#4

憂「はい梓ちゃん、この前言ってた本」

梓「ありがと、憂。これすっごく読みたかったんだ」

純「なになに?どうしたの?」

憂「あっ、純ちゃん」

梓「憂から小説借りたの。ほら、結構話題になったやつ」

純「あーそれ知ってる。映画見たよ」

純「ラストでヒロインが…」

梓「わーーーーーっ!!!」

純「おぉぅ…どうした急に」

梓「ネタバレやめてよ!まだ読んでないんだから!」

純「あ、ごめん。そっか」

純「映画も見てないの?」

梓「うん、前から見ようとは思ってたんだけど」

純「ふーん…そうなんだ。憂は?」

憂「私は両方とも見たよ」

純「あれ面白かったよねー。ラストでヒロインが…」

梓「にゃーーーーーっ!!!」

純「にゃあ?」

梓「だからまだ読んでないんだからやめてって!!」

純「あはは、ごめんごめん。ついうっかり」

純「あまりにも予想外のラストだったから話したくなって」

梓「純は今日一日中、口を閉じてて」

純「えーなにそれ」

憂「でも話したくなる気持ちは分かるよ。だってラストは…」

梓「憂もダメーーーーっ!!!」

純「まさかヒロインが…」

梓「だーーーもうっ!!」

憂「ごめんね梓ちゃん」

純「わざとじゃないんだって」ニヤニヤ

梓「もう何も聞こえないし聞かない。ていうか純はニヤけてるし」

純「そんなことないよ~」ニヤニヤ

梓「はぁ…中間テストが終わったらじっくり読むんだからそれまで余計なこと言わないでよね」

純「あっ、もう中間テストか」

憂「初めてのテストだから緊張するね」

純「まぁ、一学期の範囲は楽勝でしょ」

梓「唯先輩はその時追試だったって聞いた…」

憂「そ、その時はたまたま調子が悪かっただけなの!」

純「憂のお姉さんって普段ボケーっとしてるイメージがあるね」

梓「イメージっていうか、まさにその通りだよ」

純「えっ、マジ?」

梓「ダラダラしてお菓子ばっか食べてるし、やる気あるんだかないんだか」

純「あはは、子供みたい」

純「でもギターは上手いんでしょ?」

梓「うーん…微妙。波が激しいんだよね」

純「へー。思ってたのと違う」

梓「それとは逆に憂はいつもしっかり…」

憂「……グズッ」

梓純(泣いてる!?)

憂「お、お姉ちゃんだって…やる時は…やるもん」グズッ

梓「あぁ…ご、ごめん憂!唯先輩だってやる時はもちろん凄いよ!!」アセアセ

純「そうだよ!私も凄いと思うよ!かわいいし!!」アセアセ

憂「ほんとう…?」

梓「うんうん!!」

純「憂のお姉ちゃんはすごい!!」

憂「…えへへ」

梓(まさか憂がここまで姉バカだなんて)

純(軽く新発見だ)

梓「それにしても、そろそろ勉強やりはじめないとね」

純「あっ、じゃあ放課後は図書館で勉強しようよ」

憂「それいいかも」

純「梓もいいでしょ?どうせテスト期間中は部活もないし」

梓「うん、いいよ」

純「あーよかった、ノート写してないところあるんだよね」

梓「そのために?」

純「大丈夫、梓が写してないところは私のやつ見せてあげるから!」

梓「いや、私はちゃんと書いてるし」



放課後


純「へー、結構勉強してる人いるんだ」

梓「テスト期間だしね」

憂「あっちの席でやろっか」

梓「うん」

純「なんかみんな頭良さそうに見える…」

憂「気のせいだよ」

梓「さっさと始めちゃおう」

純「よーし、がんばるぞ!」



一時間後


純「ねぇ、なんで勉強なんてしなきゃいけないの?」

梓「それは…日常生活で使うためでしょ」

純「数学は?」

梓「計算する時とかあるじゃん」

純「英語は?」

梓「外国行く時とか…」

純「じゃあ古文は?」

梓「え…古文は…」

憂「過去へ行った時のためとか」

純「あぁそっか…過去か…」

純「……」

純「はぁ~…やる気でない」

梓「勉強しようって言ったのは純じゃん」

純「そうだけどー…」

憂「頑張って純ちゃん」

梓「このままだと純だけ追試だよ?」

純「むっ、失敬な!そこまで酷くありませんっ」

梓「じゃあ勝負する?」

純「………そんなことより勉強しよう」

梓「自信ないのか…」



さらに一時間後


純「ダメ……もう無理…」

純「絶望が私のゴールだ…」

憂「確かにちょっと疲れてきたね」

梓「うん…」

純「へへー」ガサゴソ

憂「どうしたの純ちゃん?」

純「じゃーん、ポッキー持ってきた」

純「みんなで食べよ」

梓「図書館でそういうのやっちゃダメだと思う」

純「じゃあ梓はいらないんだね」

梓「え…」

純「はい憂、あげる」


梓「……」

純「美味しいなー」ポリポリ

梓「……」

憂「そういえば、適度な糖分は集中力や思考力に良いんだって」ポリポリ

梓「むぅ…」

純「本当にいらないの?」

梓「……ま、まぁちょっとだけなら」

純「はいどうぞ」

梓「……」ポリポリ

純(なるほど、軽音部ではこんな感じなのかな)

