澪「へ?」
ちゅうっ
澪「……」
唯「へへ、最近ほっぺにちゅーするのがマイブームなんだ~。昨日はあずにゃんにね……」
澪「~っ///」ぼんっ
唯「あれ? 顔真っ赤だよ澪ちゃん?」
唯「ま、いいや。それであずにゃん酷いんだよ。私がキスしようとしたら、こう、平手でバチーンと」
梓「普通に受け入れる方がどうかしてますよ」
唯「あ、あずにゃ~ん」
律「なんだあ? どうしたどうした」
紬「遅くなってごめんねー」
梓「澪せんぱーい、気を確かにー」ユサユサ
澪「はっ……梓、みんな……いつの間に揃ったんだ?」
律「ついさっきだけど、どうしたんだ?」
唯「それがねー」
※
律「はは。キスくらいで放心するなんて、澪ちゃんはお子ちゃまでちゅね~」
澪「うるさい」ゴチン
梓「唯先輩はもっと恥じらいを持つべきです」
唯「ほっぺにキスなんて挨拶みたいなもんだよ~」
澪「外国じゃそうかもしれないけど日本では違うの」
律「いいじゃんよ、仲間内でくらい。私はいつでもウェルカムだぜー?」
唯「ン……。りっちゃんはちょっと……いいかな」
律「おい」
唯「冗談だって。……それじゃあ失礼して」
ちゅっ
律「ふむ、この柔らかい感触……ってなんでデコにやっとんじゃー!」
唯「いやー、つい」
律「ついってなんだ、ついってー!」
唯「りっちゃんのおでこってしょっぱいね!」
律「うるせー。掃除当番で汗かいてんだよ」
紬「唯ちゃん、私も、私も!」
唯「おっけー」
ちゅっ
紬「きゃー」
唯「ムギちゃんのほっぺ柔らかーい」
梓(まったく、この人たちは……)
唯「さあ、あずにゃんも!」
梓「私はイヤです」
唯「そんなこと言わずに、ほっぺに一回だけ!」
梓「またビンタされたいですか?」
唯「ちぇーケチー」
澪(なんだよ、唯のやつ。キス出来たら相手は誰でもいいのか)ムス
梓「どうしたんですか、澪先輩」
澪「ン……。いや、なんでも」
唯「うーん……なんか物足りないなあ」
律「おいおい。どんだけ盛ってんだよ……」
唯「澪ちゃん、もう一回いい?」
澪「は? ……ええ!?」
唯「ダメ?」チラ
澪「そりゃあ……当然……。って言うか、私じゃなくてもいいだろ!」
唯「えー澪ちゃんがいいー」
澪「な、なんでだよ……」
唯「んーなんかこう、しっくりきたというか……ちょうどいい触感だったというか」
澪「なんだよ、それ」
唯「そういうわけで、もっかい!」
澪「だ、め、だ~」グググ
律「ええい、観念しろ!」ガシ
澪「うわっ何すんだ律」
律「ムギ、そっち捕まえてくれ」
紬「りょうか~い」ガシ
澪「ムギまで!?」
澪(み、身動きが取れない……)
澪「あ、あずさぁ!」
梓「ええ!? そう言われても……」
唯「ふっふっふっ。澪ちゃん、覚悟してね」
澪「ひい」
唯「さっきは右のほっぺだったから次は左ね」
律「おう、早くやっちまえ」
紬「いつでもどうぞ~」
澪「いつでもよくなーい!」
梓(澪先輩……ご武運を)
唯「むちゅちゅ~」
律「……」ゴクリ
澪(唯の顔が近づいてきた……)
紬「……」ワクワク
澪(さっきはいきなりで何も考えられなかったけど、今回は変に時間が長く思えるな)
梓「……」ドキドキ
澪(ン……。これ、唯の匂いか。本当にキスする気なんだな)
澪(まあさっき律とムギにもやってたもんな)
澪(……本当にこのままでいいのか? 私は――)
唯「んー」
澪「や、やめろォ!」ドカッ
唯「えっ」
澪「あ……」
律「お、おい唯、大丈夫か……?」
唯「」
律「っていうか、あの澪が……」
紬「唯ちゃんを……」
梓「蹴った……」
律「えっと……今日はもう解散するか」
梓「そ、そうですね! もうすぐ定期テストですし!」
