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律「(梓が家に来てからもうだいぶ経つけど……。いつになったらうちの親は
帰ってくるんだ……)」
あの日から数日が経った。
あの夜は、共に熱い夜を過ごしたことは言うまでもないだろう。
梓はその日から、ずっと田井中家に居座っていた。
梓「あ、律先輩、お皿洗っちゃうんで朝ごはん食べたんなら早く貸して下さい」
律「あ、うん。梓すっかり私の嫁さんみたいになってきたなあ」シミジミ
梓「どーもです。それより早く……」
律「梓ぁー」
ギュッ
梓「……誘ってるんですか?」
律「……かも」
梓「もう……朝っぱらからなんて、律先輩ってやっぱり変態ですね」
律「なっ!別に関係ないだ……!?///」
チュ
梓「誘ってきたのは先輩なんですから、私は知りませんよ?」
律「わかってるし///でも梓だって、ヤりたいんだろ?///」
梓「うっさいです//」チュッ
律「んっ……///」
律「(梓の舌が……///何度も味わってるのに頭がクラクラする……///)」
梓「……///」フゥ
律「梓……?///」
梓「ここで止めるって言ったらどうしますか、先輩?」
律「え……」
律「や、やだ……///」
梓「……プッ」
律「な、中野ォ!///」
梓「いただきます、律先輩♪」チュッ
律「……バカっ///」
.
律「……///」ハァハァ
梓「……、もう1ラウンド、いきます?」ハァハァ
律「梓、朝から飛ばしすぎ……///」
梓「仕方ないじゃないですか。律先輩がエロい声で啼くんですから」フフフ
律「う、うるせー、言うな!///」カァア
梓「ちょっと舐めただけですぐに濡れますし……」
律「やめろー!///」
梓「何よりイくときの先輩は……」
律「中野ォ!///」
イチャイチャ
梓「先輩ほんとに可愛かったですよ~」
律「だーっ、うるせー!///」
ガチャッ
律「」
梓「」
「ただいま~♪」
律「母上ッ!?」
梓「(母上!?)」
律「(や、やべえ!私たちまだ服着てねえし……!)」オロオロ
梓「(り、律先輩のお母さん!?どうしようどうしようなんて挨拶したら……!///)」
ドキドキ
母「りつー、いないのー?」トコトコ
律「(ま、まずい、こっちの部屋来るっ!)」
律「梓、とりあえずお前押入れの中入っとけ!」グイッ
梓「へ!?」ポスッ
ピシャンッ
ガチャ
律「か、母さん遅かったな、お、おかえり!」アセアセ
母「」
律「……」
母「……」
母「律、どうしてそんな格好してるの?」
律「え、えーっとその、暑かったっていうかー?」HAHAHA★
母「ふーん……私の娘ながら……アンタえろいわね♪」
律「!?」
梓「(お母様!?)」
律「……あの、母さん……」
母「あらやだ、私ったら間違えちゃった」
律「え?」
母「言っちゃだめって言われてたんだっけ。それで、梓ちゃんはどこ?」
律「!?」ビクッ
律「な、な、何で知って……!?」
梓「(超能力者ですかお母さん!?)」
母「あらやだ、また間違えちゃったわ」
律・梓「(何を!?)」
母「えーっと、こういうときなんて言うんだったかしら、そうそう、玄関にね、
靴が合ったから」ポンッ
律「し、しまったぁぁぁぁぁあ!」
梓「(……靴隠してましたけど。それに靴あっただけで私ってわかるわけない
じゃないですか)」
母「さ、もう隠さなくていいでしょ、梓ちゃんをさっさとお家に帰してあげないと」
律「う……」
梓「(なんか全部わかってるみたいな口調……。まさか見てたとかないよね。っていうか)」
梓「家に帰す!?」
ガラッ
律「あ、梓お前、バカっ!」アワアワ
母「こんにちは、梓ちゃん」ニコオ
梓「(な、な、何か笑顔が怖いんですけどお母さん!?)」
律「あーもう仕方ねえ……。……とりあえず梓、服着ろ」ポイッ
梓「あ……///」キガエキガエ
母「あんたもね」ペイッ
律「う……///」キガエキガエ
.
