AAAキャラバトルロワイアル @ ウィキ内検索 / 「かくれんぼ」で検索した結果

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  • かくれんぼ
    第49話 かくれんぼ 道路から外れた所にある木の幹に体を隠し、洵は僅かに顔を出して今しがた歩いてきた道の先を窺う。 その視線の先には二人の男女が見える。 一人は青い色をもつ長髪の女、もう一人は男で髪はそれ程長く無いが輝くような金色をしている。 洵が平瀬村へ向かうべく歩いてきたところ彼らが道路の遥か前方にある茂みから出てきたのだ。 それに気がつき慌てて木の陰へと身を隠したのだが、 幸いなことに洵の存在が相手に気づかれることはなかったようだ。 おそらくは手を組んだのだろう彼らは洵に背を向けたまま歩き始めた。 見失っていないかどうか確かめるために、もう一度木陰から顔を覗かせる。 意外なことに、どうやら女の方が主導権を握っているようだ、 早足に歩いていく女に、男が半歩ほど遅れてついていっているように見える。 「可能性があるとすれば………ロウファぐらいか」 前方をあるいてゆ...
  • 名無しさん
    ...ツイてねぇ 049 かくれんぼ 050 別れ 055 君が望むなら僕は 057 選択 061 金髪に赤いバンダナ 070 最後の良心? 079 力が無ければ頭を使え! 080 ある昼下がりの賢者 084 光の勇者の不幸(連鎖編) 137 Misfortunes never come single 【氏が書かれたキャラ】 キャラ名 登場回数 マリア 4回 アルベル、クレス 3回 クロード、アシュトン、オペラ、エルネスト、ガブリエル、ネル、ノートン、ルシオ、夢瑠、ミランダ、クラース 2回 レナ、プリシス、ボーマン、レオン、シン、ミカエル、フェイト、ソフィア、クリフ、ロジャー、ミラージュ、ヴォックス、ビウィグ、IMITATIVEブレア、レナス、レザード、メルティーナ、エイミ、洵、ブラムス、ロキ、アリーシャ、ルーファス、ガンツ、エルウェン、ルシオン、チェスター、アーチェ 1回 ...
  • SSタイトル元ネタ
    ...るが勝ち』 049 かくれんぼ 「日本に住んでいてこれを知らないものはいないだろう」とまで断言できる知名度を誇るJAPANに伝わる伝統的な遊戯『かくれんぼ』隠れた子供を鬼が見つけるというシンプルだが奥深いゲームである。良い子の皆は間違っても鬼を残して無断で帰っちゃいけないよ! 053 渇いた叫び アニメ『遊☆戯☆王』オープニングであるFIELD OF VIEWの曲『渇いた叫び』この頃の遊☆戯☆王はまだカード以外もやっており、PTAが激怒しそうなエキセントリックなゲームが多かった。 058 またまたご冗談を 猫先生@プリンセスチュチュの有名AAのセリフ『またまたご冗談を』 062 天才に涙はいらない 佐藤ケイのライトノベル『天国に涙はいらない』 066 LIVE A LIVE スクウェア・エニックスのスクウェア時代のRPG『LIVE A LIVE』 067 騎士の宅急便 スタジオジブリ...
  • 作中時間順目次
    ...H0/MJQ 49 かくれんぼ ジュン、クレス、マリア 名無しさん 50 別れ ルーファス、ソフィア、レナス 名無しさん 51 HEAT -灼熱- エルウェン、ダオス、クリフ、ルシオン ◆ZhOaCEIpb2 第一回放送 1日目 真昼 NO. タイトル 登場人物 作者 53 渇いた叫び アーチェ、ジャック ◆wKs3a28q6Q 54 白き煙の果てに オペラ、ヴォックス ◆yHjSlOJmms 55 君が望むなら僕は アシュトン、ノートン、メルティーナ、ロジャー 名無しさん 56 掴んだ1つの希望と2つの絶望? オペラ、ヴォックス、エルネスト、クラース、フェイト ◆yHjSlOJmms 57 選択 アリーシャ、ガブリエル 名無しさん 58 またまたご冗談を ジェストーナ、セリーヌ ◆Zp1p5F0JNw 59 幸運と不幸は紙一重?  アシュトン、ノートン、メルティーナ、ロ...
  • 本編SS目次
    ...H0/MJQ 49 かくれんぼ ジュン、クレス、マリア 昼 名無しさん 50 別れ ルーファス、ソフィア、レナス 昼 名無しさん 51 HEAT -灼熱- エルウェン、ダオス、クリフ、ルシオン 昼 ◆ZhOaCEIpb2 52 第一回放送 ルシファー 放送 ◆Zp1p5F0JNw 53 渇いた叫び アーチェ、ジャック 真昼 ◆wKs3a28q6Q 54 白き煙の果てに オペラ、ヴォックス 真昼 ◆yHjSlOJmms 55 君が望むなら僕は アシュトン、ノートン、メルティーナ、ロジャー 真昼 名無しさん 56 掴んだ1つの希望と2つの絶望? オペラ、ヴォックス、エルネスト、クラース、フェイト 真昼 ◆yHjSlOJmms 57 選択 アリーシャ、ガブリエル 真昼 名無しさん 58 またまたご冗談を ジェストーナ、セリーヌ 真昼 ◆Zp1p5F0JNw 59 幸運と不幸は紙一重?  ア...
  • 物言わぬ友よ(後編)
    ...ろに一緒に上ったり、かくれんぼしたり…。 「そんなの私イヤだよ!!」 僕もイヤだよ。でも、君が死んじゃうのはもっとイヤだ。 だから、最初で最後の我侭を許して欲しいんだ。 「友達が…、いなくなっちゃうのは…、もう…イヤだよ…」 泣き崩れる彼女の姿を視覚センサーが映している。 大丈夫だよ。今の君には僕以外にもいっぱい友達がいるんだから。 リンガ村にいた時とは違うよ。機械ばっかりいじってて、周りから変な子って言われてたあの頃とは違うんだ。 君を守ってくれる友達がいる。君を頼ってくれる友達がいる。 だからもう、泣かないで。 暴走したエネルギーが臨界点を迎えた。 僕の身体から赤い光が漏れ出す。 その現象が意味するところを彼女も知っている。 「無人君っ!!」 もうすぐお別れだね。 僕は喋る事は出来ないから伝えたい言葉を伝える事ができないけど。 さよう...
