梓「おはよー、憂」
憂「梓ちゃん、おはよう」
梓「あれ?純は?」
憂「今日は風邪でお休みなんだって。さっきメール来たよ」
梓「そうなの?…あ、ホントだ。来てる」
憂「ちょっと寂しいね」
梓「朝から雨だし…テンション下がるなぁ」グデーン
憂「ねぇ、梓ちゃん」
梓「なに?」
憂「突然なんだけど、好きな臭いって何?」
梓「匂い?…そうだなぁ、バナナとかチョコレートとかカスタードクリームとか」
憂「そうじゃなくて、臭いだよ、に・お・い」
梓「…もしかして『くさい』って書く方の?」
憂「そうだよ」
梓「憂、何言って…」
純「やっほー!お二人さん!」
憂「あ!純ちゃん、おはよう」
梓「純!?休みじゃなかったの?」
純「そのはずだったんだけどさ、お母さんがピータン料理作ってくれて」
憂「わぁ…いいね!ピータン料理」
純「おかげで元気100倍だよ!」
梓「ピータンって、…あの臭いアレ?」
純「梓、何言ってんの!?ピータン最高じゃん!」
憂「私のお姉ちゃんもね、ピータン好きなんだよ?」
純「へぇー!」
憂「この間も夕飯に出したら『ぴー♪たん♪ぴー♪たん♪』って喜んでくれて」
純「あの臭いがいいんだよねー」
梓(えー)
純「憂はどんな臭いが好きなの?」
憂「私?私は…その…」
純「もったいぶってないで言いなよー」
梓(……)ゴクリ
憂「お姉ちゃんの足の指…かな?特に右足の親指と人差し指の間が良いの」
純「いかにも憂らしいね」
憂「普通すぎてちょっと恥ずかしいよ///」カァァ
純「いいじゃん!…あ、足の指と言えば爪に溜まるアレも堪能してるわけ?」
憂「うん…///お姉ちゃん、私のために溜めておいてくれるの///」
純「…もしかしてそれでタイツ穿いてるのかな?」
憂「純ちゃん鋭い!そうなんだよー。あと、出先でも気軽に嗅げるようにって」
純「でもそれだとナマ足よりだいぶグレード落ちるんじゃない?」
憂「うん、それは仕方ないよ。でも私の場合、タイツはいざとなればリボンとしても楽しめるし」
純「そっかー!…あれ?夏場は確かタイツ穿いてなかったよね?」
憂「夏はソックスなんだー。タイツだとさすがに風味のバランスが崩れちゃうからって、お姉ちゃんが」
純「なるほどー」
憂「ソックスはリボンにするには短いけど、携帯性に優れるからスナック感覚でどこでも嗅げ(イケ)ちゃうの」
純「その気配り…まさに姉妹愛だね…!」グスッ
憂「ホントに頭が下がる思いだよ」
純「で、そんなお姉ちゃんの好きな臭いって何なの?やっぱりピータン?」
憂「お姉ちゃんはね、掃除機の後ろからフワ~って出てくる臭いが大好きなの!」
純「おぉ!アレか~!」パチンッ
憂「私がお掃除してるといつも付いて来るんだよ」
純「一嗅ぎたりとも逃さない感じ?」
憂「うん!掃除機の後ろを匍匐前進でつけ回すお姉ちゃん…可愛いよ~♪///」
純「さすが憂のお姉ちゃん、目の付け所が…いやさ、鼻の付け所が違うね!」
梓「」
純「あ、梓はどんな臭いが好き?」
憂「気になるなぁ♪」
梓「そんな事言われても…」
純「誰しも持っているはずだよ。『怖いもの見たさ』ならぬ『臭いものにおいたさ』が!」
梓「…あるわけないでしょ、そんなの」
憂純「!?」
純「そ…そんな!……梓には失望したよッ!!」ガタッ
憂「梓ちゃん…信じてたのに…」シクシクシクシク
純「憂…泣かないで。二人で強く生きていこ?ね?」
憂「うん…!」グスッ
放課後
梓(部室でギター弾いて気分転換しよう…)トボトボ
梓「こんにちはー」ガチャ
唯「あ!あーずにゃーん!」ガバッ
梓「にゃっ!?(あ…唯先輩いい匂い)」クンカクンカ
唯「…どうしたの?」
梓「い!いえ!何でも!(何やってるの私…!)」ドキーン
紬「みんなー、お茶の時間よー」
唯「ぃやっほーぅ!」
律「今日のケーキも美味そうだなー!」
梓(良かった…ここはいつも通りで)
澪「梓?どうかしたのか?」
梓「いえ!何でも!」
梓(ミルクティー美味しい…)
律「いきなりだけどさ、みんなの好きな臭いって何だ?」
梓「」ブフー
唯澪「わっ!」
紬「梓ちゃん、大丈夫?」フキフキ
梓「すみません…」
律「私そんな変なこと言ったかー?」
唯「はいはいはい!私、掃除機の後ろから出る臭いが大好きー!」
律「おおっ!いい趣味してんなー唯」
唯「あれは病みつきになるよー。りっちゃんはどうなの?」
律「私はタクシーの排気ガスだな」
澪「昔から好きだよな、律は」
律「修学旅行のときに乗ったタクシーのはダメダメだったけどな」
紬「それで舌打ちしてたのね」
澪「ムギは何が好きなんだ?」
紬「私は最近目覚めたばかりで恥ずかしいんだけど…」
唯「なになに?」
紬「ほら、夏休み…りっちゃんにゲーセンに連れて行ってもらったじゃない?」
律「あー!面白かったな」
