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律「さあ、ムギお嬢様 どうぞお上がりください」スッ

紬「りっちゃん紳士ね~ お邪魔しま~す」

律「ただいまー!…って、あれ」

紬「誰もいないのかしら?」

律「あちゃー…そういえば今日は親が
 親戚の結婚式に行ってて帰ってこないんだった…」

紬「弟さんは?」

律「んー、あいつも泊まりみたいだな 書き置きあるし」

紬「そ、それじゃあわたしとりっちゃん二人きり…」

律「そうだなー 今夜は寝かさないぜー?うひひ」

紬「きゃー!りっちゃんに襲われるー!」

律「よいではないかーよいではないかー!」

紬(本当に襲ってくれないかな…)

律「あ!親がいないってことはご飯もないってことじゃん…
 どっかで買ってくれば良かったな~」

紬「あ、そうね~…どうする~?」

律「よし!田井中シェフが何か振る舞ってあげよう!」

紬「え?りっちゃん料理できたの~?」

律「ああ!お茶の子さいさいよ!えーと…」ガサゴソ

紬「うふふ、何を作ってくれるのかしら~?」

律「…ごめん、ムギ
 インスタントラーメンしかなかった…」

紬「インスタントラーメン?」

律「…そっか、ムギ、即席物とか食べたことないよな…」

紬「うん!食べてみたい!りっちゃん、作って!」

律「え?…いいのか?こんなので」

紬「大丈夫よ!わたしラーメン好きだし!」

律「んー…そっか…まあ、一度くらい食べてみてもいいかもな!
 よっしゃ!ムギ、待ってろ!」

紬「は~い…楽しみね~」

律「できた!」

紬「ええっ?!もう?!」

律「おう!インスタントラーメンは速さが売りだからな!」

紬「すご~い…それじゃあ食べましょう!」

律紬「いっただっきまーっす」

紬「」ズルズル

律「」ジー

紬「…っ!」

律「…ど、どう?」

紬「…っ美味しい~!こんなに美味しいのにあんなに早く出来ちゃうの?!
 りっちゃん魔法使いみたいね~!」

律「は~…良かった~…
 一応、少しアレンジしてるからな!ちょっとは自信あったんだ!」

紬「お家に帰ったら斎藤に頼んで買ってきてもらわなきゃ!」

律(ムギなら50袋は買いそうだな…)

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律「ふー、食った食った」

紬「本当美味しかった~、また食べさせて!」

律「お、おう!こんなもので良ければいつでもいいぜ!」

紬「わ~い 楽しみ~」

律「あ…食べる前にお風呂沸かせば良かったな…
 銭湯は…ダメだよな…」

紬「せんとう?」

律「簡単に言えばちっちゃい温泉、みたいな所だよ
 まあ、でも、さすがに銭湯はアレだから、今からでもお風呂沸かすか…」

紬「」キラキラ

律「む、ムギ?」

紬「行きたい!りっちゃん、わたし銭湯行ってみたい!温泉大好きだし!」

律「え…でもいっちゃ悪いけど、キレイではないし、狭いし…
 たぶんムギが想像してるのとはかなり違うと…」

紬「大丈夫よ!さあ、行きましょう!」

律「あ、ああ…まあ、ムギがいいなら…
 それじゃあ、準備して行こうか」

紬(裸!裸!裸!!!)

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律「ついたぞー」

紬「ここが…銭湯…」ドキドキ

律「靴は靴箱なー 入れたら戸を閉めて鍵を抜くんだ」

紬「鍵って…この木の板?」

律「そうそう、帰りはそれを差し込んで開けるんだよ」

紬「すごい!古風ね!重要文化財かなにか?!」

律「いや、銭湯の鍵は大抵そういうもんだよ………たぶん」

紬「へ~すごいわね~古き良き日本って感じね~」

律「入るときにここでお金を払って」

紬「ふんふん」

律「こっちの赤いのれんをくぐると脱衣場だ」

紬(ああ…ついに今、楽園の扉が開かれるのね…)

紬「わくわく」

律「」ガラガラ

紬「………」

紬(おばあちゃんばっかり…)

