中東の紛争地域などへの取材を行っている安田純平氏。
2015年6月、シリアで武装勢力に拘束されたことがメディアで報じられた。
この頃から、ネトウヨ達が彼への誹謗中傷やデマツイートをばらまくようになる。
自己責任にまつわる議論
文責:管理人
戦場に勝手に行ったのだから自己責任、と言うからにはパスポート没収とか家族や職場に嫌がらせしたりとかで行かせないようにする日本政府を「自己責任なのだから口や手を出すな」と徹底批判しないといかん。
14:18 - 2015年4月3日
ネトウヨ達がよく引き合いに出すのがこのツイート。
「自己責任と言ってテロ組織に誘拐されたんだから助ける価値は無し」という冷酷なツイートがはびこっている。
安田氏の考える「自己責任」
ただ、安田氏が言う「自己責任」は「必要性が求められるものに対し、自分が提供するという責任」という意味である。
それを端的に表したツイートがこれ。
@hanapuepue @shamilsh 戦場取材なんか必要ないという「自己責任論」と、犯罪者の弁護なんか必要ないというバッシングは同根ですが、日本では報道も弁護も必要性が広く認知されているわけではない、という前提で対応していくしかないと思います。
17:35 - 2009年10月14日
「戦場取材へ行く必要がないという自己責任論」とは一切言っていない。
自己責任論に対し、戦争の現実を知るには現場に行く人が必要だ、と丁寧な説明が出てくるが、戦争の現実を知る必要があるなどとはまるで思っていない人たちには残念ながらそうした説明は全く届かない。人が死んでてもどうでもいいという無縁社会の象徴のような話だから。
10:35 - 2015年1月25日
論理的に考えると、自己責任論を述べる人たち≒戦争の現実を知る必要があるなどとまるで思っていない人たちとなる。
読売は例によって常岡さんのご家族を実名で引っ張り出して「責任」の一端を負わせようとしている。40歳の社会人がいちいち親に報告するか?「自己責任論」を警戒する人が多いようだが、実際は日本人をくそガキ扱いして「自己責任」をとらせない=自分たちのように何もさせない、が狙い。
16:53 - 2010年4月2日
「自己責任」をとらせない=自分たちのように何もさせない、が狙い。というのは要するに日本人を自分の意志では何もできないヘタレにしたいということ。
16:56 - 2010年4月2日
だから大事なのは、常岡さん自身の意志と判断に基づく彼の「自己責任」を尊重して、応援したければ応援する、ということ。
16:58 - 2010年4月2日
一連のツイートで、「自己責任」は個人で完結させるべきで、内容も尊重されるべきと述べている。
別の言い方をすれば、興味がないなら見るなということである。
ちなみに、「常岡さん」とは常岡浩介氏のことで、この時期アフガニスタンを取材していたときに政府側組織の腐敗分子に誘拐されていた。常岡氏は同年9月に解放されている。
自己責任論については10年前からさんざん書いてきているので改めて書くつもりはないが、要するに本人にも政府にもいろんなほかの立場にもそれぞれ責任があるということで、どちらかではない。それ以上のことは繰り返すの面倒なんで。
15:47 - 2015年2月1日
ここでも、個々の自己責任については尊重されるべきと暗に述べている。
安田氏はTwitter上で政府の対応を批判するツイートを割としているが、政府の責任に否定することはしていない。
自己責任について私に聞きたいと言う方は、まずは自分がどう考えるかを明示してください。はっきり言って自己責任論というのは論として成立していないので、こちらからそれについて想像して語るのは昔やりましたがもうやりません。ちなみに私は自己責任について否定したことは一度もありません。
2:34 - 2015年4月3日
安倍の「 テロリストたちを決して許しません。その罪を、償わさせるために国際社会と連携して参ります 」について、自己責任論者は全力で反対しないといけないんでないの。
9:57 - 2015年2月1日
安田氏の考える「自己責任」に照らし合わせて考えると、「自己責任論者は『テロリストとの関わりを避ける』ためにこの演説は全力で反対しないといけないのでは?」と言っている。
冒頭のツイートの意味
改めて冒頭のツイートの意味を考えると、安田氏は「必要だからと紛争地域に行きたい人が、政府の差し止めによって動けなくなることはあってはならない」という意味で述べている。
彼も2ヶ月にテロ組織に拘束されるとはこの時思っていなかったかもしれないが、自分の身に危険が及ぶかもしれないことを覚悟で行っていることを考えると、行く行かないの議論は彼にとっては些細なものなのである。
行ったことに対する責任を述べるネトウヨ達は文章の読解力、知的好奇心、人としての温かみが欠如しているといってもいいだろう。
ネットの動き
- Twitterでは#安田純平さんを暖かく出迎えよう
や#安田純平さんおかえりなさい
というハッシュタグが生まれている。
かなり危険な状況にいたとはいえ、無事に帰ってきたことをひとまず祝福するのは人として自然な気持ちであり、安田氏の考えを尊重する動きといえる。
- ネトウヨ達は「助けてもらったことに対してお礼と謝罪をしないのは失礼」と主張する声もあるが、安田氏自身は自らの意思でシリアに行き、救出に携わった人たち(政府含め)は彼らなりで動いてくれたのだから、どちらが偉いかを語るのは野暮である。
「謝罪をしなかった」点も、危険地帯に自ら飛び込むからこそ生まれる論理で、彼の尊重されるべき自己責任である。
自己責任論を振りかざすネトウヨ達は朗報に水を差すという点で迷惑な荒らしと同質なのである。
最終更新:2018年10月26日 03:28