遊義皇第2話 - (2008/03/28 (金) 22:42:18) の最新版との変更点
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&html(<Table Border Bordercolor="#1e332c" Cellspacing="10" cellpadding="5"><Td BgColor="#b2a5cc">分子結合の強制化・強制解除が若干9歳の少年によって解明される!<BR>長年研究されてきた「分子結合の強制化」が今月の12日にホーティック・モーガン君(9)によって解明された。<BR>彼は10000ピースのホワイトジグソーパズルを3歳の時点で22時間で解いた事で有名だが、<BR>この発見によってダイアモンドの破片を集めて巨大な塊に構築したり、鉄の中から僅かな金を取り出す事が可能となった。<BR>だが発見したホーティック君は「これが一番難しい問題だったなんてがっかりだ、次はもっと難しい問題に挑戦する」との事、これからの活躍が更に楽しみである。<BR>以上、7年前の世界物理報告2月号、7ページより抜粋。<BR></Td></Table>)
(福助視点)
ぼくのドリアードは未完成な二封気さんのデッキに倒された、
ぼくとドリアードは未完成な二封気さんのデッキを倒せなかった、
ぼくはドリアードを未完成な二封気さんのデッキから守ることもできなかった。
頭の中でその声が範唱し続ける。
……ただ、ドリアードに申し訳が無い。
僕は「刃咲診療所」と書かれた看板の下の自動ドアを潜り、
刃咲くんのお母さんの刃咲助姫さんの座る受付に走った。
「あら いらっしゃい福助君。」
倉塔家に帰る前に、僕は刃咲くんに相談に行く事にした、
刃咲くんは頭が良いから何か助言をしてくれそうな気がする。
「こんばんは、助姫おばさ…。」
「福助ぇー、こっちこっち。」
助姫さんへの挨拶を遮って病室から掛かった声。
……振り向けば、病室の入り口で壱華ちゃんが手招きをしている、僕の記憶では風邪と戦ってるはずの壱華ちゃんが、だ。
「あ、蕎祐のお見舞いなら、壱華ちゃんが居る部屋ね。」
????
僕が不思議に思いながら部屋に向かうと、
助姫さんが言うように顔を真っ赤にした刃咲くんと元気一杯の壱華ちゃん。
「福助も来てくれたのか、ありがとな。」
刃咲くんと壱華ちゃんはベッドに半身を入れながら机の上でデュエルをしている。
「刃咲君もだけど……壱華ちゃん、具合は大丈夫なの?」
「風邪なんて3時間も眠れば治らないほうがおかしいのよ
で、暇潰しも兼ねて刃咲のお見舞いをね。」
39度7分の高熱ってそんなに簡単に治る症状だったけ?
「それより刃咲くん、早くカード出すかエンドしてよ、息の根止められないでしょ?」
僕はそこで初めてフィールドに置かれたカードの状況とメモ帳に鉛筆で書き込まれたライフを見た。
----
刃咲 LP3700 手札1枚
共鳴虫(攻撃表示)
黒きハイエルフの森
伏せ0
壱華 LP8000 手札4枚
熟練の白魔導師(攻撃表示 魔力カウンター1)
伏せ0
----
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>熟練の白魔導師</Td><Td>光属性</Td><Td>魔法使い族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1700</Td><Td>DEF1900</Td></Tr><Td ColSpan="6">自分または相手が魔法を発動する毎にこのカードに魔力カウンターを1個乗せる。<BR>(最大3個)<BR>魔力カウンターが3個乗っている状態のこのカードを生け贄に捧げる事で、<BR>自分の手札・デッキ・墓地から「バスター・ブレイダー」を1体特殊召喚する。 </Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>共鳴虫</Td><Td>地属性</Td><Td>昆虫族</Td><Td>レベル3</Td><Td>ATK1200</Td><Td>DEF1300</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、<br>デッキから攻撃力1500以下の昆虫族モンスター1体をフィールド上に特殊召喚することができる。</Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>黒きハイエルフの森</Td><Td>フィールド魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">フィールド上に存在する昆虫族モンスターの攻撃力・守備力が300ポイントアップする。<BR>昆虫族モンスターが破壊された時、そのカードのコントローラーのライフを1000ポイント回復する。(オリカ)</Td></Table>)
「…刃咲君辛いね…ライフも全然削れて無いし…。」
「これからのドローで変わるんだよ…グォホッゲッハ(手札2枚)
俺は〔貪欲な壺〕を発動して2枚ドロー(手札3枚)。」
咳をしながらカードを引いて更にドローを重ねる刃咲君。
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>貪欲な壺</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分の墓地からモンスターカードを5枚選択し、デッキに加えてシャッフルする。<br>その後、自分のデッキからカードを2枚ドローする。 </Td></Table>)
魔導雑貨商人:墓地→デッキへ。
ドラゴン・フライ:墓地→デッキへ。
ドラゴン・フライ:墓地→デッキへ。
アルティメット・インセクトLV3:墓地→デッキへ。
アルティメット・インセクトLV5:墓地→デッキへ。
熟練の白魔導師:魔力カウンター1個→2個
「俺のメインフェイズだ〔電動刃虫〕をしょうか……ブゲッファア。」
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>電動刃虫</Td><Td>地属性</Td><Td>昆虫族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK2400</Td><Td>DEF0</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードが戦闘を行った場合、ダメージステップ終了時に相手プレイヤーはカードを1枚ドローする。 </Td></Table>)
電動刃虫:攻撃力2400→攻撃力2700 守備力0→守備力300
熟練の白魔導師:魔力カウンター2個→3個
「ガガハっ…ぜー、ぜー、ただ殴るだけなんてつまらねぇ技じゃねぇぜ?
