「んぅ……ぷはあ」

澪「ふう……」

律「な、なんか照れくさいな!はは、ははは……」

澪「律……」

律「なんだ?」

澪「私たちは、これからもずっと一緒だからな」

律「うん」

澪「ずーっとだからな!死ぬまで一緒だぞ!」

律「分かってるって」

澪「絶対幸せにしろよ!絶対だぞ!」

律「努力するよ」




最終更新:2010年11月07日 04:18