律(まさか澪が唯に手をあげるとは……)
律(今まで一緒にからかってても私ばっか打たれてたから油断してたぜ……)
紬「唯ちゃん……?」
唯「」
律(こりゃ重傷だな。……あっちも)
澪「」
律(どうしたもんかね)
※
唯「ただいまー」
憂「おかえり、お姉ちゃん。今日早いね」
唯「うん。ちょっと、ね」スタスタ
憂「あっ……」
憂(なんだか元気なさそう。どうしたのかな)
唯の部屋
唯(痛いなあ……)
唯(べつに痕が残ったりしてるわけじゃないんだけど)
唯(それだったらあずにゃんのビンタの方がよっぽど赤く残ってたし)
唯(初めてかなあ……澪ちゃんに打たれたの)
唯(あそこまで本気で嫌がってたなんて全然気づけなかった)
唯(澪ちゃんの優しさに甘え過ぎてたんだよね)
唯(馬鹿だなあ……私)
唯(ちゃんと謝らないと……)
※
澪の部屋
澪「はあ……」
律「そんな後悔するくらいなら、何で素直にキスされなかったんだよ」
律「別にいいだろ。頬にちょろっとやるだけだし」
澪「私としてはよくないの」
律「拘るねえ……。じゃ、私がキスするって言ったらどうする?」
澪「気持ち悪くて考えたくもない」
律「そこまで言うか!? じゃあムギとか梓でもいいや。それならどうだ」
澪「それはまあ……ほっぺたくらいなら許してあげる……かも」
律「じゃあなんで唯相手にはあんなに抵抗するんだよ」
澪「それは……唯とはもっと、ちゃんとしたのをしたい」
律「ン……。どういうこと?」
澪「だから! 唯とは遊びとかじゃなくて、ちゃんとした恋人同士がするようなキスをしたいの!」
律「えっ」
澪「……///」
律「あ、あーそういうことね……。全然気付かなかったわ」
律「ほーへーふーん」ニヤニヤ
澪「な、なんだよ」
律「いや、澪が唯をそんな目で見てたとはね~」
澪「わ、悪いかよ……」
律「やーらしー」キャー
澪「な、ん、だ、と~ッ!」
律「わー! タンマ、タンマ」
澪「……」ジロ
律「ま、そんだけ元気がありゃ大丈夫だな」
澪「……何がさ」
律「今から唯と話せ」
澪「ええっ!?」
律「それで謝って、仲直りしろ。こういうのは少しでも早い方がいい」
澪「私から謝るのか……?」
律「そりゃ、きっかけはどうあれ手を出したやつが悪い。出したのは足だけど」
澪「むぅ」
律「つかもうメール送っちゃった」テヘ
澪「なにー!」
律「だって早くしないと暗くなっちゃうし」
澪「はあ……。まあ、その、ありがと……」
律「いいってことよ」
公園
律「そんじゃ、フォースと共にあらんことを」
澪「どこ行くんだよ?」
律「居てもしょうがないから友達んちで時間潰してくる。終わったらメールくれ」
澪「分かった……」
澪「……」
澪(寒……)ブルッ
※
唯「澪ちゃん!」
澪「わっ……唯」
澪「……」
唯「えと、待たせちゃった……ね」
澪「ううん。そんなことないよ」
唯「……」
澪「……」
唯「あのっ……」
澪「えっと……」
唯澪「「ごめん!」」
唯「え……」
澪「あ……」
唯「その、ごめんね。私、澪ちゃんがどう思ってるかなんて考えもしないで好き勝手やっちゃって」
澪「ううん。私こそすぐ暴力に頼っちゃって……ごめん」
唯「あのときは両腕抑えられてたし仕方ないよ」
澪「いや、それに本当はそんな嫌ってわけでもなかったんだ」
唯「え……?」
澪「最初唯にされた時は恥ずかしかったけど、なんだかふわふわして幸せ気持ちになれたし」
澪「律やムギに同じことしてるのを見た時はちょっと嫉妬した」
唯「ン……」
澪「ただ嫌だったのはそれが遊びで終わっちゃうこと」
唯「どういうこと?」
澪「だから、その……唯のことが……」ゴニョゴニョ