母「それで……」ズズッ
母「梓ちゃんのことなんだけど」ニッコリ
律「……なんだよ?」ムス
梓「(うわあ、なにこれなにこれ)」
母「うふふ」
梓「(何か誰かに似てる気がする……雰囲気が)」
母「まあそう怒らないで、沢庵でもどう?はい、梓ちゃん」
梓「あ、ありがとうございます」ポリポリ
母「琴吹マークの沢庵は美味しいわよねえ」ポリポリ
律・梓「」
律・梓「(まさか……)」
律「なあ母さん、どうして梓がうちにいるってわかったんだ?」
母「それは言わない約束してるから言えないの」ポリポリ
律「誰に言われた?」
母「秘密よー、そうねえ、沢庵さんってことにしといて」
梓「(もろ言ってるようなもんです、お母さん……)」
律「(……ムギ、何した何喋った何やった!?)」
母「それでね、話を戻すけど」
梓「はあ……」
律「ちょっと待った!ストップ!」
母「何よ~?」ムウ
律「母さんが何言おうとしてるのか知らないけどさ、梓に変なことだけは言うなよ!?」
母「変なことって?」
律「それは……」
律「(もしムギが母さんに関わってたんなら、全部知られてる可能性、あるし……)」
梓「(反対、されるんじゃないかな、やっぱり……さっきも家に帰すみたいなこと
言ってたし……)」
母「私はやっぱり反対よっ!」
律「ですよねー」
梓「」
律「」
梓「え、え?」
母「ってことだから、梓ちゃんにはお家に帰ってもらいましょう」ニコニコ
律「(母さん達が帰ってきたらそら帰ってもらうつもりだったけど……でも何で
そんな……)」
律「反対って、何でだよ!?」
梓「り、律先輩……っ」
母「だって、当たり前じゃなーい?そういうことに理解がないつもりはないけど、
やっぱり同性同士っていうのは、ねえ……?」
梓「……」
律「っ!」
梓「先輩、私帰りますね」スッ
律「梓!?」
母「ごめんなさいね、梓ちゃん」
梓「いえ、よく考えてみたらそうですよね、おかしいですよね。こちらこそ
すみませんでした」ペコッ
母「いえいえ~♪」
律「」
律「ちょ、ちょっと待てよ、梓!」
梓「……律先輩も御迷惑お掛けしてすみませんでした」
律「梓……」
梓「それじゃあ、お邪魔しました」スタスタ
ガチャンッ タタタッ
律「」
母「追いかける?」
律「!」
律「……当たり前だろ」ダッ
ガチャガチャバタンッ
母「あらあらうふふ」
ピリリリリ♪
母「あ、琴吹さん?ミッション成功よ♪」
『それは良かったです、お母さん♪また後日、りっちゃんの写真、送らせて頂きますね♪』
母「そうそう、それなんだけど、ついでに嫁の写真も宜しくね♪」
.
律「(梓足速ぇーなおい!くそー、どこ行ったかわかんねー……)」タタタッ
律「はあ……一旦止まるか……」ハァハァ
「そんなことないよ~」
「大丈夫だって!絶対似合う!」
律「(……あ!唯と澪!?ちょっと様子見てみるか……)」コソッ
唯「澪ちゃんこそ似合うよ、してみなよー!」
澪「いや、私じゃなくって唯がすることに意義があるんだ!」
律「」
律「(猫耳だと……?)」
律「よし、見なかったことにしよう。私の中の澪のイメージが崩れる」
澪「ってうわー、律!?」
律「あ、声出しちゃってた」アハハ
唯「りっちゃん、今までの見てたの?恥かしいよう///」
律「(おぉ、唯が珍しく真っ赤。いいもの見れた……って今はそんなこと思ってる
場合じゃなかった!)」
律「あのさ、澪、唯!梓見なかったか!?」
澪「え?見てないけど……」
唯「うん、私もあずにゃんは見てないよ?ムギちゃんならさっき見たけど。
そっちの草むらに隠れてビデオ撮ってたよ。何のビデオか知らないけど」
律「」
澪「」
律「……ドンマイ、澪」ポンッ
澪「知らなかったことにする……」ズーン
唯「ほえ?」キョトン
律「唯、お前の頭は平和でいいな……とりあえず私は梓を探すし、じゃあな」
ダッ
.
