唯(ティッシュで吸いきれないほど鼻血を出したんだ…)バタバタッ

唯(ホントに病気じゃないよねえ……?)フキフキ

澪「チィコワイチコワイチコワイチコワイ」ガタガタガタ

唯「拭いたよー、澪ちゃんこっち向いてー」

澪「…ふぅ、ごめん…」

唯「はい新しいティッシュ詰めるよ」ズポッ ズポッ

澪「ん…」

唯「…ねえ澪ちゃん」スルスル

澪「ありがと。なんだ?」

唯「ティッシュを鼻に詰めて告白する人って珍しいよね」

澪「   」

唯「もしかして澪ちゃんが初めてじゃない?」ニコニコ

澪「   」

唯「すごいシュールだよね♪」

澪「やりなおそう!! やりなおすぞ! ほら正座してくれ!!/////」ガシッ!

唯「肩掴まないでいたいいたい!」



――一件落着。澪ちゃんはベッドに顔をうずめてうめいてる。私は座ったままその様子を楽しんでた。
お泊りしていきたいな……そういえば。

窓の方を見た。

雨はまだ降ってるんだ。ザーって音が部屋に届く。


雨、か。


澪「ふぅぅ…///」クルッ

唯「……」ジー

澪「ん、どうした?」スクッ

まだ顔の赤い澪ちゃんが隣に座る。もちろん足を崩して。

唯「雨って不思議だなあ、てね」

澪「雨?」

唯「うん」

ティッシュを外して澪ちゃんがキョトンとした。

唯「その時の気分で雨の印象が変わるんだよ」

澪ちゃんに突き飛ばされちゃった最初の日の雨。みんなの励ましを台なしにした雨。不安でいっぱいだったね、わたし。

今日早退した時の雨。私の涙が一緒に降ってきてる、そんな雨。あの犬さんも悲しかったのかな…?

そしてあずにゃんに助けられた時の雨。いかにも私の行く手を阻んでる雨。そんななかを迷わず走り抜ける私、かっこいい…なんてね♪

今となってはいい思い出だね。

澪「なんだ唯、詩人に目覚めたのか?」

唯「そんなんじゃないよぉ」

唯(たしかに私らしくないね、こんなこと考えるなんて)

澪「あっ」

唯「どうしたの?」

澪「みんなに伝えないと」

澪「…私たちのことさ///」

唯「あーっそうだね、私もあずにゃんにお礼言わないと」

澪「……梓には感謝してもしきれないな」

唯「うん! …ん?」

唯「ちょっと待って」

澪「うん?」


唯「もしかしてさ」

気になってたみんなのあの妙な態度。それの謎がすべてわかってしまった気がした…。

唯「りっちゃんとムギちゃんも澪ちゃんの気持ちを知ってるの?」

澪「うっうん、私が相談したんだ///」

唯「…憂にも?」

澪「…うん///」

唯「なにそれ!? 私以外みーんな知ってたの!?///」

澪「うん///」

唯「一人で悩んでた私がバカみたーい!!///」カミ ガシャガシャァ!

澪「ほんとうにごめん!!///」ドゲザ!

みんなの言う『心配すんな』の意味をとーっても理解したあと。

澪ちゃんの携帯でりっちゃん、ムギちゃんに電話した。私の携帯は故障して電源がつかなかった。

二人とも私達の行方を見守ってくれるみたい。りっちゃんにはからかわれながらも、最後にありがとう、て伝えた。ムギちゃんは気の早すぎる話を始めたから途中でブツ切った。

今は澪ちゃんから先にあずにゃんと話してる。

澪「あの時は電話切ってごめんな」

唯「♪」

澪「ぐっ…けっこうクルよその言葉…」

唯(澪ちゃんも言われたんだ)

澪「いやこの結果でいいんだよ」

澪「ふふっ♪」ニコッ

唯「!」ドキッ


澪「いっいいじゃないか! 大進展だろ!」

唯「…」ジー

澪「わー! そんなこと今できるわけないだろ!///」アタフタッ

唯(あらためて見ると、澪ちゃんは本当に可愛い)

唯(こんな可愛い人に愛されるのって)

唯(こそばゆーい♪)ソワソワ

澪「笑うな! 律みたいなこと言うんじゃない!///」ガー!

唯(♪~……)

澪「いやそこまでショック受けなくても…」

唯(ていうか緊張してきた…)ドキドキ

いまさらだけどね。

澪ちゃんの私を見る目は昔と違う。そんなそぶりは…あったかも。6月の頭から、澪ちゃんと目が合いやすくなった気がする。

それよりほんと、これからが不安かも。一度意識しちゃったからか、体にいらない力がかかってる気がする。
今まで通りに接する……できるかな?

今まで通り…つまりありのままの私、だよね。

普段の私だと…………

あっ。


かわいいもの好き。


ということは……でも待って。

抱きついたらまた突き飛ばされちゃったり…。

……あれ?

