AAAキャラバトルロワイアル @ ウィキ内検索 / 「負けられない理由」で検索した結果

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  • 負けられない理由
    第13話 負けられない理由 砂浜で二人の女が戦っていた。 灰色の長髪を靡かせ短剣を振るうのはクレア・ラーズバード。 相対する金髪ツインテールの少女リドリー・ティンバーレイクは赤く燃える剣を振り回す。 (この子…強いわ!) 次々に繰り出される斬撃を短剣で受け流しながら、クレアはそう感じる。 剣の扱い、身のこなし、どれを取っても一級品。とても普通の少女とは思えない。 加えて彼女の持つ剣からは振るうたびに火炎弾が発射されてくる。 一つ一つは大したダメージは受けないが、少しづつ確実にクレアの体力を奪っていく。 何とか隙を狙おうとするが、リドリーはそれを許してくれない。 このままではジリ貧だ。 戦いが続くうちに、クレアは防戦一方になっていく。 そしてついに、リドリーの放った斬撃がクレアの短剣を弾き飛ばした。 (しまった――!) リドリーは既に次の攻撃を行うべく剣を...
  • ◆Zp1p5F0JNw
    ...(14) 013 負けられない理由 025 父の面影 052 第一回放送 058 またまたご冗談を 066 LIVE A LIVE 075 断ち切る思い 083 逆転協奏曲 088 Partner 094 もしも願いが叶うなら 102 くそむしテクニック 106 第三回放送 109 偽者だとばれたら負けかなと思ってる 123 恨みと怒りのメビウス 145 5年半ぶりの目覚め 【氏が書かれたキャラ】 キャラ名 登場回数 クロード 4回 アルベル 3回 レナ、レオン、ミラージュ、ルシファー、ルシオ、リドリー、チェスター 2回 セリーヌ、アシュトン、プリシス、ボーマン、ディアス、オペラ、エルネスト、ミカエル、ソフィア、クリフ、スフレ、マリア、クレア、IMITATIVEブレア、ベルゼブル、ベリアル、レザード、洵、ロキ、ルーファス、ガウェイン、ミランダ、クレス、アーチェ、クラース、...
  • とある戦士達と機械技師の戦場
    ...つもりは無い。私には負けられない理由がある。 「『プルートホーン』」 銃口から七色に輝く光弾がショットガンの散弾の様に無数吐き出された。 ブロック塀が無残に砕け、飛び散った残骸が更に破壊の爪跡を広げていく。 だが、崩れた塀の後ろに相手がいない。曲がり角一帯のブロック塀は全て吹き飛んでいるのに。 (どこへ?) 見失った剣士を探す為に巡らせる視界に僅かに光るものがあった。 正面のブロック塀の一部にあるひし形の空洞。その隙間から煌めく銃口が私に向けられている。 (来るっ!) 私の勘が告げていた。回避する事は出来ない。後ろではクレスが戦っている。避けたら彼に当たってしまう。 私に向けられる殺気が一層強くなったその瞬間、私はその銃口目掛けて引き金を引いた。 打ち出された虹色の光弾と黄金色の光弾が空中で激突し爆発を巻き起こした。 その衝...
  • 作中時間順目次
    ...25qcL. 13 負けられない理由 スフレ、クレア、リドリー ◆Zp1p5F0JNw 14 ルシファーが贈る刺客 IMITATIVEブレア ◆ZhOaCEIpb2 15 血まみれの…… ロウファ、ノエル、すず ◆MJv.H0/MJQ 41 静かな湖畔の森の陰から ロウファ、ノエル、すず ◆wKs3a28q6Q 16 決意の言葉 クレス、マリア 名無しさん 17 小さな手~愛しき人と炎の記憶~ ミカエル、チェスター ◆wKs3a28q6Q 19 どっちが化け物? チサト、ガルヴァドス ◆ZhOaCEIpb2 21 HURRY! ダオス、フレイ ◆MJv.H0/MJQ 22 愛しのヴァルキュリア(;´Д`)ハァハァ エイミ、レザード ◆wKs3a28q6Q 23 幸薄男の憂欝 アシュトン、アーチェ ◆0991sDBObk 24 嗚呼麗しのお姉様 ロジャー、メルティーナ ◆0991sDB...
  • 本編SS目次
    ...25qcL. 13 負けられない理由 スフレ、クレア、リドリー 朝 ◆Zp1p5F0JNw 14 ルシファーが贈る刺客 IMITATIVEブレア 朝 ◆ZhOaCEIpb2 15 血まみれの…… ロウファ、ノエル、すず 朝 ◆MJv.H0/MJQ 16 決意の言葉 クレス、マリア 朝 名無しさん 17 小さな手~愛しき人と炎の記憶~ ミカエル、チェスター 朝 ◆wKs3a28q6Q 18 私の名はクラース、お前は狙われている! エルネスト、クラース 朝 名無しさん 19 どっちが化け物? チサト、ガルヴァドス 朝 ◆ZhOaCEIpb2 20 止まらない受難 アルベル、ネル、夢瑠、オペラ 午前 名無しさん 21 HURRY! ダオス、フレイ 朝 ◆MJv.H0/MJQ 22 愛しのヴァルキュリア(;´Д`)ハァハァ エイミ、レザード 朝 ◆wKs3a28q6Q 23 幸薄男の憂欝 ア...
  • スレ違わない?交差点
    第31話 スレ違わない?交差点 「どうすれば………いいのでしょうか………………」 少女の口から、重たく深い溜息とともに小さく呟きが漏れる。 今の状況と昨日の記憶とがどこまでも噛み合わない。 少女は何故こうなったのかを考えるため、再度自分の記憶を辿る。 昨日はいつもと同じ一日だったはずだ。 朝起きて教団に行った後、神に祈って修行をして、 日が暮れたら家に帰って遅くならないうちに寝た。 いつもと違うことなど何も無かった。 変わったことといえば 私に向かって蹴りつけてきたジャックさんに ゴドウィン様直伝の技の数々を見せて差し上げたのですが……… いえ、それが原因とはさすがに思えませんし。 少女はなおも記憶を探るが今の状況の原因となりそうなものは どうしても見つけられない。 「ゴドウィン様もおられませんし、  やはりここは……神に祈ってみるのが一...
