澪ママ「りっちゃんが女の子でよかったわね?」

律ママ「えぇ。男だったら・・・」

澪ママ「中学卒業するまでには女の子の一人でも孕ませて大問題になってるわよ、きっと」

律ママ「どんだけ!?」


律「君もそんなところで本なんて読んでないで、僕と遊ぼうよ」

姫「私は結構です・・・ごめんなさい・・・」

『隣の国からやってきたお姫様。彼女は長い前髪で顔を隠し、いつも一人で黙々と本を読んでいました』

律「どうしてだい?」

女1「そんな女のことは放っておいて、私達とあそびましょう」

女3「そうよ、それがいいわ。そうすべきだわ」

<暗転>


澪ママ「姫・・・?澪ちゃんの方が100倍可愛いわ」

律ママ「もうね、本当にね」


澪ママ「あ、あれ澪ちゃんだわ!」

澪「・・・」セカセカ

律ママ「本当だわ!セット頑張って運んでる!可愛い!」

澪ママ「澪ちゃん超可愛い!」


『王子は面白くありませんでした』

律「僕のことが嫌いかい?」

姫「そんなこと、無いわ。私は可愛くないから・・・あなたには吊り合わないわ」

律「そんなことないよ」

『お姫様の言うことは難しくて、王子には理解できませんでした』

律「・・・将来、君は僕のお妃になるんだ。わかってるね?」

姫「・・・」

律「お父様方が決めたことだよ」

姫「わかっているわ・・・」

律「だから、君も僕を好きになってくれると、嬉しい」

律ママ「なんか律が嫌なヤツに・・・」

澪ママ「ありがちな話ねー」ボリボリ

律ママ「最前列でポテチ食べるのやめて」


『それから月日が経ちました』

律「・・・まだ、僕のことが嫌いかい?」

姫「嫌いなのはあなたではなく、私自身と言ったはずよ」

律「やっぱり君の話はわからないよ」

姫「・・・私なんか、あなたには相応しくない。本当は結婚だってしたくない・・・」

律「・・・」

姫「国中のみんなが噂しているわ。世界で一番不釣合な二人だと」

律「・・・いやだ!!」

姫「・・・!?」

律「そんなの関係ないよ!僕は、君の心が欲しい!!」

『王子は聞き分けのない子供のようでした』



澪ママ「なんかりっちゃんがとんでもないワガママ言ってるけど?」

律ママ「演じてるのか素なのかわからないくらいアイツらしい発言ね・・・」

澪ママ「こりゃ女の子でもわからなくなってきたわね」

律ママ「なにが?」

澪ママ「さっきの孕ませるうんぬんの話」

律ママ「男連れてきたらぶっ飛ばすようにするわ」

澪ママ「警戒すべきは男の子だけかしらーん」

律ママ「まず秋山さんからぶっ飛ばすわ」



律「どうしてだ・・・!」

律「僕は、君のことがこんなに好きなのに・・・!」

姫「・・・ごめんなさい」

律「・・・」

姫「・・・」

律「・・・綺麗に、なろうよ」

姫「え・・・?」

律「君が自分に自信を持てるくらい綺麗になったら・・・人を愛することができるかい?」

姫「それは・・・わからないわ」

律「それで、もし、そうなれたら・・・僕のお嫁さんになって欲しい!」

姫「どうして、そこまで私のことを・・・」

<暗転>



律ママ「まさかの展開なんだけど」

澪ママ「小学生にやらせる劇としてこれはどうなの?・・・面白いからいいけど」ボリボリ

律ママ「わかったからその柿ピーしまって」

澪ママ「えぇ。なんてったってこれから数少ない澪ちゃん時間よ・・・!」

律ママ「時間と書いてタイムと読むって・・・」サムッ

澪ママ「いいの、時代を先取りしただけよ」

律ママ「なんの話だか」

澪「・・・」チョコマカ

澪「・・・」セッセッ

澪ママ「かんわいいぃぃ!!」

律ママ「やっば、持って帰りたい!」

澪ママ「駄目ですーあの子はうちの子ですー」

律ママ「くっそぅ・・・!!」


『お姫様は戸惑っていました。迷いました。』


澪「・・・!」ドテッ

澪ママ「配線に引っかかって転んだ!?」

律ママ「ドジっ子だなんて・・・!可愛い!」

澪「~~~!」


『可愛くない自分が王子のことを好きになっていいものか・・・』


澪ママ「あれ?起き上がらない・・・?」

律ママ「え?マズイんじゃない?」


『そして散々迷った結果、お姫様は決心し、色々な努力をしました』


澪ママ「そんな大した怪我にはなってないでしょう」

律ママ「そうじゃなくて」

『一人でこっそり笑う練習をしました。長年笑っていなかった彼女は笑い方すらも忘れてしまっていたからです』


澪「いたた・・・」ムクッ

澪ママ「あっ、立った」

律ママ「澪ちゃん、急いで舞台袖に行かないと・・・!!」


パッ


澪&澪ママ「!!?」


『伸ばし続けた前髪を切りました。王子が素顔を見たいと言ってくれたからです』


澪ママ「照明ェ・・・」

律ママ「あちゃー・・・」


澪「え・・・」

律「・・・(どうしよう)」

澪「あ、っと・・・」

律「・・・(続ける、しか・・・)」

澪「わ、私・・・」クルッ

律「待って!」

澪「!?」

律「前に君は言っていたね。国中のみんなが、僕たちは世界で一番不釣合だと噂してるって」

澪「・・・」

律(続けろ!澪ちゃん!)

