梓「そんな事位で泣かないで下さいよぉ…」アセアセ

梓(私のバカ!また条件反射的に避けちゃった…)

梓(そもそも、唯先輩に抱き付かれるのだってそんなに嫌じゃ無いし)

梓(ムギ先輩なら、むしろして欲しい位?…いやいやそれは言い過ぎでしょ///)

紬(梓ちゃん、ごめんなさい。ちょっとだけ演技しちゃったかも)テヘッ

紬(困ってる時の梓ちゃんって凄く可愛いから…)

紬(でも、私だけの都合でこれ以上困らせるのは可哀想よね)

紬(嫌って言われたんだから、残念だけど…凄く残念だけど諦めるわ)

紬「梓ちゃんごめんなさい、やっぱり今のは…」

梓「…分かりました」

紬「無かった事に…って、え?」

梓「抱き付いても良いって言ってるんです」

紬「良いの?ほんとに?」

梓「恥ずかしいんですから、何度も言わせないで下さい///」

紬「嬉しいわ、ありがと~♪」

梓「ほんとにもう、1回だけですからね!」

紬「うん、約束するわ」

紬(一度で十分よ梓ちゃん)

紬(私の本当の気持ち、確かめたいだけだから…)

紬「じゃあ…行くわね」

梓「はい、何時でもどうぞ」

梓(そう言えば…)

梓(唯先輩は何時もいきなり抱き付いて来るからあまり感じないのかもしれないけど)

梓(こうやって予め宣言されてると結構恥ずかしいかも…)

梓(…って、ムギ先輩が何時の間にか目の前に!)

紬「梓ちゃん…」ムギュ


梓(あれ…これって抱き付いてるんじゃなくて抱き締めてる様な…)

紬(ごめんなさい梓ちゃん、1回だけだからしっかりと抱き締めさせてね…)




梓(あ、何だろうこの感覚…)

梓(唯先輩の時とは全然違う…)

梓(ずっと包まれていたい様な安心感…)

梓(それに…)

梓(ドキドキしてる…)

梓(私今、凄くドキドキしてるよ…)

梓(どうしよう…顔までドキドキしてきちゃった…)

梓(って、顔がドキドキする訳無いから!)

梓(私の顔の目の前にあるのはムギ先輩の…)

梓(…)

梓(あ、終わっちゃった…)

紬「ありがとう、梓ちゃん」

梓「いえ、どういたしまして…///」

紬(梓ちゃん…私の気持ち、分かっちゃった)

紬(でも…それを伝えた方が良いのかどうか分からないから…)

紬(この気持ちは今はまだ…胸に仕舞っておくわね)

紬「梓ちゃん」

紬(え?)

梓「は、はい!何でしょう!」

紬「梓ちゃんって…可愛いわね」

紬(嘘…私、何を言い出すの…)

梓「はぁ…って、ええっ!突然何を言ってるんですか!」

紬「今ね…梓ちゃんの事をずっと考えてたの」

紬「梓ちゃんって…とっても可愛いなって」

紬(駄目…梓ちゃんへの気持ちが抑えられない…)

梓「あの…そんなに何度も言われると何と言いますか///」

梓(あ…駄目…)

梓(ムギ先輩にそんな事を言われるとさっきのドキドキがまた…)

梓(…って、またムギ先輩が目の前に来てる!しかも目線も同じ!)

紬「お顔を…良く見てみたいの」ジー

梓「///」

紬「下を見ないで…私の方を見て欲しいな…」

梓「は、はい…///」

梓(うわ、こんなに間近でムギ先輩の顔を見たのは初めてだよ…)

梓(やっぱり…凄く綺麗…)

梓(綺麗で…でもとっても可愛い所がある先輩…)

梓(ムギ先輩は…私なんかよりもずっとずっと可愛いよ…)