この〔電動刃虫〕はなぁ………壱華へのプレゼントだ! 〔強制転移〕発動!」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>強制転移</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">お互いが自分フィールド上モンスターを1体ずつ選択し、そのモンスターのコントロールを入れ替える。<BR>選択されたモンスターは、このターン表示形式の変更はできない。(オリカ)</Td></Table>)
「こ…攻撃力2700のモンスターを渡した!?」
刃咲くんの手札はずっと覗いていたけど、この戦術は予想できなかった。
強制転移で持ち主が変わっても、共鳴虫が戦闘で破壊さえされれば、
刃咲くんはデッキからモンスターを召喚できる……だから、僕はてっきり刃咲くんは共鳴虫を送りつけるものと思っていた。
電動刃虫:刃咲のフィールド→壱華のフィールド
熟練の白魔導師:壱華のフィールド→刃咲のフィールド
笑みを浮かべる刃咲君と、対称的に顔をしかめる壱華ちゃん…なんだ!?
「壱華は分かってるみたいだな…〔共鳴虫〕を攻撃表示に変更して〔電動刃虫〕へ攻撃!」
「!? 攻撃力は〔電動刃虫〕の方が上なのに!?」
〔共鳴虫〕(攻撃力1500)VS(攻撃力2700)〔電動刃虫〕→共鳴虫破壊、共鳴虫墓地へ。 刃咲LP3700→LP2500
刃咲LP2500→3500(黒きハイエルフの森の効果)
「グォッホ、グォッフ! この瞬間、〔共鳴虫〕の効果発動!
デッキから〔共鳴虫〕を召喚し、さらに壱華の〔電動刃虫〕の効果でドローする!」
刃咲デッキ→共鳴虫特殊召喚
刃咲1枚ドロー(手札1→手札2)
…あ!
「更に! 新しく召喚した〔共鳴虫〕も自滅攻撃して1枚ドロー、
効果でもう一度〔共鳴虫〕を召喚して更に自滅攻撃とワンドロー!
〔ドラゴンフライ〕をサーチしてもう一度自滅ドロー!
とどめに〔アルティメットインセクト LV3〕を召喚して自滅攻撃だァアアア!」
(以下処理詳細、読み飛ばし推奨)
〔共鳴虫〕(攻撃力1500)VS(攻撃力2700)〔電動刃虫〕→共鳴虫破壊、共鳴虫墓地へ。
刃咲LP3500→LP2300(戦闘ダメージ)
黒きハイエルフの森の効果発動、刃咲LP2300→3300
刃咲デッキ→共鳴虫特殊召喚
刃咲1枚ドロー(手札2→手札3)
〔共鳴虫〕(攻撃力1500)VS(攻撃力2700)〔電動刃虫〕→共鳴虫破壊、共鳴虫墓地へ。
刃咲LP3300→LP2100(戦闘ダメージ)
黒きハイエルフの森の効果発動、刃咲LP2100→3100
刃咲デッキ→ドラゴンフライ特殊召喚
刃咲1枚ドロー(手札3→手札4)
〔ドラゴンフライ〕(攻撃力1700)VS(攻撃力2700)〔電動刃虫〕→ドラゴンフライ破壊、ドラゴンフライ墓地へ。
刃咲LP3100→LP2100(戦闘ダメージ)
黒きハイエルフの森の効果発動、刃咲LP2100→3100
刃咲デッキ→アルティメットインセクト LV3特殊召喚
刃咲1枚ドロー(手札4→手札5)
〔アルティメット・インセクト LV3〕(攻撃力1700)VS(攻撃力2700)〔電動刃虫〕→アルティメット・インセクト LV3破壊、アルティメット・インセクト LV3墓地へ。
刃咲LP3100→LP2100(戦闘ダメージ)
黒きハイエルフの森の効果発動、刃咲LP2100→3100
刃咲1枚ドロー(手札5→手札6)
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>ドラゴンフライ</Td><Td>風属性</Td><Td>昆虫族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1400</Td><Td>DEF900</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードが戦闘によって墓地へ送られた時、<BR>デッキから攻撃力1500以下の風属性モンスター1体を自分のフィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。</Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>アルティメット・インセクト LV3</Td><Td>風属性</Td><Td>昆虫族</Td><Td>レベル3</Td><Td>ATK1400</Td><Td>DEF900</Td></Tr><Td ColSpan="6">「アルティメット・インセクト LV1」の効果で特殊召喚した場合、このカードがフィールド上に存在する限り全ての相手モンスターの攻撃力は300ポイントダウンする。<BR>自分のターンのスタンバイフェイズ時、表側表示のこのカードを墓地に送る事で「アルティメット・インセクト LV5」1体を手札またはデッキから特殊召喚する。<BR>(召喚・特殊召喚・リバースしたターンを除く)</Td></Table>)
「一気に5枚もドローした!?」
「…いや、刃咲のデッキには〔ドラゴンフライ〕が3枚あった……
完全にコンボが決まれば、更に2枚ドローできたはずよ。」
最高で手札を7枚補充できるコンボって…禁止カードの第六感以上じゃないか!?
「途中でドローを挟むのがこのコンボの難点でな、
俺みたいに運が悪いと、2枚も〔ドラゴンフライ〕が手札に来やがる。」
やっぱり刃咲くんは凄い、昆虫族という本来のコンセプトを崩さず、
そのコンボを壱華ちゃん相手に成功させるなんて!
「ゴフォ! 2700なんての俺のカードをほおっておくわけにもいかねぇからな、
〔死者への供物〕で〔電動刃虫〕を俺の墓地に戻し、2枚セットしてエンドだ。(手札3・伏せ2)」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>死者への供物</Td><Td>速攻魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">フィールド上の表側表示モンスター1体を破壊する。<BR>(次の自分のドローフェイズをスキップする。)</Td></Table>)
電動刃虫→破壊、墓地へ。
「私のターン(手札5)……〔大嵐〕を発動!」
「…っち………俺は〔スケープ・ゴート〕をチェーンするぜ。」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>大嵐</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。</Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>スケープ・ゴート</Td><Td>速攻魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">このカードを発動する場合、自分は発動ターン内に召喚・反転召喚・特殊召喚できない。<BR>自分フィールド上に「羊トークン」(獣族・地・星1・攻/守0)を4体守備表示で特殊召喚する。<BR>(生け贄召喚のための生け贄にはできない)</Td></Table>)
言いながら枕元に置かれた袋入りのアメを四つ場に横向きで置いた。
羊トークン:無→特殊召喚
羊トークン:無→特殊召喚
羊トークン:無→特殊召喚
羊トークン:無→特殊召喚
黒きハイエルフの森:刃咲のフィールド置き場→破壊
炸裂装甲(伏せ):刃咲の魔法・カード置き場→破壊
「〔黒きハイエルフの森〕が壊されたのは痛いが、
これで俺の場はトークン込みで5体、そう簡単には突破できねえぜ?」
刃咲くんの微笑を浮かべるも、壱華ちゃんは堂々と……勝利を確信したように口角を跳ね上げた。
「逆ね、そのカードの発動があんたの生き目を潰したわ!
