和「あら、唯どうしたの?」

紬「はぁ……」キラキラ

澪「ふぅ……」ムニュムニュ

梓「へへ……」スリスリ

和「そうだ、唯」

唯「なぁに、和ちゃん?」

和「私にケーキを食べさせてくれるんじゃなかった?」

唯「あっ、そうだった!」

和「まったく、自分で言った事を忘れないでよ」

唯「えへへっ、ごめんね~」

和「じゃあ、唯、お願い」

唯「う、うん……」

和「今度はどうしたの?」

唯「あ、ごめ、何でも」

和「イチゴを食べたいんでしょ」

唯「ギクッ!」

和「別にいいわよ、自分で食べても。唯がイチゴ好きなのは知ってるから」

唯「で、でも」

和「……その代わり、もっと美味しそうなものがあるじゃない」

唯「ほぇ? 和ちゃん、何を言って」

グイッ

唯「って、わっ、引っ張ら」

チュッ

唯「んっ!」

ハムッハムッ

唯「~~~!?」

澪(唯の唇を、強引に奪った!?)

梓(あえて舌を入れず、唯先輩の唇を甘噛みしてる!?)

紬(私の上で、いったい何が起こっているの!?)

プハッ

唯「……」ポケ-ッ

和「美味しかったわ。ごちそうさま、唯」

唯「えっ、あっ、うん」

和「……そのイチゴ、食べていいのよ?」

唯「う、うん」

和「自分で食べられないなら」スッ

唯「あっ、イチゴ」

梓「唯先輩の唇も、唯先輩のイチゴも、両方食べちゃうなんて。和先輩……」

和「私が唯に食べさせてあげようか」クスッ

唯「へぇっ?」

梓「いや、私の想像を遥かに超えていた!」

和「ほら、唯、このイチゴを食べたいんでしょ?」

唯「う、うん」

和「じゃあ、口を大きく開いて」

唯「あ~ん」

和「……全然ダメね」

唯「えっ?」

和「もっと、このイチゴが本当に欲しい! って態度を見せてくれないと。食べさせてあげる気にならないわ」

唯「そんな……。和ちゃん、私にそのイチゴ、食べさせてよぅ」ウルッ

和「さっきより随分いいじゃない。じゃあ口を開けて」

唯「あ~~~ん。いひほ、ちょうらい……」

和「さらに舌を出して上目遣いになれば完璧ね」

唯「はぁひ……」ペロッ

和「うん、よく出来たわね。ご褒美よ」ポイッ

唯「はぐっ」

梓「あっ、最後は意外とアッサリなんですね」

澪「唯の口の中に、軽く投げ入れたな」

唯「……」モグモグ

梓「唯先輩の表情も、ちょっと物足りない感じですね」

律「……おかしーし」

澪「あれ、律、どうした?」

律「こんなのやっぱ、おかしーし!」

和「……律?」

律「もう何なんだよ、みんな和が来た途端に、目の色を変えて群がっちゃってさ!」

和「どうしたのよ、いきなり」

律「和もいけないんだ。みんなの相手をしてやるから、みんな甘えちゃうんだろ!」

和「そうなのかしら?」

律「そりゃ、みんな可愛いもんな。澪も、梓も、ムギも、唯も、そりゃ可愛いがってやりたくなるだろうさ!」

和「……ねえ、律。ちょっと落ち着いて、私の話を聞いてくれない?」

律「何だよ、私は冷静だぞ!」

和「律、あなたも可愛いじゃない」

律「……出たよ、適当なホメ言葉。可愛いって言っておけば喜ぶと思ったら大間違いだ!」

和「適当じゃないわ。だって前髪を下ろした律は、とても女の子らしくて可愛いもの」

律「ま、前髪!?」

紬「そう言えば、りっちゃんがヘアバンドを外した姿を見たことがないわ」

澪「高校に入ってからは、めったにヘアバンドを外さないもんな」

梓「なんで和先輩は、前髪を下ろした律先輩について知ってるんですか……」

和「ふふっ。私は何でもお見通しなの」

律「あんなの、それこそ、おかしーし」

和「おかしくないわ、可愛くて素敵よ」

律「……」カァッ

和「……唯、律の前髪を下ろしてあげて。櫛くらい持ってるでしょ?」

唯「えっ、私?」

和「唯しかいないでしょ。ムギは椅子だし、澪は背もたれだし、梓は猫なんだから」

唯「……わかったよ。じゃあ、りっちゃん、観念しろ!」