  • 止まらない受難
    第20話 止まらない受難 しょうもない物を支給された怒りが冷めやらぬまま、アルベルは一路氷川村を目指して歩いていた。 村に行けば何か武器が調達できるかもしれないと考えたからである。 「ん?あれは…」 道を歩いていると、誰かが倒れているのが見える。近づいてみるとそれは女性だった。 「死んでやがるな…」 その女性―ミントは既に死んでいた。背中に大きな傷があるのを見ると、これが致命傷のようだ。 「背中に傷か…大方、背後から不意打ちでやられたってとこだろう」 ふざけやがって…とアルベルは下唇を噛む。 ――決して、この女性が誰かに殺されたことに対して怒っているのではない。アルベルの怒りの理由は別の所にある。 「背後から一撃とは意気地のない野郎だ。殺すなら堂々と戦って殺せってんだ、阿呆が」 一応使える物が残ってないか死体の周りを調べてみるが、どうやらこの女性...
  • 夢は終わらない(ただし悪夢)(前編)
    第121話 夢は終わらない(ただし悪夢)(前編) 「夜は姿が見えにくいから、気合を入れナイトいけないな……」 まだ暗い夜の闇を見つめながら、クレス・アルベインは一人呟く。 夜の見張りにはかつての冒険で慣れてはいたが、立派な建造物の外で単身見張りの任に就くのはほとんど初めてのことだった。 家を取り囲む立派な塀のせいで視界が若干狭いのだが、塀の外に出ても暗すぎてよく見えないだろうと考え扉のすぐ近くで見張りをしている。 『見えもしないのに下手に見晴らしのいい場所に出て、不意打ち喰らって死にました』では洒落にもならない。 自分が暗闇で遠くが見えないからといって、他の参加者までそうであるとは限らないのだから。 双眼鏡の類が支給されている可能性もあるのだし、楽観は出来まい。 相手にはこちらを遠距離から確認する方法があるという前提でいるべきだろう。 自分が死んだら眠っ...
  • カタストロフィーは想いとは裏腹に
    第95話 カタストロフィーは想いとは裏腹に 「はあ…はあ…はあ…」 痛い。 胸が痛みで疼く。 つい半時間前に対峙したミラージュと呼ばれる女によって刻まれた傷が疼く。 肋骨を破壊された。人間業とはおもえないほど素早い踏み込みで付けられた傷。 相手が万全な状態だったら確実に骨を折るどころではなかっただろう。 そう、リドリーはソファに腰掛け、胸を押さえながら痛みに耐えていた。 応急処置はとうに済ましている。だが……痛みは引くどころか、徐々に増していくばかりである。 「はあ、はあ、はあ――――」 動悸が荒くなっていく。心臓が胸を引き裂かんばかりに飛び出そうとする。 刻々と増していく。体に寄生した蟲の様に刻々と蝕んでいく。 毒物を飲まされたような吐き気。 全身を焼かれるような熱さ。 全身を鎖で縛り付けたような重さ。 ナイフで抉ら...
  • 不協和音 (3)
    第97話 不協和音 (3) まったく、俺はネーデ人に何か縁でもあるのだろうか? あと数時間で禁止エリアになる場所に留まる奴はいないだろうと判断し通り抜けようとしたD-04で、俺はノエルと再会した。 仲間に会うのはこれで二人目。これで目出度く二人しかいないネーデ人の知り合い両方に再会したことになる。 もっとも、ノエルの方はとうの昔に冷たい体になっているのだが。 (……念のため診ておくか) 時計で時間を確認する。大丈夫だ、禁止エリアになるまでにはまだ時間がある。 本格的な検死なんて勿論無理だが、ゆっくり死体を眺められるほど安全なエリアなどそうそうない。 殺害犯の獲物ぐらいしか得られる情報はなさそうだが、情報はあって困るものじゃないからな。 ――俺は弱い。この先生き残るためには、その事実を素直に受け入れるしかないだろう。 紋章術者のようにデカい一発も持ってなければ、...
  • 時空剣士、堕つ(前編)
    第131話 時空剣士、堕つ(前編) 彼女達を支えているのは、『希望』だ――――モニターの前でブレア・ランドベルドは考える。 おそらく現在プリシスは室内で首輪解除の為の作業を行っている。 レナがミランダの首輪をプリシスの下へと運び、そのプリシスが戦闘に出てこない事からもそれは容易に想像がつく。 首輪解除の方法。脱出を目指す彼女達にとって、その存在は希望そのものだ。 希望という大きな拠り所があるからこそ、彼女達は必死に戦っている。目的を持てるからこそ、己を保つ事が出来る。 ミランダの死を目の当たりにして挫折しかけていたレナが持ち直したのも、その希望に向かう意志があればこそ。 ブレアの居るF・D界の大多数の人間が失ってしまっている希望と意志の力とは、それ程までに強靭で、尊い。 しかし、もしもその希望が潰えてしまったら。 希望が大きければ大きい程、反動もまた大...
  • 夢は終わらない(ただし悪夢)(後編)
    第121話 夢は終わらない(ただし悪夢)(後編) 「…………………………………………………………………………………………………………  …………………………………………………………………………………………………………  ……………………………………………………………………………………………………え?」 ありえない、理解できない、信じられない。 そんなワードを、目の前の男は口にしている。 「戦ったチェスターの話だと、炎を剣から出して攻撃してくるらしいから気をつけて」 ほとんど何も考えず、感情のままにプリシスは叫んでいた。 「嘘だッッ!!」 派手な音を立て、ソファから立ち上がるプリシス。 その横では、レナが顔面蒼白で言葉を失っている。 尋常ではない二人の様子で、クレスは大体の事情を察した。 「クロードが……ク...
