ざぱーん!

私たちの目の前に現れたのは、まぎれもなく私が恋い焦がれた彼女であった!

澪「イカ娘!///」

イカ娘「澪!栄子!会いに来てくれたでゲソ?////」

澪「うん!ずっと会いたかったんだぞ!」

栄子「え?誰だっけ、おまえ?」

イカ娘「ひどいじゃなイカ!!」

栄子「あはははは。冗談だよ。」ニコ

聞けば栄子ちゃんが言っていた仲の良い友達というのは、イカ娘のことだったらしい。

ふたりもなんだかいい感じで、少し嫉妬してしまう。


律「おーい!澪ー!」

澪「!?」


律「澪だけずるいぞー!」

イカ娘「律じゃなイカ!」

千鶴「栄子ちゃん、イカ娘ちゃんの再開パーティーするわよ。」

栄子「姉貴…。」

澪「みんな…。じゃああの手紙はやっぱり…。」

唯「イカにゃ~ん♪」
早苗「イカちゃ~ん♪」

イカ娘「うっ…、ウザさ倍増でゲソ…。」


冬の夜の海岸に、一つだけ灯りがともる。
海の家れもん。栄子ちゃんと千鶴さんの店らしい。

栄子「澪ちゃんたちも一緒にパーティーしようよ。」

千鶴「イカ娘ちゃんがずいぶんお世話になったみたいだし。」
澪「え、そんな…。」

律「おほー!いいのー?」

イカ娘「お主はもう少し遠慮しなイカ!もっと凸が光ってしまうでゲソ!」

梓「確かにイカ娘ちゃんの言うとおりです。」

律「なにを~!」

イカ娘「きぃ~!」

澪「早速喧嘩をするな!」ゴツンゴツン

律「いてえ」プクウ

イカ娘「痛いでゲソ。」プクウ

律「あはははは!」

イカ娘「ゲソゲソゲソ♪」

澪栄子「あはははは。」


海の家のつくりは風通しがよい。
しかし寒いはずなのに皆でいると暖かい。

紬「イカ娘ちゃんのために私エビ持ってきたの~。」

イカ娘「紬~!///やっぱり紬は優しいでゲソ///」

早苗「くっ、私だって持ってきたのよ~!」

紬「じゃあみんなで食べましょう。」

早苗「イカちゃ~ん!」ぎゅっ
唯「イカにゃ~ん///」スリスリ

イカ娘「は、離すでゲソ!エビが食べられないでゲソ!」

澪「あはははは。」

軽音部のメンバーと、湘南のみなさんとで賑わって、海の家れもんにだけ、夏の風が吹く。
しかしイカ娘の交友の広さには驚いた。先ほどのライフセイバー、外国人までいる!

紬「私海の家で焼きそば食べるの夢だったの~。」

シンディー「あなたの眉毛太いわね。自前?」

マーティン「きっと宇宙人に違いアリマセ~ン!」

紬「いや、その…。」

ハリス「それヨリモ~、この触覚ノ方ガ!宇宙人っぽいデ~ス!」

梓「私の髪は触覚ではありません!きぃーーー!」


澪「(ふたりには悪いけどあの人たちは放っておこう…。)」

千鶴「そういえば澪ちゃん、そのあなたが持ってる楽器はなあに?」

栄子「あ、それ!私もさっきから気になってた。」

澪「あ、これはベースです。みんな軽音部の仲間で、バンドやってるんですよ。」

イカ娘「澪がベース弾くとかっこいいでゲソ!///また見たいでゲソ!///」

澪「え?ここで?////」

ボンボンボンボ~ン♪

イカ娘「かっこいいでゲソ///」

栄子「確かに上手いな。」

律「あ、そうだ。学園祭ライブのDVD編集できたから持ってきたぞ。」

千鶴「あ、見てみたいわ。」

イカ娘「見たいでゲソ!見たいでゲソ!」

栄子「テレビならここにあるよ。」

ガチャ、スー(DVDデッキ)

テレビ(観客「わーーーーー!」ぱちぱちぱち)

テレビ(イカ「澪ーーーー!かっこいいゲソ~/////」)

イカ娘「わ、私の声が入ってるでゲソ…。」

早苗「イカちゃん…。」プウ

テレビ(唯「それでは、次が最後の曲です!U&イカ!!」)


イカ娘「思い出すでゲソ…。」


楽しい時間はあっという間に過ぎて行った。

梓「そろそろ帰らないと終電の時間があぶないですね。」

栄子「泊っていけば?早苗んちもあるし。」

千鶴「イカ娘ちゃんも泊っていくでしょ?」

唯「そしたら明日も遊べるね!イカにゃん!」

イカ娘「私は…、泊れないでゲソ…。」

早苗「え!?せっかく再開できたのに!」えぐえぐ

栄子「やっぱり、触覚とか体の調子が悪いのか!?」

イカ娘「そうじゃないでゲソ…。私は侵略者だから…。」

律「忘れてた。」

イカ娘「まだ人類を許している訳ではないでゲソ。」

澪「イカ娘…。」

イカ娘「いろいろ行かなきゃいけないところ、見に行きたい所があるでゲソ。」

澪「そっか…。」

澪「……。」しゅん

栄子「また、夏になったら会えるよな!」

イカ娘「うん!きっと会えるでゲソ!」

栄子「そしたら澪ちゃんも遊びにおいでよ!なんならうちでイカ娘といっしょにバイトしてもいいよ!」

イカ娘「大学生になった澪に会えるでゲソ♪」

澪「うん、そうだよな!」ぐすっ

イカ娘「澪、なくなでゲソ!私はもう泣かないでゲソ!」

栄子「痩せ我慢しちゃって!」

イカ娘「栄子こそ痩せ我慢してるじゃなイカ!」

澪「あはははは。」


海岸!

ざざぁ~、ざざぁ~、

イカ娘「じゃあ行ってくるでゲソ!」

栄子「気をつけてな!」

澪「イカ娘…。」

イカ娘「…、ん?これはなんでゲソ?」

澪「初めて買ったべっ甲のピックだよ。ずっと大切に使ってたんだ。」

イカ娘「ありがとうでゲソ///」ニコ

ざざぁ~、ざざぁ~、

澪「約束、忘れてないからな!」

イカ娘「ん?」

ざざぁ~、ざざぁ~、

澪「『遠くの人』も愛せるように!イカ娘たちとまた、心から笑って過ごせるように!」

イカ娘「澪たちなら…、きっとできるでゲソ!」ニコ

ざざぁ~、ざざぁ~、

ざざぁ~、ざざぁ~、

イカ娘「さらばでゲソ!」じゃぽん

栄子「またな!」

澪「……。」

海へ入ろうとする瞬間、イカ娘が全てを許すような笑顔を見せたように思えた。

ざざぁ~、ざざぁ~、

律「澪!行くぞ!」

栄子「しばらく一人に…、いや、ふたりにしておいてあげよう。」

律「うん…、そうだな…。澪!先に行ってるからな!」

ざざぁ~、ざざぁ~、

澪「……。」

ざざぁ~、


おしまい



最終更新:2010年12月23日 03:32