手札1枚を墓地に送って、〔THE トリッキー〕を手札から特殊召喚、
そして〔洗脳-ブレイン・コントロール-〕を発動して〔熟練の白魔導師〕を奪還するわ!」
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>THE トリッキー</Td><Td>風属性</Td><Td>魔法使い族</Td><Td>レベル5</Td><Td>ATK2000</Td><Td>DEF1200</Td></Tr><Td ColSpan="6">手札を1枚捨てることで、このカードを手札から特殊召喚する。 </Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>洗脳-ブレインコントロール</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">800ライフポイントを払って発動。<BR>相手フィールド上の表側表示モンスター1体を発動ターンのエンドフェイズまで、<BR>選択したカードのコントロールを得る。</Td></Table>)
壱華LP8000→LP7200
聖なる魔術師:壱華の手札→壱華の墓地へ。
熟練の白魔導師:刃咲の場→壱華の場
「っへ、羊トークンがいるからな、攻撃力で中途半端に勝っても意味無いぜ。」
「中途半端じゃなく、圧倒的に勝つわよ!
二体の魔術師を生贄に捧げ、宇宙を総べる女王、〔コスモクイーン〕を召喚する!」
&html(<Table Border BorderColor="#ccb028" Border="2"><Tr><Td>コスモクイーン</Td><Td>闇属性</Td><Td>魔法使い族</Td><Td>レベル8</Td><Td>ATK2900</Td><Td>DEF2450</Td></Tr><Td ColSpan="6">宇宙に存在する、全ての星を統治していると言う女王。</Td></Table>)
熟練の白魔導師:生贄
THE・トリッキー:生贄
コスモ:クイーン:召喚
「だから俺の場には羊トークンがあるって……まさか?」
「次のカードはこれ!〔メテオ・ストライク〕! 〔拡散する波動〕!」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>メテオ・ストライク</Td><Td>装備魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">守備表示モンスターを攻撃した時、装備モンスターの攻撃力が守備表示モンスターの守備力を超えていれば、<BR>その数値だけ相手ライフポイントに戦闘ダメージを与える。 </Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>拡散する波動</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">1000ライフポイントを払い発動。<BR>自分フィールド上のレベル7以上の魔法使い族モンスター1体のみが攻撃可能になり、相手モンスター全てに1回ずつ攻撃する。<BR>この攻撃で破壊された効果モンスターの効果は発動しない。 </Td></Table>)
「…うお?」
「〔コスモ・クイーン〕で羊トークンへ同時攻撃! ミサイル・スターダストぉ!」
〔コスモ・クイーン〕(攻撃力2900)VS(守備力0)〔羊トークン〕→羊トークン消滅、刃咲LP3100→LP200
〔コスモ・クイーン〕(攻撃力2900)VS(守備力0)〔羊トークン〕→羊トークン消滅、刃咲LP200→LP-2700
〔コスモ・クイーン〕(攻撃力2900)VS(守備力0)〔羊トークン〕→羊トークン消滅、刃咲LP-2700→-LP5600
〔コスモ・クイーン〕(攻撃力2900)VS(守備力0)〔羊トークン〕→羊トークン消滅、刃咲LP-5600→-8500
「風邪引きの瀕死君に殺られるほど私は甘くないわ。」
「かぁぁぁ、ライフのマイナスが8000超えやがった……!」
今のデュエルは僕が見始めた時点では壱華ちゃんの勝機が農高だった、
けど次のターンには刃咲君が逆転し、更に次のターンには壱華ちゃんの切り返した。
これがデュエルモンスターズの真髄、一ターン先の逆転……これがこのゲームの本来の姿なんだ…。
「ありがとう、壱華ちゃん、刃咲くん、いいデュエルを……」
お礼を言おうとしたら、刃咲くんは赤い顔で布団に突っ伏している!?
「は…刃咲くーん!?」
「…吐くかも…カード頼む。」
僕にデッキを押し付けてゴミ箱に頭を突っ込み、そして聞こえる嗚咽のような不快音。
「助姫おばさーん! デュエルに熱中してバカが熱上げてゲロ吐きましたー!
代えのゴミ袋と一撃昏倒の麻酔薬をー!」
壱華ちゃんが大声で叫びが終わるか終わらないかの内に助姫さんが手に鞄を持って走ってきた。
「小さな村の診療所に一撃昏倒の破壊的な麻酔薬なんて無いよ壱華ちゃん!」
「医者を甘く見ないでね、一撃昏倒の破壊的な熊殺し麻酔薬の一本や二本!」
「一撃昏倒の破壊的な熊殺し行動の自由完封麻酔薬を息子に打つなァアアア!」
「大丈夫よ、蕎祐! 私は五本のちぎれた指を麻酔無しで繋ぎ合わせる程の名医よ!」
「麻酔の技術に関係のねぇ過去の栄光を例に挙げてどうするゥウウウ!?」
「気にしない気にしない♪」
「母親に〔お注射天使〕級の注射器突きつけられて気にしない息子がいるかあ!」
「……よく考えたら蕎祐を論破しようって時点で母さんの間違いだわ、強行。」
「んだああ! やめっ……!」
ドス!(刃咲・沈黙)
…刃咲くん、僕はどの時点でどうすれば刃咲くんを助ける事ができたのでしょうか?