梓「(思わず出てきちゃったけど……どうしよう……。けどもう、戻りようもないし)」
梓「律先輩……」
梓「……うぅ」グスッ
「やっぱ子どもだなあ、梓は」ポンッ
梓「!?」
梓「り、り、律先輩!?」
律「まったく、足速いな梓……。おかげで探すのに苦労した」
梓「すみません……って、ここ謝るとこじゃないですよね」
律「そーそ」ニッ
梓「……律先輩」
律「なに?」
梓「抱き締めてください」
律「え……外だぞ?//」
梓「いいから」
律「……ったく……///」
ギュッ
梓「(律先輩のお母さんの言う通りだもん、やっぱり私たちの関係っておかしいんだ
よね……、だからもう……)」
律「これでいい?///」
梓「……先輩」グッ
律「梓?」
梓「私たち、もう……」
律「言っとくけど、別れましょうとかいうのは聞かねーからな」
梓「!」ビクッ
律「第一さ、親の言うことなんかいちいち聞いてられっかよ。ほっときゃいいし」
梓「でも……」
律「ごちゃごちゃ言わない。梓はさ、その……私の、嫁、なんだからさ///」
梓「自分で言って照れないで下さい恥ずかしい//」
律「仕方ねえだろー!こっちだってすっげー恥ずかしいんだからな、今の台詞!///」
梓「……」
律「……」
梓「」プッ
律「なっ!?///」
梓「なんだか……色々考え込んでたのがバカらしくなってきました」
梓「私、やっぱりずっと先輩と一緒にいたいです」
律「うん」
梓「ずっと律先輩と過ごして、それでいつか律先輩の立派なお嫁さんになってやるです!」
律「あぁ」ギュッ
律「帰ろう、私たちの家に、さ」
.
ガチャリ
律「ただいまーっ……と」コソコソ
梓「何こそこそしてるんですか、律先輩。まるで泥棒みたいじゃないですか」コソコソ
律「そういう梓こそ!」
母「あら、お帰りなさい」
梓「!?」ビクッ
律「うわ、出た!」
母「扱いひどいわよー、律。まるでお化けかと思って見てみると実は美人な隣の家の
近所の人妻だった、みたいな目で見ないでよ」
律「いや、見てねーし。そんな目で見てねーし」
梓「というかなんですかその意味のわからない喩え……」
母「まあひどい!それで?どうして戻ってきたの?」
律「……私と梓は」
梓「先輩!」ズイッ
律「梓?」
梓「お母さん、私、律先輩のことが好きです、大好きです、愛してると言っても
いいです!」
律「!?///」
母「ふんふん」
梓「律先輩に近付くために、酔ったふりしたりバカなこといっぱいしましたけど……
それくらい、律先輩のことが好きなんです!」
梓「だから……!」
母「だから?」
梓「律先輩を下さい!」フンスッ
律「」
母「」
律「(ちょ、ちょっと待て、私を下さい!?///まるで結婚を決めた二人が親に挨拶
するときの決まり文句みたいじゃ……、あれ?そうなの?これってそうなの!?)」
梓「(い、言ってしまったあぁぁぁぁ!///)」
母「……」
律「(え、何、なんなのこの沈黙!?)」
梓「(うわー、もう今度こそだめだ……!)」
母「高校生の分際で」フンッ
律・梓「」
母「羨ましいわねえーもう!いいわよ、もっとやりなさい!」
律・梓「え?」
母「別に元々反対はしてなかったわよう、ただ琴吹さんが面白いもの見れるって……」
母「あ、だめだめ、名前言っちゃったわ、琴ぶっきーさんってことにしといて!」
律「ムギ……」
梓「ムギ先輩……」
母「梓ちゃん、さっさと律を貰っていってよ。律を啼かせるのは澪ちゃんだとばっかり
思ってたんだけど……」
律「はあ!?///」
母「梓ちゃん、あんなふうにうちの子を啼かせるなんて、あなた、凄いわ!」
梓「えーっと……///」
母「あ、先に言っておくけどもちろん挙式は外国でね。琴ぶっきーさんがいつでも
準備万端よって言ってたわ。けど、するなら高校出てからにしてね?後、ヤるのも
いいけどちゃんと……」
律「わかったわかった!もうそれ以上言うな!」
梓「(やっぱり見られてた、見られてたんだ……)」ハハハ
母「それで、田井中梓?それとも中野律?どっちにするの、あなたたち?」
律・梓「(……勝手に話進んでる!)」
.
律「あー、やれやれ……」フゥ
梓「(やっと解放してもらえた……)」
律「(母さん、すっげーノリノリ……。けど、これでずっと梓と一緒にいれんのかな。
……まあ、梓の両親のことがあるけど。っていうかうちも父さんと聡帰ってきてないけど)」
律「ま、今はいっか……」ベッドダイブ
梓「……そうですね」ポスンッ
見詰め合う。
律「……なんか変な感じだな」ククッ
梓「そうですね……」フフッ
律「なあ梓……」
梓「なんです?」
律「愛してるぞ」
梓「……誘ってるんですか」
律「うん」
梓「バカ」
チュッ
終わる。
最終更新:2010年11月17日 00:36