トワイライトシンドローム 探索編
【とわいらいとしんどろーむ たんさくへん】
ジャンル |
アドベンチャー |
機種 |
プレイステーション |
発売元 |
ヒューマン |
発売日 |
1996/03/01 |
メディア |
CD-ROM1枚 |
プレイ状況 |
バッド含め全エンディング制覇 |
総合評価 |
A
|
思春期系心霊探索アドベンチャー
1996年、夏の日。
スーパークールな高校2年生、長谷川ユカリ。
ユカリの幼なじみ、冷静かつ霊感の強い逸島チサト。
ユカリを先輩と慕う、都会の原寸大女子高生岸井ミカ。
3人は噂の真偽を確かめるべく懐中電灯を手に探索する。
「私達、絶対に信じない。本当にこの目で見るまでは・・・」
基本システム
基本は横スクロールのAVG。
プレイヤーは3人の女子高生を操作し、噂を追体験すべく学校・街で行動する。
(3人と言っても基本は一緒に行動しているので、それぞれ個別操作は必要なし)。
怪しい所を調べて歩き回り、時には怪音を録音し証拠の写真を撮りつつ、会話の中で出現する選択肢を選び話を進めていく。
見てはいけないものを見てしまい感じた恐怖は、心音と「フライトレベル」のグラフの脈によって表現される。
ここで注意したいのは、怖い出来事に遭いすぎてしまった場合で、恐怖が彼女らの限界を超えるとショック死しゲームオーバーとなる。
各話には凶、中吉、大吉の3つのEDが用意されている。ただしバッドエンディングの『凶』だと次のシナリオには進めない。
あらすじ
- 「はじまりの噂」
- 「心霊写真量産公園」
- I公園で心霊写真が撮れたという。ユカリ達は噂を確かめるべく探索する。
- 「音楽室のMF」
- 学校で女子学生M・Fが自殺した。深夜の音楽室に彼女が現れるという。
- 「最終電車」
- 人身事故が絶えない駅。どうやら理由があるらしい。三人は夜の駅へ。
- 「雛城高校の七不思議」
- 彼女達の高校に伝わる七不思議の噂。そう、それはどこにでもある・・・。
- 「もう一つの噂」
- 図書館の机で行われるミカと誰かとの机上通信。究明編へ繋がる。
操作
システム面の不親切さMAXレベル。
プレステ黎明期のソフトであることを考えれば仕方がないが、ゲームスタート時やゲームセーブ時など、とにかくロードが異常に長い。そして時々フリーズする。
「調べる」行為の位置判定が厳し過ぎる。基本2Dなのに奥行きがあったりと、ぞろぞろ歩く三人を上下左右に微調整してボタンを連打する作業は苦痛以外の何者でもない。
バックログはない。そのくせゲームを放って置くとメッセージが勝手に流れていってしまう。当然のようにポーズ機能なんかない。
噂検証中はセーブが出来ない。つまり一話まるまるクリアするまでセーブ不可。時間にゆとりを持ってプレイする必要がある。
噂探索中に撮影した写真や怪音はコレクションでき、「おまけ」モードでクリア後に自由に閲覧できる。
撮影した時はなんともなくてもクリア後にチェックすると・・・などの要素もおいしい。
(セーブシステム的に)非情かつリアルな「ショック死」だが、人間そうそう簡単なことでは死なないので、頻発はしない。
ちなみにショック死はいわゆるゲームオーバー扱いなので、それまでに撮った写真や録音した怪音はみんなパァになる。
シナリオ
基本はオカルトで、遭遇するのは幽霊がほとんど。当然怖いのだが、ただ怖いと言うだけではなく、幽霊も人も全て何らかの事情を抱えつつ存在していて、どこか悲しくも優しい物語なのだ。
作品全体が悲しくも優しい雰囲気に包まれており、プレイすると懐かしさとせつなさが綯い交ぜになったような気持ちにさせられる。
キャラクター
このゲームで何より素晴らしいのは、高校生ならではの多感な心の動きが絶妙に描写されていることである。
基本会話ばかりのゲームだというのに、ユカリの危うい背伸びや理想に追いつかない苛立ち、チサトの冷静さや母のような包容力、ミカの幼さ故の無邪気さや愚かさ、という等身大のキャラクターを形作り、描写しきっていることは特筆に値する。
このうち誰もが「ああ、いたなあ」と思えるような子なのだ。もしかしたら、あのころの自分自身でさえありえるような、そんなキャラクターたちなのだ。
会話もリアル。イメージで作られた型通りの女子高生像、例えば「~だわ」、などの女言葉を使うなどの創作然とした話し方ではない。きちんと研究されており(実際に女子高生を談笑させたとか)、会話も実に自然な90年代のノリで展開される。
音楽
ゲーム中に挿入される曲は少ないものの心に残る旋律が多く、効果的に使用されている。
中でもキーでもある曲「Rainy」は素晴らしい。
効果音は3D音響で、静まり返った学校に響く足音、ささやく声など一々非常に恐ろしい。右から左へ、ああ今、背後にいる!といった事まではっきり分かる。
グラフィック
グラフィックは顔も判別できないザラザラの2Dであるが、一人ひとりが強烈な個性を持っている。本物の女子高生を使ったモーションキャプチャに基づく動きであり、歩く様子、待つ様子、しぐさ一つ取っても、各キャラクターの性格をよく表していてよく動く。
総評
内容だけならS評価なのだが、いかんせんシステム面が厳しすぎる。クリアまで平均1~2時間は必要なのにクリアまでセーブ不可とは…。
96年はまだポケベルが全盛で、世紀末と騒がれ、女子高生が「コギャル」などと呼ばれ、ある意味特別な時代であった。
あの時代の追い詰められた感じ、というか誰もが生き急いでいる独特な空気。トワイライトシンドロームほど、あの時代の空気を閉じ込めたようなゲームを、私は他に知らない。
ちなみにこの探求編、後で究明編のパッケージと同じ系統のデザインのイラストに揃えた為、パッケージ絵が二種類存在する(ソフトの中身は同じ)。
最終更新:2012年03月28日 02:28