時間経過&視点変化
(壱華視点)
福助と私は刃咲が寝た後、風邪の予防になる生姜蜂蜜を頂いて帰路に付いた。
「…・・・で? 福助は刃咲になにを言いに来てたのよ?」
「僕とドリアードが負けた二封気さんのデッキはあれ全力じゃないんだって…。」
「どういう事?」
「……前に二封気さんが参加してたグループの人と話してるのを訊いたんだ、
デッキの切り札とか7枚を刀都屋を買う資金に売っちゃったっ…て。」
思い出した如きで目に涙を浮かべる福助・・・・っと待てよ?
「それは変よ福助、確か刀都屋は借り手が無いから借りてるって誰か言ってた、
売ったって言うのはその友達って人を追い返す言い訳じゃないかな、
相手を帰すなら「嫌だ」で通すより「無理だ」の方が通りやすいわ。」
「…じゃあ、二封気さんの切り札は・・・。」
「十中八九現存でしょうね、
明日にでもその事実突き付けて全開のデッキとやらと手合わせしてもらえば?」
訊いた途端に福助の顔に満面の笑が戻り、どこえともなく走り出した。
子供みたいなヤツ…て子供か私も福助も……この後、私は福助と一緒にお風呂に入ってからぐっすりと眠った。
&html(<font color="#ff0000">正念党サイド</font)&html(<A Name="2w"> </A> )
(作者視点)
ギラギラと耀くネオン街、ここはアメリカのニューヨーク。
そこには例日どおり聳え立ち続ける摩天楼と、その斜面や屋上を重力を無視するように奔る二つの影があった。
「はほほふははっははぁ! アホウがァ!
制々正念党幹部七人衆が一人! この&html(<ruby><rb>神次郎<rt>じんじろう)から逃げられると思ったか!」
この男は第一話で二封気を尋ねてきた男(ホーティック)と同じカードハント組織『制々正念党』に所属し、
やはりホーティックと同じように制々正念党の最高幹部『七人衆』のひとりでもにあり、ニューヨーク支部所長も勤める男だ。
「っちぃっ!」
神次郎の前を行く黒フードは、アメリカで活動するもうひとつのカードハント組織、『ヴァイソンダーヅ』の者だった。
「決闘もせずに武力を以って、弱者よりカードを奪い取るヴァイソンダーヅよ!
逃げるなどという姑息な真似はせず、私に敗れることを生涯の誉れとし、この眠らない町に永眠するがいい!」
「ちょっとそこの×××なあんた! 正念党の何が偉いって言うのよ!?
獲物となるデュエリストを包囲して、拒否権も持たせずに各上のデュエリストが強引にデュエル……、
しかも、あたしたち『ヴァイソンダーヅ』が襲うのはマフィアや悪徳政治家だけよ!」
「ふっ、追い詰められ、今度は意味の分からない事を……、
そんな長いセリフをこの私が理解できるはずがないだろうが! 私の語学力を考えて喋れ! アホウが!」
到底威張れるはずのないことを、堂々と威張って言い放つ神次郎。
「あんた頭が×××って……きゃぁっ!?」
神次郎は喋りながらも、目の前を走る黒フードの少女――トガ・ホアン――を捕まえる準備を着々と進めていた。
この神次郎と言う男、本名をシェン・F・ジャックジーロウと長ったらしい名前をしており、
その由来は、日本と中国のハーフの母親とドイツとアメリカのハーフの父親から生まれたという生い立ちに由来する。
「アホウがッ! カウ・ボーイごっこと忍者ごっこで鍛え上げた天才的投げ縄を嘗めるなァ!」
神次郎が放った縄は、フードごしに少女のウエストと腕を縛りつけ、引き倒した。
「チクショウッ! ×××××の×××××ッ! 縄を解け!」
「それが実現すると思うかアホウが! トガ・ホアンッ!
貴様は『ヴァイソンダーヅ』の首領:ウォンビック・ブラックマインの恋人だ、ということは知っている!」
「え、なっ!? あたしがブラックマイン様のこいび……えええ!?」
「ほう!? この私の部下の調べた情報が間違いだとでもいうつもりか!?