梓「可愛い」

紬「え?」

梓「さっき…私の事を可愛いって言ってくれましたよね」

紬「ええ、梓ちゃんはとっても可愛いわよ」

梓「ムギ先輩も…その…可愛いと思います」

紬「え…///」

梓「あ、顔が真っ赤ですよ、照れてますね?」フフフ

梓「でも、ごめんなさい」

梓「ムギ先輩みたいに綺麗な人が『可愛い』って言われても嬉しくないですよね」

紬「ううん、そんな事は無いわよ」

紬「梓ちゃんに言われると…その…とっても嬉しいわ」ニコッ

紬「それに…梓ちゃんもさっきからお顔が真っ赤よ?」ウフフ

梓「!」

梓(どうしよう…良く考えたら私)

梓(とんでもなく恥ずかしい事を言ってしまったんじゃ…)

梓(顔が…凄く熱い…)

梓(ドキドキが…止まらない…)

梓(とにかくこの状態はマズイよ、目を逸らさないと…)

紬「ねえ、梓ちゃん」

梓「は、はい!何でしょう!?」

紬「良いわよね…」

梓「え?(何の事?)」

梓(あ、ムギ先輩の顔がどんどん近付いて来る…)

梓(目を瞑ってても…ほんとに綺麗だな…)ムギュ

梓(あれ?何時の間にか私、また抱き締められてる?)

梓(それにこの状況って、まるでこれからキスするみたいな…)

梓(って、えっ!)チュッ

梓「!!!」

ドンッ!・・・ドタッ!

梓(あっ!ビックリして突き飛ばしちゃった…ど、どうしよう…)

紬(…)

紬(はっ!私は今一体何をしてたの!?)

紬(私は梓ちゃんが好き…梓ちゃんも私が好き…)

紬(ううん、違うわ!梓ちゃんはそんな事一言も言ってない)

紬(それに、私はまだ梓ちゃんに『好き』って言ってない…)

紬(梓ちゃんの気持ちも確かめてない、自分の気持ちも抑えられないなんて…)

紬(私…やっぱり、この一歩は進んじゃいけなかったの?)

紬「梓ちゃん…」

梓「ご、ごめんなさい!」

紬「ううん、梓ちゃんが謝る事なんて何もないのよ」

紬「私、とんでもない勘違いをして…」

紬「梓ちゃんに酷い事をしちゃったのね」

紬「本当に…本当にごめんなさい」

梓「ムギ先輩、ち、違うんです!」

梓「私、今物凄く混乱してて何も言え…考え…出来…」

梓「あ~~~~!!!」

梓「と、とにかく!」

梓「私、ムギ先輩に酷いことをされたなんて全然思ってませんからね!」

紬「え?今何て…」

梓「ごめんなさい、今日はもう帰ります!」

ガチャッ!タッタッタッタッタッタッ・・・

紬「梓ちゃん…」



~翌日朝・部室~

ガチャッ

唯「おいっす~」

紬「おはよう、唯ちゃん」

唯「あれ?ムギちゃんだけ?」

紬「ええ、まだみんな来てないみたいね…」

唯「そっか~、今日は5人揃いそうだからお茶とお菓子…」

唯「じゃなくてえへへ、まずは昨日の分をちゃんと練習しないとね!」

紬「ええ、そうね…」

唯「あれ?あずにゃんのギターケースは置いてある…先に来てたのかな~?」

紬「あ、それは…(昨日慌てて帰ったから…)」

ガチャッ

梓「おはようございます~」

唯「あ、あずにゃん!おはよ~!」

紬「!」

紬(梓ちゃん…昨日の事どう思ってるのかしら…)

紬(聞きたいのに…動けない…言葉が出ないわ…)

唯「あずにゃ~ん、昨日はあずにゃん分が補給出来なくて寂しかったよ~」ダキッ

梓「…」

梓(やっぱり違う、ムギ先輩の時と違って全然ドキドキしない…)

唯「あ~ずにゃん、すりすり~♪」

梓「…」

唯「あれ?(何時もと反応が違うよ?)」

梓「唯先輩」

唯「な~に?あずにゃん」

梓「真面目にお願いします、少し離れて貰えませんか?」

唯「え?」

梓「お願いします」

唯「う、うん…分かったよ…」

唯「あずにゃん、もしかして私の事嫌いになったの?」ショボーン

梓「いえ…安心して下さい、唯先輩の事は大好きですよ」

唯「衝撃の告白!」

紬「!(そう…だったの?)」

唯「あ、あずにゃ~ん///急にそんな事を言われても~///」モジモジ

梓「あ…」

梓「すみません!違うんです!!」

唯「へ?」

梓「えっと…本当はこんな事を言うのは凄く恥ずかしいんですけど」

梓「今日だけは…今日だけは自分の気持ちに正直になりたいと思います!」

紬(梓ちゃん、何を…)