  • それぞれの理由
    第126話(後編) それぞれの理由 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「よぉ、作戦会議は終わりかよ? とりあえずてめえが一番の危険人物ってのは確定しているからなぁ、てめぇからのしてやるよ!」 無造作に握られる剣を構える事もせずに離れた距離をアルベルが疾走してくる。 「待って!アルベルお兄ちゃん! 僕アシュトンお兄ちゃんに話が…」 そのアルベルに向かってレオンが叫ぶ。そんな彼にアルベルが振り返らずに返答した。 「今のこいつには何を聞かせても無駄だろうぜ。せめてこいつが戦えなくなってからにするんだな!」 その通りだ。誰がなんと言おうが僕はプリシスの為に他の参加者を皆殺しにするんだ。 そうしないと彼女に振り向いてもらえない。だから、先ずは邪魔な君達から始末させてもらうよ。 突進してくるアルベルに向かって剣を振り下ろす...
  • ギャンブルはいつもハデのちぐう畜
    第133話 ギャンブルはいつもハデのちぐう畜 「くそっ! くそっ!」 激しく息を吐くのと同時に、やり場のない毒をも吐き出す。 彼、クロード・C・ケニーは、必死の形相で駆けていた。 理由は首から鳴り続けている警告音。 所謂、禁止エリアの警告音だ。 (間に合え、間に合ってくれ――!) 過ちの始まりは、平瀬村を目指して移動したことにあった。 彼のいたE-05から平瀬村まで直進すると、E-04の禁止エリアに侵入してしまう。 クロードは、基本的には南へと進んでいた。 しかし、アシュトンを背負ったまま山を登るのが負担になってきたため、やや西へも徐々に進行していたのだ。 それに“ある事情”が加わった結果、禁止エリアに足を踏み入れてしまうことになった。 (冗談じゃない、こんなところでッ!) まだ、自分は何もしていない。...
  • 天才に涙はいらない
    第62話 天才に涙はいらない 僕は天才だ。完膚なきまでに天才だ。 かつてクロードお兄ちゃん達と冒険を始めるまでは“ただ頭がいいだけのクソガキ”だった、それは認める。 だけど今の僕は――あの冒険を終えた後の僕は“心の弱さ”を克服し、冷静な判断力とどんな事態にも動じない鋼の心を手に入れた。 まさに真の天才。僕の瞳にはダイヤモンドのように固い決意をもつ「気高さ」が宿っていることだろう。 『――レイ、ノエル・チャンドラー、ロウ――』 だから、これぐらいで動じちゃいけない。 仲間がし――居なくなることは、最初の放送までに何も出来なかった段階で覚悟しておくべきことのひとつだった。 だから僕は動じない。動じるわけにはいかない。 今僕が死んだら、今首輪の秘密に気付いた僕が死んだら、誰一人助からなくなってしまう。 みんなを救うためにも、僕は泣いたらいけな...
  • 罪状はDV 判決は死刑
    第114話 罪状はDV 判決は死刑 「行ったようだね。それじゃこっちも行こうか?」 クロードが暗闇に走り去ったのを見届けると、ブレアとロキは歩き始めた。 ロキはブレアに突きつけていたパラライズボルトを下げて、言う。 「一応言っとくけど、下手な真似したらお前の正体ばらして歩くからね、おとなしく歩いてなよ?」 仲間に余計な事を話されると面倒なので突きつけていたが、もう必要無い。 まあ、ブレアとしては逃げたり助けを求めたりしたところで正体を他の参加者にばらされてしまい、 実質殺し合いから脱落する事になるのだから、ロキに従うしかないだろうが。 「おとなしく歩けって言っても、もっと速く歩けよ。  さっきの不意打ちの時も思ったけど、やっぱりウスノロだな、お前」 ブレアは振り向く事もせず、沈黙を守ったまま、歩く速度を少し上げた。 (だんまり、ね。まあどうせこいつからは、まと...
  • 希望を胸に、精一杯生希望(生きよう)(前編)
    第104話 希望を胸に、精一杯生希望(生きよう)(前編) 先程聞こえた2度目の放送で、再び仲間の死を知った。 メルティーナ、夢瑠、エイミ。 あまり交流は多い方ではなかったが、それでも皆いい人だったと思う。 だが――みんなもうこの世にはいない。 おそらく神界で死んだ時と同じように、二度と蘇れはしないだろう。 死んだらエインフェリアに戻るだけ、なんて甘い事があるとは正直思えない。 だからこそ何としてでも生き延び、プラチナと会わなくてはいけないのだ。 根拠はないが、彼女とならこの殺し合いを壊せるような気がしている。 幸いあの後ミカエルに見つかることはなく、俺も洵達も放送で呼ばれずに済んだ。 ならば仲間の死を悼むのは脱出してからすることにして、今は自分に出来ることだけを考えよう。 そうと決まれば、まずは洵達と合流だ。 そう思い、放送のすぐ後でコミュニケーターを手に取...
  • To Destroy Nightmare
    第111話 To Destroy Nightmare F-05の森の中を2つの影が進んでいく。 レオンの前を行くアルベルが、このルートを行くことを提案した。 愚者の様に見えなくもないが、アルベルとて伊達に漆黒の団長をしていたわけではない。 戦闘のセンスだけでなく、戦術を練ることが出来て初めて強者たりえるのだ。 まだ幼いレオンに山道は厳しいことを承知の上でF-05を通るルートにしたのは、それが最善のルートだとアルベルの頭が判断したからである。 「おいガキ、あんまり遅れるようなら置いていくぞ」 誤算を上げるとしたら、レオンのプライドが思った以上に高かったことだろう。 疲労が溜まってきているであろう今、山道を余裕で行けるのは自分くらいだ。 これで組んだ相手がプリシスかレナだったら相手に合わせて平坦な道を行くところだが、小柄なレオンならさほど苦もなく担ぐことができる。 ...
  • Start Up from Prolonged Darkness
    第103話 Start Up from Prolonged Darkness(前編) 己の宿命に翻弄される青年がいた。 その青年の人生は長い暗闇だった。 ただ宿命のために生きる生活は虚構のように長く陰鬱だった。 宿命の証の指輪だけが暗闇の中で彼を嘲笑った。 その笑いが更に青年を陰鬱にさせた。 その青年は暗闇の中で生きるのを拒んだ。 青年は―――が欲しかった。 その手に―――を得るために。青年は暗闇が包まれる空間を歩き出した。 だが、それは『無理』を証明するための旅。 たとえ、無駄な抵抗だと分かっていながらも、青年は足を進めた。 そして、彼は果てのない暗闇の最中、同じような境遇の少女に出会った。 青年は喜んだ。自分と同じような苦しみを持つ存在いることに。 だが少女は同じ境遇だったが、青年とは少しだけ違った。 少女は『無理』を証明するためではなく、『可能性』を証明...