  • もの言わぬ友よ(後編)
    ...ろに一緒に上ったり、かくれんぼしたり…。 「そんなの私イヤだよ!!」 僕もイヤだよ。でも、君が死んじゃうのはもっとイヤだ。 だから、最初で最後の我侭を許して欲しいんだ。 「友達が…、いなくなっちゃうのは…、もう…イヤだよ…」 泣き崩れる彼女の姿を視覚センサーが映している。 大丈夫だよ。今の君には僕以外にもいっぱい友達がいるんだから。 リンガ村にいた時とは違うよ。機械ばっかりいじってて、周りから変な子って言われてたあの頃とは違うんだ。 君を守ってくれる友達がいる。君を頼ってくれる友達がいる。 だからもう、泣かないで。 暴走したエネルギーが臨界点を迎えた。 僕の身体から赤い光が漏れ出す。 その現象が意味するところを彼女も知っている。 「無人君っ!!」 もうすぐお別れだね。 僕は喋る事は出来ないから伝えたい言葉を伝える事ができないけど。 さよう...
  • 夢は終わらない(ただし悪夢)(前編)
    ...考えたらここは黙ってかくれんぼ、だ。 (でも、それでいいのか?) 何としてでもマリアを守りたい――その気持ちに嘘はない。 だが、その気持ちは『マリア以外の全ての人を見捨ることも厭わない』ということと必ずしもイコールの関係ではないはずだ。 もし『何としてでもマリアを守る=他の全ての者を見捨てる』なんて公式が成り立つなら、今頃自分はミランダを殺害していなければおかしいのだから。 そして島中の人間(それこそ、チェスターですら、だ)を殺し尽くし、最後の二人になったところで自害する。 それなら、手段を選ばずマリアを守ることができる。 しかし、クレスは決してその方法を選ばなかった。マリアだってそんな方法を認めはしないだろう。 よって、少なくとも自分とマリアの二人の中では、『何としてでもマリアを守る≠他の全ての者を見捨てる』なのだと言える。 つまり、...
  • Justice In The Barrel
    第136話 Justice In The Barrel 『洵。聞こえるか?』 『ああ』 『聞いてたか?』 『一言一句、聞き漏らしてない。お前の方は大丈夫か?』 『大丈夫だ。クロードからは離れた。この距離なら聞かれない。今あいつは仲間の様子を見てるよ』 『注意だけはしておけ。……それにしてもそいつ、ロキにまで丸め込まれていたとはな』 『ああ……放送聞いて落ち込んでるよ。お人好しにも程がある。  ……まあ、だからこそ見張り役を買って出た俺をあっさり信用して「こいつ」を貸してくれたんだけどな』 『…………ふん』 『どうした?』 『何でもない。それで、その首輪を追跡する道具だが――――』 『クロードのさっきの説明の通りだ。ここからだと生き残り16人全員分の反応が見られる』 『俺の居場所は分かるか?』 『多分、D-3のこれだ。……気を付けろ。すぐ南西が禁止エリアだ』 ...
  • 少女と猛者
    第6話 少女と猛者 「ハァックション!」 「ん?風邪でも引いたの?」 「いや・・・誰かが俺の噂でもしてるんじゃねぇか?」 源五郎池付近で話をしているのは、アリューゼとプリシス・F・ノイマンの二人である。 二人はスタート直後に、池の周辺ですぐに出会った。 プリシスは最初、得体の知れない強面のアリューゼに対して少し警戒していたが、 当のアリューゼは女で、しかも子供のプリシスに攻撃を仕掛けるつもりは毛頭無かった。 アリューゼは「とりあえずは自衛の為に一緒に行動しないか」と持ちかけ、その旨を聞いたプリシスは 半信半疑ながらも警戒を解いて、アリューゼの案を飲むことにしたのだ。 (あいつ、さっきから何やってるんだ・・・?) プリシスのデイパックの中にあった鉄パイプのグリップ感を確かめながら、アリューゼはプリシスのしている作業を見ていた。 彼がそう思うのも無理...
  • またまたご冗談を
    第58話 またまたご冗談を この俺、ジェストーナ様は何とかセリーヌを使って殺し合いを円滑に進めていきたいと考えている。 だが聞くところによると、セリーヌが知る人物は彼女を除いて14人、うち関係の深い奴は実に11人もいるそうだ。 これだけ仲間が多くては、彼女を殺し合いに乗せるのはかなり難しい。 俺に洗脳術でも使えれば楽勝なんだが、残念ながらそんなものは使えない。 さて、どうしたものか…。 それにしても11人も仲間がいるのか…。 俺の知っている奴はこの殺し合いに6人ほど参加しているが、そのうち4人は敵対していた人物である。この違いはなんなんだ。 しかもデミテルもダオス様も、とても安心して身を預けられる人物では無い。 ダオス様は問答無用で自分を殺しにかかってくるだろう。 デミテルもいきなり殺しに来るとは考えにくいが、やはり心から信用できるわけではない。 ああ、俺に...
  • 変態と不愉快な中年共
    第127話 変態と不愉快な中年共 俺は目の前の光景に唖然とした。 レザードの野郎が死んでいたクリフを操り始めた事にも驚いたが、そのクリフの繰り出した剛腕の破壊力にも驚いた。 闇夜に響き渡る大音響。 胸に風穴が開いたままフラフラと立っていたクリフが直ぐ傍に生えている木に対して放った右ストレートがもたらした破壊音だ。 素手なのにも関わらず、その一撃は大木と言っても差し支えの無いサイズの立木を軽々とへし折った。 今更ながらぞっとする威力だ。こんな馬鹿げた怪力の持ち主と正面から戦ってよく生き延びれたものだと自分でも思う。 「さて、どうでしょうか? 貴方の目から見てクリフの力に衰えは無かったでしょうか? それとももう何回か試した方がよろしいですか?」 少し離れた位置に立って同じ様にクリフを観察していたレザードが聞いてきた。 「どうって言われてもな…、よく考えたら...