お前はレアハンターとしてもブラックマインを支え、私生活でも一緒に暮らしている、と聞いたが!?」
「!」と「?」をセットで付けないと喋れないかのように高いテンションで喋る神次郎。
「ヴァイソンダーヅではそれは補佐はしてるけど、
ブラックマイン様の家は孤児院だから他にも沢山の子供たちとの共同生活だし……!」
「意味が半分ほど理解できなったが、つまり貴様はただの部下、とでも言うつもりか!?」
「ハッキリと言わないでよ&html(<font size="3">××××</font>)! ブラックマイン様がただの部下だとなんと思っていようと、あたしは……ッ!」
「ただの部下、ではないぞ、トガ。」
半泣きのトガを宥める様な声に続き、二人が足場としていたコンクリートをぶち破り、黒い塊が浮上した。
………黒い塊は優に2メートルを超える巨躯で、神次郎がそれが人間だということに気付くのに数秒を要した。
「はふほほははっはは!……なんだ!?」
黒い塊は素早くトガを縛っていた縄をフードごと引き千切り、
ジーンズ・トレーナー姿となったトガを片手であっさりと抱きかかえた。
「………挨拶はせんが正念党よ、人質というみすぼらしい行為をとるんじゃない。」
「この神次郎の行動が…みすぼらしいだとォ!?」
「例えるなら、公園のゴミバコから缶コーヒーの得点シールを集めるようにみすぼらしい。
今日はこれにて引くが……次に俺の大事な部下に手を出すことがあれば……俺がお前を殺す…ッ!」
黒い塊――ウォンビック・ブラックマイン――は素早く身を翻し、ニューヨークのビル街へと消えていった。
「お、おのれええええええ!」
神次郎の咆哮がビルの谷間を突き抜けてウォンビックたちの耳に届いた頃、トガは気に為っていた質問を口にした。
「ブラックマイン様、あたし……『大事な部下』なんですよね?」
「ああ、そうだ。」
「書記長のキンノウや、壁部隊頭のウチデに比べて……いえ、全ての部下の中であたしは何番目に大事なんですか!?」
トガにしても、ウォンビックに異性として見られていないことなんぞ百も承知、
しかしそれでも――せめて、部下としてでも特別に為りたかったのだろう。
「……俺は、部下に順位を付けたことは無い、
………お前も含め、128人の部下は全て大事な家族だ。」
ウォンビックがこのような人間であることは知っていた、
彼女は知っていてウォンビックについて行くと決めたのだ。
――だからこそ、トガは、ウォンビックの腕の中で、『光栄ですッ!』と渾身の笑いを浮べていた。
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&html(<table border="1" bgcolor="#D7F2F2" width="1200"><tr><td><font size="2"><center>)
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&html(<Table Border Bordercolor="#1e332c" Cellspacing="10" cellpadding="5"><Td BgColor="#b2a5cc">分子結合の強制化・強制解除が若干9歳の少年によって解明される!<BR>長年研究されてきた「分子結合の強制化」が今月の12日にホーティック・モーガン君(9)によって解明された。<BR>彼は10000ピースのホワイトジグソーパズルを3歳の時点で22時間で解いた事で有名だが、<BR>この発見によってダイアモンドの破片を集めて巨大な塊に構築したり、鉄の中から僅かな金を取り出す事が可能となった。<BR>だが発見したホーティック君は「これが一番難しい問題だったなんてがっかりだ、次はもっと難しい問題に挑戦する」との事、これからの活躍が更に楽しみである。<BR>以上、7年前の世界物理報告2月号、7ページより抜粋。<BR></Td></Table>)
&html(<font size="10"color="#8b4513">第2話</font><font size="10"color="#6b8e23">風邪引きニューヨーカー</font>)
&html(<font color="#ff0000">壱</font)
「手加減されて…負けてた…?」
雨には慣れている、濡れても着替えれば良いだけだ。
負けることには慣れている、負けるたびに強くなってきた自信があった。
「ゴメン、ドリアード……。」
ドリアードを犠牲にして戦うのも初めてではない。
3歳の頃、ドリアードで戦うことを悩んだこともあった。
4歳の頃、墓地に送ることを悩んだこともあった。
5歳の福助にとってドリアードは飾りではなく、共に勝利するパートナーなのだ。
そのために墓地に送ることは何度もあったし、そのことはドリアードと相手に対する礼儀だと理解している。
しかしドリアードを犠牲にした挙句、手加減をされて負けたのは初体験。
「ワウァゥァア、ぁあああがああっっ!」
幼児独特の叫び声とも怒声とも取れる泣き声だった。
欲しいカードを買ってもらえなくても泣かず、ケンカで負けても泣かない福助が泣いたのは久しい。
「はぁ、あ、あああ。」
泣きすぎて喉が痺れるような乾くような感覚がやってくる。
泣いてる間も歩いていたらしく、食べ物屋かカフェのように軽快に鳴り、刃咲医院の扉は開いた。
「あら、福助くん、ちょっと待ってて、タオル持ってくるから。」
「お気遣いなく。 刃咲くんはいます…か?」
見渡すと、そこには手招きをしている一人の少女。
福助の記憶ではカゼを引いて唸っているはずの従姉妹、壱華だ。
「福助ー、こっちこっち。」
「あ、蕎祐のお見舞いなら、壱華ちゃんが居る部屋ね。」
不思議に思いつつも、福助は雨が滴る足を部屋に向ける。
部屋の中には風邪で顔を紅潮させた刃咲と、元気な壱華がいた。
「福助も来てくれたのか、ありがとな。」
刃咲くんと壱華ちゃんはベッドに半身を入れながら机にデッキを置き、デュエルをしていた。
「刃咲くんもだけど……壱華ちゃん、具合は大丈夫なの?」
「風邪なんて3時間も眠れば治らないほうがおかしいのよ。
で、暇潰しも兼ねて刃咲のお見舞いをね。」
39度7分って、そんな軽い症状だったか…そう思いつつ、福助は特に言及する事はしなかった。
「それより刃咲くん、早くカード出すかエンドしてよ、息の根止められないでしょ?」
僕はそこで初めてフィールドに置かれたカードの状況とメモ帳に鉛筆で書き込まれたライフを見た。
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刃咲 LP3700 手札1枚
〔共鳴虫〕(攻撃表示)
〔黒きハイエルフの森〕
伏せ0
壱華 LP8000 手札4枚
〔熟練の白魔導師〕(攻撃表示 魔力カウンター1)
伏せ0
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&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>熟練の白魔導師</Td><Td>光属性</Td><Td>魔法使い族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1700</Td><Td>DEF1900</Td></Tr><Td ColSpan="6">自分または相手が魔法を発動する毎にこのカードに魔力カウンターを1個乗せる。<BR>(最大3個)<BR>魔力カウンターが3個乗っている状態のこのカードを生け贄に捧げる事で、<BR>自分の手札・デッキ・墓地から「バスター・ブレイダー」を1体特殊召喚する。 </Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>共鳴虫</Td><Td>地属性</Td><Td>昆虫族</Td><Td>レベル3</Td><Td>ATK1200</Td><Td>DEF1300</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、<br>デッキから攻撃力1500以下の昆虫族モンスター1体をフィールド上に特殊召喚することができる。</Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>黒きハイエルフの森</Td><Td>フィールド魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">フィールド上に存在する昆虫族モンスターの攻撃力・守備力が300ポイントアップする。<BR>昆虫族モンスターが破壊された時、そのカードのコントローラーのライフを1000ポイント回復する。(オリカ)</Td></Table>)
「…辛いね、ライフも全然削れて無いし…。」
セキ混じりにこれからのドローで逆転だ、と云って刃咲はカードを抜き放つ。
「…俺は〔貪欲な壺〕を発動だ。」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>貪欲な壺</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分の墓地からモンスターカードを5枚選択し、デッキに加えてシャッフルする。<br>その後、自分のデッキからカードを2枚ドローする。 </Td></Table>)
〔魔導雑貨商人〕:墓地→デッキへ。
〔ドラゴン・フライ〕:墓地→デッキへ。
〔ドラゴン・フライ〕:墓地→デッキへ。
〔アルティメット・インセクトLV3〕:墓地→デッキへ。
〔アルティメット・インセクトLV5〕:墓地→デッキへ。
〔熟練の白魔導師〕:魔力カウンター1個→2個
刃咲:手札1→手札3
「俺のメインフェイズだ〔電動刃虫〕を召喚するぜ!」
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>電動刃虫</Td><Td>地属性</Td><Td>昆虫族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK2400</Td><Td>DEF0</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードが戦闘を行った場合、ダメージステップ終了時に相手プレイヤーはカードを1枚ドローする。 </Td></Table>)
〔電動刃虫〕:攻撃力2400→攻撃力2700 守備力0→守備力300
〔熟練の白魔導師〕:魔力カウンター2個→3個
「ガガハっ…ぜー、ぜー、ただ殴るだけなんてつまらねぇ技じゃねぇぜ?