  • 『B』
    第125話 『B』 スフィア社最上階にある重役室の一室。 その部屋は実に殺風景だった。無機質な金属の壁に囲まれ、一切の飾り気も無く、家具の類の物すら見当たらない。 目に付く物と言えば部屋の中心に配置されている巨大なコンソールくらいだ。 とても個人に割り当てられた部屋とは思えぬ程に生活感が無く、物悲しさの漂う部屋だが、 何の為に存在しているのかと用途を問えばこの上なく分かり易い部屋だとも言えた。 部屋の主――ベリアルはコンソールの前に座り、 光で生成され空間に投影されている数枚のモニターの内の1枚を、険しい顔付きで睨みつける様に眺めていた。 その鋭い眼光と屈強そうな図体、そして無骨そうな表情は、いかにも『大雑把な肉体派』という印象を抱かせるが、 偏見に近いそんな印象とは裏腹に、彼は実に丁寧に、精確に、そして迅速に仕事をこなす人物だ。 技術者としての能力も高く、会社...
  • HEAT -灼熱-
    第51話 HEAT -灼熱- 走る。走る。走る。 茂みを掻き分け、エルウェンは走る。煙が立ち昇る方へと一直線に。 争いが起こっているであろう場所へと。 エルウェンは刻々と目的地へと接近しつつあった。 もしもの戦闘に備え、パックを漁る。プロテクターを取り出し、腕に付ける。 後の残り二つを懐に収めた。 長年自分と共にしてきた恋人の形見の剣アヴクールがないのが、心細いが十分に戦える。 自分を過大評価する訳ではない。 でも、私はそこいらにいる人間とは比べようないぐらい強さを持っている。 エルウェンは己の矛盾に苦笑いする。しかし、自分にはそれだけの力があるのだ。誰かを護る強さが。 私は止めなければならない。 こんなくだらない戦いを行う輩を意味の無い戦いを強要するルシファーを。 争い。それは醜いものだ。長い間生きてきたが争いは何も生まなかった。 血を血で洗い、...
  • Start Up from Prolonged Darkness(後編)
    第103話 Start Up from Prolonged Darkness(後編) クリフもその現場を見ていた。 恐怖で蹲るソフィアと「まさか」と呆然とするレザードを。 後悔だけが湧き上がる。なぜ俺はあそこで油断していたのか、 躍起になった相手が俺らを狙ってくるという考えに至らなかったのか。 そんな自分の不甲斐なさに打ち震えているクリフを尻目に、 呆然としていたレザードが息を切らし、レナスの亡骸に近づいていった。 「おお、そんな……我が愛しきヴァルキュリアが……」 さすがの冷静沈着なレザードもレナスの死に酷く動揺していた。 レザードはまだ暖かさが残るレナスの身体を抱き上げる。 すると、レザードの地面から紋章が浮かび上がる。それはレザードの移送方陣であった。 移送方陣の紋章がレザードとレナスに覆い被ると、その場から影形をすら残さず消え去った。 ...
  • 不協和音
    第97話 不協和音(1) アシュトン・アンカースという友人がいる。 エクスペルの冒険で、初めて出来た男の仲間。 レナとセリーヌさんとの三人だけの冒険が不満だったわけではないし、『両手に花』という状況で喜びを感じないほどストイックな性分でもない。 ただ、それでも同性の仲間が出来たことは嬉しかった。 宿屋に泊まる時に一人ではなくなり、隣の部屋から聞こえてくる楽しげな話声に密かに嫉妬することもなくなった。 野営の時もそうだ。アシュトンが仲間になって、後衛の女性陣に任せないといけないという事態がなくなった。 仲間が増えて接する機会は減ってしまったが、それでも“疎遠”と呼ぶ程ではなかった。 古くから共にいたし、何よりも彼という人間をよくわかっていたから。 運も間も悪くて、乙女チックな一面があって、弱気で、そのくせ戦場では頼りになる樽マニア。 こんなに濃い個性、絶対他とは被らない...
  • もの言わぬ友よ(前編)
    第99話 もの言わぬ友よ(前編) 月光煌めく夜天の下、2人の男が対峙していた。 1人は蒼き孤高の剣士ディアス・フラック。 もう1人はある科学者が己の恨みを乗せて創り出した存在。天使の名を冠した狂信者ガブリエル。 かつて刃を交えた両雄は再びこの地で合間見える事となった。 引き抜いた剣を正眼に構えディアスはガブリエルを睨みつける。 相手の出方を伺いつつ戦略を組み立てていた。 自然と着目するところは相手の体のいたるところに見受けられる切り傷や焼け焦げた衣服。 (ここに来るまでに大規模な戦闘をしたようだな…。  こちらとて無理は出来るような状況ではないが付け入る隙はある) 特に接近戦を行う上での重要なファクターである武器を操る右腕の刺し傷と、 攻守共に必要になる機動力の要とも言える脚部の裂傷。 (速力でかく乱して、相手の右側を攻める。 あまり褒められた戦い方ではな...
  • 不慣れなプリキュア MUSCLE HARD(後編)
    第134話 不慣れなプリキュア MUSCLE HARD(後編) 言った言ったチェスターが言った!! ついに、あの言葉を言ってしまったッ!! 「その格好、何?」 変態扱いしたソフィアですら、直接的には言えなかったこの言葉。 ヅラムスと何度も言いそうになったクラースですら、口にしなかったこの言葉。 「……何か、おかしいか?」 ヅラムス、もといブラムスが、「なにいってんだこいつ」と言わんばかりに答える。 そして、チェスターから返された言葉は、それこそ今まで誰一人として言えなかった言葉であった。 「おかしいに決まってんだろ鏡見てみろよ!  そんなおかしな格好している意味でも何かあんのかよッ!?」 そしてそれは、彼――フェイト・ラインゴットを戦慄させるには十分すぎる単語だった。 訪れる、沈黙。 ついに聞かれた、格好の意味。 出て...