  • 闇の王と炎の王、激突のこと(前編)
    第105話 闇の王と炎の王、激突のこと(前編) 幾十もの大気の炸裂音が間髪もおかずに連続し、さながら一つの轟音を奏でているように聞こえる。 フェイト・ラインゴッドは目の前の光景を見やりながら、自身の耳の訴える情報が、 視覚からの情報と矛盾しないことを確かめていた。 炎と闇の相克が生み出した超爆発で、突如として生まれた目前の空き地。 爆風と瘴気に抉られた地面からは、辛うじて抉り取られずに済んだ木の根が、ところどころで露出している。 目の前の空き地がつい1分前までは雑木林の一部だった、その証拠。 そして雑木林に生まれた空き地のあちこちでは、闘気と闘気がぶつかり、弾け、閃く。 「オラオラオラオラオラオラオラオラァッ!! さっきまで叩いていたデケえ口はどうした変態仮面野郎ッ!!?」 強靭な肉体の周囲を、ほぼ火炎も同然の高温のオーラで包んだ大男、ミカエル。 彼は目の前の敵に吼え...
  • 希望を胸に、精一杯生希望(生きよう)(前編)
    第104話 希望を胸に、精一杯生希望(生きよう)(前編) 先程聞こえた2度目の放送で、再び仲間の死を知った。 メルティーナ、夢瑠、エイミ。 あまり交流は多い方ではなかったが、それでも皆いい人だったと思う。 だが――みんなもうこの世にはいない。 おそらく神界で死んだ時と同じように、二度と蘇れはしないだろう。 死んだらエインフェリアに戻るだけ、なんて甘い事があるとは正直思えない。 だからこそ何としてでも生き延び、プラチナと会わなくてはいけないのだ。 根拠はないが、彼女とならこの殺し合いを壊せるような気がしている。 幸いあの後ミカエルに見つかることはなく、俺も洵達も放送で呼ばれずに済んだ。 ならば仲間の死を悼むのは脱出してからすることにして、今は自分に出来ることだけを考えよう。 そうと決まれば、まずは洵達と合流だ。 そう思い、放送のすぐ後でコミュニケーターを手に取...
  • 戦地に再度集う者達
    第145話 戦地に再度集う者達 「そんな……!」 念には念を入れるように、アシュトンの方に近付く光点がないか、もう一度確かめよう―― そう思って、クロードは再度探知機を操作した。 いくつかの集団が存在するだけになったこともあり、アシュトンは当面無事そうである。 それこそ何かのアイテムなり魔術なりを使わない限り、いきなりこの近辺に現れる者はいないだろう。 「何で……」 故にクロードは、探知機の索敵範囲を可能な限り狭めた。 中島家を中心にし、細かな動きも見えるよう、この戦場に照準を絞ったのだ。 ルシオも探知機に視線を落とし、敵の位置を確認してからクロードと別れる予定だった。 なのに。 「くそっ……」 クロードの眉間に、一層皺が刻まれる。 ルシオも、今ばかりは舌打ちを禁じ得なかった。 それを咎められることもな...
  • 希望を胸に、精一杯生希望(生きよう)(後編)
    第104話 希望を胸に、精一杯生希望(生きよう)(後編) 「いや~、それにしてもビックリしちゃいましたよ」 へらへらと笑いながらクレス君が口を開く。 ビックリしたのはこっちなのだが、そのことをわざわざ口には出さないでおいた。 うっかり彼にツッコミを入れようものなら、真面目な情報交換の場がグダグダなコントになりかねない。 「でもまあ、よかったじゃないですか。ようやく仲間も出来ましたし!」 その仲間が――正確には仲間かどうか怪しい少女が――目下の問題なのだが。 どうやらクレス君は彼女に対し警戒心を持っていないらしい。 無理矢理立ち直った反動か、色々と焦りすぎてるように思える。 『信頼出来る仲間を作る事』と『疑いもせずポンポン仲間を増やす事』は別物なのだが…… とはいえ、クレス君の緊張感に欠けた珍プレーのおかげで情報交換に移る事が出来たのも事実だ。 一概に悪だとは言い切れ...
  • ヴァンパイアハンターK
    第117話 ヴァンパイアハンターK 自転車がある程度速度に乗り、バランスが取れてきたところで、クラースは振り返った。 フェイト達の様子を伺うと、ブラムスがフェイトの腰に手を回し、しっかりとしがみついて飛んで行くのが見える。 「フッ」 クラースは思わず苦笑した。 「ん?どうしたクラース?」 「いや、フェイトの腰に手を回しているブラムスを見て、ちょっとな。  おそらくフェイトに言われるがままにやっているんだろうが、  ここから見てもバランスが悪そうだ。…素直と言うか律儀と言うか」 「ハハハ、確かにな。あの体格差ならフェイトの肩に手を掛ける方が安定するだろうに。  しかし、彼らに助けに来られたお姫様はどんな顔をするか…見てみたい気もするな」 「見るまでもなく想像出来るがな。…同情するよ。お姫様にも…奴を連れて行く王子様にも」 「フェイトが王子様でソフィアがお姫様な...
  • 犯人に告ぐ、人質を解放しろ
    第44話 犯人に告ぐ、人質を解放しろ 人質の女性を盾にされ、ガンツは今日で何度目かとなるその選択をサメ男に迫られる。 「さぁ、どうする。いつまでも考えていないでさっさと決めてしまったらどうだ」 「お、お願いですから、もう少しだけ考えさせてくださいっ、もうちょっとですから」 荷物を渡していいものかどうか、ガンツはその答えを未だに出すことができずに 朝からこの調子でズルズルと回答を引き延ばしていた。 以前に経験した、これと似たような事件を思い出そうとしているのだが、 薄れて久しいその記憶はどうしても手繰り寄せるのに時間がかかってしまう。 (たしか前にも同じような事がありまして、え~っと、できる限り話し合いでの解決をして、  それと騎士団憲章では、何を最優先にするんでしたっけ?) 「おいっ! もう十分だろう、さっさと荷物をこちらに渡せ」 「す、すいませんっ。...
