空を見上げると、満天の星が広がっていた。
 地球やヒーリングガーデン、それにビョーゲンキングダムのどこでもなさそうな世界だけど……たくさんの命がある。
 花が元気に咲いて、水が穏やかに流れ、光が周りを照らし、風が優しく吹いていた。
 こんな時じゃなかったら、とっても楽しいだろうなって思う。
 わたし・花寺のどかは中学二年生。
 普通の女の子に見えるかもしれないけど、実は伝説の戦士・プリキュアだよ。
 わたしたちの生きる地球とは別の世界・ヒーリングガーデンからやってきた妖精(正確には、ヒーリングアニマルだよ!)のラビリンとパートナーになって、キュアグレースに変身できるの。

「のどか……」
「大丈夫だよ、ラビリン」

 ラビリンを抱きしめながら、わたしは声をかける。
 うさぎさんみたいな可愛らしい姿のラビリン。でも、わたしと同じ首輪が付けられている。
 これがおそろいだなんて喜べるわけがない。首輪の中には爆弾が入っていて、爆発したら誰でも死んじゃう。
 きっと、キュアグレースに変身しても耐えられない。

「わたしは、ラビリンと気持ちは同じだから」

 それでも、負けるつもりはなかった。
 わたしとラビリンは地球をお手当てしてきたよ。
 その気持ちが重なり合ったから、わたしはわたしを大好きになれた。
 怖いって思う。
 二人きりになって不安な気持ちはある。
 けど、どこかに隠れて震える理由になんてならない。

「みんなを助けたいって思ってるよ」
「……ラビリンも同じラビ!」

 ニッコリと、ラビリンはいつもの笑顔を取り戻してくれた。
 優しい顔にわたしの心も癒やされる。
 今までだって、わたしたちは何度もお互いを支え合ったからね。

「その為にも、まずはちゆちゃんを探さないと」

 この世界にはわたしの大切なお友達がいる。
 沢泉ちゆちゃん。
 運動神経が抜群で、勉強がとっても得意。顔も綺麗で、凄く優しい子だよ。
 でも、ちゆちゃんにはわたしと同じ秘密がある。
 そう……ちゆちゃんもプリキュア。水のプリキュア、キュアフォンテーヌだよ。
 他にも、キュアスパークルに変身する平光ひなたちゃんや、キュアアースに変身する風鈴アスミちゃんもいる。わたしたちが4人集まれば、ヒーリングっどプリキュアとして悪い人たちと戦えるよ。
 もっと言えば、ヒーリングっどプリキュア以外にもプリキュアはいるけど……それはまた違う機会に話すね。
 だけど、この儀式に巻き込まれたのはわたしとちゆちゃんだけで、ひなたちゃんとアスミちゃんの二人はいない。

「ちゆがいるなら、ペギタンもいるラビ?」
「ラビリンがいるなら、その可能性は充分にあるね」

 ちゆちゃんが心から信頼するヒーリングアニマルのペギタン。
 わたしとラビリンが一緒にいるなら、ペギタンもちゆちゃんのそばにいるはず。
 二人を見つけて、合流することがわたしたちにとって最優先だった。

「それに、ダルイゼンとも……また戦う時が来るかもしれない」

 もう一人だけ、知ってる名前が名簿にあった。
 ダルイゼン。
 わたしが決して忘れられない因縁深い相手。
 きっと、わたしの知ってるあのダルイゼンが復活したんだと思う。
 ヒーリングっどプリキュアの宿敵であるビョーゲンズの一味で、今まで何度も地球に生きるみんなを病気にしたダルイゼン。
 かつて、キングビョーゲンから命を狙われたダルイゼンが、わたしに助けを求めようとした日のことは決して忘れない。
 ダルイゼンは、もう二度と誰かを病気にしないと約束しなかった。
 だからわたしはダルイゼンの手を取らなかったし、この手で決着をつけた。
 その選択を忘れるつもりはないし、わたしは一生背負っていくよ。
 ひなたちゃんやアスミちゃんの助けは借りられないけど、いざという時はわたしとラビリンだけでも戦うつもり。