唯「あ……」
澪「お、お前のことが、好きなんだよッ!」
唯「……?」
唯「え……///」
澪「ご、ごめん。いきなりこんなこと」モジモジ
唯「う、ううん。ちょっとビックリしただけ……///」
澪「えと……」
唯「なんか、謝ってばっかりだね私達。そのつもりで会いに来たんだから当たり前か……ハハ……」
澪「う、うん」
唯「でも、もういいよね」
唯「澪ちゃん、ありがとう」
唯「私も澪ちゃんのこと、好きだよ」
唯「好きだから、構って欲しくてちょっかい出して」
唯「好きだから、段々ちょっとしたスキンシップにも勇気が要るようになって」
唯「あはは。なんかこれじゃ、自分の事正当化してるみたいだね……」
澪「そんなこと……」
唯「これからはちゃんと、自分の事ばっかりじゃなくて、相手の気持ちも考えて行動するようにがんばるから」
唯「だから、これからも私の事……好きでいてくれる?」
澪「……じゃなかったら、今更告白なんてしないよ」ギュッ
唯「……ありがとう」
唯「初めてかな、澪ちゃんから抱き締めてくれるの」
澪「……どうだろ。軽音部に入って、唯と会ってからは色んなことがあったからな」
唯「そっか」
澪「うん」
唯「あったかいね」
澪「そうだな」
唯「なあに?」
澪「えっと、その何て言うか……」
唯「ン……?」
澪「あ、あのさ! キ、キスしてもいいか……?」
唯「え……///」
澪「その……今度はお互い同意の上で、ちゃんとしたのを、さ」
唯「……うん。いいよ」
唯「……」
澪「……」ゴクリ
唯(目、閉じてた方がいいよね)
澪(いざ、やるとなると緊張するな……)
澪(唯、結構まつ毛長いんだな)
澪「ン……」
ちゅっ
唯(んー澪ちゃんの唇柔らかい)
唯(澪ちゃんの方はどんな感じなのかな)チラ
澪「……ん?」
唯「わっ澪ちゃんずっと目開けてたの?」
澪「へ? ……あ、ああ、そうだよな、こういう時は閉じないとだよな!」
唯「今更閉じても遅いよー」ケラケラ
澪「あはは……ファーストキスが……」
唯「まあこれ一回きりってわけじゃないんだし、これから一緒に上手くなって行こうよ」
澪「うん……そうだな!」
※
澪「もう暗いし、送ってくよ」
唯「そんないいよ。澪ちゃんのが危なくなるし」
澪「大丈夫。もう一人いるから、な」
律「なんだ気づいてたのかよ」ガサ
澪「居てもしょうがないんじゃなかったのか?」
律「いい時間潰しになりましたわよん」
唯「りっちゃん、ずっと見てたの……///」
律「照れるな照れるなー。私達の仲ではないかー」
唯「だってー」
※
翌日、部室
律「と、言うわけで二人は無事仲直りした……どころかそれ以上の仲になりましたとさ」
紬梓「「おー」」パチパチ
唯「いやあ……」テレテレ
澪「も、もうその話はいいだろ……///」
律「では唯さん、キスの感想は?」
唯「ン……そうだなあ」
唯「……澪ちゃん、もう一回やろっか?」
澪「えっ!?」
唯「あ、嫌だったらいいの。ごめんね私また……」アセアセ
澪「う、ううん! 嫌じゃない、嫌じゃないけど……」
澪「流石にみんなの前では……な?」
紬「私は別にかまわないけど」
澪「え?」
律「おう。やっちまえやっちまえー」ヒューヒュー
澪「え?」
梓「もう、しょうがないですね……」
澪「ええ!?」
澪「……」
澪「わ、わかったよ……。一回だけだぞ」
唯「やったー!」
澪「その代わり、条件がある」
唯「条件?」
澪「も、もう、私以外の人にキスしちゃダメだぞ!」
唯「……」
澪「……」
唯「……そんなの、言われなくてもだよ」
澪「ン……」ドキドキ
(了)
最終更新:2010年11月14日 20:49