  • 君が望むなら僕は
    第55話 君が望むなら僕は 僕はプリシスのことが好きだ。 十賢者との最終決戦前、僕は思い切って彼女に告白した。 そのころの彼女がクロードを好きだったことは知っていた。報われない恋だと知っていた。 でも、僕は玉砕覚悟で告白した。 結果は…… 『ごめん……あたし…クロードのことが…』 答えはわかっていたけど、心に響く、本当に好きだから。それにプリシスもつらいと思う。 彼女も報われない恋だったから。クロードにはレナがいたから。 でも彼女は頬が赤く染め、微笑みながら言葉を続ける。 『二番目に好きな人がいるんだ。その人は影ながらあたしのことを心配していて、いつもあたしのことを想っていてくれる人』 『今はクロードが一番だけど、いつか心の整理がついたら。その人のことを一番好きだってあたしから言いたい』 僕は一瞬理解できなかった。 『えっ! それって?』 プリシスは瞳を落とし...
  • 負けられない理由
    第13話 負けられない理由 砂浜で二人の女が戦っていた。 灰色の長髪を靡かせ短剣を振るうのはクレア・ラーズバード。 相対する金髪ツインテールの少女リドリー・ティンバーレイクは赤く燃える剣を振り回す。 (この子…強いわ!) 次々に繰り出される斬撃を短剣で受け流しながら、クレアはそう感じる。 剣の扱い、身のこなし、どれを取っても一級品。とても普通の少女とは思えない。 加えて彼女の持つ剣からは振るうたびに火炎弾が発射されてくる。 一つ一つは大したダメージは受けないが、少しづつ確実にクレアの体力を奪っていく。 何とか隙を狙おうとするが、リドリーはそれを許してくれない。 このままではジリ貧だ。 戦いが続くうちに、クレアは防戦一方になっていく。 そしてついに、リドリーの放った斬撃がクレアの短剣を弾き飛ばした。 (しまった――!) リドリーは既に次の攻撃を行うべく剣を...
  • 奇跡の光が放つ輝き
    第87話 奇跡の光が放つ輝き 私の手から放たれる光。 癒しの力を持つ光がゆっくりと消えていった。 ここは氷川村近くの診療所前。 少し前にオペラさんと戦った場所。 西の空は茜色に染まり始めています。 彼女は力の無駄遣いはするなって言っていたけれど、メンバーの中でもとびっきりの美人なオペラさん。 情熱的な性格ながらもどこか気品が溢れていたオペラさん。 そんな彼女を傷が残ったままになんてしたくなかったから、私はこの身に宿す癒しの力を彼女に使いました。 彼女の体を穿った傷も完全に塞ぎ、今のオペラさんはまるで眠っているみたい…。 「レナ、もう気は済んだか?」 傍らで私のする事を見守っていたディアスが尋ねてきます。 「ちょっと待って…」 私はそう言うと、オペラさんが付けている左耳側のピアスを外しました。 「これをエルネストさんに…。そうすればオペ...
  • 進展
    第107話 進展 草木も眠る夜半過ぎ、明かりを最小限に留めた民家の一室で二人の少年少女が一つの机に向かい合うように座り、 机の上に広げた大小さまざまな部品と工具を弄りながら作業をしている。 その二人のうちの一人、青い髪と普通の人間には決してありえない位置に猫の耳をつけた少年レオン・DS・ゲーステは 弄っていた紅い石をコトリと机の上に置くと一つ大きな伸びをした。 尚、余談であるが彼は少年であるにも拘らず見事なまでにフリルのついたメイド服を着こなしていた。別に彼に女装癖があるとかそういった訳ではないが、 事情を説明すると長くなるので不慮の事故で彼はこれを着る事になってしまっていたとするのが適切だろう。 ついでに述べると線が細い全体像に幼いながらも整った顔立ち、くりっとした大きな瞳。 彼の容姿は女の子と言われても何一つ疑問を抱くことはない程である。 頭にピョコンと生えて...
  • 静かな湖畔の森の陰から
    第41話 静かな湖畔の森の陰から 静かな湖畔の森の陰から、男と女の声がする―― 男は女を説き伏せようと声をかけ。 女は男をねじ伏せようと隙を窺う。 しばしの膠着。 そして両者は賭けに出る。賭けるものは己の命。 忍は非情でなければならない。 仕えるべき者のために相手の命と、そして必要とあらば己の命をも犠牲にしなければならない過酷で誇り高い職業。 自分は、そんな忍の頭領になるのだ。 「げっ、またフルーツポンチかよ」 「何よー、文句あるなら食べなきゃいいでしょー!」 だけど――チェスターさんやアーチェさん、ミントさんにクラースさん、それにクレスさんと居る時間は楽しくて。 「……いただきます」 「すずちゃんはどっかの馬鹿男と違って文句ひとつ言わないもんねぇ~」 「……好きですから」 「すずちゃん甘党だもんね~。あのスケベ大魔王は...
  • 王子様はホウキに乗ってやってくる?
    第126話(前編) 王子様はホウキに乗ってやってくる? (どうする…どうすれば…!?) 逡巡するアシュトンに打ち出された弾丸のような勢いでアルベルが迫る。 咄嗟に剣を盾にして正面からそのアルベルを受け止めるアシュトン。 1歩、2歩と受け切れなかった勢いで後退するが、どうにか踏ん張り4歩目を踏み出す前に受けきる事が出来た。 交差させた互いの獲物越しに射抜くような眼光をぶつける。 「よぉ、俺の事は覚えているよな? 氷川村の近くでてめえをぶちのめした男だ」 言われるまでもない。よく覚えている。氷川村近くでレオンを斬った時その場に居合わせた男だ。その時は数本の角材だけでいいように翻弄されてしまった。 「確かあん時はあのガキを…っと!」 これ以上先を言わせるわけにはいかない。上背は向こうの方が上だが体重差と武器の重量差を利用して押し飛...
