お姉ちゃんが好きです。

いつもいつも笑顔で優しくて元気いっぱいで
あたたかいお姉ちゃんが好きです。

たまにお姉ちゃんは
憂は私の妹でよかったの?と言います。

お姉ちゃんは私なんか頭悪いし運動オンチだし
ドジだしいいところなんかないよ、と言います。

そんなことありません。
ドジだろが運動オンチだろうが
笑顔で優しくて元気いっぱいであたたかいお姉ちゃんが好きだから。
私はお姉ちゃんの妹じゃないといけません。

生まれたときからなかよしで
お姉ちゃんを大好きでいつづけます。

私の一日はお姉ちゃんのためにあると言ってもいいかも知れません。

毎朝起こすのが日課です。
寝ぼけ眼で大きなあくびをするお姉ちゃんがかわいすぎて堪りません。
お姉ちゃんのお世話をするのが私の生きがいとなっています。

お姉ちゃんのそばにいつづければ常にかわいいお姉ちゃんが見続けられ
笑顔を貰うことが出来ます。
お姉ちゃんの視線を感じると胸が温かくなり私まで笑顔になります。

ドキドキと鼓動が高まっていき気分が良くなるのです。

そして朝からハイテンションですね。

お姉ちゃんのかわいいところはそれだけではありません。
このボサボサの髪の毛もかわいいと言えます。

逆立った髪の毛は何故かお姉ちゃんにピッタリと言うほど似合ってます。
かわいいです。本当にかわいい……。

でもお姉ちゃんはイヤみたいなので髪の毛をキレイにします。
一人だと大変なので私も手伝ってあげます。

ちょっとクセッ毛だけどキレイでサラサラしているお姉ちゃんの髪の毛が大好きです。
昨日のシャンプーの香りが漂い、私を魅了してきます。

なのでついつい撫ででしまいます。

そうするとお姉ちゃんは凄い笑顔になって私の頭も撫でてくれます。

唯「ういは朝から甘えん坊さん?」

憂「んー……かな?」

唯「そうなら私がもっともっと頭撫でであげる」

そう言うと私をお姉ちゃんの胸に引き寄せ
もうこれでもかと言うほど頭を撫でてくれます。

頭からお姉ちゃんの温かい手が伝わり脳に直接刺激して
何ともいえない心地よさに包まれます。

憂「気持ちいい……」

その気持ちよさが私を二度寝へと誘ってくるようでした。
目を瞑ればお姉ちゃんに抱きついて揺りかごに乗っている自分が浮かびます。

ゆらゆらと揺れるけどお姉ちゃんが支えてくれて私を包んでくれます。
波の上に居る様にゆらゆら揺れる揺りかご。
お姉ちゃんと一緒に居るだけで私は幸せなのです。

唯「ういー?寝ちゃダメだよぉ。学校遅刻するよー」

お姉ちゃんの揺さぶられる感覚で目が覚めます。
もったいない。もっと一緒に抱きついていたい。
心からそう思います。

学校がたまに行くのがイヤになります。
お姉ちゃんと登校できるのは非常に嬉しいのですが
クラスが、学年が違うせいで一緒に居られる時間が殆どありません。

――寂しい。

この感情が私を襲い続けます。
授業中でも梓ちゃん達と喋っていても頭に、心に纏わり付いてきます。

振り払えたらどんなに良いことでしょうか。
多分、私の心が強くならないと出来ないことなのでしょう……。

まだまだ強がっても、周りから良い子、出来た子と言われても私は子どもなのです。

お姉ちゃんっ子で、お姉ちゃんが居ないと自我を保てない気がします。

強い子になればいいのでしょうが、どうすればいいのでしょうか。
私はお姉ちゃんと離れることなど毛頭ありません。

いつか梓ちゃんは言ってました。
姉離れしなきゃ――と。

しなければいけないのでしょうか。
私はしたくありません。離れると寂しさで死んでしまいそうです。

ウサギじゃないけど私にはお姉ちゃんが必要不可欠なのですから。

お姉ちゃんを見続けないと自分を見失ってしまいそうです。

だから私はお姉ちゃんと一緒に居続けます。
お姉ちゃんもそう望む限り……。

いつものように朝ご飯の準備です。
サラダを盛りつけ、トーストを焼き、飲み物の準備です。

――チンッ!

その音が合図で朝食のスタートです。

ニコニコ笑顔でトーストに大量のイチゴジャムをつけるお姉ちゃん。
付けすぎだよー、と私が言っても
おいしいからいいの、と笑っています。

このいつもの光景が楽しくいつも和みます。
幸せすぎて涙も薄っすらと出てきそうです。

唯「ういー?」

憂「ん?」

唯「ご飯おいしい?」

憂「うん。とーっても」

ご飯も食べ後片付けもすんだら登校の準備です。

憂「お姉ちゃん早くー」

唯「まってーもう少し」

憂「遅刻しちゃうよー」

唯「もう少しもう少し」

ドタドタと慌しく階段を駆け下り靴を履きます。
いつも変わりありません。
もう慣れた光景です。

唯「おまたせーー。行こう!」

憂「うん。いってきまーーす」

唯「いってきまーす!」

二人でピッタリ肩を寄せ、仲良く登校します。
私達は磁石のように引き寄せられ
吐息がかかる位の近さでお喋りをします。

時折お姉ちゃんの笑いで私の頬をくすぐります。
そしてお姉ちゃんの甘い息が鼻腔を刺激します。
甘くて極上のスイーツを思わせるお姉ちゃんの吐息。
思わず笑みが零れます。