  • 小さな手~愛しき人と炎の記憶~
    第17話 小さな手~愛しき人と炎の記憶~ 本当に掴みたかったものは、この手をすり抜けていってしまった。 絶対に守ると誓ったはずの小さな手。 ずっとずっと離すまいと思っていたその手を離してしまった。 あのとき、俺には警戒心が足りなかった。 もう、あんな思いはしたくないんだ。 (クソッ……何やってんだよ俺は!) 真っ暗闇の中で弓を引く。 長年見続けてきた親友の背中は、知らぬ間に見えなくなっていた。 (俺は、強くなるんだろうが!) 弱いままなのは、自分一人だ。 クレスは、強くなっていた。ミントだってそうだ。 おてんば娘のアーチェだって、魔法の腕はかなりのものだ。 クラースは、独学で精霊と契約する方法を考えた凄い奴だ。 自分は――どうしてこんなにも弱いのだろう。 未来に来てまで、みんなの足を引っ張ってしまっている。 (ダオスを倒して……アミィの、みんなの仇を...
  • 闇の王と炎の王、激突のこと(前編)
    第105話 闇の王と炎の王、激突のこと(前編) 幾十もの大気の炸裂音が間髪もおかずに連続し、さながら一つの轟音を奏でているように聞こえる。 フェイト・ラインゴッドは目の前の光景を見やりながら、自身の耳の訴える情報が、 視覚からの情報と矛盾しないことを確かめていた。 炎と闇の相克が生み出した超爆発で、突如として生まれた目前の空き地。 爆風と瘴気に抉られた地面からは、辛うじて抉り取られずに済んだ木の根が、ところどころで露出している。 目の前の空き地がつい1分前までは雑木林の一部だった、その証拠。 そして雑木林に生まれた空き地のあちこちでは、闘気と闘気がぶつかり、弾け、閃く。 「オラオラオラオラオラオラオラオラァッ!! さっきまで叩いていたデケえ口はどうした変態仮面野郎ッ!!?」 強靭な肉体の周囲を、ほぼ火炎も同然の高温のオーラで包んだ大男、ミカエル。 彼は目の前の敵に吼え...
  • 偽者だとばれたら負けかなと思ってる
    第109話 偽者だとばれたら負けかなと思ってる 「…ん?」 森林を抜け、F-3とF-4の丁度協会付近の街道に出た所にそれはあった。 「これは…デイパックですよね?」 道の真ん中に落ちていたのは、参加者全員に配られていたデイパック。 しかし周辺には持ち主と思われる参加者はおろか、遺体も見当たらない。 「誰かが捨てていったんでしょうか?」 「それにしては妙ですね。中には幾つか道具が入っていますし、多少消費しているとはいえ食料品も入っています。捨てていくなら、中身は全部持っていくと思うのですが」 「う~ん、そうですよね」 中に入っていたアイテムは拡声器とボーリング玉。 確かに武器とは言えないし使い所には困るアイテムだが、このデイパックがある限りは別に持ち運びには困らない。 何より食料品という貴重な消耗品に手を付けていないのが不自然だ。 「まあ危ない物は入ってないし...
  • 続・止まらない受難
    第40話 続・止まらない受難 「さあ、どういう事か説明してもらおうか!」 ネルはアルベルに銃口を向け強い口調で問いただした。 アルベル自信は別に自分がどう思われようが気にしない性格だったが、殺してもいないのに殺人の容疑をかけられていい気分などしない。 「おい!そこのガキ! 俺はあのまま死体を放置しとくのも哀れだったんで弔ってやろうとしただけだ」 夢留を睨み付け言い放った。 「ほう、あんたがそんなことをするようなやつだったとは思ってもみなかったよ。 私の知っているあんたはこの状況を幸いとして人殺しを楽しむタイプの人間のはずだよ」 尚も銃を向けつつアルベルを睨み付けているネルが割り込んできた。 「俺を見くびるなよ糞虫が!俺は無抵抗な人間を殺したり、弱いものイジメをするような趣味は無いんだよ!それに」 そう言うと左手のガントレットの鉤爪でドアを思いっきり引っ掻...
  • アイテムの良し悪しも人次第
    第8話 アイテムの良し悪しも人次第 「ブレイズ・ソード!」 フェイトがそう叫ぶと同時に、彼の持つ武器に炎が纏う。 「なるほど…一部の能力に制限がかかると言っていたけど、この類の技は大丈夫みたいだな」 ルシファーの話では力にある程度の制限がかけられているらしいが、今の所自身の持つ技には問題無いようだ。 ただ、フェイトが持つ最大の能力である「破壊の力」――ディストラクションについては不明だ。 尤もあんな能力を下手に発動させたら、この島を破壊してしまう可能性だってある。 というか、フェイト自身まだディストラクションの力を完全に制御できていないので、自分の意志で発動させる事はできないのだ。 「他に思い当たる能力といったら…マリアのアルティネイションやソフィアのコネクションか」 この二人も自分と同じく殺し合いに参加させられている。 マリアはともかく、ソフィアなんてどこかでガタガ...
  • とある癒し手達の戦場
    第129話(後編) とある癒し手達の戦場 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 『いくぞ!』 合図と共に俺とルシオが同時に動き出す。 そんな俺には金髪が、ルシオの方には髪が長い方の女が張り付いた。 今こいつを相手してやる時間は無い。後ろからさっきの様な魔法が飛んできたら厄介だからだ。 だが、幸いな事に戦場は俺向きになってくれていた。狭い路地ではなくなり開けた空間になっている。 今までは真正面から突っ込まざるを得ず、自慢の俊足を生かせなかったが今は違う。 360度あらゆる角度から標的に迫れる。それに刀身ではなく柄を握れる様になったのがでかい。 さっきまでは思いっきり握る事が出来なかった為、競り合った時に負けていたが、しっかり握れる様になった今の俺に力押しですら負ける要素は無い。 正面から突っ込むと見せかけて瞬時に相手の後ろを取る。俺達エインフェリアが持つ...
