梓「…歌詞、だよね。これりっちゃんが書いたの?」

律「おう」

梓「すごい。すっごくいいよ。それに…」

律「それに?」

梓「なんだかドキドキする」

律「ありがとう」

律「これはさ、梓の曲に私が考えた歌詞をつけて演奏できたら良いなって」

律「そう思って、梓のために書いた詩だよ」

律「梓を想って書いた、ラブソング」

梓「……ありがと」プイッ

律「どうした~?顔背けちゃって。顔赤いぞー」

梓「りっちゃん、ずるいよそういうの」

梓「ドキドキして、おかしくなっちゃいそう」

律「へへ」

梓「私も!」

梓「私もね、そうなんだよ」

梓「この曲のテンポもコードもメロディも、全部りっちゃんなんだ」

律「どういうことだ?」

梓「明るい曲調で、元気なリズムで、それでちょっと可愛い感じ」

梓「りっちゃんを想像しながら作ったんだよ」

梓「私達、通じ合ってるね?」

律「うわぁ、これやばいな。恥ずかしくて死にそう」

梓「でしょ」

律「関係隠すの限界かもな…。そろそろバラすか?」

梓「どうしよっか…」

律「もしかして気持ち悪がられちゃうーとか思ってる?」

梓「そんなことないけど」

律「心配ないと思うけどな。うちの女子高わりとそういうの多いし、
  あいつらだって問題なさそうだったぞ」

梓「そうなの?」

律「あぁ。この前だって私含めた4人で好みのタイプは?って話になってさ。
  澪は男は無理そうだったし、ムギは女の子しか見えてないみたいだったし、
  唯は可愛い人がいいだとか。選択肢に平然と女が入ってた」