律「これがロッカーだから、適当に選んで…よし、着替えるか」ヌギヌギ

紬「は~い」ヌギヌギ

律「あ、これムギの分のタオルなー」

紬「りっちゃんありがと~」

律「着替え終わったら鍵をかけて、
 なくさないように鍵のゴムを手首につけておくんだ」

紬「は~い」

律「たまに足首につけてる人がいるけど、
 あれは『他人と違う俺カコイイ』って奴らだからなー
 真似するんじゃないぞー」

紬「え?え、ええ…わかったわ~」

律「よーし、じゃあ入ろー!」

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律「はー、いい湯だったー」

紬「銭湯、楽しかったわ~ おばあちゃんたちとも仲良くなれたし~」

律「話好きのおばあちゃんって多いからなー」

紬「あと、お風呂あがりの牛乳!美味しかったわ~」

律「普通のも美味しいけど、コーヒー牛乳とかフルーツ牛乳ってのもあるんだぜ!
 たまに飲むと美味しいんだよなー」

紬「え?!そんなのもあるの?!飲みたい飲みたい!」

律「はは、今度また来る機会があったらな」

紬「それにしても、お風呂あがりにこうやって
 夜風にあたりながら帰るのも涼しくて気持ちいいわね~」

律「だろー?これが銭湯の醍醐味だからな!
 でも、気をつけないと湯冷めしちゃうからなー」

紬「せっかく体があったまったのに冷めちゃったらもったいないわね~」

律「そうそう って話してるうちに着いちゃったぜー」

紬「ふふっ、入りましょうか~」

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律「銭湯のあとは!」

紬「銭湯のあとは?」

律「さっさと布団に入るのが一番!」

紬「そ、そうなの…?」

律「そうだ!体があったかいうちに!さあ!」

紬「わ…わかったわ!りっちゃん!」

律「あー…すまん、ムギ
 今お客さん用の布団、クリーニングに出してるみたいで無いんだよねー
 ちょっと狭いけど、二人でベッドでいいか?」

紬「え?!…も、もちろんよりっちゃん!喜んで!」

律「さ、こっちこいよ ムギ」

紬「律さん…」

律「ほら、腕枕してやるから…」

紬「まあ…嬉しいわ…」

律「俺の腕の中でゆっくりおやすみ、ハニー」

紬「ふふふ…」

律「くくく…」

紬「ふふっ…りっちゃん、おやすみ」

律「ああ、おやすみ」

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紬「りっちゃん、昨日はありがとね~」

律「いいってことよ!」

澪「ムギ、ちゃんと寝れたか?律のいびきひどいだろ?」

律「みーお!そんなことないぞ!」

紬「少しね~、でも大丈夫だったわよ~」

律「ムギもそこは全否定しろよー!」

唯「さあ!」

梓「?唯先輩、どうしたんですか?」

唯「さあさあ!」

唯「やっとわたしの出番だよ!」

紬「うふふ~、よろしくね~」

澪「唯はずっと楽しみにしてたもんな」

唯「そうだよ!待ちに待ってたよ!
 しかも明日は土曜日だよ!ゆっくりできるよ、ムギちゃん!」

紬「あら~、ゆっくりしていっていいの~?」

唯「もちろんだよ!むしろ連泊でも構わないよ!」

梓「唯先輩、本当に嬉しそうですね」

唯「えへへ」

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唯「ほらほら!入った入った!」

紬「ふふっ、お邪魔しま~す」

憂「おかえり~…あ、ムギさん!いらっしゃい」

紬「憂ちゃん、いきなりごめんね~?1日お世話になります」

憂「いえいえ~、賑やかなのは大歓迎ですよ!
 ねっ、おねえちゃん!」

唯「そうだよ、ムギちゃん!」

紬「そう言ってくれると嬉しいわ~」

唯「えへへ~、とりあえず荷物を部屋に置いてこよっか~」

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憂「おねえちゃーん、ご飯できたよー」

唯「はーい!ムギちゃん、行こっか~」

紬「ええ!」

唯「いい匂い~」トントン

紬「そうね~、美味しそうな匂い~」トントン

憂「あ、どうぞ座って座ってー」

唯「うひゃー!うい、頑張ったね~」

紬「憂ちゃん、こんなに手の込んだお料理…大変じゃなかった~?」

憂「いえいえ、お料理するのは大好きなので…むしろ楽しいですよ!」

唯「ねー、早く食べよーよ!