澪「そうだ、ムギと似たことを言って」梓「そんなわけないでしょう!!!?」澪「うわああ!! 大声出すな!」

唯(べつに澪ちゃんは嫌がってるじゃないんだよね?)

唯(むしろうれしいって言ってた!)

澪「悪かった…私が悪かったから…な?」

唯「……フフフッ」ニヤーリ

澪「今日の梓のキャラ…違くないか? ……わたしがヘタレなだけか…うん」

唯(澪ちゃんはこっち向いて話してる……よし!)

唯「みーおちゃん!」ダキッ

澪「わっ!?///」ドサッ

唯(抱き着くつもりが押し倒しちゃった)

唯(まあいいや)ニヤッ

澪「ゆっゆい! 今電話中だから!///」

唯「わたし、かわいいものが大好きなんだー♪」

澪「なっ!? はっ離れてくれ!///」

唯「えー? ほんとはうれしいんでしょ」ニヤニヤ

澪「そういう問題じゃない!///」

梓「なんだ本番始めるんですか、切りますね」ブツッ

澪「ちがう!!/////」
唯「わーお///」

澪「とにかく離れて!///」

唯「いいではないか~」ホオ スリスリ

澪「あぐっ/////」プルプル

唯「あったかーい」スリスリー

澪「こんのばかああ!!/////」ゴンッ!

唯「いたい! あたまぶったー!」

うん、これがありのままの私♪
そして澪ちゃんは照れ隠し屋さんです。

このあと澪ちゃんがまたベッドに顔をうずめたので、あずにゃんに電話をかけ直した。

唯「ありがとね、えへへ」

梓「まったく…唯先輩って本当に鈍感ですね…」

唯「それ二人にも言われたよぉ、えへへ」

梓「そりゃ言われますよ」

唯「ねえねえ、あずにゃんは恋愛経験あるの?」

梓「いきなりですか。残念ですけど私みたいな体型は需要がないみたいです」

唯「えっなんで? 小さくてかわいいよ? 」

澪「!」
梓「! …ありがとうございます」

梓「それより唯先輩……?」
澪「……」ジー

唯「なーに、えへへ」
澪「……」ジー

梓「気色悪い笑いはともかく…今のうちに誤解をといた方がいいかと」
澪「……」ジー

唯「へっなんの?」
澪「……」ジー

梓「…そこまで鈍感ですか…澪先輩は今なにしてます?」
澪「……」ジー

唯「ふぇっ澪ちゃん?」クルッ

唯「わっなにそんなにらんでるの!?」

澪「……だって唯が梓を…かわいい…て…グスン」

梓「だから言ったじゃないですか」

唯(澪ちゃんみたいな人って…たしか名前があったような…)

唯「ごめんね澪ちゃん、あずにゃんを好きになったわけじゃないから」

澪「…ほんと…?」ウルウル

唯(もえもえ~っきゅん♪)

唯「大丈夫! 浮気なんてしないから!」

梓「まだ付き合ってないですよ」
澪「よかった」パァア

唯「それもそうだね、てへっ」

唯(あれ、もしかして)

唯(澪ちゃんってめんどくさい人なんじゃ……)

唯(まいっか、ふふっ)

ドア「バアン!」

憂「おねえちゃん!!」
澪「!」ビクッ
唯「あっ憂ー」ニコッ

唯「よくわたしのいるところがわかったね」ニコニコ

憂「梓ちゃんに聞いたの!」

澪「……」ビクビク

唯「そっか」ニコニコ

唯(ほんと澪ちゃんと仲直りできてよかったよ~ふんふん♪)ニコニコ

憂「…」ムゥー

澪「あっあの憂ちゃん…」ビクビク

憂「なんですか?」ニコッ

澪「ヒッ!……相談に乗ってくれてありがとう…」

憂「はいお幸せに!! それよりお姉ちゃん!」

唯「はーい」ニッコリン
澪「おしあわせに…///」

憂「そこに正座して! 言いたいこといっぱいあるんだから!」

唯「わかったー♪」ヨイショ

澪「ずっと笑顔な唯…かわいい///」

唯「憂ー、澪ちゃんにかわいいって言われたー!」ニマー

憂「っ…マジメに聞いて!」

澪「ごめん…」
唯「はいはーい」ニーッコォリ

憂「今8時だよ! なんで私に連絡しないの!」

唯「ごめんごめん」ニヘラー

憂「それに一階の廊下がびしょびしょ! タオルはかばんに入れて登校して、て朝言ったのに!」

唯「ごめんねー」ニマニマ

憂「あと置き傘はどうしたの!? 傘は壊れたから持ってって言ったよ!」

唯「えへー」ニィー

澪「わたし…部屋の外で待ってるよ…」ソローリソローリ

憂「なに言ってるんですか澪さん」カタ ガシッ

澪「はいぃ!?」クルッ

憂「お姉ちゃんの叱り方を教えますからちゃんと見ててください」ニコッ

澪「  」コクコクコクッ!