  • 不協和音 (4)
    第97話 不協和音 (4) 迂闊だった。バーニィシューズという強力なカードを手に入れたせいで、楽観的になっていた。 少し考えれば分かることじゃないか。何故この事に思い至らなかったのか。 『秘仙丹を飲み爆死した友人を見て怒りに駆られたチェスターが、俺と出会った場所まで復讐を果たすためにやってくる』 ホテルに戻らなければ簡単に避けれたはずの些細なトラブル。 だが、遭遇してしまった“些細なトラブル”は“何としても崩さねばならない高い壁”へと切り替わる。 奴は情報を握っている。俺が殺し合いに乗ったという情報を。 その情報は、スタンスを偽り殺し合う気のない者の中に潜伏することを不可能にする最悪のカード。 これを使われると話が通じるかどうか怪しい殺し合う気の者のみとしか手を組めなくなる。 ただでさえ少ないカードをこれ以上減らされては堪らない。奴は始末する。今、ここで! (とは言っ...
  • 二人の父親
    第32話 二人の父親 「ふう~。」 男――アドレー=ラーズバード――は、ため息をつきながら近くにあった石に腰かけた。 「あやつは間違いなくわしらで倒したはずなんじゃがな。しかも殺し合いをしろじゃと? 気付いたらこんな所におるし、まったくわけがわからん。」 そうつぶやき周りを見渡すと、支給されたデイパックが目に留まった。 今のままでは埒が明かないので、とりあえず中身を確認した。 「ふむふむ、地図にペンそれにこれは...」 アドレーは、名簿を手に取って中を開いた。 「フェイト殿に、マリア殿、アルベルのやつまでおるのか...。」 一人、一人名前を確認していくと、ある一人の名前で表情が凍りついた。 「ク、クレアまでおるのか!!」 ――クレア=ラーズバード、アドレーの最愛の娘の名だ。彼は娘を溺愛していた。 どれ程かというと、彼の背中には彼女の似顔絵...
  • 夢の迷い道で
    第138話 夢の迷い道で 気付いた時、自分は一人、歩いていた。 辺りは真っ暗だ。見渡す限り一面の闇。 数m先――――いや、数cm先すらも。 自分の足元すらも完全な暗闇に包まれていて、見えない。 一筋の光さえ差さない、完全なる闇だ。それでも不思議と、自分の身体だけは見えていた。何故だろうか。頭の隅でそんな事を思う。 だが自分は、視界の利かない事など気にも止めずに、一歩ずつ、一歩ずつ、ただ前に向かって歩き続けていた。 ここは、何処なのだろう。 自分は何処に向かっているのだろう。 分からない。何も覚えていない。分かるのは、今の自分は不安を抱いているという事だけだ。 それが何に対する不安なのかまでは分からないのだが、胸中には漠然とした不安が、ただ広がっていた。 「誰もいないね」 何処か場違いな疑問を口にする。 それに答えてくれる存在など、ここには居な...
  • 蘇る決意
    第60話 蘇る決意 ここは菅原神社の本堂。 マリアは道中で出会ったクレスという青年と共にこの神社でめぼしい物があるかどうか探していた。 「クレス君。そっちはどうだった?」 「結局なにも見つかりませんでしたね」 クレスは少し疲れた様子でそう答えた。 「その様ね。まぁ、あまり期待していたわけではないし、戦果がなかった事を気にするのはやめましょう。 それよりもう少しで正午ってところよ。ルシファーが言っていた通りならそろそろ放送が始まるわ。 ちょっと早いけれど昼食を取りながら待ちましょう」 デイパックを床におろしその場に座わりこむ。 クレスもそれに続きその場に座り、自分の荷物から食料を取り出すべく手を入れる。 「すみませんマリアさん。支給品の一覧の中に食べ物らしき物がないのですが」 マリアは自分の荷物から銀色の包みに梱包されているものを取り出した。 「たぶんこれと同じ物が...
  • 不協和音 (2)
    第97話 不協和音 (2) 顔には出さないが、ギョロはめまぐるしく変わる状況に僅かながら混乱していた。 アシュトンがウルルンが叩き起こされた際に見せた表情は、以前のアシュトンのそれだった。 別にアシュトンに人殺しをやめられたら困るからというわけではない。 見ず知らずの人間が死のうが生きようがどうでもいいし、人を殺そうが殺さまいがアシュトンの自由だ。 ギョロにとって問題なのは、アシュトンが自分自身を殺すこと。ただそれだけだ。 アシュトンの命が自分の命と直結しているからではない。 ギョロに取っては短いが、とても濃い時をアシュトンと過ごし、アシュトンの事が好きになったから。 口には出さないが、アシュトンとウルルンとの生活があればギョロは満足だった。 だから別に、アシュトンが殺戮に走った時も「意外だな」と思いつつも特に止めようとは思わなかった。 長々と落ち込まれる方が見ていて...
  • 蘇る決意 
    第60話 蘇る決意 ここは菅原神社の本堂。 マリアは道中で出会ったクレスという青年と共にこの神社でめぼしい物があるかどうか探していた。 「クレス君。そっちはどうだった?」 「結局なにも見つかりませんでしたね」 クレスは少し疲れた様子でそう答えた。 「その様ね。まぁ、あまり期待していたわけではないし、戦果がなかった事を気にするのはやめましょう。 それよりもう少しで正午ってところよ。ルシファーが言っていた通りならそろそろ放送が始まるわ。 ちょっと早いけれど昼食を取りながら待ちましょう」 デイパックを床におろしその場に座わりこむ。 クレスもそれに続きその場に座り、自分の荷物から食料を取り出すべく手を入れる。 「すみませんマリアさん。支給品の一覧の中に食べ物らしき物がないのですが」 マリアは自分の荷物から銀色の包みに梱包されているものを取り出した。 ...
  • ある男の思考
    第29話 ある男の思考 (……さて、これからどうしたものか) 戦場でこの私に挑んできた、まだそれほど年を経てない小僧どもを相手にしばらく遊んでやり、 必死になって向かってくる奴等に、 圧倒的な力量の差というものを分からせてやるために、いざ、本気で相手をしてやらん。 といったところで、急に空から落ちてくる圧倒的な光の渦に包まれて……… (駄目だ、以降の記憶がどうしても思いだせん――) 気がつけば武器は無く愛竜もおらず、異様な広間にて怪しい奴に互いに殺しあえと言われる始末。 まったく、訳が分からん。 とはいえ分からないことを延々と考えていても仕方がないので まずは怪しい奴から渡されたバッグの中身を確認することにする。 ふむ、これは……ピアスと、水、それになにやら透明な鈍器……?、といったところか。 容器に入った水はミトラの聖水というもので不死者とやらによく効くらしい。...