この〔電動刃虫〕はなぁ………壱華へのプレゼントだ! 〔強制転移〕発動!」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>強制転移</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">お互いが自分フィールド上モンスターを1体ずつ選択し、そのモンスターのコントロールを入れ替える。<BR>選択されたモンスターは、このターン表示形式の変更はできない。(オリカ)</Td></Table>)
「…〔熟練の白魔導師〕を指定。」
「俺は〔電動刃虫〕を指定!」
「こ…攻撃力2700のモンスターを渡した!?」
刃咲の手札を覗いていた福助だが、この戦術は予想外だった。
〔強制転移〕とのコンボなら〔共鳴虫〕が王道だと思っていたのだ。
〔電動刃虫〕:刃咲のフィールド→壱華のフィールド
〔熟練の白魔導師〕:壱華のフィールド→刃咲のフィールド
「壱華は分かってるみたいだな…〔共鳴虫〕を攻撃表示に変更して〔電動刃虫〕へ攻撃!」
「!? 攻撃力は〔電動刃虫〕の方が上なのに!?」
〔共鳴虫〕(攻撃力1500)VS(攻撃力2700)〔電動刃虫〕
→共鳴虫破壊、共鳴虫墓地へ。 刃咲LP3700→LP2500
刃咲LP2500→3500(黒きハイエルフの森の効果)
「グォッホ、グォッフ! この瞬間、〔共鳴虫〕の効果発動!
デッキから〔共鳴虫〕を特殊召喚し、さらに壱華の〔電動刃虫〕の効果でドローする!」
〔共鳴虫〕:デッキ→特殊召喚
刃咲:手札1→手札2
…あ!
「更に! 新しく召喚した〔共鳴虫〕も自滅攻撃して1枚ドロー、
効果でもう一度〔共鳴虫〕を召喚して更に自滅攻撃とワンドロー!
〔ドラゴンフライ〕をサーチしてもう一度自滅ドロー!
とどめに〔アルティメットインセクト LV3〕を召喚して自滅攻撃だァアアア!」
〔共鳴虫〕(攻撃力1500)VS(攻撃力2700)〔電動刃虫〕→共鳴虫破壊、共鳴虫墓地へ。
刃咲LP3500→LP2300→LP3300
〔共鳴虫〕:デッキ→特殊召喚
刃咲1枚ドロー(手札2→手札3)
〔共鳴虫〕(攻撃力1500)VS(攻撃力2700)〔電動刃虫〕→共鳴虫破壊、共鳴虫墓地へ。
刃咲LP3300→LP2100→LP3100
〔ドラゴンフライ〕:デッキ→特殊召喚
刃咲:手札3→手札4
〔ドラゴンフライ〕(攻撃力1700)VS(攻撃力2700)〔電動刃虫〕→ドラゴンフライ破壊、ドラゴンフライ墓地へ。
刃咲LP3100→LP2100→LP3100
〔アルティメット・インセクト LV3〕:デッキ→特殊召喚
刃咲:手札4→手札5
〔アルティメット・インセクト LV3〕(攻撃力1700)VS(攻撃力2700)〔電動刃虫〕→アルティメット・インセクト LV3破壊、アルティメット・インセクト LV3墓地へ。
刃咲LP3100→LP2100→LP3100
刃咲:手札5→手札6
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>ドラゴンフライ</Td><Td>風属性</Td><Td>昆虫族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1400</Td><Td>DEF900</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードが戦闘によって墓地へ送られた時、<BR>デッキから攻撃力1500以下の風属性モンスター1体を自分のフィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。</Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>アルティメット・インセクト LV3</Td><Td>風属性</Td><Td>昆虫族</Td><Td>レベル3</Td><Td>ATK1400</Td><Td>DEF900</Td></Tr><Td ColSpan="6">「アルティメット・インセクト LV1」の効果で特殊召喚した場合、このカードがフィールド上に存在する限り全ての相手モンスターの攻撃力は300ポイントダウンする。<BR>自分のターンのスタンバイフェイズ時、表側表示のこのカードを墓地に送る事で「アルティメット・インセクト LV5」1体を手札またはデッキから特殊召喚する。<BR>(召喚・特殊召喚・リバースしたターンを除く)</Td></Table>)
「一気に5枚もドローした!?」
「…いや、刃咲のデッキには〔ドラゴンフライ〕が3枚あった。
完全にコンボが決まれば、更に2枚ドローできたはずよ。」
手札1枚で逆転できるのがこのゲームなので、7枚といえば圧倒的な資材であると云える。
「途中でドローを挟むのがこのコンボの難点でな。
俺みたいに運が悪いと、2枚も〔ドラゴンフライ〕が手札に来やがる。」
この二人の攻防を、福助の目には憧憬として写った。
やはり難度の高いオリジナルのコンボを決めるのはデュエルモンスターズの中でも最も絢爛な華のひとつだ。
「ゴフォ! 2700なんての俺のカードをほおっておくわけにもいかねぇからな、
〔死者への供物〕で〔電動刃虫〕を破壊…2枚セットしてエンドだ。(手札3・伏せ2)」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>死者への供物</Td><Td>速攻魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">フィールド上の表側表示モンスター1体を破壊する。<BR>(次の自分のドローフェイズをスキップする。)</Td></Table>)
〔電動刃虫〕→破壊、墓地へ。
「私のターン(手札5)……〔大嵐〕を発動!」