  • 不慣れなプリキュア MUSCLE HARD(前編)
    第134話 不慣れなプリキュア MUSCLE HARD(前編) 怖いものなんて、ほとんどなかった。 今思えばクソ生意気なガキンチョだった頃でさえ、大人や獣を怖いと思ったことがない。 あの頃は、何でも知っている気でいたから。 相手のことを知り尽くしたと思っていたから、怖くなんてなかった。 どんなに強い相手でも、底は知れていたから。 「……フェイト。状況は?」 本当の恐怖を感じたのは、悔しいけれどダオスと対峙した時だった。 底の見えない強さと、真意の知れないその行動。 目的のための過程として平然と村を壊滅させる漆黒の意志。 どれを取っても恐怖の対象となった。 「………………ッ!!」 そして今、それに次ぐ、いや、下手をしたら匹敵するくらいの恐怖を感じている。 情けないことに、声すら出ない。 「一応、間に合いました」 金縛りに合う...
  • その手に光を得るために(前編)
    第103話 その手に光を得るために(前編) 「ルーファスさんがどうして……私…夢を見ているのかな?  もしかして……私、死んじゃったのかな?」 「いいや、現実だぜ。今ここに……俺はお前のそばにいるぜ。  紛れもなく俺は現実にいる……」 ルーファスの真っ直ぐな視線。ソフィアは嬉しそうに見つめ返す。 「感動の再会といきたいところだけど……アレを倒してからにしようぜ」 ルーファスが飄々と答えると背後に気配が宿る。 金龍が埃を叩きながら起き上がると、眼窩を尖らせ睨み付ける。 瞳に宿る邪悪な炎、金龍は憤怒に満ち溢れていた。聞き捨てならないことを言われたのだ。 「アレだと……神である私がアレ扱いだと。  殺す……貴様を殺す。ズタズタに引き裂いて、この世に肉片すら残さぬぞ」 金龍は激昂に身を委ねると、斧を具現させ、一気にルーファスの下へ踏み込む。 ...
  • Stairway To Heaven(後編)
    第120話 Stairway To Heaven(後編) 「ドラゴンオーブをこちらへ」 レザードのその言葉で、ソフィアは固まった。 ソフィアはレザードと再会してから今まで、ルーファスの言葉に従い、彼女なりにレザードに気を許さないでいるつもりだった。 だがルーファスからは、具体的にどのようにオーブを護れば良いか、までは聞いていない。 今のようにレザードから直接ドラゴンオーブを求められてしまっている状況では、一体どうすれば良いのだろうか? ルーファスの遺言なのだ。正直にオーブの存在を話して渡す訳にもいかない。 レザードは信用出来ないとは言え仲間なのだ。戦って済ませる訳にもいかない。 オーブを護る為には、レザードを騙すしかないだろう。ソフィアはそう考えた。 しかし、騙すと言ってもどうやって? つい最近まではただの女子高生に過ぎなかったソフィアには、騙し合いや駆け引きの...
  • Carnage Anthem
    第122話 Carnage Anthem ロキまでの距離は、後10メートル程。 無意識の内に、ルシオは剣を握り直していた。 ロキから浴びせ掛けられている殺気は、否応無しにあの時の事をルシオに思い起こさせていた。 ヴァルハラ宮殿の『水鏡の間』でロキと戦い、掠り傷の1つすらも負わせられずに殺された、あの時の事を。 その身に甦るのは、憎悪、狂喜、破滅の入り混じった、不死者達よりも遥かにおぞましく、歪んだロキの波動。 あの時は、その波動に当てられただけで圧倒的な力の差を思い知った。 その魔力の込められた一撃をどうにか防いだ時、自分には一片の勝機も無いのだという事を思い知った。 それでもルシオは戦った。虚勢とも取れる言葉を吐きながら、必死で抗った。 ヴァルキリーの封印された記憶を取り戻す為に。もう1度プラチナに、ヴァルキリーではなく、プラチナに会う為に。 彼は死ぬ訳には...
  • ヴァンパイアハンターK
    第117話 ヴァンパイアハンターK 自転車がある程度速度に乗り、バランスが取れてきたところで、クラースは振り返った。 フェイト達の様子を伺うと、ブラムスがフェイトの腰に手を回し、しっかりとしがみついて飛んで行くのが見える。 「フッ」 クラースは思わず苦笑した。 「ん?どうしたクラース?」 「いや、フェイトの腰に手を回しているブラムスを見て、ちょっとな。  おそらくフェイトに言われるがままにやっているんだろうが、  ここから見てもバランスが悪そうだ。…素直と言うか律儀と言うか」 「ハハハ、確かにな。あの体格差ならフェイトの肩に手を掛ける方が安定するだろうに。  しかし、彼らに助けに来られたお姫様はどんな顔をするか…見てみたい気もするな」 「見るまでもなく想像出来るがな。…同情するよ。お姫様にも…奴を連れて行く王子様にも」 「フェイトが王子様でソフィアがお姫様な...
  • 逃走しよう、そうしよう
    第82話 逃走しよう、そうしよう 【I-06】氷川村 民家の一室で、レオンは歓喜の表情を浮かべていた。彼が散策を開始してから約二時間後のことだ。 ここまでに調べた民家の数は二桁に上り、諦めかけてたとこで、ついに探していた物が手に入ったのだ。 ケースに収納された小型のドライバーが数種類。 当たり前のことだが、首輪を詳しく調べるにはドライバー以外にも必要となる道具があるだろう。 だが、ドライバーだけでも大きな収穫と言える。何故なら、これのお陰で民家に工具があることを証明出来たからだ。 (良し、取り敢えず道具探しては中断だ。次はプリシスや信頼出来る人を探して……いや、首輪のサンプルも必要だ) レオンはデイパックから一降りの剣を取り出す。 そうなのだ、首輪を外すには、その仕組みを調べるために使うサンプルが必要なのだ。 流石にプリシスも、どのような仕組み...