  • どっちが化け物?
    第19話 どっちが化け物? 「大きいわね」 ネーデ人の女性チサト・マディソンは目の前にいるなんとも大きな亜人に度肝を抜かれた。 その亜人はゆうに3メートルはあろうかという大きさである。 チサトはため息をつく。人相学を習っていないけれど、絶対に分かることがある。 凶悪そうな顔つきを見るかぎり、けっして友好的とは思えない。 (こんな、巨大な化け物が参加しているなんて予想外だったわ。まあ、十賢者も化け物じみてるけどね) それでも、半ばあきらめ気味で聞いてみる。 「あなたは、殺し合いに乗っているの?」 亜人が黙っているので、チサトは言葉が理解できないかと思ったが。 「モチロンだ」 と答えた。 一番最初にあった奴がこんな奴で最悪だわと、チサトは己の不運を嘆いた。 どうにかして、主催者ルシファーと戦ってくれる方向に持って...
  • ギャンブルはいつもハデのちぐう畜
    第133話 ギャンブルはいつもハデのちぐう畜 「くそっ! くそっ!」 激しく息を吐くのと同時に、やり場のない毒をも吐き出す。 彼、クロード・C・ケニーは、必死の形相で駆けていた。 理由は首から鳴り続けている警告音。 所謂、禁止エリアの警告音だ。 (間に合え、間に合ってくれ――!) 過ちの始まりは、平瀬村を目指して移動したことにあった。 彼のいたE-05から平瀬村まで直進すると、E-04の禁止エリアに侵入してしまう。 クロードは、基本的には南へと進んでいた。 しかし、アシュトンを背負ったまま山を登るのが負担になってきたため、やや西へも徐々に進行していたのだ。 それに“ある事情”が加わった結果、禁止エリアに足を踏み入れてしまうことになった。 (冗談じゃない、こんなところでッ!) まだ、自分は何もしていない。...
  • 盤上の出来事
    第119話 盤上の出来事 「那々美……か」 菅原神社の本堂入り口で、洵は同じ倭国出身のエインフェリアの事を思い出した。 倭国最大の国『海藍(ファイラン)』にある、昂后神社の巫女職の継承者だった少女。 初対面の時には大人しく真面目で控えめな少女という印象だったが、それは彼女の一面に過ぎない。 夢瑠と2人で行動する時には、一緒になってカシェル辺りに悪戯を仕掛けて楽しんだり、 仲間内の恋愛話に興味を持ったりからかったりという、どこにでもいる少女のような面も有った。 いや、エインフェリアとしての資質以外を見れば、実際どこにでもいるような少女だったのだろう。 この遊戯の開戦の狼煙代わりにされたのはそんな少女だった。 あの時は流石に洵も怒りを覚えたが、殺し合いに乗ると決めてからは、その事を敢えて思い出そうとはしなかった。 決意が鈍るとか非情になりきれないとか、そういっ...
  • 逆転協奏曲
    第83話 逆転協奏曲 青髪の少年と茶髪の青年の様子を見ていたミランダは、二人が別れた後、茶髪の青年の方を尾行していた。 少年が向かった北方面よりは青年の向かう平瀬村の方が他の参加者を集めやすそうだというのが理由だ。 幸いにも彼に気付かれる事も無く、二人は無事平瀬村へと辿り着いた。 しかし村に着いてから問題が起こった。 ミランダがどうやって青年と接触しようかと考えていると、青年が突然現れた黒髪の男に剣を突きつけられたのである。 (ここで死なれてしまっては…わざわざ尾行してきた意味が無くなってしまいますね…) 内心焦りながらも、二人の行動を物陰から観察する。 よく見れば二人は何やら言葉を交わしているようだ。やがて黒髪の男はその剣を下ろし、茶髪の青年も彼の方を向く。 会話の内容はよく聞こえないが、青年の対応はどう見ても殺人者に対するものには見えない。 ...
  • とあるリーダーの戦場
    第129話(前編) とあるリーダーの戦場 「決めたわ。いい、クレス。私達は――――――――」 続く台詞を吐き出すその前に、ほんの一瞬だけ私は躊躇した。手に入れた情報を吟味した結果、これが最良の選択と言えるのか。 今の様な今後を左右する重大な決断を下した事は多々あった。それも自分の命だけではなく、自分を慕って付いてきてくれる多くの仲間の命運をも左右する大きな決断を。 その都度クリフが言うのだ。「まぁ、なるようになるんじゃねえか?」と、 そんな無責任な…等と思っていると決まってミラージュが「あまり楽観視するのは良くありませんが、マリアが決めた事なら私達みんな後悔なんてしませんよ」と私に微笑んで後押しをしてくれた。 それに続いてリーベルやマリエッタ、他のクルー達が口を揃えて「全力を尽くしますよ。リーダーが望んだ結果を手に入れる為にね」と言ってくれた。 今の自分の傍にはそんな...
  • 続・美女と野獣と変態と
    第78話 続・美女と野獣と変態と 観音堂。ここに集まった四人の情報交換は、面子の割には驚くほどスムーズに行われていた。 「ぬぅ……」 禿げヅラを被った不死者、ブラムスは小さく唸る。 「これは驚きましたね」 眼鏡を掛けた変態、レザードは何やら楽しげに呟く。 この二人が興味を示した情報。それは、当然ソフィアが持つルシファーに関するの情報だった。 フォーディメンションと呼称された世界。その世界の住人――ルシファー達が創り出したエターナルスフィアと呼ばれる仮想現実世界。 エターナルスフィアが起こすであろう反乱。それを阻止するためにルシファー達が送り込んだエクスキューショナー。 創造主と戦うために、エターナルスフィアの人間が作り出した生物兵器とその力。 そして、ソフィア達とルシファーの戦いの結末。 「ただ『変態、変態』と騒ぐ煩いだけの娘で...