律「バカ、やめろって!」

唯「抵抗してもムダだ!」

和「……ほら、やっぱりね」

唯「本当だ、かわいい!」

梓「別人みたいですね」

澪「なんか、前に見た時よりずっと大人っぽくなってる」

律「……うぅ、恥ずかしい」

和「恥ずかしがる必要なんて無いじゃない。女の子らしくすれば、律はとても可愛いのよ」

紬(私も見たいのに、角度的に見えないわ)グスン

和「ねえ、律。もっと近くに来て」

律「……ほい」

和「もっと、もっと近くよ」

律「なんでだよ、十分近いだろ」

和「レンズ越しじゃなくて、直接、律の顔を見たいのよ」スチャ

律「あっ、眼鏡……」ドキッ

和「だから、もっと近付いてくれる?」

律「う、うん……」

紬(また私、決定的瞬間を見逃してる!?)

和「うん、やっぱり可愛い」

唯「そんな至近距離で『可愛い』なんて言われたら、誰だって和ちゃんのこと好きになっちゃうよ!」

和「あら、律、そうなの?」

律「うへっ、そんなこと……。だから近いって!」カァッ

和「ごめんなさい、近視が酷いの」

澪「それにしても近すぎる気が……」

和「律があまりにも可愛いから、髪を撫でてあげたいわね」

律「はぁ!?」

和「だけど、ひとつ問題があるの。残念なことに」

律「問題って、何だよ」

和「さっき唯にイチゴをあげた時、指が汚れちゃったの。髪に生クリームが付くのは嫌でしょ?」

律「そりゃ確かに嫌だな……」

梓「あれ、いつの間にか、律先輩の髪を撫でることが確定事項になってる?」

唯「これが和ちゃんの力なんだよ。幼稚園の頃から、いつも気が付けば和ちゃんのペースに……」

律「……それで?」

和「えっ?」

律「私にどうしろって言うんだよ」

和「別に何かを強制している訳じゃないわ。ただ、このままだと律の髪を撫でられないから残念だ、ってだけよ」

律「……わかったよ」

和「あら、どうしたの?」

律「私が綺麗にすればいいんだろ、和の指を!」

和「ありがとう。それで、どうやって綺麗にしてくれるの?」

律「だぁー、もう、少し黙っててくれ!」

パクッ

和「あら」

ペロペロ

和「……ふふっ。ありがとう、律」


和「ところでムギ、結構な時間が経つけど大丈夫なの?」

紬「はい、大丈夫です。24時間、ずっと座っていても平気ですから!」

和「さすがに夜は椅子の上じゃなくて、布団の中で眠りたいわね」

紬「その時は、人間椅子が人間布団になります!」

和「頼もしいわね、さすが。……澪は大丈夫?」

澪「あぁ、もっと寄りかかってくれてもいいんだぞ?」

和「じゃあ頭の高さを調整して……」ポフッ

澪「わわっ」

和「思った通り、澪の胸を枕にすると気持ちいいわね」

澪「そ、それなら、夜眠る時にも……」

和「澪が枕で、ムギが布団か。ふふっ、悪くないわね」

梓「わ、私だって!」

和「あら、梓も一緒に寝てくれるの?」ナデナデ

梓「ふにゃあ、だって私は和先輩の猫ですから」スリスリ

和「じゃあ律は、私の何になるのかしらね」

律「……」ペロペロ

和「一心不乱、って感じね。私の話、もしかしたら聞こえてないのかも」

唯「むぅ~」

和「……そうだ、唯。残りのケーキを食べさせてよ。また両手が塞がっちゃったから」

唯「あっ、うん。和ちゃん、あ~んして!」

和「あ~ん」パクッ

唯「えへへ~」


~~~

和「……という夢を見たの」クスッ

憂「ふ~ん」ブスッ

和「あら、どうしたの?」

憂「和ちゃんは、ハーレムを作りたいんだね」ブスッ

和「そういう願望があるのかもしれないわね、夢に出るくらいだし」

憂「あっ、そう!」

和「ふふっ、冗談よ。憂がいれば、それで私は満足よ」

憂「……本当?」

和「今度は冗談じゃないわ」

憂「えへへっ、和ちゃん大好き!」ギュッ



……という和憂のお話だったとさ

おわり



最終更新:2011年10月18日 13:00