梓「それもなんか…すごいね」

律「ていうわけで、バラさない?」

梓「おいおいね」

律「あずさぁ」

律「やっぱり寒いなぁ」

梓「だね」

律「ちょっと前まであんなに暑かったのに、いきなりだよ」

梓「でも私はこれくらいの気温でもいいかな。今年の夏は暑すぎだったよ」

律「まぁ梓は暑いの苦手だからな」

梓「え?別にそういうわけじゃないよ?」

律「だってほら、すぐ真っ黒になるじゃん」

梓「あれは焼けやすいだけだよ。りっちゃんは、黒くなった私嫌?」

律「いんや、あれはあれで良いと思うけど。ただ肌に悪そうだから心配だよ」

梓「じゃあ来年は日傘さして出歩くよ」

律「そうしとけ」

律「うぅ、さむっ。そろそろ帰るか?」

梓「もうちょっといようよ」

律「そうすっかー?あ、そうだ」

律「梓」

梓「うん?」

律「ちょいちょい、こっち移動」

梓「なに」

律「もっとこっち」

梓「え、近いよ?」

律「うん、だから」

律「梓、おいで」

梓「……はい」

律「少しは暖かくなったな」

梓「だね。身体くっつけて暖め合うって、すごく恋人っぽい」

律「もっとくっついてもいいか?」

梓「うん」

律「あずにゃーん!」ダキッ

梓「それ唯先輩の真似?全然似てないよ」

律「うぇー、マジか」ナデナデ

梓「りっちゃん、頭なでてくれるの気持ち良い」

律「梓なでられるの好きだなー」

梓「これ、すっごく暖かいんだよ」

律「そうなのか?」

梓「うん。胸がね」

梓「胸の内側から暖かくなって、身体全体にそれが広がるんだ」

律「…今私も暖かくなった」

梓「暖かい」

律「そっか」

梓「暖かいね」

律「うん」

梓「一緒に…」

梓「ずっと、一緒にいられるといいね」

律「そう…だな」

梓「私とりっちゃんなら心配ないけどね。なんて言ったって相思相愛相性ばっちり」

律「だな」

梓「…」

律「…」

律「梓」

梓「なぁに?」

律「こっち見て」

梓「うん」

律「目、閉じて」

梓「あ……」

律「私に任せて」

梓「うん…」

……チュッ

梓「…ファーストキス、だね」

律「あ、あぁ。そうだな」

梓「…なんで言いよどんだの?」

梓「りっちゃん今まで彼氏も彼女もいたことないって聞いたけど、嘘だったの?」

律「嘘じゃないって。梓が初めてだよ」

梓「彼女が初めてってこと?じゃあキスはお友達と?澪先輩?それとも誰々ちゃん?」

律「違うって、それも梓とが初めて」

梓「じゃあなんでさっき言葉詰まったの?」

律「いや、だからちがくて…」

梓「…なーんてね」

律「…へ?」

梓「私は今のりっちゃんが好きなの。軽音部の部長で友達が多くて、澪先輩と親友で」

梓「お調子者で頼り甲斐があって、かっこよくて、時々かわいい、私の恋人」

梓「私はりっちゃんが大好き。たとえファーストキスが貰えなくても…ちょっと寂しいけど」

律「梓…」

梓「だから!」

タッタッタッ

梓「これからもよろしくね、りっちゃん!」

律「あぁ!」

梓「また明日!部活で会おうね!」

律「またな!気をつけて帰れよ!」


律「あいつ、言い逃げしやがって…」

律「…ファーストキス、か」



翌日!放課後!部活!