憂(梓ちゃんかわいいー♪)

純「はぁー、みんなと勉強するとはかどるね~」

梓「さっきまで疲れた疲れた言ってたのに」

純「甘いもの摂ったからもう大丈夫!」

純「それに憂がいれば分からない問題も教えてもらえるし」

純「暇なときは梓で遊べる!」

梓「私の存在意義って!?」

憂「梓ちゃんがいると癒されるってお姉ちゃんが言ってたよ?」

梓「素直に喜べない…」



十分後


純「疲れた…」

梓「はやっ!?」

純「私はポッキー1本につき10分しか活動できないの」

梓「意味分かんないよ…」

純「というわけでもう1本」

和「こら!ここは飲食禁止よ?」

純「っ!?」

憂「あ、和さん」

純(この人、生徒会の…)

和「それしまいなさい」

純「は、はい!ごめんなさい…」

梓「もう…純ったら」

憂「和さんもここで勉強?」

和「えぇ、テストも近いしね」

和「唯はどう?ちゃんとやってる?」

憂「う~ん…」

梓(やってないんだ…)

和「はぁ…勉強するように言っておいてね」

憂「はぁい」

和「じゃあ私はもう帰るから。あんまり遅くなっちゃダメよ?」

憂「うん。バイバイ和さん」

和「あなたも、これからお菓子とか食べないように」

純「はい…」

純「ふぅ、怖かった」

梓「純が食べたりするから」

憂「でもいつもの和さんは優しいよ?」

梓「知り合いなの?」

憂「うん、お姉ちゃんの幼なじみだから」

梓「へぇ、あんなしっかりした人が」

純「なるほど、ああいうしっかりした人が側にいたから憂のお姉さんは今まで生きてこれたのか」

憂「お、お姉ちゃんもやればできるんだよ…?」

梓「外、暗くなってきたね」

憂「和さんも言ってたし、そろそろ帰ろっか」

純「今日はいつもより勉強できたな~」

憂「テスト、良い点とれるといいね」

梓「うん、これだけやったら自信ついたかも」

純「あ~…帰ったらリラックスしよっと」

憂「私は帰ったらお姉ちゃんに勉強教えないと」

純梓「……え?」



テスト当日


純「よし!がんばるぞー!!」

テスト終了


憂「お疲れ様」

梓「あ、お疲れ憂」

憂「なんとかなったかも」

梓「私も」

純「……」

梓「純、どうだった?」

純「いとこうず」

梓「お疲れ様」



帰り道


純「疲れた~…帰ってなにしよ……」

純「久しぶりに本でも買って読もうかな」

純「えっと、なに読もう…」

純「う~ん…あっ、これ梓が読もうとしてたやつだ」

純「私これ映画見たから結末知ってるんだよね~」

純(ん…?帯に何か書いてある)

純「……」

純「えぇっ!?映画と結末違うの!?」

純「どうしよう…そんなの知らなかったよ…」

純「うわぁ~超気になる」

純「値段は?」

純「……1500円」

純「高い…うぅ」

純「梓が読み終わったら借りようかな…いやでも気になるし」

純「……」

純「くっ…!」

純「あぁもう!しょうがない!!」

「ありがとうございました」

ガーッ

純「買っちゃった。いや、後悔はしてない」

純「結末を知らないまま眠れそうにないもん」

純「それにしても、予想外のことってあるもんだねぇ~」

純「何も知らなかったよ…」

純「……はっ、そうか!」

純「勉強も同じなのかもしれない」

純「知らないことや、予想外のことが起きても平気なように知識を蓄えるんだ」

純「なるほど、ひょっとしたらすごい事に気づいたのかもしれない」

純「うん、そうに違いない」

純「今日の私、少し大人にった気がする。そんな気がする」

純「あー気分がいいな~♪」

純「途中でドーナツでも買っていこっと!」

純(どうでもいいけど、本買うと頭よくなった気がするよね~)



翌朝


純「ふぁあ~…」

純「ねむい…」

純(遅くまで読んでたからなぁ…結局最後まで読めなかったけど)

純(でも今日中には読み終わるかな)

梓「でね、テスト終わったら読もうと思ったんだけど勉強の休憩中にちょこちょこ読んじゃったの」

憂「そうなんだ~」

純「おはよ~」

憂「あっ、おはよう純ちゃん」

梓「おはよう、純」

純「なんの話してたの?」

梓「この前憂から借りた本なんだけど」

純「あぁ、それなら私も…」

梓「まさかラストでヒロインが死んじゃう驚きだよね!」

純「……」

憂「でも映画だとまた違う結末なんだよ?」

梓「そうなんだ、今度映画も見なきゃ」

梓「あっ、純はネタバレしちゃダメだよっ!」

純「……」

梓「純?どうしたの?」

純「なんでネタバレするの!?」

梓「えっ」




#4
おわり



5
最終更新:2010年11月13日 00:07