紬「あの時にね、使い古した業務用エアコンの臭いに魅了されてしまって…」
律「トリップしてた理由はそれかー」パチンッ
紬「あのあと早速手配して、部屋に設置してあるの♪」
澪「さすがムギ…!」グッ
紬「澪ちゃんは?」
澪「私は…灯油ストーブの臭いかな」
唯「私も好きー!」
律「イイよなー、あれは」
澪「私は半日嗅ぎ続ける自信があるぞ」
唯律紬「おおーっ」
ガチャリ
唯「あ!和ちゃん!」
和「ちょっといいかしら?」
律「どしたー?」
和「律、この間の書類に記入間違いがあったわ」スッ
律「っべー、うっかりしてたわー」カキカキ
律「っと、これでいいか?ごめんな?わざわざ」
和「いいのよ。こちらも少しゴタゴタしていたから」
澪「なぁ、和の好きな臭いって何なんだ?」
和「臭い?」
紬「いま、好きな臭いについて語り合ってて」
和「私は…やっぱりザリガニね」
律「さすが和…生徒会長は格が違うぜ…!」ゴクリ
和「小さい頃は苦手だったんだけど、唯が家の浴槽をザリガニでいっぱいにしてくれて…」
澪「あぁ…前に言ってたな」
和「今ではすっかり虜よ。特に鼻を挟まれながら嗅ぐ臭いは最高ね。唯には感謝してるわ」
唯「えへへ~」テレテレ
和「それじゃあ私はもう戻るから」スタスタ
唯「和ちゃん、ばいばーい」
ガチャバタン
ガチャ
律「今度は誰だ!?」
さわ子「あら、随分盛り上がってるみたいね。何かあったの?」
唯「さわちゃん!」
澪「今、好きな臭いについて話あってたんですよ」
さわ子「なるほど…それなら頷けるわ」
紬「さわ子先生はどんな臭いが好きなんですか?」
さわ子「私?そうね…、怪我した時なんかに絆創膏貼るじゃない?」
唯「ふんふん」
さわ子「その絆創膏をわざと長く貼り続けて、お風呂上がりに剥がして嗅ぐのが好きだわ」
律「そうか…!そうすればふやけた傷口と合わせて複数種のスメルを味わえるってわけだ…!」
さわ子「そういう事♪」
澪紬「流石さわ子先生…!!」
唯律「SAWAKO!!SAWAKO!!」
唯「ねぇねぇ、あずにゃんは何が好き?」
梓「わ…私は…」
梓(どうしよう…これ以上除け者扱いされるのは……こうなったら…そうだ!)
梓「私は…歯垢の臭いですね!」
唯澪律紬さわ子「」ガタタッ
梓「ど…どうして皆さんそんな端っこまで逃げるんですか…?」
律「あ…梓…正気…なのか!?」
澪「」ガタガタガタガタ
紬「そんな…!?梓ちゃんがまさか…!!」
唯「あずにゃんに限って…ありえないよッ!!そんなのッ!!」
さわ子「なんて事…!身近にこんな強大な敵が存在したなんて…!」
澪「……」バタッ
唯「澪ちゃん!?」
律「澪!…しっかりしろ!澪!」グイッ
紬「澪ちゃん…!」
澪「私は…もうダメだ…」
律「なに弱気なこと言ってんだよ…!!」
澪「律…こいつを使え…!今のお前なら…使いこなせるはずだ…!」スッ
律「これはッ!!澪の歯ブラシ!!」
澪「みんなと過ごした時間…私は忘れないよ…幸せだった…」
唯紬「澪ちゃん…」
澪「律…私は…お前を…愛し…て…」ガクリ
律「澪…!?…澪ーーーーーッ!!!!」
唯律紬さわ子「くっ…!」グスン
梓「あ…あのー…」
唯「私…戦うよ!!」スッ
紬「無茶よ唯ちゃん!!そのブレスケア(グミタイプ)だけじゃ!」
唯「それでも…やるんだよッ!澪ちゃんの弔い合戦を!!」
律「私も…戦うぜ!!」スチャッ
唯「りっちゃん!…それはッ!?」
律「私と澪の…愛と友情のツイン歯ブラシだッッッ!!」ガシィーン
紬「…私も使うときが来たようね」スッ
唯律「!?」
紬「構想10年…開発費800億…琴吹グループが総力を結集して開発した…この電動歯ブラシをッ!!」キュィィィィン
律「こいつぁ心強いぜ!!」
さわ子「こんな事もあろうかと、用意しておいて正解だったわ…!」カチッ ウィィィン
唯律「こ…これはッ!」
紬「部室の床下から…大量のモンダミンが!!」
唯「これだけの戦力なら…!!」
律「みんな!一気に行くぞ!!」
唯紬さわ子「応ッ!!」
梓「え?ちょ…っ」
さわ子「さあ!梓ちゃん!これで『おくちクチュクチュ』するのよ!いっそ飲んでも構わないわ!!」グッ
律紬「一気にこそぎ落とすッ!!」シュババッ
唯「これ全部食べていいから!!」ジャラジャラ
梓「Noooooooooooooooooooooooooo!!!」
梓「はうぁ!?」ガバッ
憂「大丈夫?梓ちゃん、うなされてたけど…?」
梓「憂…あれ?純は?」
憂「だから今日は純ちゃんお休みだよ?」
梓「へ?……ってことは夢!?よかったー!」
憂「酷い夢でも見た?」
梓「うん…ほんと酷かったよ…憂が『お姉ちゃんの足の指の臭いが好き』とか言い出してさ」
憂「どうして知ってるの?」
梓「」
おわり
最終更新:2010年12月20日 22:52