# 憂と梓と純


――駅前


純「梓まだー?」

憂「もうちょっとで来るんじゃないかな?」

純「あ~…ヒマだなぁ」

純「ねぇ、しりとりでもしようよ」

憂「え? いいけど…」

純「んじゃー…梨」

憂「シール」

純「ル、ル…ルビー」

憂「ビール」

純「ル? ルー…ルアー!」

憂「アール」

純「また『ル』!?」

純「ル、ル、ル…」

純「ルックス!」

憂「スリル」

純「また!?」

憂「がんばって純ちゃん」

純「う~ん……ルーレット」

憂「トーテムポール」

純「っ……ルー大柴」

憂「バール」

純「いじわる~!」

憂「ふふっ」

純「う~~~ん……そうだ! ルール!!」

憂「ルイスキャロル」

純「!?」

梓「おまたせー、ごめん遅れちゃって」

純「梓ぁー! 憂がいじめてくる~!!」

梓「??」

憂「ごめんね、純ちゃん」

純「もう憂とは絶対しりとりしないからね」

梓「よく分かんないけど…早く行こうよ、ショッピングモール」

純「あっ、そうだ。来るの遅いよ梓」

梓「さっき謝ったじゃん」

憂「それじゃあ行こっかー」

梓「うん…どんぐらいかかるっけ?」

憂「ここから…十分ちょっとぐらいかな?」

憂「冬にできたんだよね? 私まだ行ったことないんだ」

梓「私も。楽しみだね」

純「なに買おうかな…二人はなに買うの?」

憂「私は春物の服とかかな。梓ちゃんは?」

梓「私も服と…あとなにか小物」

純「私はなにしようかなー」

梓「決めてないの?」

純「んー…着いてから決める」


――ショッピングモール

純「うわ…想像してたのより広いね。人多いし」

憂「休みの日だからしょうがないよ」

純「梓、迷子にならないでね」

梓「ならないから!!」

純「よし、それじゃ服から見に行こっか」

憂「うん」

梓「あっ、ちょっと待って…」

ワイワイガヤガヤ ワイワイガヤガヤ

純「人多いなー…進みづらい」

憂「純ちゃんこっちこっちー」

純「あっと…そっちか」

純「あれ? 梓は?」





梓「憂ー! 純ー! どこー!?」


――十分後

純「あ、来た来た」

梓「ふ、二人ともひどいよ。置いていくなんて…」

純「いやだって、気づいたらいなくなてったんだもん」

憂「梓ちゃん大丈夫?」

純「だから迷子にならないでって忠告したのに」

梓「むぅ…」

憂「とりあえずお店入ろっか、もう目の前だし」

純「よっし、買うぞー」

梓「あ、買うもの決めたんだ」

純「うん、お店に入ってから決める」



――店内

純「おお…可愛い服がいっぱい」

憂「どの服にしようかなー♪」

純「こっちのオレンジのやつとかどう?」

憂「あっ、かわいい~。お姉ちゃんに似合うかも」

純「お姉ちゃんの服かい」

梓「自分のは買わないの?」

憂「う~ん…どうしようかな」

純「買えばいいじゃん、せっかく来たんだし」

憂「そう…だね。そうしようかな」

純「じゃあ憂の服選び手伝ってあげよう。憂の任せると全部お姉ちゃんのにしそうだし」

梓「そだね」

純「これはどう? ヒラヒラのやつ」

梓「このワンピースの方がいいんじゃない?」

純「だったらこっちのシャツにそのデニムを…」

梓「ダメダメ、それはバランスが悪い」

憂「ふ、二人とも…?」

純「厳しいね、梓」

梓「さわ子先生に教えてもらったからね。私も色々着させられたし」

純「ほぉ~、すっかり軽音部の一員ですなぁ…」

純「あっ、これなんかいい感じじゃない?」

梓「それと…、あとはこれとこれも…」

純「もうめんどくさいから全部憂に着せよっか」

憂「え…」

梓「うん、そうしよう」

純「じゃあ憂、これ全部着て」ドッサリ

憂「全部!?」

純「試着はタダだし」



――数十分後


憂「まだ着るの?」

純「なんか人に着せるのって楽しいね」

梓「でしょ?」

憂「もう私はいいよ~」ヌギヌギ

梓「あっ、カーテンカーテン」シャー

純「……」

梓「どうしたの純?」

純「今チラっと見えたんだけどさ…」

純「憂の胸って大きいよね」

梓「ちょ、なに言って…!?」

純「だって見えちゃったものは見えちゃったんだもん」

純「大きかったなー、憂の胸。どんぐらいあるんだろう」

梓「もぅ…」

純「なんで梓が顔赤くしてるの?」

梓「だ、だって意識しちゃうから…」

純「変なの。女どうしなのに」

純「あっ、そういえば澪先輩も大きいよね」

梓「はぇっ!? そ、そうだね…///」

純「ジャズ研の先輩にも大きい人がいるんだけど…どっちが大きいのかなー」

梓「…澪先輩は形もキレイだよ」ボソッ

純「え? なに?」

梓「ななっ、なんでもない!!」

純「?」

シャー

憂「おまたせー、今度は梓ちゃんが試着していいよ」

梓「あっ…うん」

 ・・・・・

梓「ど、どうかな? カジュアルな感じにしてみたけど」

純「うん、かわいいじゃん」

憂「梓ちゃんかわいい~!」

梓「えぇ? かっここいいの選んだつもりなのに…」

純「梓が着るとなんでも可愛くなっちゃうんだよ。梓補正で」

梓「そんな補正いらなーい!!」

