入学式

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34 名前:4月5日(金)[saga] 投稿日:2013/05/30(木) 00:46:01.61 ID:R/834AKjo ~通学路~ テクテクテク... 京太郎「んー、いい天気だ。入学式日和ってヤツだな」 京太郎「それに……」チラッ        ザワ...  オハヨー  オッハヨー!   キャッキャウフフ         オハヨーゴザイマース   ザワザワ...   アサダヨ?     ザワ...ザワ...   ゴキゲンヨー  グッドイブニングデスー  ザワ...      オハヨー  ウフフ キャッキャ   オハヨーオハヨー   ザワ...       キャッキャ  オハヨウノドッチ!   ザワワ... マムシーマムシー  キャッキャ                  ザワ...  ダレガノドッチダ  ウフフ  ザワザワ... 京太郎「……いい景色だ」グヘヘ 京太郎「流石は元お嬢様学校。どっちを向いても女子ばかりだ」 京太郎「男子もいないじゃないけど……少ないよなぁ」 京太郎「ま、ただでさえ生徒数の少ない阿知賀で男子は新入生だけなわけだし、仕方ないか」ウム ヒソヒソ「ねぇ見てあれ、一人でブツブツ言ってる~」ヒソヒソ ヒソヒソ「うそやだきもーい」ヒソヒソ「死ねばいいのに」ヒソヒソ ヒソヒソ「ヒくわァ」ヒソヒソ「これだから男子って……」ヒソヒソ 京太郎「………………うん。この珍獣扱いも仕方ない。慣れだ慣れ」 35 名前:4月5日(金)[saga] 投稿日:2013/05/30(木) 01:51:43.93 ID:R/834AKjo (とは言え不審者として通報されても困るのでモノローグに)切り替えていく。 引き続き好奇の視線を浴びながら桜並木の下を歩いていると、 京太郎「ん?」 ???「……」 前を行く一人の女子高生に目が留まった。 京太郎「あれ、あの子って――」 我々はあの少女を知っている! いや! あの髪型と、あの尻の形を知っている! 京太郎「やっぱり昨日の子……、………………だよな?」 呟き、しかし自分の言葉に首を傾げる。 なにやら様子がおかしい。 容姿だけ見れば間違いないのだが、態度が。 昨日と違い過ぎる。 コソコソ? ビクビク? とにかく挙動不審に、人の流れを右へ左へ漂っていた。 36 名前:4月5日(金)[saga] 投稿日:2013/05/30(木) 04:00:05.87 ID:R/834AKjo ???「っ……」 小尻の君は今日も俺の視線に気付くことなく、忙しなく歩道を行き来している。 ふらふらと右端に寄ったかと思いきや、ハッとして左端へダッシュ。 そこで一息ついたのも束の間、また慌てたように真ん中、右端へと移動。 うーむ…… 京太郎「面白ぇ」 目が離せない。主に翻るスカートから目が離せない。 思わず立ち止まり、腕を組み、桜吹雪の中を駆け回る美少女という格別の花見に興じる。 女の子が前進するスピードは極めて遅い。 だだっ広い道を端から端へと走っているのだから自明だ。 ので、 これ幸いとばかりに堪能させてもらいました。ギリギリで見えなかったけど。 38 名前:4月5日(金)[saga] 投稿日:2013/05/30(木) 04:55:54.03 ID:R/834AKjo 京太郎「……ん? んん?」キョロキョロ ふと気付くと、俺達以外の通行人の姿は影も形もなくなっていた。 いかん、つい熱中し過ぎたっぽい。 京太郎「時間は……うげ」 結構ヤバい。 走る必要まではないが、流石に天下の往来で仁王立ちしている余裕はなさげ。 もうちょっと粘ってたら見えそうな気がするんだけどなぁ……パンツ。 見たかったなぁ……パンツ。 見えないかなぁ……パンツ。 京太郎「………………はっ!?」 だからボーッとしてる暇はないんだっての! しゃーない。今日は諦めよう。パンツ。 深く長く大きく溜め息を吐いて、涙の一歩を踏み出――そうとした、その時。 39 名前:4月5日(金)[saga] 投稿日:2013/05/30(木) 05:49:27.50 ID:R/834AKjo 「やっべー! 遅刻遅刻!」ダッ 「オイちょっと待てって!」ダッ 背後から声。そして影。 京太郎「うおっ?」 堪らずよろめく。 なんとか持ち直して顔を上げると、他校の学ランを着た二人の男子高校生が走り去るところだった。 確か阿知賀より少し離れた位置にある高校の制服だったな、あれ。 なるほど、この時間にまだこの場所にいるなら、彼らこそ全力疾走でなければ間に合わないだろう。 