「…っち………俺は〔スケープ・ゴート〕をチェーンするぜ。」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>大嵐</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。</Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>スケープ・ゴート</Td><Td>速攻魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">このカードを発動する場合、自分は発動ターン内に召喚・反転召喚・特殊召喚できない。<BR>自分フィールド上に「羊トークン」(獣族・地・星1・攻/守0)を4体守備表示で特殊召喚する。<BR>(生け贄召喚のための生け贄にはできない)</Td></Table>)
言いながら枕元に置かれた袋入りのアメを四つ場に横向きで置いた。
トークンはカードが存在しないので、このように存在を示す“何か”を代替で置くのだ。
〔羊トークン〕:無→特殊召喚
〔羊トークン〕:無→特殊召喚
〔羊トークン〕:無→特殊召喚
〔羊トークン〕:無→特殊召喚
〔黒きハイエルフの森〕:フィールド置き場→破壊
〔ライヤー・ワイヤー〕:魔法・カード置き場→破壊
「〔黒きハイエルフの森〕が壊されたのは痛ぇが…。、
これで俺の場はトークン込みで5体、そう簡単には突破できねえぜ?」
刃咲は逸った笑顔を浮かべるも、壱華は堂々と勝利を確信したように口角を跳ね上げた。
「逆ね、そのカードの発動があんたの生き目を潰したわ!
手札1枚を墓地に送って、〔THE トリッキー〕を手札から特殊召喚。」
〔魔法都市エンディミオン〕:壱華の手札→墓地へ。
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>THE トリッキー</Td><Td>風属性</Td><Td>魔法使い族</Td><Td>レベル5</Td><Td>ATK2000</Td><Td>DEF1200</Td></Tr><Td ColSpan="6">手札を1枚捨てることで、このカードを手札から特殊召喚する。 </Td></Table>)
「そして〔洗脳-ブレイン・コントロール-〕を発動して〔熟練の白魔導師〕を奪還するわ!」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>洗脳-ブレインコントロール</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">800ライフポイントを払って発動。<BR>相手フィールド上の表側表示モンスター1体を発動ターンのエンドフェイズまで、<BR>選択したカードのコントロールを得る。</Td></Table>)
壱華LP8000→LP7200
〔熟練の白魔導師〕:刃咲の場→壱華の場
「っへ、〔羊トークン〕がいるからな、攻撃力で中途半端に競っても意味無いぜ?」
「中途半端じゃなく、圧倒的に勝つわよ!
二体の魔術師を生贄に捧げ、宇宙を総べる女王、〔コスモクイーン〕を召喚する!」
&html(<Table Border BorderColor="#ccb028" Border="2"><Tr><Td>コスモクイーン</Td><Td>闇属性</Td><Td>魔法使い族</Td><Td>レベル8</Td><Td>ATK2900</Td><Td>DEF2450</Td></Tr><Td ColSpan="6">宇宙に存在する、全ての星を統治していると言う女王。</Td></Table>)
〔熟練の白魔導師〕:フィールド→墓地へ。
〔THE・トリッキー〕:フィールド→墓地へ。
「だから、俺の場には〔羊トークン〕があるって……まさか?」
「次のカードはこの2枚! 〔メテオ・ストライク〕! 〔拡散する波動〕!」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>メテオ・ストライク</Td><Td>装備魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">守備表示モンスターを攻撃した時、装備モンスターの攻撃力が守備表示モンスターの守備力を超えていれば、<BR>その数値だけ相手ライフポイントに戦闘ダメージを与える。 </Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>拡散する波動</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">1000ライフポイントを払い発動。<BR>自分フィールド上のレベル7以上の魔法使い族モンスター1体のみが攻撃可能になり、相手モンスター全てに1回ずつ攻撃する。<BR>この攻撃で破壊された効果モンスターの効果は発動しない。 </Td></Table>)
「…うお?」
「〔コスモ・クイーン〕で羊トークンへ同時攻撃! ミサイル・スターダストぉ!」
〔コスモ・クイーン〕(攻撃力2900)VS(守備力0)〔羊トークン〕→羊トークン消滅、刃咲LP3100→LP200
〔コスモ・クイーン〕(攻撃力2900)VS(守備力0)〔羊トークン〕→羊トークン消滅、刃咲LP200→LP-2700
〔コスモ・クイーン〕(攻撃力2900)VS(守備力0)〔羊トークン〕→羊トークン消滅、刃咲LP-2700→-LP5600
〔コスモ・クイーン〕(攻撃力2900)VS(守備力0)〔羊トークン〕→羊トークン消滅、刃咲LP-5600→-8500
「かぁぁぁ、ライフのマイナスが8000超えやがった……!」
「ら、く、しょ、うッ!
今のデュエル、福助が見始めた時点では壱華ちゃんの勝機が農高だった。
されど、次のターンには刃咲が逆転し、更に次のターンには壱華の逆寄せで逆転。
これがデュエルモンスターズの真髄、1ターン先の逆転だ。
「ありがとう、壱華ちゃん、刃咲くん、いいデュエルを…て、あれ、刃咲くん?」
「…吐くかも…カード頼む。」
福助に纏めたばかりのカードの束を押し付け、刃咲はゴミ箱に頭を突っ込み、そして嗚咽のような不快音。
「助姫おばさーん! デュエルに熱中してバカが熱上げてゲロ吐きましたー!