憂「ほらお姉ちゃん聞いてる!?」

唯「ごめんねうん」ペコチャン

憂「……」ジー

澪「はわわわ」アセアセ
唯「どしたの憂ー」ニコチン

憂「おうちのアイス、全部捨てるね」

唯「はっ!? ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」ドゲザゲザゲザ

憂「こんな感じです、わかってもらえました?」

澪「簡単…」


――結局説教の内容はさっぱり覚えてない♪
ずーっとふわふわな気分だったんだもん。
仲直りどころかカップルになれちゃうかもって思うとさ。

まあ

唯「まずは私の気持ちを決めないとね」

憂「なにか言った?」

唯「なんでもなーい」ニコッ

憂「?」

憂「ならいいけど」ニコッ

今は怒りきってご機嫌な憂。私達は相合い傘で帰宅中。
雨は行きと違って静かに降ってる。感傷に浸るにはもってこいの音だよ。

ほんとうはお泊りしたかったけど。明日も学校があるし、しかたないや。
それに、澪ちゃんが笑って見送ってくれたからね♪ 帰る時になぜか羨ましそうに見つめられたけど。

唯「ふんふんふん♪」

憂「よかったねお姉ちゃん」

唯「うん! だからもうあんなうれしい事、隠さないでね?」

憂「はーい♪」



――気持ち良く目覚めた朝。うん快晴だ。
憂も驚くほど私は早起きした。それでいつもより早く登校できた。

というのも携帯が壊れてて、夜は澪ちゃんと話せなかったんだよね。
だから欲求不満を晴らすべくノリノリで教室に着いた。

……なのに澪ちゃん達がまだ学校に来てない。ぶぅ。

しかたないから自分の席で和ちゃんと話すことにした。

唯「おはよー和ちゃん」ニコニコ

和「3回目の挨拶でやっと反応したわね」

唯「あれそんなに?」ニコニコ

和「ええ、唯らしい顔してたわ」

唯「やだなー可愛いだなんて~」テレテレ

和「あんたねえ……」

和「それで昨日はどうしたのよ? 澪となにかあったみたいだけど」

唯「澪ちゃん来たの!」ガタッ!

和「いやまだよ」

唯「ちぇー」トスッ

和「だから昨日の話よ昨日の」

唯「えーどうしよっかなー♪」ニッコニッコ

和「いちいちムカつくわね。その様子だと話しても大丈夫でしょう? 憂は直接聞けって言うし」

唯「んー、あんまり言いふらしたくないな~。まいっか」

唯「実はねえ・・・」ニヤニヤ

和「もったいぶらなくていいから」

唯「澪ちゃんから告白受けちゃいましたー」ニッコニッコ

和「え゛っ」
唯「あっ澪ちゃん!」ガタッ

澪「二人ともおはよう」

唯「みーおちゃーん!」ダキッ

澪「あっこら!///」

唯「ほれほれー」ホオスリスリ

澪「あんもぉ! からかうな!///」ゴンッ

唯「いたい! あたまぶったー!」パッ

澪「うるさい!///」

律「私のポジションがなくなっちまったぜ」

唯「あっりっちゃんおはよー! そしてありがとー!」

律「へへっわたしのありがたみがよくわかっただろ?」

澪「それは梓だろ」

律「ぐさっ」

紬「あっ三人ともおはよう」

澪「おはよう」
唯「おはよー!」

紬「で、二人ともどこまでいったのかしら!」


――ムギちゃんのたわごとは無視するとして。
放課後部室であらためて、澪ちゃんと二人であずにゃんにお礼を言った。
情けない先輩達だ、て飽きられちゃった。でも憧れの人達でもある、て言ってくれた。照れますなぁ♪

唯「みーおちゃん」

澪「もうからかわないでくれよ? なんだ?」

唯「呼んでみただけー♪」ニコッ

澪「!/// からかうなって言ったよなあああ!!」ダッシュ!

唯「逃げろ~」タッタッタッ

梓「今度は痴話ゲンカですか」

律「部室の中走り回るとか…バカップルめ」

梓「おお、唯先輩ってフェイントうまいですね」

紬「みんなーお菓子おまたせ」コトッ

律「おおっホールケーキうまそうだな、てあれ?」

律「ムギ、さわちゃんの合わせてもフォークが5本しかないぞ?」

紬「ふふふ♪」

梓「あー……私が唯先輩と席替えますね」ガタッ

律「あっなるほどな、二人がどうするか見物だな」ニヤニヤ

唯「わ~…クシュン!ッ」タッタッ

澪「つっかまえた!」ゴチンッ

唯「またあたまぶったー!」

END



最終更新:2010年12月06日 00:16