原発性アメーバ性髄膜脳炎

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概要

原発性アメーバ性髄膜脳炎(PAM or PAME)は中枢神経系にNaegleria fowleriが感染することにより引き起こされる感染症。

Naegleria fowleriは暖かくよどんだ淡水に存在し、汚染水を吸引(insufflation)してアメーバが嗅神経と接触することで中枢神経に侵入する。その後篩板(cribiform plate )を通過し前頭葉の嗅球に到達する。そこで神経組織を餌に莫大に増殖する。この段階は感染後およそ3-7日で起こり、典型的な症状は嗅覚錯誤(parosmia)で、急速に嗅覚消失(anosmia)に移行する(その結果味覚消失となる(ageusia))。これは嗅球の神経細胞が消費された結果であり、壊死部に置き換えられる。

アメーバの増殖と嗅球の消費のあと、感染は僧帽細胞軸索(mitral cell axons)を通じて大脳皮質の残りの部分へ急速に拡大し、頭痛(cephalgia)や吐き気、頚部の硬直(rigidity)を伴なう軽度の脳炎症状が始まる。そして嘔吐、錯乱、痙攣へと進行し最終的には不可逆的な昏睡状態となる。通常、感染が脳幹に達し延髄(medulla oblongata)の自律神経を破壊した頃、呼吸不全の結果として14日以内に死亡する。

発病10前後で大半が死亡する.潜伏期間は2~3日または1~2週間.強い頭痛と発熱が突然出現し,3~5日で項部硬直,悪心,意識混濁,やがて昏睡に移行し数日で死に至る.病巣は大脳各所,脳底部,嗅球,小脳などの皮質を中心に化膿性炎症像を示す.(寄生虫学テキストp.63)

この感染症は非常に稀で非常に死亡率が高い。医学史の中で確定した事例では2004年で200例以下、2008年では300例であり、ある病院での死亡率は97%(3%の患者が生存)だった。

この極端な死亡率は、確定診断(positive diagnosis)を行うためのCSFの培養検査が初期段階での非特異的な症状において必要であるからだと言われている。アメーバはまた、特に後期の段階では嗅神経系を通じて大脳の多くの部分へ一斉に感染拡大することが示されている。

診断・検査

PAMは急激に悪化するので早期診断が必要.脳脊髄液を冷蔵せずに軽く遠心して沈渣を鏡検し,運動性のある栄養型を検索する.白血球との鑑別が肝要.位相差顕微鏡ではカリオソームも観察できて鑑別しやすい.塗抹標本はギムザまたはギムザ・ライト染色を行う.大腸菌を巻いた寒天平板による培養も可能.発病前の1~2週間の淡水での遊泳歴も細菌性髄膜脳炎との鑑別に参考になる.(寄生虫学テキストp.63)

治療

現在の標準的な治療はアムホテリシンB(全身性抗真菌薬でリーシュマニアやトキソプラズマ症などの原虫寄生感染症全般に効く数少ない薬剤の一つ)の静脈内大量投与が推奨されている。

PAMの治療成功率は極めて低い。というのも多くの患者が既に大脳壊死の末期の症状を示すまで確定診断ができないからだ。たとえ確定診断が治療可能な初期にできたとしても、アメーバが脳へ到達するするのを迅速に止めるために必要なアムホテリシンBの投与量が重大で永久的な腎毒性を引き起こす。

治療成功例において、リファンピシンもまたアムホテリシンBとともに良く使われている。しかしながらリファンピシンはNaegleriaの成長を効果的に抑制しないというエビデンスもある。
最終更新:2010年03月17日 02:58
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