  • ついに、水いらず
    第146話 ついに、水いらず ――正義(ジャスティス) かつてそのために戦った、数多くの戦士達が居た。 彼らは出会いや戦いの果てに成長し、そして敵対する巨悪を討った。 本来なら身に余るであろう、強大な敵を。 にも関わらず――彼らのほとんどは、この島において命を落とした。 かつて倒した悪に屈し、またある者はかつての同志に手をかけられて。 『気合』『モチベーション』『やる気』――表現はどうとでも出来る。 そんな精神的なものが、この島においては絶対的なものとなっていた。 もちろん、気合を入れたからといって、戦闘力がそこまで異常に上がるというわけではない。 例えばどれだけ小学生が気合を入れて投球しても、プロ野球選手を空振り三振には仕留められないだろう。 出来るとすれば、それはプロ野球選手が優しさを見せた時だけ。 もしくは、プ...
  • ロキおにーさんのわくわくやがいじっけん
    第68話 ロキおにーさんのわくわくやがいじっけん 時刻はそろそろ12時。 舗装された道の真ん中で、ロキは自転車に跨ったまま立ち止まっている。 その手にメモと鉛筆を握り締め、『時間』になるのを待っていた。 ロキから数メートル離れた物陰に、一人の男が隠れていた。男の名はビウィグ。 ミラージュを探している途中、自転車のベルの音を聞いて、ここにやって来たのだ。 目立つ音を出して、居場所を教えている者。それは、“余程の馬鹿”か“自分の実力に絶対の自信を持つ強者”のどちらかだろう。 前者なら、直ぐに襲撃してやるつもりだったが、ビウィグはロキを後者と判断した。 だから、彼は隠れているのだ。高い確率で隙が出来るであろう、その『時間』がやって来るまで。 数分後、空が突然薄暗くなり、その『時間』はやって来た。放送の時間がやって来た。 『こんにちは諸君。...
  • その手に光を得るために(後編)
    第103話 その手に光を得るために(後編) クリフたちが死闘を演じる最中、遠く離れたところD-5とD-4の境目にレザードはいた。 レザードが何時にもなく真剣な表情でレナスの死体を見つめる。 その表情は悲しみとも慈しみともとれる表情は普段の彼とは思えないほど不気味だった。 レザードは金龍から戦闘から脱出すると、真っ先にここに向かった。 彼にとってあそこで金龍と戦うのは自分にとって本意ではなかったのだ。 戦利品であるブラッディーアーマーを着て、クリフたちと協力して戦えば、かなりの犠牲を支払って倒せたかもしれない。 だが、それではある目的を果たすのに時間が足りないために。一足に先に戦地から遠退いたのだ。 そこで、ある疑問がわき上がる。どうして一人で逃げ出したということだ。 移送方陣を使えば、大人数は無理だとしても、一人や二人ぐらいなら連れ出せるはずなのだが。 レザードは一人...
  • Your truth is my false(前編)
    第108話 Your truth is my false(前編) 「ククク…ご機嫌いかがかな、諸君?」 三回目の放送が始まる。 クレスは一言一句逃さぬようペンを走らせる。 死んでいった人たちの名前を呼ばれるたびに、線を引くのに抵抗がある。 多くの者が死んでいった。その中にはアーチェが、すずがいた。 今回の放送は今までになく死者が多い。 「クソッ」 無意識に苦言を漏らすと、クレスはすぐに気を取り戻す。 ここで弱音を吐いたらマリアさんを困らせることになる。 弱気になった自分を窘めると、隣でソファに腰掛けているマリアに目を向ける。 彼女も仲間を失ったのだ。その悲しみは深いに違いない、と心配になって視線を向ける。 そこにはペンを握り締めたままの彼女が映った。 何も言葉を発することなく、息を潜め虚空を見つめるマリア。 その姿は微弱に震えているよう...
  • 人は困難を乗り越えて強くなる。魔物は知らん
    第64話 人は困難を乗り越えて強くなる。魔物は知らん 俺様ジェストーナとセリーヌは、放送を聞いた後南下を開始、程なくして街道に出た。 幸運な事に、ここまで誰にも襲われていない。 このまま何事も無ければいいんだが…。 「道に出ましたね。どうします?」 「そうですわね…東には何もありませんし、西も目立った建物は神社しかないわ。南下を続けて氷川村まで行くのが妥当でしょうね」 まあそうだろうな。 村とういう所は人が集まりやすいし、セリーヌの仲間とやらに合流できる可能性は高い。 聞けばその仲間にはかなり腕の立つ人物もいるようだ。強い人物と合流できれば、俺の生存率も上がる。 何より、神塚山からはさっさと離れたい。 「このまま進むと途中に焼場がありますわね。ここを経由しつつ進みましょう」 「焼場…ですか?」 成る程、確かにここから直線上に南下すると地図に「焼場」と記載され...
  • 明後日の方向
    第38話 明後日の方向 シンは怒っていた。 この憤怒に身を任せ、自分を襲った奴を殺すため追い縋ろうとするが、 翼を破られ地を歩くことしかできなくなった状態では追い着くことは難しい。 奴らにつけられた傷とて、放って置けるほどの軽症というわけでも無さそうだ。 仕方なく、地図を見直してどこか休めそうな拠点を捜す事にする。 (北のほうに一つ、それと東にも大きな建物があるようですね  潜伏するにせよ治療をするにせよ大きな建物の方が都合がよいのですが、  今の状態で他の参加者と接触するのは望ましくありません。  先程の女程度ならどうとでもできるでしょうが、そこそこの使い手がいると危ないですし  何より、先程の相手がそこに向かわないとも限りません) その大きな建物で先程自分の邪魔をした参加者を待ち伏せする、という考えも相当に魅力的に思えたが、 ...
  • 蘇る決意 
    第60話 蘇る決意 ここは菅原神社の本堂。 マリアは道中で出会ったクレスという青年と共にこの神社でめぼしい物があるかどうか探していた。 「クレス君。そっちはどうだった?」 「結局なにも見つかりませんでしたね」 クレスは少し疲れた様子でそう答えた。 「その様ね。まぁ、あまり期待していたわけではないし、戦果がなかった事を気にするのはやめましょう。 それよりもう少しで正午ってところよ。ルシファーが言っていた通りならそろそろ放送が始まるわ。 ちょっと早いけれど昼食を取りながら待ちましょう」 デイパックを床におろしその場に座わりこむ。 クレスもそれに続きその場に座り、自分の荷物から食料を取り出すべく手を入れる。 「すみませんマリアさん。支給品の一覧の中に食べ物らしき物がないのですが」 マリアは自分の荷物から銀色の包みに梱包されているものを取り出した。 ...