「その時は、ラビリンも一緒に戦うラビ!」
「うん、みんなを守らないとね」

 決意を固めるわたしたち。
 一歩前を踏み出そうとするけど。

「……すみませーーーーん!」
「うわあぁっ!?」

 突然、声をかけられてビックリしちゃう。
 心臓が飛び出そうな程の声量に、わたしは思わず振り向いた。
 ヘアバンドでまとめた髪を、ロングレイヤースタイルにしている女の人が、猛スピードでこっちに走ってきた。

「え、ええぇっ!?」

 電車や新幹線、ひょっとしたらプリキュアの脚力にも匹敵しそうな速さ。
 このままだと、ぶつかっちゃいそう!
 驚きで身体が固まった瞬間、目の前で女の人が止まってくれた。

「あの、ロイドさんとアーニャさん……私の夫と娘を探しているのですが、ご存じないでしょうか!?」
「へっ?」

 ペコリ、と頭を深々と下げながらそんなことを聞かれて、わたしはポカンとしちゃった。




「ご、ごめんなさい! 私、慌ててしまって……のどかさんにご迷惑をおかけしてしまい……!」
「だ、大丈夫ですよ……わたしだって、こんなことになって驚いてますから……ヨルさんに会えてよかったです!」
「……お、お優しいですね、のどかさんは!」
「いえいえ! わたしも、ロイドさんとアーニャちゃん探しを手伝いますよ!」

 わたしの隣で目をキラキラさせる女の人はヨル・フォージャーさん。
 市役所で公務員をやってるフォージャー家のお母さん。
 外国人なのに、こうして会話できることが気がかりだけど……今は気にすることじゃない。

「そういえば、先程のどかさんは誰かと話していたようですが、他にどなたかいるのでしょうか?」
「えっ!?」

 ヨルさんの言葉に、わたしはまたビックリしちゃう。
 も、もしかしてヨルさんは耳がいいの!?

「えっと、その…………ラビリンとお話をしていたんです! この子です、この子! この子は、ずっとわたしの隣にいてくれるパートナーですから!」

 そして、わたしは両手に持ったラビリンをヨルさんに見せる。
 ラビリンは緊張したように黙りながら、ぬいぐるみのフリをしてくれるよ。

「わたし、何かあったらすぐにラビリンとお話をするんです! ラビリンとお話をすれば、心が落ち着きますから!」
「そ、そうラビ~! のどかと、ラビリンはいつも一緒にいるラビ~!(←ちょっと棒読み)」
「だから、ヨルさんが聞いたのはそれだと思います!」

 無言なラビリンの手を動かしながら、一人二役でヨルさんに説明する。
 我ながら苦しい言い訳だと思うけど……

「そうでしたか! ラビリンさんは、のどかさんの大切なパートナーなのですね!」
「はい! わたしとラビリンは最高のパートナーですから!」

 ヨルさんは信じてくれた。
 わたしやちゆちゃんがプリキュアだってことは、すこやか市のみんなには秘密にしてたよ。
 危険な戦いをしてるって知られたら、みんなから心配されちゃう。
 だから、わたしたちは正体を隠したまま、ビョーゲンズとの戦いに勝利したよ。
 ……ただ、今回は緊急事態だから、ヨルさんに正体を明かす必要があるかも。
 この世界にどんな敵が待っているのかわからないからね。
 ビョーゲンズの他にも、リフレインやエゴエゴみたいな強い力を持った相手がいたように。

「……あの、ヨルさん。実はーー」
「えっと、のどかさん! すみませんが、もうすぐ出発してもよろしいでしょうか!?」

 でも、ヨルさんは大慌てでまくしたてるから、事情を説明できなかった。

「特に、アーニャさんはまだ小さいですし、きっとどこかで泣いてるかもしれません! もし、悪い人に狙われたら……あぁっ! ど、どうしましょう~~!」
「え、えっと……わかりました! じゃあ、すぐに探しに行きましょう!」

