澪「そういえば何で缶コーヒーの缶ってデコボコしてるんだろ?」
律「でこに宛がうためじゃね?」
唯「はっ!これならあったか~いのもつめた~いのもピタれるね!」
梓「強引に話を戻しましたね」
紬「自販機って缶コーヒー多いわね」
澪「場所によってはコーラとポカリだけだよね」
紬「ボスがいっぱい…」
唯「船頭多くして船山に登る、だね」
律「やっぱ下っ端はお茶なのかな」
澪「おーい、お茶くん、お茶汲んできて」
梓「…ぷっ」
律「梓ちゃーん?」
梓「…くしゃみです」
唯「あずにゃんさっきから風邪とかくしゃみとか大丈夫なの?」
梓「ええ、私の都合による一過性の風邪ですから」
唯「でも心配だから私が検査をしてあげよう、オデコだしてー」
梓「ひゃあ!唯先輩の手冷たっ!」
唯「私の手冷たっ!」
澪「見事に自滅したな」
律「そういえばムギの手は暖かかったよな」
紬「う、うん」
澪「大丈夫だムギ、調べたところ手が冷たい人は心が暖かいって言うけど
手が暖かい人も心が暖かいそうだ」
紬「そうなんだ!」
律「どっちだよ」
唯「人の心なんて体温じゃ測れないってことだよ」
律「でさー、ムギが私のでこに手を当ててたら暖かいかなって」
澪「結局でこ寒いのか」
律「でこが寒いからムギの手を当ててもらうんじゃなくて、ムギの手が暖かいから私が暖かくなるんだよ」
唯「なるほど、わからん」
紬「別に私は良いわよ♪」
律「さんきゅー」
律「あったかあったか」
紬「キテマスワー!」
唯「りっちゃん羨ましいな」
律「裏山がどうしたって?」
唯「実際裏山なんて行ったことないよね」
梓「あれ?そこで会話がずれるんですか?」
澪「ムギぐらいだよな、裏に山があるのは」
紬「残念ながら山は持ってるけど家の裏にはないわね」
律「この山と海の島国ニッポンにいながら、私達は山を忘れている!」
唯「山と、って大和とかけてる?」
律「あ、すごいな唯」
唯「えへへ~」
梓「すごくないです」
唯「がーん…」
唯「でもやっぱり思うんだけどりっちゃんがカチューシャ取ればオデコは寒くないと思うんだ」
梓「唐突に話題戻りますよね」
律「そうは言うけどな、唯」
律「アイデンティティっていうのは他人が自分を判断できるレベルにしておく責任が
個人個人にあるものだと思うのだよ」
唯「りっちゃんは難しいことを言うね」
律「例えばだ、ムギが眉毛を剃ったらどう思う?」
唯「嫌だ!」
紬「私は剃らないわよ~」
律「澪が垂れ目に整形したら?」
唯「なんか嫌だ」
澪「そんなもんなのか?」
律「梓が2mの筋肉隆々になったら?」
唯「そんなのもはやあずにゃんじゃない!」
梓「想像とはいえ酷いこと言いますね」
律「つまり、カチューシャは私が私であるということなんだよ」
唯「うん、分からないけど分かった!」
澪「おいおい」
澪「そういえばカチューシャって日本でしか呼ばないらしいよ」
紬「澪ちゃん、生き字引ね!」
澪「えっへん、この前偶然ググったら書いてたんだー」
唯「じゃあこれなんて呼ぶの?」
澪「ヘアバンドとかじゃないか?」
唯「急に暖かそうな名前になったね」
唯「そうだ!りっちゃん、カチューシャをヘアバンド(暖かいの)にしようよ!」
律「まさかカッコ書きで話されるとは思わなかった」
紬「ヘアバンド(暖かいの)なら丁度持ってるわよ♪」
梓「準備良すぎじゃないですか!?」
律「いいよ、このままでも大丈夫だし」
唯「やってみなよー」
紬「えい♪」
律「わわっ」
唯「おー」
澪「思ったより似合うな」
梓「…意外です」
律「お、おかしくない?」
紬「うん、素敵よ♪」
律「んー、でもやっぱりこれは受け取れないよ」
紬「どうして?」
律「私は、でこで初めて
田井中律なんだ、決して髪をあげてるからじゃない」
唯「りっちゃん…」
律「だから、みんなが私を認めてくれるためにも…寒くても我慢する!」
唯「りっちゃんのバカ!意気地なし!」
梓「ハイジですか」
律「…唯」
唯「りっちゃんは…私達の部長は…オデコなんかで決まらないよ!」
律「…」
唯「りっちゃんは…不器用で騒がしくて、トラブルメーカーだけど」
唯「楽しい雰囲気を作って、いつも空気を読んでる立派な部長だよ!」
律「…ありが」
梓「あとドラムは走り気味だし」
澪「私のことからかうし」
紬「私のことすぐ殴れない意気地なしね!」
律「…」
律「みんなの気持ちは伝わった」
唯「りっちゃん…じゃあ」
律「私の扱いひど過ぎる!」
唯「あれー?」
澪「あ、もう家着くな、じゃあ私達はここで」
梓「はい、さようなら」
律「『はい、さようなら』って言い方次第で意味が変わるよな」
澪「くだらない話はもういいだろ」
律「あーれー」
唯「引きずられてったね」
