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砂漠に落ちた涙 - (2006/12/23 (土) 13:34:01) の編集履歴(バックアップ)


第1話 砂漠に落ちた涙


廃校の理科室
そこの教壇の後ろで座り込んで、支給品を見ている少女がいる。
少女の名はジェラードといい、アルトリア国の姫君である。

バッグの中には魔杖サターンアイズとミックスグミがあり、それらの説明書を読んでいた。
ジェラードはそれらの説明書をさっさと読み終えると、今後の動向について考えた。
その結果、この城のような所を出て、ヴァルキリーやアリューゼに会おう、
それとこのゲームに乗らない人たちを集めようという結論にいたった。
ジェラードはそう決心し、その場に立ち上がった。
すると、突然後ろから声が聞こえる。
「やっと、見つけたぜ」

この聞き覚えのある声・・・アリューゼに間違いない。
ジェラードは後ろを振り返り彼の名を呼んだ。
「アリューゼ、会いたかっ・・・」
ジェラードは言葉を止めた。そこにいたのはアリューゼではなく、顔の右半分だけ変な
マスクを着け、黒いローブを着た大男が立っていた。
「人違いだぜ。お嬢ちゃん」
男は見下したような口調で答えた。
「俺の名はミカエル、そして・・・お嬢ちゃんが聞く最後の名前だ」

ジェラードは男の声がアリューゼそっくりなので驚いた。だが今はそんなことどうでもいい、
男の発言から明らかに自分を殺そうとしている。それにこの男から放つ巨大な魔力。
ヴァルキリーに匹敵するほどの魔力、いやそれ以上かもしれない。非常に危険である。
男は臨戦態勢に入ったのだろうか、両手が炎に包まれてきた。
「少しはこの俺を楽しましてくれよ」
男が自分の方にゆっくりと近づいてくる。ジェラードはとっさにバッグから魔杖サターンアイズを掴んだ。
先にやらなければ、やられてしまう。それに相手は今、子供だと思って油断をしている。
これでも戦乙女ヴァルキリーに選出されたエインフェリアなのだ。
運が良いことに相手は教壇が死角となって、武器を持っていることに気づいていない。

―――――やるなら今しかない。

「先手必勝じゃ、バーンストーム」
男の真下から爆炎が起こり、クリーンヒットした。
「な、なんだと!」
男の真下に穴があき、下半身がすっぽりとはまった。
男は抜け出そうとするがきっちり納まっているのか、そこから出てこない。

『何とも間抜けな姿じゃが、こやつはこのぐらいでは、倒せんじゃろう』
ジェラードは笑いをこらえながらも、さらに追い討ちをかけるために呪文を唱えた。
ジェラードの下に大きな魔方陣が浮かび上がる。
男はやばいと思ったのか、急いで出てこようとする。だが、穴から出て来た時にはもう遅かった。

「我焦がれ、誘うは焦熱の儀式、其に捧げるは炎帝の抱擁」
男を中心に業火がたちこめる。
「イフリートキャレス」
と、唱えると同時に灼熱の炎が巻起こった。

教室中が炎に包まれる。男の方に目をやると、燃え盛る炎の中で男の全身から火柱が昇り、その場で倒れた。
「や、やった」
ジェラ-ドは大魔法を使った疲労から後ろの黒板に、もたれ掛かった。
さすがの強敵でも威力が制限されているとはいえ大魔法に直撃すれば、一溜まりもない。
そう安堵したのも、つかの間、倒れていた男が立ち上がり、
燃え盛る炎の中から何事も無かったように不適に笑いながら出てきた。
「俺の演技はどうだった。お嬢ちゃん」
ジェラードの顔が引きつる。
「そんな馬鹿な・・・あれほどの炎にまみれたのに無傷じゃと!?」

その刹那、男は一気に間合いを詰めて、右手でジェラードの首を掴んで黒板に押さえつけた。
男の手は的確に肌が露出しているところを掴んでいる。
ジェラードは背中を打ち付けられた衝撃でうめくと、同時に首を絞められた。
わざと苦しめさすためなのか、手に覆われていた炎が消えている。
ジェラードは首を絞めている手を振りほどこうと、必死に足掻いたが自分の力では手を振りほどけなかった。
持っていた杖も放してしまい、もうなす術もない。

ジェラードは死の恐怖から涙が溢れてくる。だが涙が頬を伝い落ちることはなかった。
首を絞めている手から炎がたちこめて、涙を蒸発させた。
「貴様には感謝しているぞ。貴様のような小娘にも油断はできないと解ったのだからな」
男はさらに言葉を続ける。

「だが運が悪かったようだな。この俺には一切火炎系呪文は通用しないぜ。
 止めに使った呪文が違う属性だったら、もしかしたら倒せたかもな」

首を掴んでいる手の炎の火力が上がり、全身に燃え広がる。
「貴様は俺が作る消し炭第一号になるんだ。光栄に思え」
男は下品に笑いながら言った。

普段のジェラードなら「無礼者が万死に値するぞ」と言い返すであろうが、
もうそんなことはどうでもよくなってきた。
全身を焼かれ、薄れゆく意識の中、目の前の男とよく似た声を持つ
なぜか気になる存在である男のことを心の中で呼んだ。

『アリューゼ・・・』



【G-3/朝】
【ミカエル】[MP残量:100%]
[状態:正常]
[装備:なし]
[道具:ミックスグミ・魔杖サターンアイズ・???・???←本人確認済み・荷物一式]
[行動方針:最後まで生き残り、ゲームに勝利]
[思考1:どんな相手でも油断せず確実に殺す]
[思考2:学校から出る]
[現在位置:平瀬村分校跡の理科室]


【ジェラード 死亡】
【残り61人】

備考:学校は大体5,6時間以内で全焼すると考えてください




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ジェラード
ミカエル 第17話