 今にも泣き出しそうなヨルさん。
 聞いた話だと、アーニャちゃんはまだ6歳で学校に通い始めたばかりの女の子。
 どうして、そんな小さな子が危険にさらされないといけないの?
 ヨルさんが心配するに決まってるし、加茂憲倫って人を許せない。

「わたしも、お友達のちゆちゃんを探したいと思ってましたし!」
「そういえば……のどかさんのお友達も、どこかにいるのでしたっけ?」
「はい、沢泉ちゆちゃんです! ヨルさんみたいに、運動神経が抜群でーー」
「でしたら、善は急げです! のどかさん、わたしにしっかり捕まってくださいね!」
「へっ? それって、どういう……」

 ガシリと、ヨルさんに抱っこされるわたしとラビリン。
 それを恥ずかしいと思う暇もなく。

「これから、飛ばしますよ!」
「……えっ、ええええぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

 ドガン! って、衝撃波が起きるほどのスピードでダッシュするヨルさん。
 まるで遊園地のジェットコースターやフリーフォールに乗せられたような勢いで、わたしは大声をあげちゃう。
 わたしもキュアグレースに変身すればこの速さで走れる。
 だけど、生身でこんな速いなんて、ヨルさんは何者なの!?

「ひゃああっ!? ひゃあああぁぁぁあああああぁぁぁぁっ!?」
「ラビーーーー!?」

 けれどそんな疑問は一瞬で吹き飛んで、わたしは大声をあげた。
 腕の中にいるラビリンすらもぬいぐるみのフリを忘れて叫んじゃう。
 でも、ヨルさんはただ真っ直ぐに前を見ているから、悲鳴が増えてることにまだ気付いてない。
 止まったら、ラビリンのことを話さなきゃいけなくなりそうだけど……

「のどかさん、舌を噛みますから口を閉じてください!」
「そ、そんなこと言われても…………ああああぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 あり得ない速さと、周りの景色が後ろを通り過ぎていくせいで、わたしの頭が混乱していた。
 顔が震えて、髪の毛が突風に巻き込まれそう。
 必死にしがみつきながら、わたしはただ祈っていた。
 ちゆちゃんやペギタン、それにロイドさんやアーニャちゃんと生きてまた出会えることを。


【一日目/E-8・草原/未明】
【花寺のどか@ヒーリングっど♪プリキュア】
【状態】健康、ラビリンを必死に抱えながらヨルに抱っこされている。
【装備】ラビリン@ヒーリングっど♪プリキュア、ヒーリングステッキ@ヒーリングっど♪プリキュア、エレメントボトル(花、実り、葉っぱ)@ヒーリングっど♪プリキュア
【道具】基本支給品一式、ランダム支給品1~3
【思考・行動】
0:ラビリンと力を合わせてみんなを助けたい。
1:ちゆちゃんやペギタンと合流したい。
2:ダルイゼンと出会ったら、わたしは戦う。
3:ヨルさん、止まって~~~~!
4:落ち着いたら、ヨルさんにわたしとラビリンのことを話す。
【備考】
※参戦時期はTV本編最終回後からです。
※映画の出来事は経験してます。
※ラビリンにも首輪が付けられています。
※ラビリンがいることから、ちゆもペギタンと共にいると考えています。

【ヨル・フォージャー@SPY×FAMILY】
【状態】健康、普段着を着ている、焦り、のどかとラビリンを抱っこしてる。
【装備】愛用のスティレット@SPY×FAMILY、いばら姫のドレス@SPY×FAMILY
【道具】基本支給品一式、ランダム支給品1~3
【思考・行動】
0:ロイドさんとアーニャさんを探したいです!
1:のどかさんと一緒に行動します!
2:なんだか、声が増えているような……?
【備考】
※参戦時期はまだ不明です。
※どこに向かっているのかは後続の書き手氏にお任せします。



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最終更新:2024年01月04日 21:16