紬「私も引きずられたいわー」
梓「何ですかソレ」
唯「でもまさかオデコだけであんなに話が広がるなんて」
紬「まるで宇宙ね」
唯「そうか、オデコは宇宙だったんだね」
梓「ボケが減ったかと思ったら突っ込みが減ったから割合的にはボケが増えてた」
梓「じゃあ私はここで…って、ムギ先輩ってこの辺じゃないですよね」
紬「そうだけど?」
梓「なんでいるんですか?」
紬「さぁ?」
唯「あずにゃん、乙女は秘密を持っているものなんだよ」
梓「そういう意味じゃないでしょうソレ…」
梓「本当にもう行きますよ、後悔しても知りませんよ」
唯「大げさだよー」
梓「どっちかが突っ込まなきゃいけないんですからね!」
紬「梓ちゃんったら///」
梓「違います!」
唯「あずにゃん行っちゃったね」
紬「ええ、そうね」
……
律「なぁ澪」
澪「ん?どうした律」
律「カチューシャの無い私はどう?」
澪「良いと思うよ、たまには女の子っぽくさ」
律「そうか、じゃあ私頑張る!」
澪「ああ、応援するよ」
律「あっ…」
澪「何だ?」
律「そういえばでこはあるのにぼこはないよな」
澪「お、おぼこって言葉はあるけどな」
律「へぇ、どういう意味?」
澪「えーっと、そう、垢抜けない若い女の子って意味だ、ググるなよ?」
律「私パソコン持ってねーし」
澪「良かった…」
律「あ、若い娘といえば…」
……
紬「とうとう二人になっちゃったわね」
唯「うん、もうこれで最後だね」
紬「長い間だったけど、お別れね」
唯「うん、私がいなくなっても元気でね」
紬「いなくなるのはこの場合私じゃないかしら?」
唯「え、そう?」
紬「だって、これは唯ちゃんが主人公のようなものでしょ?」
唯「そうなの?私はてっきりムギちゃんの成長物語かと思ってたよ」
唯「…」
紬「やっぱり何か足りないわね」
唯「うん」
……
梓「二人は上手くやってるのだろうか」
梓「いや、それ以前にムギ先輩はいったいどこへ向かうのだろうか」
梓「…」
梓「いや、どっちでもいいですよそんなの!」
梓「…」
猫「にゃーん」
梓「…何かに反応して突っ込んでしまった」
翌日
律「おーっす!」
澪「誰?」
律「私だよ私」
澪「ああ、髪を下ろしたほうの律か」
律「下ろしたほうって何だよ」
澪「どういう風の吹きまわしだ?」
律「昨日唯に言われて、たまには良いかなって思ってさ」
紬「おはよう二人とも」
澪「おはよう」
律「おっす」
紬「めっす」
澪「返さなくていいんだからな、ムギ」
紬「りっちゃんイメチェン?」
律「昨日唯に言われて、たまには良いかなって思ってさ」
澪「録音したかのように正確にさっきと同じだな」
紬「やっぱりりっちゃんは髪をおろしてても可愛いわ」
律「そ、そんなことないだろ、髪とか関係なく可愛くねーし!」
紬「照れてる照れてる♪」
澪「そういえば唯遅いな」
紬「それがね、唯ちゃんは…」
律「唯に何かあったのか!?」
紬「私との会話が途切れて宇宙へ行っちゃったの…」
澪「哲学?」
律「いや、いろいろおかしい」
放課後
梓「あ、なにがし先輩こんにちは」
律「だれがなにがしじゃい」
梓「あれ、軽音部の先輩がたは?」
律「澪は掃除、律は私、ムギは知らん、唯は宇宙?らしい」
梓「宇宙って…まさか」
律「心当たりがあるのか!?」
梓「憂、唯先輩の具合はどう…っと」
律「具合?」
梓「唯先輩は風邪ですね、きっと」
律「何でわかったんだ」
梓「昨日律先輩と澪先輩が帰った後、オデコが宇宙だとか話してたんです」
律「相変わらず分からんな」
律「でこは宇宙じゃなくて宇宙の一部だろ」
梓「そこなんですか?ちょっとでもまともな回答を期待した私がバカだったんですか?」
紬「そうよりっちゃん、だから唯ちゃんはダメだったの」
律「お前は行方不明になっていたムギ!生きてたのか!」
紬「私がお花を摘んでいるうちに面白い話をしてるじゃない」
梓「いや、昨日の唯先輩とムギ先輩の話なんですけどね」
律「つまりどういうことだってばよ」
紬「つまり、唯ちゃんは試しにオデコを出して生活してみたものの、朝には風邪をひいていたのよ」
梓「憂から聞いたんですか?」
紬「昨日唯ちゃん家に泊まったの♪」
梓「まさか泊まっているとは…」
澪「みんな遅くなったな」
律「これで全員集合だな!」
梓「唯先輩は休んでますけど」
紬「じゃあ早速お茶にしましょう!」
澪「練習じゃないのか」
梓「突っ込みはやっぱり多いに越したことはないなぁ」
律「おーい、お茶!」
紬「はい、ボス!」
澪「ぶふっ!」
梓「ダメだこりゃ」
……
唯「へっぷし!」
憂「お姉ちゃん、タオル代えるね」
唯「オデコが冷たい…」
おわり
最終更新:2010年12月15日 23:55