梓「唯先輩!」

唯「は、はい!」

梓「私、唯先輩の事は大好きです」

唯「も~、あずにゃんったら~///」テレテレ

梓「でも…」

唯「でも?」

梓「それは先輩として、軽音部の先輩として大好きなんです」

唯「あずにゃん…」

梓「唯先輩だけじゃありません」

梓「律先輩も澪先輩も大好きです」


唯「あれ?でもムギちゃんは?」

梓「ムギ先輩は…ムギ先輩だけは違うんです」

唯「あずにゃ~ん、ムギちゃんはとっても良い子だよ?1人だけそんな…」

紬「…良いのよ、唯ちゃん」

紬「私はどんな風に言われても…仕方が無いの」

梓「違うんです、ムギ先輩」

紬「え?」

テクテクテク…

梓「ムギ先輩…お願いがあります」

紬「…何?梓ちゃん」

梓「昨日と…昨日と同じ事をして欲しいんです///」

紬「え…!?」

梓「昨日はあれから…そう、今この瞬間までずっとムギ先輩の事を考えてました」

梓「私にとって、ムギ先輩はどういう人なんだろう?って…」

紬「梓ちゃん…」

梓「昨日抱き締めて貰った時の事を思い出すと…凄くドキドキするんです」

梓「今はもっとドキドキしてます…ムギ先輩の傍に居るから…」

梓「胸の奥が締め付けられる様に苦しくって…でも暖かくて」

梓「さっき唯先輩に抱き付かれた時に確信出来ました」

梓「私がこんな気持ちになれるのはムギ先輩…ムギ先輩に対してだけなんです!」

紬「梓ちゃん…」グスッ

紬「私ね、今は嬉し過ぎて何も言えそうに無いわ…」

紬「だから…おいで、梓ちゃん」ニコッ

梓「はい、ムギ先輩…」




唯「はっ!?あまりの出来事に途中から固まってしまった…」

梓「あ…ムギ先輩、もうこの位で良いですから///」

紬「ええ」ニコッ

唯「あ、あずにゃん!今の出来事は一体!?」

梓「唯先輩」

唯「は、はい!」

梓「ごめんなさい、一度も素直に言えなかったんですけど」

梓「唯先輩に抱き付かれたりするのも…本当は嫌じゃなかったんです」

唯「…うん、分かってる」

唯「私はとってもおバカだけど、あずにゃんが本当に嫌だったらしてないよ」フンス

梓「…最初の頃は本当に嫌だったんですけどね」

唯「えっ!そうだったんだ…」ガーン

梓「でもそれは、本当に最初の内だけですよ」

梓「みんなで合宿をして、学祭ライブをやって…他にも色々とありましたけど」

梓「軽音部で活動する事が段々楽しくなって来て…」

梓「そしたら、唯先輩に抱き付かれたりするのも」

梓「私の事を軽音部の後輩として凄く可愛がってくれているんだな…って」

梓「そんな風に実感出来る様になったんです」

唯「うん、あずにゃんは大切な大切な可愛い後輩さんだからね!」

梓「ありがとうございます」

梓「でも今は…そう、唯先輩の事は大好きなんですけど」

梓「私がギュってして欲しいのはムギ先輩だけなんです」

梓「だからごめんなさい、これからは…抱き付かないで貰えますか?」

唯「あずにゃん…」

唯「うん、分かったよ!」

唯「あずにゃんに抱き付けなくなるのは凄く寂しいけど」

唯「これからはムギちゃんに一杯して貰ってね!」

唯「私、2人の事応援するから!」

紬「改めてそう言われると何だか照れるわね///」

梓「まったくです///」

紬「…」

梓「…」

梓「えっと…ムギ先輩、もう1回だけ良いですか?///」

紬「ええ、梓ちゃん…何度でも」ムギュ



…ポキッ


3
最終更新:2010年11月11日 20:11