唯「ういは朝から笑顔いっぱいだねぇ」

憂「うん!お姉ちゃんと一緒だから!」

唯「わぁ嬉しい。お姉ちゃんはいつでも一緒だからねーー!」

そしてぎゅっと抱きつかれました。
ふわりとお姉ちゃんからいい匂いが漂い
これもまた私を夢中にさせます。

憂「えへへ~」

短い登校時間を終え、私達は学校に着きます。
暫くの別れ。名残惜しいです。
でもまた会えます。

学校終わったら一緒に帰る約束をしました。
今日は部活が無いそうですから。
久しぶりに一緒に帰れます。
……嬉しい……本当に。

教室で梓ちゃん達とお喋りをしると予鈴が鳴ります。
家で復習をしないためにも授業をしっかり聞く必要があります。

家ではお姉ちゃんに集中したいからです。

四時限目を終え、お昼ご飯の時間です。
純ちゃんの所に集まりご飯を一緒に食べます。

梓「憂さ、今日唯先輩と一緒に帰るの?」

憂「うん。梓ちゃんは?」

梓「んー、止めとこう」

梓「たまには二人で帰ってもいいかもね」

憂「……うん、ありがとう」

気を使ってくれたのでしょうか……。
友達想いの良い親友です。

……最近お姉ちゃんと一緒に居られないって喋っちゃのが原因かな。
でも……ありがとう。

そんなこんなでお昼も終わり、後は午後の授業だけです。
あと少しで帰れます。
そうすればお姉ちゃんと一緒に居られます。
手をつないで、一緒に帰ろう。そう思います。

手をつなげばそこからお姉ちゃんの温かい想いが伝ってくる
そんな気がしてなりません……。
手を伝い、心臓まで辿り着くとそこから身体全体を温めてくれます。
そんなお姉ちゃんの手が大好きです。


さあ一生懸命授業を聞いて放課後を迎えよう。
あと少しだよ――がんばれ私。

ノートを取り先生の話に耳を傾け、集中すること50分。
終了の鐘が鳴ります。

来た!と心の中で思い、鼓動が早くなるのを感じます。
まだかなまだかなと急かす気持ちを抑え、HRが終わるのを待ちました。

「それじゃあ、今日はこれまで。来週今日やったところ小テストやるからなー」

クラスメイトがええーって嫌そうな感じで声をあげますが
今日の授業バッチリ頭に入っている私には問題ありません。

早くお姉ちゃんと一緒に帰りたい、そう思うばかりです。

憂「それじゃあ、私お姉ちゃんと帰るから。また明日ねっ!」

梓「うん、またねー。明日は部活あるからね。唯先輩にそう言ってね」

憂「うん!またねっ!」

純「おーまたね。気をつけて帰りー」

挨拶を済ませ、早歩きでお姉ちゃんの教室へ。

周りは上級生ばかりで少し緊張してしまいます。
少し胸がドキドキ。

あ、お姉ちゃんの教室発見。
入り口からそーっと中を覗きます。

……寝ていました。机に突っ伏して。

授業も終わったばかりなのに直ぐ寝るとは流石お姉ちゃんです。

ゆっくり近づいて、お姉ちゃんの前の席に着きました。
そして頭を撫でます。
良い夢を見ているのでしょうか。寝息も軽く聞こえ、心地よさそうです。

私は暫くそのままでいました。

そして日も傾き、部活動の生徒以外居なくなりました。
お姉ちゃんは起きません。

でもいいんです。お姉ちゃんが幸せそうだから。
そんなお姉ちゃんの頭をただただ撫でるのが私の幸せなのですから。

憂「えへへ。寝ているお姉ちゃん可愛い」

唯「んっ……あふ」

憂「あっ、起きちゃった?」

唯「ふぇ?私寝ちゃってた?」

憂「お姉ちゃん気持ちよさそうだったよ」

唯「外は……ああもう夕方だね」

唯「ごめんね、早く帰るはずだったのに」

憂「ううん、気にしないで、私はお姉ちゃんとここに居たかったから」

憂「寝ているお姉ちゃん可愛かった!」

唯「あははは」

唯「ふぁぁぁあ」

今朝にも負け劣らず大きなあくびです。
目に涙を溜めるお姉ちゃんが可愛らしいけど
ハンカチで目元を拭いてあげました。

唯「ありがとうーういー」

憂「どういたしまして」

唯「さあ、帰ろう。ういのおいしいご飯を食べにねー」

憂「うん!今日も腕を振るって作るよ」

憂「楽しみにしててね!」

唯「わーーーい!」

憂「でも、先にお買い物からかな?」

唯「お供します!荷物いっぱい持つよ」

憂「ありがとう……お姉ちゃん……!」

唯「さぁ、いこう」

そう言うとお姉ちゃんは手を差し伸べました。
私も意識する前に自然と手が出ていてお姉ちゃんの手を握ります。

――やっぱり温かい。

こうやって手をつなげばお姉ちゃんを感じられて
私は胸の高鳴りを感じられずにいられません。

胸が高鳴るのはお姉ちゃんが大好きだからでしょう。
お姉ちゃんだから大好きなんだと思います。
私が妹でお姉ちゃんがお姉ちゃん。

私はお姉ちゃんの妹で本当に良かったと思います。

ずっと一緒に居よう。
そうすれば好きなお姉ちゃんのぬくもりが感じられますから。

大好きなお姉ちゃんと一緒に居るだけで幸せを感じられるから。

――好き!好き!!大好き!!!お姉ちゃん大好き!!!!



                            おしまい



最終更新:2010年11月17日 04:09