梓「ねぇ、りっちゃん」

唯「あー!またりっちゃんって言った!」

律「もうダメダメじゃねぇか」

梓「あの、えっと今のは…」

紬「りっちゃん、梓ちゃん。ずばり聞いちゃうけど」

律「なんだ?」

紬「律梓なの?梓律なの?どっちなのかしら」

律「は?え、どういう意味だ」

梓「……り、律梓です」

紬「やっぱりそうなのね!よかったわ~」

澪「よく分からないけど、律と梓が付き合ってる…ってことか?」

梓「澪先輩、あの…」

律「もういいだろ、梓。平気だよ」

律「そうだよ、私達お互い好きで付き合ってる」

律「愛に年齢も性別も関係ないんだぞ!」

澪「最近そわそわしてると思ってたらそういうことだったのか。もっと早く言ってくれれば良かったのに」

律「いやぁ、いつバレるかっていうスリルがたまらなくて」

澪「アホか。とにかく、おめでとう。二人とも」

紬「おめでとう~」

唯「おめでとう!」

梓「あ……」

律「ありがとさん。ほら、梓」

梓「…はい、ありがとうございます」

澪「良かったな、律。梓が入部してからずっと可愛い可愛いとは言ってたけど、念願叶ったというかなんというか」

梓「え!澪先輩、それもっと詳しくお願いします!」

律「うわぁ!やめろ澪!」

梓「りっちゃんうるさいよ、ちょっと黙ってて」

唯「ほぇ~なんか新鮮だ~」

紬「あら…これもなかなかいいわね」

唯「あぁ、思い出した!憂が言ってた、律さんと梓ちゃんにおめでとうって伝えておいてっていうのはこれのことだったのかな?」

梓「バレてた!?」

澪「それにしてもこんな身近にカップル誕生か。歌詞の参考にしてもいいか?」

律「おいおい、だからそういうのがさ…」

梓「いいですよ、どんとこいです!」

律「梓?」

梓「私、今とても幸せです。大好きな人と一緒になれて、好きな人たちに祝福してもらって本当に嬉しいんです」

梓「だからこの気持ちが役に立つのならどんどん使っちゃってください」

梓「気持ちが、溢れて溢れて、止まらないんです」

唯「うわぁ、あずにゃんが変わっちゃったよ~…」

紬「愛って素晴らしいわ…!」

律「まぁ、ほどほどにな」

梓「ほどほど?何言ってるのりっちゃん!私達が世界一のカップルだ、くらい言っちゃってよ!」

澪「梓…すごいな」

梓「先輩達、ごめんなさい。これが私なんです。りっちゃんのことが好きで好きでしょうがないんです」

梓「だから、りっちゃんもう一回ここで言うよ。もう何回も言ったけど、止まらないんだ」

梓「りっちゃん、大好き!」





おまけ


~中野家~
ピンポーン
梓(来た…うっ、気持ち悪い)フラフラ

梓(私の家ってこんなに歪んでたっけな)ノロノロ

梓「はぁーい…」ガチャッ

律「あ、梓!?ごめん、親が出ると思って」

梓「いえ、気にしないでください。今両親は、あの、音楽のあれで、えっとなんだったかな…」

梓「まぁいいや…先輩方上がってください」

律「あー、私しかいないんだ。みんなで押しかけたら迷惑かなと思って」

梓「あぁ、そうなんですか。ご配慮ありがとうございます。何か飲み物飲みますか…?」

律「いやそういうのいいから!早く横にならないと」

梓「すみません…」

梓「ありがとうございます。だいぶ楽になりました」

律「そんな状態で立つなよ…まぁ私が悪いんだけどさ」

梓「…」

律「…」

梓「あの、律先輩」

律「なんだ?辛かったらしゃべらなくていいぞ」

梓「いえ、平気です。手を握ってもらってもいいですか?」

律「ああ、そんなことなら全然」

ギュ

律「熱いな」

梓「先輩の手、冷たいです」

律「梓が熱いの。何度くらいあるのかな」ピトッ

梓「あ…」

律「結構高いなー、薬飲んだか?」

梓「律先輩、額気持ち良いです」

律「そうか」

梓「手置いててもらって良いですか」

律「うん、いいよ」

梓「気持ち良い…」

律「…」

律「梓…ごめんな」ナデナデ

梓「どうしたんですか」

律「ごめん」

梓「やめてください」

律「ごめん」

梓「やめてっ」

律「…ごめん、な」

梓「謝らないでよぅ…」

梓「うぅ……はぁはぁ…」

律「梓、平気か?」

梓「つらい…苦しいよぉ…」

梓「律先輩…」

律「うん」

梓「私、私じゃ…」

梓「私じゃ…ダメですか?」

律「…」

梓「私好きなんです…律先輩のことが。どうしようもないくらい好きなんです…」

律「…梓、今までごめんな」

梓「なんですか、それ…」

律「聞いて、梓」

梓「いやだ、いやですよ律先輩…」

律「梓」

梓「やだやだ、そんなのやだよ…」

律「梓、落ち着いて」

梓「うぅ…」

律「よく聞いてほしいんだ」

梓「…」

律「梓、私と付き合ってくれ」

梓「…うそ」

律「本当だよ。私、梓のことが好きなんだ」

梓「うそ、嘘だよそんなの」

律「今までのこと謝らせてほしい」

梓「…」

律「待たせちゃって、ごめんな」

律「自分の気持ちに嘘ついて、ごめん」

律「素直になれなくて、ごめん」

律「梓のこといっぱい傷つけちゃって、本当にごめん、な…」

梓「うぅ、ばかぁ!」ガバッ

律「うおぉ!?」 バタン

律「いててて…。梓、平気か?」

梓「はい、大丈夫です。いたっ、頭が痛いです…」

律「ばか、そんな身体で無茶するから」

梓「いいんです。律先輩が受け止めてくれました」

律「…そっか」

梓「律先輩、私と付き合ってくれるって、私が好きだって、本当ですよね」

律「ほんとだって」

梓「嘘だったら酷いですよ。もう取り消しはききませんから」

律「嘘じゃないよ」

梓「うぅ、律せんぱい~…」ギュッ

律「泣くなよー」ナデナデ

梓「泣いてないです…」

梓「律先輩、もう少し抱きついててもいいですか」

律「いくらでもどうぞ」

梓「ありがとうございます。あと頭なでててくれると嬉しいです」

律「はいはいお安い御用で」ナデナデ

梓「気持ち良いです…」

律「そっか」

梓「…」

律「…」

律「…?」

律「梓?」

梓「…」

律「おーい、あずさー」

梓「すー…すー…」

律「え、寝ちゃった?」

律「梓、ほらベッド戻らないと」

梓「うぅん…」

律「熟睡してるよ…」

梓「すー…」

律「帰っちゃうぞー」

梓「すー…」

律「帰るわけないだろー!」

梓「すー……」

律「あずさー寝てんのかー」

梓「すー……」

律「梓…」ナデナデ

梓「すー…すー…」

律「可愛い…」

梓「すー…すー…」

律「…」

…チュッ



おしまい



最終更新:2010年11月24日 03:11