憂「思い切ってロック系の服にしてみたら?」

 ・・・・・

梓「どう?」

純「だめだ、かわいい」

憂「梓ちゃんかわいい~!」

梓「うぅ…」

純「次はお姉系とかは?」

 ・・・・・

梓「これならどう?」

憂「かわいい~!」

梓「なっ!?」

純「梓は何を着ても梓系になっちゃうね」

梓「うれしくなーい!!」

――――

梓「純は買うもの決まった?」

純「私? これとこれとこれ」

梓「試着しないの?」

純「平気平気。気に入ったもの買ってるから」

憂「一応した方がいいんじゃないかな?」

純「えー? 似合ってると思うんだけどなぁ」

 ・・・・・試着中

憂「純ちゃんどんな感じになるんだろう」

梓「……」ジーッ

憂「梓ちゃん?」

梓「えっ!?」

憂「どうしたの? 私になにかついてる?」

梓「う、ううん…なんでもない」

梓(さっき純が変なこと言ってたせいで…憂の胸を凝視してしまった…)

シャー

純「じゃじゃーん! どう?」

憂「純ちゃんかわいい~!」

梓「似合ってるよ」

憂「じゃあお会計すませよっか」

梓「うん」

純「あれ? なんかあっさりしてない!?」

 ・・・・・

純「さてと、いきなり買い物したし次は色々見て回ろっか」

憂「色んなお店があるねー」

純「んー…あっ、楽器屋もあるみたいだし行ってみない?」

梓「いいかも」

純「憂もいい?」

憂「うん、いいよ」

純「よし、じゃあ行こう行こう!」

梓「そういえばさぁ…」

純「うん?」

梓「純ってなんの楽器やってるんだっけ?」

純「!?」

純「憂! 梓ったらひどいよぉ~!!」

憂「よしよし」ナデナデ

梓「ご、ごめん。つい忘れてて…」

純「いいもん、梓なんか。憂は知ってるよね? 私のパート」

憂「え?」

純「ね? 知ってるよね?」

憂「えっとぉ~……」

憂「タンバリン、とか…?」

純「!?」


――楽器店

梓「わー! すごい!」

梓「思っていたのより良いのいっぱいあるな~!」

憂「すごいね~、ギターだけでも数え切れない」

純「ムスッ……」

梓「ほら純、いじけないで」

憂「純ちゃんごめんね。元気出して」

純「いいもんいいもん…私は一人でベース見てますよーだ」

梓「ごめんごめん、謝ってるじゃん」

純「むぅー…しょうがないなー」

純「許してあげよう」

梓「どうもありがとうございます」

憂「純ちゃん優しいっ」

純「そ、私は強い子優しい子!」

純「ところでさ、憂はなんか楽器やらないの?」

憂「私?」

純「うん、弾けるんでしょ? ギター」

梓「そうそう、すっごく上手かったんだよ!」

憂「わ、私は別にいいよ~」

純「もったいなー、上手いならやればいいのに」

梓「宝の持ち腐れだよ? それじゃあ」

憂「う~ん…」

純「そうだ! ジャズ研に入らない?」

純「憂ならレギュラー取れるよ!」

梓「だめだめ、憂は軽音部に入るの!」

憂「それ決まってるの…?」

純「えー、いいじゃーん別に。そっちは唯先輩がいるんだし」

梓「唯先輩はなぁ……そうだ!」

梓「憂は軽音部で引き取るから、唯先輩はジャズ研にあげるよ。交換成立でしょ?」

憂「えぇ!?」

純「唯先輩かぁー…唯先輩じゃうちの空気に合わないと思うなぁ」

純「澪先輩だったらいいよ」

梓「絶対ダメ。なら唯先輩とジャズ研のギターの上手い人を交換しようよ」

梓「ほら、あの身長が高い…」

純「それはもっとダメ。部長だもん、あの人」

憂「お姉ちゃんの扱いって…」

純「冗談冗談」


――雑貨店

憂「あっ、これかわいい! ねえ梓ちゃん」

梓「どれ?」

憂「ほらこのバスケットが付いてる壁掛け」

梓「本当だ…いいかも」

憂「私もなにか買おうかなぁ・・・」

梓「このケースとかいいんじゃない? 雰囲気あって」

憂「わぁ」

梓「あっ、このネコの置物…唯先輩好きそう」

憂「あはっ、そうかも。じゃあ二つとも買っておこうかな」

梓「……あれ? 純は?」

憂「え? 純ちゃん?」

梓「いないんだけど…」

憂「どこいったのかな…?」

梓憂「???」

梓「じゅーん!!」

憂「純ちゃーん!」

梓「も~…どこ行ったの」

憂「純ちゃんの行きそうなところは…うーん」

梓「純はなにが好きなのかな…それが分かればそこにいるんだろうけど」

憂「あちこち回ったけどけど見つからなかったし……ここかな?」

梓「寝具のコーナー?」

憂「ベッドで寝てたりして」

梓「まさか…ないない」

憂「でも純ちゃんよく寝るから――…あっ」

純「ぐぅー…」

憂梓(ほんとに寝てた!?)

純「ぐぅ…ぐぅ…」

梓「純ー、起きてー」

純「うぅ~ん…」

梓「ほら起きて。恥ずかしいよ」

純「…あれ? いま何時?」

純「午後の1時ごろだよ」

純「え? ・・・学校は?」

梓「なに寝ぼけてるの…」

純「あれ……あっ、そっか」

純「ふぁあ~…」

純「……」

純「おやすみ」

梓「起ーきーてー!!」


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最終更新:2010年11月13日 01:07