 お腹が悲鳴をあげてるし!」グー

憂「ふふっ、はいはい どうぞ召し上がってください」

唯紬「いただきまーす!」

紬「…うわぁ、美味しいわ~!
 憂ちゃんのお料理、うちのシェフより美味しいかも!」

憂「ムギさん、それはほめすぎですよ~」

紬「お世辞じゃないわ~
 毎日こんなお料理が食べられる唯ちゃんが羨ましいわよ~」

唯「えへへ~、ういは自慢の妹だからね!」

憂「ありがとうございます、ムギさん、おねえちゃん
 たくさんあるので遠慮せずに食べてくださいね~」

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唯「ふえ~…お腹きつい…」

紬「ついつい食べすぎちゃったわね~…」

唯「うん~…ムギちゃん、美味しかった~?」

紬「ええ、とっても!」

唯「よかった~」

憂「おねえちゃーん、お風呂いいよー」

唯「お、お風呂だって!ムギちゃん!一緒に入ろうよ~」

紬「え、ええ!入りましょう!」

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唯「う~~~」

紬「は~~~」

憂『おねえちゃん、お湯加減どう~?』

唯「ばっちりだよ、うい~
 ういも一緒に入る~?」

憂『い、いや、いいよ!二人きりでごゆっくりと~』

唯「んも~、ほんと恥ずかしがり屋さんなんだから~」

紬「うふふ、そうね~」

唯「ねーねー、ムギちゃん」

紬「なあに?」

唯「えい!」フニッ

紬「きゃ!…も~唯ちゃんたら~」

唯「えへへ~、やわらか~い いいな~」モミモミ

紬「ふふっ、やわらかさには自信あるのよね~」

唯「ほんと、マシュマロみたいだよ~…肌も白いし…」モミモミ

紬「や…唯ちゃん…も、もう終わり!」

唯「え~せっかくのわたしのふわふわタイムが~…」

紬「これ以上されたらわたし、本気になっちゃうもの~」

唯「本気?」

紬「うふふ、なんでもないわ」

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唯「ふ~いい湯だったぞよ」

憂「よかった~ はい、おねえちゃん
 ムギさんもどうぞ~」

紬「ありがとう、憂ちゃん」

唯「はぁ~おいひ~
 この一本のアイスのために生きていると思えるほどだよ~」ペロペロ

紬「たりらりらーりーらーりーらー♪」

憂「?」

唯「スルーしていいよ、うい」ペロペロ

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唯「ふわぁ…」

紬「唯ちゃん、眠いの?」

唯「うん~…せっかく明日休みなのに、もう眠くなっちゃった~」

紬「じゃあ寝ましょうか~」

唯「え~、もう~?」

紬「眠いんでしょ~?」

唯「まあ、そうだけど…
 ムギちゃん、明日ゆっくりしていってくれる?」

紬「唯ちゃんが大丈夫なら構わないわよ~」

唯「ほんとっ?じゃあ寝よ~」

紬「ふふっ、そうね~」

唯「ほらっ、ムギちゃん」ポンポン

紬「うふふ、お邪魔しま~す」

唯「えへへ」ギュ

紬「おやすみなさい」ギュ

唯「ムギちゃん、おやすみ~…」

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唯「」スースー

紬(ふふっ…唯ちゃんの寝顔、可愛い~)

唯「」スースー

紬「………」ナデナデ

唯「…んふ…」スースー

紬(…おやすみ、唯ちゃん)

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 「いただきまーす!」

唯「ムギちゃん、昨日は寝れた~?」

紬「大丈夫よ~ 唯ちゃんはすぐ寝ちゃったわね~」

憂「おねえちゃん、寝つきいいもんね~」

唯「おかげで朝からすっきりだよ!
 なんか、ムギちゃんの隣は寝心地良くてさぁ~」

憂「そっか~、おねえちゃん、良いな~」

紬「………」

唯「ムギちゃん 今日は何時まで大丈夫なの~?」

紬「…ねえ、唯ちゃん」

唯「ん?なあに~?」

紬「今日はわたし、お昼前には家に帰るわ」

唯「ど、どうかしたの?ムギちゃん?!
 ゆっくりしていってくれるって言ってたのに…!」

紬「大丈夫、泊まる準備したら戻ってくるから~」

唯「え…どういうこと?」

紬「わたし、今日は憂ちゃんの家に泊まるの!」



END



最終更新:2010年11月09日 21:02