律「キス、していいか・・・?」

唯「え?駄目に決まってるじゃん・・・」

律「だよな・・・」

唯「寝る前におやすみのキス?笑わせないでよ・・・そんなの恋人同士でやることだよ・・・」

律「うん、私、どうかしてたな・・・ごめん・・・」

唯「りっちゃん、しっかりしてよ・・・?」

律「あぁ・・・ごめんな、ホント・・・」

唯「そんなに思いつめてるなら・・・もう一回しよっか・・・?」

律「・・・いいや」

唯「そっか・・・」

律「あぁ・・・おやすみ・・・」

唯「ん・・・」





数週間後


律「・・・」ボーッ

澪「おい、どうしたんだ?」

律「あぁ、ごめん。寝不足」

澪「またか・・・なんか今朝からずっとその調子だよな」

律「ん・・・」

澪「なあ、りつ・・・お前」

律「余計な心配すんな」

澪「でも・・・」

律「私がそんなことするわけないだろ」

澪「・・・」

律「ったく」

澪「でも、やっぱり・・・」

律「言いたいことがあるならはっきり頼む」

澪「最近、家にいないことが多いよな」

律「そうか?」

澪「・・・遊びに行ってもいなかったりするぞ」

律「タイミングじゃないか?」

澪「言い方を変えようか」

律「それより、みんなまだ来ないのか。サボりかー?あいつら」

澪「聞けよ」

律「・・・なんだよ」

澪「最近、唯の家にいることが多いよな」

律「・・・」

澪「なんでだ?まさかとは思うが・・・お前ら・・・」

律「・・・何が言いたいんだ」

澪「つ、付き合ってたり、とか・・・?」

律「・・・だったらなんだよ」ハァ

澪「なっ・・・!」

律「ほっといてくれ」

澪「で、でも・・・おかしいぞ!」

律「何がだよ」

澪「何が?わからないのか、同性で付き合うことがだよ!」

律「お前、唯が男だったら応援したか?」

澪「へっ?」

律「質問に答えろよ」

澪「も、もちろんっ・・・それは、うん・・・多分・・・」

律「はっきり言え」

澪「いや、多分、反対してた・・・かも・・・」

律「澪はさ」グイッ

澪「いった、は、離せよっ・・・」

律「結局のところ、澪は私を側に置いときたいだけなんだよな。何をするでもなく、させるでもなく」

澪「り、りつ・・・?」オドオド・・・

律「澪は自覚ないだろうけど、私はずっとそんなお前に振り回されてきたんだ」

澪「り、つ・・・言ってる意味が・・・」

律「わからないか。だろうな」

澪「おこって、るの、か・・・?」

律「怒ってる?そうだよ」

澪「なん、で・・・?りつ、離して・・・苦しい・・・」

律「なんで?そんなの決まってんじゃん」グッ

澪「っ・・・」

律「澪のことが好きだからだよ」

澪「・・・」

律「・・・」

澪「え・・・?」

律「・・・(勢いで言っちゃったよ・・・どうすんの、これ・・・)」


ガチャ


唯「やっほー・・・って、ありゃりゃ」

梓「・・・何やってるんですか先輩、早く中に入ってくださいよ」

紬「唯ちゃん?」

律「・・・」パッ

澪「げほっげほっ・・・」

唯「あ、ごめんね、今入るよ」

梓「?・・・お疲れ様です」

紬「お疲れさまー」バタンッ

律「おう、遅かったなー」

唯「掃除当番なんだからしょうがないじゃん」

澪「梓も?」

梓「はい、たまたまそこで会いました」

紬「さ、お茶入れよーっと♪」ササッ

律「・・・」

澪「・・・」

唯「やったぁー!さ、みんな。座ろう座ろうっ!」シュタッ

律「・・・」

澪「・・・」

唯「何してるの?早く座りなよ」

律「あ、あぁ」ガタッ

澪「・・・」ストンッ

紬「澪、ちゃん・・・?どうしたの?」コポポ

澪「いや、・・・なんでもない・・・」

律「・・・」

澪「・・・」

律「ちっ・・・」ハァ・・・

唯「りっちゃん?」

律「・・・なんでもねーよ」

梓「・・・」チラッ

澪「どうした?」

梓「い、いえ。元気がなかったみたいなので・・・えっと・・・」

澪「そっか、ごめんな」ポンポン

梓「い、いえ///」

唯「澪ちゃんずるい・・・って」チラッ

律「・・・なんだよ」

唯「言わないんだ?梓ずるいぞ、とか」

律「ん?あ、あぁ。そうだな・・・」

唯「?」

律「・・・」

澪「・・・」

唯「変なの」

紬「あら大変」

唯「どうしたの?」

紬「お茶を入れようと思ったんだけど、お茶っ葉を切らしちゃったみたいなの」

唯「あ、そうなんだ・・・」シュン

梓「じゃあ練習」

紬「だから帰りましょう」

梓「」

梓「」

唯「あ、あずにゃん、えっと・・・今日は、ね?りっちゃんと澪ちゃんちょっと調子悪いみたいだし」

梓「はい、そうですね・・・」シュン

律「んじゃ・・・帰るか」

唯「だね。なんか雨降りそうだし。今日傘持って来てないんだー」

澪「あ、あぁ・・・」チラッ

唯「ん・・・?」

澪「う、うわっ・・・どうした?」

唯「ううん。なんで今私のこと盗み見たの?」