医者と代えのゴミ袋ーッ!」
壱華ちゃんが大声で叫びが終わるか終わらないかの内に、既に助姫は手に鞄を持って走ってきた。
「大丈夫よ、蕎祐!
私は五本のちぎれた指を麻酔無しで繋ぎ合わせるほどの名医よ!」
「風邪の治療には関係のねぇ過去の栄光を例に挙げてどうするゥウウウ、うえぉっ!」
結論:とりあえず、病人はデュエルするな。
&html(<font color="#ff0000">弐</font)
ゲロ騒ぎから数十分後。
風邪の予防にハチミツのたっぷり入った生姜湯を飲まされてから、福助と壱華は帰路についていた。
「……で? 福助は刃咲になにを言いに来てたのよ?」
兄弟同然に育っているだけあり、壱華は福助の機微を捉えていた。
「僕とドリアードが負けた二封気さんのデッキ…あれ、全力じゃないんだって…。」
「どういう意味?」
「……前に二封気さんが参加してたグループの人と話してるのを聞いたんだ。
デッキの切り札とか7枚を刀都屋を買う資金に売っちゃったっ…て。」
思い出し笑いならぬ、思い出し泣きをする福助に、壱華はうっとうしそうにしつつ、あることに気が付いた。
「それは変よ福助。
確か刀都屋は借家で、売ってないって誰かが言ってたわ。」
「…どういうこと?」
「売ったって言うのはその友達って人を追い返す言い訳じゃない?
相手を帰すなら“嫌だ”よりも“無理だ”の方が通りやすいわ。」
「…じゃあ、二封気さんの切り札は…。」
「十中八九現存でしょうね。
明日にでもその事実突き付けて全開のデッキとやらと手合わせしてもらえば?」
聞いた途端に福助の顔に、雨上がりの今の空のように満面の笑顔が戻った。
&html(<font color="#ff0000">参</font)
ギラギラと耀くネオン街、ここはアメリカのニューヨーク。
そこには例日どおり聳え立ち続ける摩天楼と、その斜面を重力を無視するように奔る二つの影があった。
「はほほふははっははぁ! アホウがァ!
制々正念党幹部七人衆が一人! この&html(<ruby><rb>神次郎<rt>じんじろう)から逃げられると思ったか!」
頭髪はヘアバンドで逆立て、服装はニューヨークにはミスマッチなジャージ。
この男は、半合法カードハント組織、制々正念党の最高幹部のひとりで、ニューヨーク支部所長も勤める男だ。
「っちぃっ!」
神次郎の前を行く黒フードは、アメリカで活動するもうひとつのカードハント組織、ヴァイソンダーヅのメンバーだった。
「決闘もせずに武力を以って弱者よりカードを奪い取るヴァイソンダーヅよ!
逃げるなどという姑息な真似はせず、私に敗れることを生涯の誉れとし、この眠らない町に永眠するがいい!」
「ちょっとそこの×××なあんた!
正念党の何が偉いって言うのよ!? そっちだってただのカードハント組織じゃない!」
「私が正義だ! アホウが!」
威張れるはずのないことを、堂々と威張る神次郎。
「あんた頭が×××って……きゃぁっ!?」
神次郎は喋りながらも、目の前を走る黒フードの少女――トガ・ホアン――を捕まえる準備を着々と進めていた。
「アホウがッ! カウボーイごっこと忍者ごっこで鍛え上げた! 天才的投げ縄だ!
百発百中…いや! 千発百中よ!」
むしろ命中率が落ちていることに気が付いていない。
とにかく、神次郎は縄はフードごしに少女のウエストと腕を縛りつけ引き倒すことに成功した。
「チクショウッ! ×××××の×××××ッ! 縄を解け!」
「それが実現すると思うかアホウが! トガ・ホアンッ!
貴様はヴァイソンダーヅの首領:ウォンビック・ブラックマインの恋人だ、ということは知っている!」
「え、なっ!? あたしがブラックマイン様のこいび……えええ!?」
「ほう!? この私の部下の調べた情報が間違いだとでもいうつもりか!?
お前はレアハンターとしてもブラックマインを支え、私生活でも一緒に暮らしている、と聞いたが!?」
“!”と“?”をセットで付けないと喋れないかのように高いテンションで喋る神次郎。
「ヴァイソンダーヅではそれは補佐はしてるけど、
ブラックマイン様の家は孤児院だから他にも沢山の子供たちとの共同生活だし……!」
「意味が半分ほど理解できなったが、つまり貴様はただの部下、とでも言うつもりか!?」
「ハッキリと言わないでよ! あたしだって気にしてるんだからッ!
ブラックマイン様がただの部下だとなんと思っていようと、あたしは……ッ!」
「ただの部下、ではないぞ、トガ。」
半泣きのトガを宥める様な声に続き、二人が足場としていたコンクリートをぶち破り、黒い塊が浮上した。
黒い塊は優に2メートルを超える巨躯で、神次郎がそれが人間だということに気付くのに数秒を要した。
「はふほほははっはは!……なんだ!?」
黒い塊は、トガを縛っていた縄をフードごと引き千切り、片手であっさりと抱きかかえた。
「………挨拶はせんが正念党よ、人質というみすぼらしい行為をとるんじゃない。」
「この神次郎の行動が…みすぼらしいだとォ!?」
「例えるなら、公園のゴミバコから缶コーヒーの得点シールを集めるようにみすぼらしい。
今日はこれにて引くが……次に俺の大事な部下に手を出すことがあれば……俺がお前を殺す…ッ!」
黒い塊――ウォンビック・ブラックマイン――は素早く身を翻し、ニューヨークのビル街へと消えていった。
「お、おのれええええええ!」
負け犬くさいというか、悪役くさいというか、神次郎の咆哮がビルの谷間を突き抜けた。
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&html(<table border="1" bgcolor="#D7F2F2" width="1200"><tr><td><font size="2"><center>)
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