  • 頼れる相棒,守るべき妻子,愛しき女神の元へ (前編)
    第113話 頼れる相棒,守るべき妻子,愛しき女神の元へ (前編) レザード・ヴァレスの目が開いた時、彼の目に最初に入ったのはレナス・ヴァルキュリアの死に顔だった。 この時レザードはまだ、まどろみの中に居た。レナスの死に顔は、彼に眠りに落ちる直前の映像を連想させた。 輪魂の呪を発動させ、ハーフエルフの肉体にレナスの魂を転生させる事に成功した後、その肉体が立ち上がろうとしていた映像だ。 魂の再構築が完了するまでの間は決して目覚める事が無いはずの肉体が立ち上がるという、有り得ない出来事。 これは夢、もしくは幻覚だったのだろうか、それとも―― 「――っ」 レザードは瞬時に覚醒した。 「ヴァルキュリア――」 そして名前を呼び、振り向いた。その先には、誰もいない。 「――!?ヴァルキュリア?」 慌てて辺りを見回すが、レナス(ルーファスの肉体)の姿...
  • 蘇る決意
    第60話 蘇る決意 ここは菅原神社の本堂。 マリアは道中で出会ったクレスという青年と共にこの神社でめぼしい物があるかどうか探していた。 「クレス君。そっちはどうだった?」 「結局なにも見つかりませんでしたね」 クレスは少し疲れた様子でそう答えた。 「その様ね。まぁ、あまり期待していたわけではないし、戦果がなかった事を気にするのはやめましょう。 それよりもう少しで正午ってところよ。ルシファーが言っていた通りならそろそろ放送が始まるわ。 ちょっと早いけれど昼食を取りながら待ちましょう」 デイパックを床におろしその場に座わりこむ。 クレスもそれに続きその場に座り、自分の荷物から食料を取り出すべく手を入れる。 「すみませんマリアさん。支給品の一覧の中に食べ物らしき物がないのですが」 マリアは自分の荷物から銀色の包みに梱包されているものを取り出した。 「たぶんこれと同じ物が...
  • 鎌石村大乱戦 開幕 ~守りたい者の為に~(後編)
    第110話 鎌石村大乱戦 開幕 ~守りたい者の為に~(後編) 「あいつら中々やりやがるな…」 ぱっと見ただの女の子と満身創痍の男にこれほどの苦戦を強いられるとは思っていなかったボーマンが呟いた。 その呟きに傍らにいるアシュトンが答える。 「チェスターは使い物になりませんしね…」 (まったくだ。これならあの時引き入れないで殺しておくんだったな…) 「どうしますか? あの大男かなりの怪力でしたよ。勝てない事もありませんが…」 「あの金髪は俺がやる。あっちの紋章術師の方はお前がやれ!」 まさか、強そうな方の相手をボーマンが引き受けてくれるとは思わなかったアシュトンは、 一瞬呆けた様な表情をするがすぐさまその申し出に頷いた。 (どう見てもあの大男は死に掛け…。『バーニィシューズ』を履いた俺の動きについて来れるわけがない。  格闘戦における速力の優位は俺にある。  それに炎...
  • 静かな湖畔の森の陰から
    第41話 静かな湖畔の森の陰から 静かな湖畔の森の陰から、男と女の声がする―― 男は女を説き伏せようと声をかけ。 女は男をねじ伏せようと隙を窺う。 しばしの膠着。 そして両者は賭けに出る。賭けるものは己の命。 忍は非情でなければならない。 仕えるべき者のために相手の命と、そして必要とあらば己の命をも犠牲にしなければならない過酷で誇り高い職業。 自分は、そんな忍の頭領になるのだ。 「げっ、またフルーツポンチかよ」 「何よー、文句あるなら食べなきゃいいでしょー!」 だけど――チェスターさんやアーチェさん、ミントさんにクラースさん、それにクレスさんと居る時間は楽しくて。 「……いただきます」 「すずちゃんはどっかの馬鹿男と違って文句ひとつ言わないもんねぇ~」 「……好きですから」 「すずちゃん甘党だもんね~。あのスケベ大魔王は...
  • She Has The Sticky Fingers
    第116話 She Has The Sticky Fingers G-5エリアの山道。辺りは暗闇で視界が殆ど利かない。 唯一の自然光源である月明かりは密集している樹々の葉に遮られてしまっている。 稀にその隙間から僅かに射し込む光は、暗闇に目を慣らしたい人間にとってはむしろ逆効果となり、 余計に暗闇を強調しているかのようだった。 レナとプリシスの2人はランタンを点けてこの山道を下っていた。 『夜道に揺れ動く照明は人を寄せ付ける効果が有る』というのは、 この島でのたった半日だけの仲間、アリューゼがプリシスに教えてくれた事だ。 いや別に2人には誰かを呼び寄せるつもりなどは全く無い。 この暗闇の山道を歩くには、灯りを点けなければ余計に危険であり時間を取られてしまう、というだけの事だった。 一応不意打ちには備えてレナが左耳に魔眼のピアスを装着していたが、今のところピアスは...
  • 子供は見ちゃ駄目!
    第11話 子供は見ちゃ駄目! 「さて、首輪の解除が必要だね」 レオンは自身に付けられた首輪を触りながら呟いた。 ルシファーと呼ばれた男が何者かは知らないが、ここにはクロードを始めとする仲間達が居る。彼らが一緒なら正直負ける気はしない。 もっとも、この首輪を外さなければ戦うことすら出来ない。彼は「首輪の解除は自分の役目」と考えた。 「まずは解析ために首輪の入手。解析に必要な道具を捜さがす。ついでに、上手く会えればプリシスお姉ちゃんにも協力して貰う。  首輪の解除に成功したら、お兄ちゃんたちとルシファーを倒す……忙しくなりそうだな」 「あ、支給品の確認をしてなかった。僕としたことがうっかりしてたよ」 レオンは紋章術の使い手であり、武器は余り必要ではない。 しかし、支給品の中には解析に必要な道具や身を守るための防具類が有るかもしれない。 レオンはデイパックの中を漁っ...
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