澪「えっと・・・」サッ

唯「目を伏せられてもわからないよ」

澪「いや、なんでもないんだ・・・」

律「澪、その・・・」

澪「今日も唯の家に行くのか?」

梓「今日、も・・・?」

律「おい何言ってんだよ」

澪「唯、律と付き合ってるって本当か?」

唯「・・・へ?」

律「ちっ・・・」

紬「・・・」ニコニコ

澪「ごめん、こんなところで、聞くことじゃなかったよな・・・」

唯「ねぇ、澪ちゃん」

澪「な、なんだ?」

唯「その通りだよ。こんなところで聞かれても、困るよ」

澪「ごめん・・・」

梓「・・・」


唯「・・・」

紬「それじゃ帰りましょうか」ガチャ

律「・・・」

梓「そう、ですね・・・」

澪「・・・」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


梓「ホント、今にも降り出しそうですね」

唯「大雨になるらしいよー」

紬「ギリギリで間に合うかしら」

梓「今日もバイトでしたっけ?」

紬「えぇ、帰りに土砂降りだったら・・・私も傘買って帰らないと駄目ね」

梓「酷かったら迎えに来てもらえばいいじゃないですか」

紬「親には頼りたくないの」

梓「あ、ごめんなさい・・・」シュン

紬「ううん、いいのよ。それにね・・・」

梓「?」

紬「私、嵐って嫌いじゃないの。なんだかワクワクしない?」

梓「もうっ小学生ですか」クスッ

紬「そうね。そうかも」

唯「ムギちゃん、意味深過ぎるよ」アハハ

紬「深い意味はないわ」クスクス

律「・・・」

唯「りっちゃん」

律「なに」

唯「イライラ、しないんだね?」

律「うるせぇよ」イラッ

唯「あ、した」アハハ

律「・・・」

唯「ねぇ澪ちゃん」

律「やめろよ、澪に話しかけんな」

唯「なんで?話しかけるのも駄目なんだ?」

律「今は、やめろよ」

唯「今じゃないと。さっきの話、まだ続きだったしね」

律「そーかよ」

唯「そーだよ。で、私とりっちゃんは付き合ってるって、誰から聞いたの?りっちゃんがそう言ったの?」

澪「・・・」

唯「返事、ないんだ」

澪「ごめん、その・・・よく、わからなくて・・・」

唯「その話してたのはさっき私達が部室に入る前じゃないの?」

澪「そう、だけど・・・」

唯「そんなちょっと前のことも忘れちゃったのかな?」

澪「いや・・・そういう意味じゃ、なくて・・・」

律「おい、唯」

唯「りっちゃんはちょっと静かにしててよ」

律「っ・・・」

紬「あらあら」

梓「ムギ先輩?」

紬「降ってきたわね」

梓「え・・・?まだ、じゃないですか?」キョロキョロ

紬「うふふ。梓ちゃんがそう思うならそれでいいわ」ニコッ

梓「・・・?」

唯「澪ちゃん、答えて」

澪「・・・私が、律に『唯と付き合ってるのか』って、聞いた」

唯「そっか」

澪「・・・」

唯「で?」

澪「り、律は『だったらなんだよ』って、そう言ったんだ・・・」

唯「つまり、りっちゃんは認めたってことだね?」

梓「・・・」

澪「そう、だよ」

律「・・・」チッ

唯「じゃあ、それでいいよ」チラッ

梓「・・・!」

澪「それでいいって、なんだよ」

唯「りっちゃんがそういうならそれでいいって言ったの」

澪「じゃあ、律が違うって言ったら違うのか?」

唯「そうだよ」

律「おい、唯」

唯「さっき黙っててって言わなかった?」

律「・・・」

澪「なんだよ!それ!どっちなんだよ!」

唯「さぁ、それは誰が決めることなんだろうね?」

澪「唯、言ってる意味が・・・」

唯「ねぇ澪ちゃん。どうしてそんなにムキになってるの?」

澪「・・・!」

唯「私は友達だから?りっちゃんが親友だから?」

澪「ど、どっちもだよ!」

唯「じゃあ質問を変えるね。澪ちゃんがムキになる理由はその二つだけ?」

澪「そ、それは・・・!」

紬「私、そろそろバイト行かなくちゃだから」

梓「え、あっと、はい・・・お疲れ様でした」

律「あ、あぁ。バイト頑張ってな」

唯「ムギちゃんばいばーい!」ニコッ

澪「また明日な・・・」

紬「梓ちゃんも、多分傘さしても意味ないと思うから・・・せめて風邪引かないようにね?」バイバイ

梓「・・・ムギ、先輩」タッタッタッ・・・

紬「なに?どうしたの?」クルッ

梓「さっきから嵐、嵐って・・・この状況のこと言ってたりします?」ボソッ

紬「・・・」クスクス

梓「せんぱ」

紬「わかってるなら。自分が関係あるかないかくらいも、もちろんわかるわよね?」

梓「・・・は、はい」

紬「よかった。さすが梓ちゃん、物分りのいい子は好きよ」ニコニコ

梓「どうもです・・・」

紬「さぁ、戻って?」

梓「はい・・・」

紬「それじゃね」ヒラヒラ

梓「お疲れ様です・・・」ペコッ


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最終更新:2010年11月09日 23:59