憂「え、急にどうしたのお姉ちゃん・・・?」
唯「憂はいいよね、勉強も家事もできて、知ってるよ憂ってよその学校の男の子からも声かけられるんだよね」
憂「お姉ちゃん・・・一体どうしたの・・・なにかおかしいものでも」
唯「それなのに私みたいな姉がいて・・・バカにしてるんだよね・・・」
※
憂「そんなことないよ!バカになんかしてな、」
澪「もう正直に言ったらどうだ?憂ちゃん」
憂「澪さん!?どうしてここに!?」
澪「実は前から唯に相談を受けてたんだ」
澪「憂ちゃんが唯の事、バカにしてるんじゃないかって」
憂「えっ・・・ そうなのお姉ちゃん?」
唯「・・・・・・」
澪「なぁ、憂ちゃん 本当の事言ってあげてくれないか?」
憂「え・・・ でも私、本当にそんなこと・・・!!」
紬「唯ちゃんは“今”苦しんでいるのよ!」
憂「ムギさん!?」
紬「私も相談を受けていたわ 唯ちゃんは相当深刻に悩んでいるのよ」
紬「あなた分かってるの!?あの唯ちゃんがお茶の時間を割いてまで私達に相談してたのよ!?」
紬「そのせいで部室のムードは最悪よ 私の唯一の楽しみの時間が、あなたのせいで台無しになっちゃってるんだから!」
澪「む、ムギ それは言いすぎだろ・・・」
憂「そ、そんな・・・お姉ちゃん」
唯「・・・・・・」
紬「・・・ねぇ憂ちゃん、正直に言ってあげて?」
憂「え・・・?」
紬「あなた、唯ちゃんの事、出来損ないの姉だって本当は思ってるんでしょ?」
憂「!!」
紬「お姉ちゃんなのに、自分よりも頭は悪いし、洗濯・掃除・料理、家事の1つも出来やしない」
紬「確かにそれじゃあ、憂ちゃんがバカにするのも分かるわ」
紬「でも、そのままでいいの?唯ちゃんにはっきり言ってあげなきゃって思わないの?」
紬「このままじゃ唯ちゃんのためにならないのよ?いつまでも憂ちゃんがお世話してあげるの?」
憂「そ、それは、、」
紬「それとも、今のまま哀れな姉を心の内で哀れんで、自分が優位に立って見下していることの方が楽しい?」
憂「だから私、そんなこと思ってません!」
紬「いいえ私には、今のあなたが猫を被っているように見えるわ」
紬「まるで、このまま唯ちゃんをダメ人間に育て上げようとしているように見える」
紬「そんなの、そんなのずるい!!」
律「これこれムギー!欲望混じってるぞー」
憂「律さんまで!?」
律「ごめんな憂ちゃん でも、部員の悩みは放っておけなくてね」
律「だってだって部長だもーん♪」
澪「それが言いたかっただけだろ」
律「まー、でもさ、私も弟いるから少しは唯の気持ち分かるんだよなぁ」
律「うちの場合は憂ちゃん達みたいに歳近くないからそこまで感じないんだけど、」
律「なんつーかぁ・・・危機感?みたいなの?」
律「弟が・・・聡がさ、テストでいい点取ったりすると、あの頃の私はこんなに頭良くなかったなーとか、」
律「あと、親に誉められてるとこ見たりするとさ、なんかこう、胸焼けみたいのがさ」
憂「誉められると・・・?」
律「お、なんか心当たりあるか?」
梓「唯先輩の場合はありすぎます!」
憂「あずさちゃん!?」
梓「ごめんね憂・・・ 私もみなさんと同じで、相談を」
憂「そ、そうだったんだ、、」
律「まー確かに、唯は誉められることなんかなさそうだよな」
律「皿洗ってるとこなんて想像もできないし」
憂「・・・・・・」
律「だからさ、憂ちゃんが唯に率先していろいろやらせてやんないと」
憂「・・・・・・はい」
澪「そうだな、少しずつ教えていってあげれば、唯にだってできるよ」
梓「頑張って憂!わたしも困ったことあったら手伝うよ!」
憂「あずさちゃん・・・ みなさん・・・ありがとうございます」
律「うんうん、よぉーし!そうと決まればこれからみんなでメシでも食いに行こーぜー!」
澪「たく律ったら・・・ 梓どうする?」
梓「私は大丈夫ですよ ムギ先輩は?」
紬「もちろん行くわ!そして今後の対策を立てるのよ!みっちりと!」
梓「・・・・・・」
梓「だってさ、憂」
憂「・・・ムギさん」
紬「憂ちゃんだけに唯ちゃんを渡すわけにはいかないもの・・・///」
憂「・・・ありがとうございます///」
律「うし!じゃあ行くか!唯も行くぞー」
唯「・・・・・・かない」
律・澪「あ?・え?」
唯「・・・私行かない!」
律・澪・梓「えええええええ」
憂「お、お姉ちゃん・・・!?」
律「な、何言ってんだよ唯ー」
澪「これで解決したんじゃないのか?」
唯「私、憂に教えてもらうなんて言ってない!」
律「いや、でもさ、そうでもしないとお前の悩みは解決しないだろ?」
梓「そうですよ先輩!いきなり料理なんて無理に決まってます!」
梓「ゆっくり憂に教えてもらえば良いじゃないですか!?」
澪「そうだぞ!洗濯機の回し方、分かるのか唯!?」
