A.中世ヨーロッパでの相場を元に参考価格を記してみました。
なお武器や防具に限った事ではありませんが、当時は物価の変動が激しく、
年代が少し違っただけで5倍以上の開きがある事も珍しくありません。
そのため、価格についてはおおよその目算になる事をご了承下さい。
【武器の価格】
中世ドイツにて死刑判決を下された盗賊の犯罪録の一つに、参考資料と
なるものが残っています。
1525年2月、傭兵をしていた時に武器庫へ盗みに入り、槍4本と短剣2本を
盗み出し1グルデン半で売る、とありました。
1グルデンは日本円に換算して約12万円。つまり18万円で売れた事になります。
各個の質や状態が分からないので何とも言えませんが、槍一本4万、短剣1本1万を
内訳として、これが下取り価格とするなら店に並んでいる新品は槍が6万円、短剣が
1万5千円と言うところでしょうか。
【防具の価格】
イギリス・グリニッジにあった武器工房の、1540年時点での価格が資料に残されています。
以下はその一部です。
Undecorated garniture:£12(12ポンド)
(アンダーコートなどの付属品つきフルプレート)
Complate harness for field & tilt:£10
(フルプレート)
Gauntlets:10s(10シリング)
(篭手)
当時の1ポンドは現在の日本円にして、約9万円というところ。
シリングの価値については、20シリング=1ポンドです。
これら資料を元に、分かる範囲での武器防具の価格をGで推察すると以下の通りとなります。
(現実の通貨からGへの換算については、
通貨の項を参照)
ロングスピア・・・・・3000G
ナイフ・・・・・・・・750G
フルプレート・・・・・45000G
コートオブプレート・・18000G
(※細かい板金を丈夫な皮鎧に裏打ちしたもの。時代によってブリガンダインとも)
チェストアーマー・・・7000G
ヘルム・・・・・・・・5500G
ガントレット・・・・・2250G
なお、当時の騎士達にとっては装備品よりも馬の方がよほど高級品でした。
普通の乗用馬が£5~10だったのに対して、軍馬はその10倍。£50~100もの
高値だったそうです。
乗馬用の馬・・・・・・22500G~45000G
軍馬・・・・・・・・・225000G~450000G
もちろん、鎧も装飾や金箔などを施せば値段は一気に跳ね上がります。
ヘンリー八世が発注した金メッキのスケイルアーマー(鱗鎧)は、Gに直すと
加工費込みで202500G。フルプレートならばその倍以上はしたでしょう。