  • 決断の時
    第91話 決断の時 ガルヴァドスの腹の虫が盛大に鳴いたので、二人は少し早いが夕食にする事にした。 支給品の食料で済ませようかとも考えたのだが、現在位置は跡地と言っても元ホテルだ。 それなりのキッチンを備えているだろうと踏んだチサトは料理の腕を振るう事にした。 キッチンに着いたのはいいのだが、肝心の食材を蓄えているであろう冷蔵庫が見当たらない。 しばし捜し歩いた後に、食材備蓄庫なる場所を見つけたチサト達。 食材一種類の量は大した事ない上に、賞味期限が怪しい物も目立ったが、種類だけはたくさんある。 「何か、リクエストとかある?」 何を作ろうか迷ったチサトは、ガルヴァドスに尋ねた。 「何デモ、構わナイ。オ前が食べたい物デイイ」 「そうねぇ、じゃあ、ニンジンが少ないけどカレーにしましょう。キッチンはあっちだから材料運ぶの手伝って」 「心得タ」 ガルヴ...
  • To Destroy Nightmare
    第111話 To Destroy Nightmare F-05の森の中を2つの影が進んでいく。 レオンの前を行くアルベルが、このルートを行くことを提案した。 愚者の様に見えなくもないが、アルベルとて伊達に漆黒の団長をしていたわけではない。 戦闘のセンスだけでなく、戦術を練ることが出来て初めて強者たりえるのだ。 まだ幼いレオンに山道は厳しいことを承知の上でF-05を通るルートにしたのは、それが最善のルートだとアルベルの頭が判断したからである。 「おいガキ、あんまり遅れるようなら置いていくぞ」 誤算を上げるとしたら、レオンのプライドが思った以上に高かったことだろう。 疲労が溜まってきているであろう今、山道を余裕で行けるのは自分くらいだ。 これで組んだ相手がプリシスかレナだったら相手に合わせて平坦な道を行くところだが、小柄なレオンならさほど苦もなく担ぐことができる。 ...
  • 逃げるが勝ち
    第48話 逃げるが勝ち クラースは台所の戸棚を開ける。 (たいした物は無いな) 手ぬぐい、割り箸、計量カップ。それらは彼の探している物ではない。別の戸棚を開けてみる。 そこに有ったのは缶詰類。やはり彼の求めている物は見つからなかった。 その頃、台所から少し離れた和室で、エルネストは両腕の治療を行っていた。 もっとも両腕の火傷は軽く、治療と言うには少し大げさかも知れないが。 一段落付いた丁度その頃、クラースも和室に入ってきた。その手にはお盆を、お盆の上には湯飲み茶碗を2つ載せて。 「で、どうだ、使えそうな物は有ったのか?」 エルネストは湯飲み茶碗を受け取りながら聞く。 「いや、包丁やナイフどころかアイスピックすら見つからない。全く、徹底しているよ」 クラースは腰掛けながら答える。クラースは武器に成りそうな物――包丁やナイフを探していた。 ...
  • 『B』
    第125話 『B』 スフィア社最上階にある重役室の一室。 その部屋は実に殺風景だった。無機質な金属の壁に囲まれ、一切の飾り気も無く、家具の類の物すら見当たらない。 目に付く物と言えば部屋の中心に配置されている巨大なコンソールくらいだ。 とても個人に割り当てられた部屋とは思えぬ程に生活感が無く、物悲しさの漂う部屋だが、 何の為に存在しているのかと用途を問えばこの上なく分かり易い部屋だとも言えた。 部屋の主――ベリアルはコンソールの前に座り、 光で生成され空間に投影されている数枚のモニターの内の1枚を、険しい顔付きで睨みつける様に眺めていた。 その鋭い眼光と屈強そうな図体、そして無骨そうな表情は、いかにも『大雑把な肉体派』という印象を抱かせるが、 偏見に近いそんな印象とは裏腹に、彼は実に丁寧に、精確に、そして迅速に仕事をこなす人物だ。 技術者としての能力も高く、会社...
  • もの言わぬ友よ(前編)
    第99話 もの言わぬ友よ(前編) 月光煌めく夜天の下、2人の男が対峙していた。 1人は蒼き孤高の剣士ディアス・フラック。 もう1人はある科学者が己の恨みを乗せて創り出した存在。天使の名を冠した狂信者ガブリエル。 かつて刃を交えた両雄は再びこの地で合間見える事となった。 引き抜いた剣を正眼に構えディアスはガブリエルを睨みつける。 相手の出方を伺いつつ戦略を組み立てていた。 自然と着目するところは相手の体のいたるところに見受けられる切り傷や焼け焦げた衣服。 (ここに来るまでに大規模な戦闘をしたようだな…。  こちらとて無理は出来るような状況ではないが付け入る隙はある) 特に接近戦を行う上での重要なファクターである武器を操る右腕の刺し傷と、 攻守共に必要になる機動力の要とも言える脚部の裂傷。 (速力でかく乱して、相手の右側を攻める。 あまり褒められた戦い方ではな...
  • カタストロフィーは想いとは裏腹に
    第95話 カタストロフィーは想いとは裏腹に 「はあ…はあ…はあ…」 痛い。 胸が痛みで疼く。 つい半時間前に対峙したミラージュと呼ばれる女によって刻まれた傷が疼く。 肋骨を破壊された。人間業とはおもえないほど素早い踏み込みで付けられた傷。 相手が万全な状態だったら確実に骨を折るどころではなかっただろう。 そう、リドリーはソファに腰掛け、胸を押さえながら痛みに耐えていた。 応急処置はとうに済ましている。だが……痛みは引くどころか、徐々に増していくばかりである。 「はあ、はあ、はあ――――」 動悸が荒くなっていく。心臓が胸を引き裂かんばかりに飛び出そうとする。 刻々と増していく。体に寄生した蟲の様に刻々と蝕んでいく。 毒物を飲まされたような吐き気。 全身を焼かれるような熱さ。 全身を鎖で縛り付けたような重さ。 ナイフで抉ら...
  • 掴んだ1つの希望と2つの絶望?