唯「・・・そうじゃない!そうじゃないよ!」
唯「私は姉だもん!憂のお姉ちゃんだもん!」
唯「憂に・・・お姉ちゃんらしいこと・・・してあげたいんだもん・・・」
梓「・・・せんぱい」
唯「私・・・憂に全部やってもらってばっかりだから・・・」
唯「少しでも憂の負担を減らしたくて・・・手伝おうとしても失敗して・・・」
唯「逆に憂に面倒増やすばっかりで・・・わたし・・・お姉ちゃんなのに・・・」
憂「・・・・・・おねえちゃん」
唯「それでも憂は・・・わたしを怒らないで・・・笑顔で慰めてくれるから・・・」
唯「だから・・・本当は・・・わたしのこと・・・邪魔だと思ってるんだって・・・」
唯「馬鹿にしてるんだって・・・!!」
憂「そんなことない!そんなことないよ!お姉ちゃん!」
唯「だったら本当はどう思ってるの・・・ 憂・・・」
唯「わたし・・・もう・・・わかんない・・・ わかんないよ・・・うい・・・」
――――
澪「本当にあのままにして良かったのかな・・・」
律「いいんだよたまには 兄弟ってのはそういう時があるんだよ」
律「見ないふりしてきた現実に向き合う時が唯にもきたんだろ」
澪「経験者は語る・・・だな」
律「そんなじゃねーやい」
梓「あれ?ムギ先輩いませんよ?」
澪・律「あ」
――――平沢家
憂「わたしの知らないところで、お姉ちゃん・・・悩んでたんだ」
憂「それなのに私・・・気付いてあげられなかった・・・!!」
憂「・・・ごめんね・・・ごめんね・・・」
紬「大丈夫よ 憂ちゃん」
憂「ムギさん・・・?」
憂「あれ、みなさんと一緒に帰ったはずじゃ・・・」
紬「私に良い考えがあるわ 唯ちゃんは今お部屋?」
憂「・・・良い考え?」
――――
紬「とにかく今日のとこはこのままにして明日放課後に実行よ」
憂「・・・こんなことで本当に上手くいくでしょうか・・・」
紬「大丈夫、私を信じて 必ず成功するわ」
憂「うう・・・・・・お姉ちゃん」
紬「憂ちゃん、あなたがそんな弱気でどうするの!?唯ちゃんと仲直りしたいでしょ?」
憂「・・・・・・はい、わたし 私、やります!」
紬「・・・・・・よろし」
――――次の日の放課後
澪「本当に上手くいってるんだろうなあムギ」
紬「まかせて!今頃はきっと・・・フフフ」
律「嫌な予感しかしねー」
梓「でもいいんですか?それじゃあ先輩達のためにならないんじゃ・・・」
澪「確かに、二人の問題なわけだし、二人が解決の糸口を見つけ出さないことにはこれからも同じ事の繰り返しじゃ」
律「っていってもなー、唯のやつ今日は休んだし、きっと昨日のまんまなんじゃねーの」
梓「憂もかなり落ち込んでましたし」
紬「とにかく、唯ちゃん家に行けば分かるわ!」
――――平沢家
紬「さぁ、入って」
律「いいのかぁ?勝手に」
紬「昨日、憂ちゃんから許可は取ってあるわ!さぁさぁ!」
梓「お邪魔しまーす・・・」
澪「な、なんだこの臭い・・・」
律「すっげぇコゲ臭い・・・」
澪「早速、憂ちゃんが唯に教えてるんだな・・・これは」
紬「さぁ、どうかしら♪」
唯「みんないらっしゃい」
律「おう唯、もう仲直りしたのか?」
唯「うん!私ね、しっかりお姉ちゃんしてるんだよ!」
澪「それは良かったなー ・・・ところでこの臭いは?」
唯「エヘヘヘ・・・/// 憂がね・・・妹がお腹空いたって言うからご飯作ってあげてるの」
梓「い、いもうと!?」
憂「お姉ちゃーん、ご飯まだー?」
唯「ごめんね憂、もう少しでできるからねー♪向こうでアイス食べて待ってなさいねー♪」
律「こ、これは・・・!!」
紬「・・・・・・♪」
澪「うわあ・・・唯の家、こんなに散らかってたっけか・・・」
梓「前来た時はこんなに汚くなかったはずですけど・・・」
憂「おねーちゃーん、みかん食べたい 皮むきむきしてー」
唯「しょうがないなあもう♪ はい、あーん」
憂「もぐもぐ・・・ おいしぃ///」
唯「良かったね憂♪もっと食べる?」
憂「もーいらなーい お姉ちゃん遊ぼう♪」
唯「うん、ちょっと待っててね ご飯作ったら、洗濯物取り込まないとだから」
憂「うー はやくー はやくしてよー」
澪・律・梓「・・・・・・」
澪「なるほど・・・憂ちゃんが全力で妹を演じてるってわけか」
梓「それにしても妹の定義がおかしいですが・・・」
律「まぁ、これはこれで・・・ 憂ちゃんも自然とやってるように見えるのが怖いが・・・」
憂「おねーちゃん、まだー?お腹空いたよー!遊ぼうよー!」
唯「はいはーい、ちょっと待ってねー!すぐ行くからねー!」
紬「どう?唯ちゃん、お姉ちゃんは?」
唯「うん!忙しいけど、凄く楽しいよ!お姉ちゃん頑張るよ!」
紬「それは良かったわ♪」
憂「おねーちゃーん?」
唯「はーい、お姉ちゃんですよー♪」
おわり
最終更新:2010年12月03日 02:07