澪「・・・!?」


律ママ「え、これどうなるの?」

澪ママ「・・・」

律ママ「アクシデント、よね・・・?」

澪ママ「いやっほぉぉぉぉぉぉ!!!棚からぼた餅超ラッキー!」

律ママ「何言ってるの!?」


澪「うん・・・言ったね・・・」

律「こんなに綺麗な君を見ても、まだそんなこと言われると思うかな?」

澪「・・・」

律「まだ、自分に自信が持てないの?」

澪「・・・」


澪ママ「やっぱ、澪ちゃんマジ迫真の演技」

律ママ「いやアレ演技じゃないでしょう、ガチでしょう」

澪ママ「ノーベル賞ものよぉぉ!!!」

律ママ「アカデミー賞とかじゃなくて!?」

澪ママ「ノーベル平和賞GETだぜ!」

律ママ「世界的な平和に何か貢献したの!?」



律「・・・まだ、僕と結婚したくない?」

澪「・・・」

律「・・・(台本では、ここで『私、自分に自信がもてたよ』って感じになるんだけど)」

澪「うん」

律「」


澪ママ&律ママ「どうすんのこれ」


澪「だって、私は、綺麗なんかじゃ、ないし・・・可愛くもない、よ・・・」

律「そ、そんな・・・(えええぇぇぇぇぇぇ)」

澪「なのに、なんで、私に関わるの・・・?」

律「好きだからだよ・・・!当たり前だろ!?」

澪「でも、私なんか・・・」

律「自分のこと『なんか』って言うのやめろよ!」

澪「だって・・・」

律「澪ちゃんが自分のこと好きになれないなら・・・その分、私がもっともっと澪ちゃんのこと好きになるから!!」

澪「・・・!」

律「だから、私と結婚して。澪ちゃん」



澪ママ「さっきから王子とか姫の設定ガン無視で劇が進んでるんだけど?」

律ママ「っていうかこれ普通にプロポーズじゃん」

澪ママ「やだー、大きな声では言えないけどこんな女たらしやだー」

律ママ「実は私、その女たらしの母親でしたー」アハハ

澪ママ「居ないから言うけど、きっと親御さんも碌でも無いんだろうなー」

律ママ「ひゃっほぅ、普通に聞こえてるぅー♪」



律「どう、かな・・・?」ドキドキ

澪「・・・はい」

律「・・・!」

澪「・・・///」

律(澪ちゃん、手出して?)

澪「・・・?」スッ

律「・・・」チュッ

澪「!?///」

律「これからもよろしくな」


『こうして二人は結ばれましたとさ。めでたしめでたし』


律ママ&澪ママ「あんまりめでたくねぇ!!」





とある日


律「・・・」

澪「ぷっ・・・あっはっはっは」

律「?どうしたんだ?」

澪「いや、思い出し笑いした」

律「お前なぁ・・・」

澪「小学生の頃・・・劇やったの覚えてるか?」

律「あぁ・・・あの劇、途中ハプニングでお姫様が澪にすり替わっちゃったんだよな」

澪「あれは・・・恥ずかしかったなぁ・・・///」

律「私は死ぬほど焦ったけどな」

澪「だろうな。私も焦ったよ・・・」

律「ナレーションの子、澪いるのに始めちゃうんだもんなー」

澪「あぁ。ビックリしたよ。慌てちゃってすぐに立てなくてさ」

律「・・・あ。ちょっと待ってて」

澪「どこ行くんだ?」

律「あの頃の台本がまだ残ってるはず」

澪「えぇ!?よく取ってあったなー」

律「母さんがはしゃいじゃってさ、どっかしまってあったはずなんだ」ゴソゴソ

澪「律の母さん、律のこと大好きだもんな」

律「澪の家ほどじゃないから安心しろ」ゴソゴソ

澪「うちのはな・・・ちょっとなぁ・・・」

律「あ、あった」

澪「うわ、本当だ。懐かしいー」

律「えーと・・・え゛」

澪「どうした?」

律「」

澪「おーい?」


律「これ、ナレーションのところ・・・」

澪「どうしたんだ?」

律「澪、ナレーションの子、どんな子か覚えてるか?」

澪「私にそれを聞くか?クラスメートの名前をほとんど覚えてなかった私に」

律「あの子、転校してきたと思ったらすぐにまた転校しちゃったんだよな」

澪「言われてみればそうだったかもしれない。で、何が言いたいんだ?」

律「これ・・・」


台本『ナレーション:琴吹』


澪「」

律「まさか、な・・・似てたような気もしないでもないけど・・・」アハハ

澪「あ、あぁ。ムギも何も言ってなかったし。偶然だよ、偶然」アハハハ・・・

律「だよなー・・・」アハハハ

澪「って、そんなことより」

律「なんだよ」

澪「練習しないと」

律「・・・なんでよりによって私がジュリエットなんだよ」ハァ・・・

澪「そんなこと言ったら私だってロミオなんて・・・」

律「・・・今度は澪がプロポーズしてくれんのか?」ニシシ

澪「す、するか!///」

律「なんでーつれねーの」




おわり



最終更新:2011年04月25日 20:50