    第56話 掴んだ1つの希望と2つの絶望? 部屋に立ち込めていた白い煙が徐々に晴れてきた。 オペラは自らの命運をかけた目の前の箱の底を見つめていた。 この箱の仕組みはよくわかっていない。箱の底は何故か見えず奈落の底まで続いているかのような深さだ。 そこに手を伸ばすと一つまた一つと中に入っているアイテムが取り出せる仕組みになっている。 オペラは期待と不安の入り混じる奇妙な感覚に襲われていた。 いやほとんど希望なんて抱いていないのかも知れない。 前回出てきた物が物だっただけに当然である。 それでも今の彼女がすがる事のできる唯一つの光明だ。 扉の外からはこじ開けようとする大きな音が部屋中に響き渡っている。 この音は例えるならオペラに迫る死神の足音に他ならない。 意を決しオペラはもう一度今まで存在を信じたことなかった神に祈りを捧げ箱の底に手を入れた。彼女の手が箱の中にあるもの...
  • 鎌石村大乱戦 開幕 ~守りたい者の為に~(前編)
    第110話 鎌石村大乱戦 開幕 ~守りたい者の為に~(前編) 俺はただ許せなかった。 こんなか弱そうな少女をこんなになるまで痛めつけて殺してしまうなんて…。 弓を取り出す為に地面に横たえた名も知らぬ少女の亡骸は、何故だろう? どこか安堵した様な表情で眠っていた。 今際の際にこの子が掠れた声で呟いた言葉 「ジャック、ジャック…。最後にお前に会えて嬉しいな……。 私、恐かったんだよ……一人は恐かったんだよ……」 「…私はお前と……」 この子とジャックと呼ばれた人物との関係は全く知らない。 それでも、この子のジャックに対する想いは伝わってきた。 死ぬ寸前に出てくる名前だ。きっと、この子にとって大切な人だったんだろう。 そして、最期の言葉は本当に、今にも消えてしまいそうな微かなものだったけど、その言葉はしっかり俺の元に届いていた。 ―――共に歩きたかった...
  • 時空剣士、堕つ(後編)
    第131話 時空剣士、堕つ(後編) クレスは奥歯を噛み締めていた。 こうなったのは、完全に自分の落ち度だ。そう思えてならなかった。 男はさっきから自分よりもレナ、ミランダを優先して狙っていたではないか。 1対1の戦いには拘らず、倒せそうな相手から倒していく。 それがこの男の戦術だと分かっていたはずなのに、またもレナやマリアを危機に陥らせている。 自分がしっかりとあの男を止めていればこんな状況にはならなかったのに。 みんなを護ると決めた側からこの体たらく。一度は世界を救いもした時空剣士の名が聞いて呆れるというものだろう。 「頑張れレナッ! 頑張ってくれ!」 これで何度目だったか。 男がレナの作り出した防壁に向かって跳び、斬りつけ、防壁を蹴って距離を置く。 その度に防壁が歪み、レナの表情は段々と焦りの色に侵蝕されていく。 その度にクレスは歯痒さを切に感じな...
  • 愛しのヴァルキュリア(;´Д`)ハァハァ
    第22話 愛しのヴァルキュリア(;´Д`)ハァハァ 別に、那々美とは特別仲が良いわけじゃなかった。 それどころか、エインフェリアの中では疎遠な方だったと思う。 酒盛の時も戦闘の時も、私がカシェル達と輪の中心で好き勝手暴れまわるのに対し、那々美は常にあまり目立たぬ後ろの方に居た。 そんなこんなであまり接する機会は無かったけど、那々美のサポートには何度も助けられてる。 自分は飲んでもいなかった酒盛りの後片付けを手伝ってくれたりもした。 だから、会話もほとんどしたことないし、話だって合わないけど―― 那々美は、私の大切な仲間だ。 なのに――なのに私は、那々美を見殺しにしてしまった。 「…………」 苛立ちを乗せ、右の拳を木の幹へと叩き付ける。 ルシファーだとかいういけ好かない奴にもムカついたが、それ以上にみすみす那々美を死なせた自分自身に腹が立った。 那々美を...
  • 墓(レオン)
    レオン (サイズが大きすぎるので省略されました・・・全てを読むにはここをクリックしてください)       .〉' /、rニハ , -='ェ     / _.!ヘ/´ ̄ヽ/rソ`~\ , -‐──‐-、    に,ニ r' |( lj、´    ヽ       |    「省略するとこおかしくない!?」     l 〈i○{、 \   'iヘ _,. -‐   !       \_ゞ,or゙ゝ ハー' ,' \ミ _  |        | `\ , ‐'´ ハ  !  \ハ |二`゙ ー─-く´>')、       |    厂 ,.ノ´'´ノ\ i    ヾi、ノ、 ...
  • 闇の王と炎の王、激突のこと(中編)
    第105話 闇の王と炎の王、激突のこと(中編) (よし――上手いこと挑発に乗ったか) 奥義のための『溜め』の体勢に入ったミカエルを見やり、ブラムスは自らの策が成ったことを知る。 ミカエルに対し吐いてみせた、けれん味たっぷりの口上――それらは全てが真実であり、全てが虚偽とも言える。 ブラムスは不死者でありながら、同時に拳士でもある。 不死者の持つ獣性と、拳士としての求道心が同居する彼の胸中は、 もちろん強大な敵との戦いで昂ぶりもするし、時にはその不正なる生すら賭けたいと思うほどに、 戦いという行為に飢えることもある。 しかしただ戦という行為自体を求めるだけであれば、所詮ブラムスはただ強いだけの不死者に過ぎない。 不死者の王を名乗るのであれば、求められるものはただ戦に酔うだけの獣性のみではないのだ。 あらゆる不死者をかしずかせる絶対のカリスマ、そして自らの誤りを許さない知...
  • 夢は終わらない(ただし悪夢)(後編)
    第121話 夢は終わらない(ただし悪夢)(後編) 「…………………………………………………………………………………………………………  …………………………………………………………………………………………………………  ……………………………………………………………………………………………………え?」 ありえない、理解できない、信じられない。 そんなワードを、目の前の男は口にしている。 「戦ったチェスターの話だと、炎を剣から出して攻撃してくるらしいから気をつけて」 ほとんど何も考えず、感情のままにプリシスは叫んでいた。 「嘘だッッ!!」 派手な音を立て、ソファから立ち上がるプリシス。 その横では、レナが顔面蒼白で言葉を失っている。 尋常ではない二人の様子で、クレスは大体の事情を察した。 「クロードが……ク...
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