しかし人がコケそうになったのに気にも留めないとは…… 俺が若者の礼儀離れに嘆いてる間にも、モブ顔ダブル男子は猛然と走り続け―― 京太郎「!」 危ない、と声を上げる間もなく。 野郎共は懲りずにド直進、道の真ん中で少し前の俺みたいに溜め息をついているあの女の子の両脇をすり抜けた。 40 名前:4月5日(金)[saga] 投稿日:2013/05/30(木) 06:30:35.46 ID:R/834AKjo と、 ???「――――――――――――――――――――ッ!!!」 そこから先は一瞬の出来事だった。 女の子は声にならない叫びと共にその場で盛大に跳び上がり、着地の拍子に蹴躓き、蹴躓き、蹴躓きに蹴躓いて……とうとう歩道の端まで辿り着き、そのまま植え込みに頭から勢い良く突っ込んだ。 って、 京太郎「ええええええええええ!!?」 どんだけオーバーリアクション!? 凡々に生きていては中々お目にかかれない珍事に焦る。 駆け寄る。 覗きこむ。 パンツ。 …… パンツ! 桜色の、名状しがたい小洒落た柄の、パンツだ!!! 41 名前:4月5日(金)[saga] 投稿日:2013/05/30(木) 07:38:34.01 ID:R/834AKjo 京太郎「おおおおおお……!!」ゴクリ ここに来て俺のテンションがうなぎ上りである。 しかも! しかもだ。 この子が着てる制服……今はスカートしか見えないが……阿知賀の制服じゃあないかッ! 主に脚とか、肌が露出してる部分に目を奪われていたせいで気付かなんだ。 ……待てよ? つまり? これは? 入学式の朝+美少女との再会+同じ学校=マジで薔薇色の高校生活が始まる!? なにやだこわい。順調過ぎてこーわーいー。昂る。 ???「ぅ、うーん……」モゾッ 京太郎「!」 身動ぎする度に太ももが震えて……げへへ。 とか言ってる場合じゃねぇ。 ここはあくまで紳士的に――紳士的に、全力で! フラグを立てに往く!! 42 名前:4月5日(金)[saga] 投稿日:2013/05/30(木) 08:06:44.67 ID:R/834AKjo 京太郎「お嬢さん、大丈夫ですか」キリッ ???「……っ」 女の子が息を呑んだのが分かった。茂みから手が伸び、何かに捕まろうと宙を掻く。 京太郎「おっと、これは失礼」キリッ その手を素早く掴んで、 ???「ひ――ッ」 引き起こす。……なんか妙な反応? まあいいや、続行。 京太郎「いやはや災難でしたね。お怪我はありませんか?」キリッ 視線を頭から爪先まで巡らせる。 ???「ぅ……」タジッ 自分の身体を庇うように抱きしめている女の子。腕を打ったのかと心配したが違うっぽい。 京太郎「む、膝を擦り剥いていますね」キリッ 右膝に血が滲んでいた。転んだ時に傷がついたんだろう。 京太郎「ちょうど絆創膏を持っています。どうぞ使ってください」キリッ 内ポケットから取り出した絆創膏を二枚、女の子に握らせる。 ???「ぁ……う……!」パクパク ああ、ありがとう咲! 何もない所で転ぶお前と長年一緒だったお陰で持ち歩くクセのついた絆創膏が今、素晴らしい活躍をしているぞ!! 43 名前:4月5日(金)[saga] 投稿日:2013/05/30(木) 08:59:18.72 ID:R/834AKjo ???「あ、のっ!」 京太郎「はい?」キリッ 脳内お花畑で咲と手を取り合ってアハハウフフと踊っていたところに声をかけられ、振り返り、 ギョッとした。 この子すっげー顔色悪い。 赤? 青? 白? 目まぐるしく変化してるし、目もぐるぐるしてるし。 更によく見れば身体は小刻みに震え、手渡した絆創膏は握り潰されてる。 ???「……ぁの。その……」プルプル 一体どうしたっていうんだ。 なんだ。アレか。感極まってるのか。 もしかしてこのまま「キャー素敵! 抱いて!」みたいな、そんな展開が待ち受けているのか。 上等じゃないか!! ???「あゎ、あのっ、えと、う、ぅう~~~っ……!」スゥーッ 京太郎「大丈夫ですよお嬢さん。俺は全て理解しています! さあ恥ずかしがらずに思いの丈をぶちま――」 44 名前:4月5日(金)[saga] 投稿日:2013/05/30(木) 09:02:39.70 ID:R/834AKjo #aa{{{ .             xァ′ /       |                ヽ {__j__            '   /   ′       / |     |      .         :, `丶 \       /  / /    i |    i  | |     |     i |  i     :,    \ \       /  /         | |  ‐-L_ | |     | j |i  | |  |         \ \    .         |    |:八  人j ト八      i |斗匕|「 | |  |   l: .,        ヽ       /     |    |  Ⅳj]xぅ妝斥 \    i/≫ぅ妝ミxV|  |   |: .′       , .      ′     八  :{  |  |坏´_)「:::ハ   \ ∨  _)「:::ハⅥ  |   |: .        ′   ;           \乂_|  |八 rヘしi::::}     \   rヘしi::::} オ |  . .|: . i           ;   |   i        l .⌒|  |   乂__/ソ          乂__/ソ |  |  . .|: . |       i   |   |   |          | . . .|  |    ,,,      ,      ,,,   |  |  . .|: . |       |   |   |   |         /:| . . .|  |\i                 |  |  . .|: . |       |   |   |   |          | . . .|  |:::八     r'ア ̄`ヽ       /::|  |  . .|: . |       |   |   |   |       i | . . :|  {::::::个:...   ∨     ノ    イ:::::}  |  . .|: . |       |   |   |   |       | | . .八  V斗ri:i:i:〕ト       ィ:〔:i:i:iTV  八   .|: . |       |   |   |   |       | | . . . :\ Vi:i:i:i:i:i:i:|. : j>--<. : .{: |:i:i:i:iV //   廴_|       |   |   |   |     r七i| . . . . : |\i:i:i:i:i:i:i:|: . : . : . : . : . : . :|:i:i:i:/i:i/    // /i:\       |   |   |   |     ∧ Ⅵ. . . . . :|:i:i:\i:i:i:i:|─-. : . : . : .-─|:/i:i:i:/    // /:i:i:i:i∧    |   | }}}               「もうあたしに話しかけないでくださいっ!!!」 京太郎「」 45 名前:4月5日(金)[saga] 投稿日:2013/05/30(木) 09:13:27.82 ID:R/834AKjo …… ………… ……………… 京太郎「」 あれから―― あの女の子が走り去ってから、どれだけの時間が経っただろう。 俺は立ち尽くしたままだった。 何秒? 何分? それとも何時間? 分からない。 分かるのはたったふたつ――  リーン... ゴーン...     リーン... ゴーン...              リーン... ゴーン...                 リーン... ゴーン... 今、聴こえているこの音が阿知賀学院の鐘の音だということと、 俺が入学式に遅刻したということだけだ。
34 名前:4月5日(金)[saga] 投稿日:2013/05/30(木) 00:46:01.61 ID:R/834AKjo ~通学路~ テクテクテク... 京太郎「んー、いい天気だ。入学式日和ってヤツだな」 京太郎「それに……」チラッ        ザワ...  オハヨー  オッハヨー!   キャッキャウフフ         オハヨーゴザイマース   ザワザワ...   アサダヨ?     ザワ...ザワ...   ゴキゲンヨー  グッドイブニングデスー  ザワ...      オハヨー  ウフフ キャッキャ   オハヨーオハヨー   ザワ...       キャッキャ  オハヨウノドッチ!   ザワワ... マムシーマムシー  キャッキャ                  ザワ...  ダレガノドッチダ  ウフフ  ザワザワ... 京太郎「……いい景色だ」グヘヘ 京太郎「流石は元お嬢様学校。どっちを向いても女子ばかりだ」 京太郎「男子もいないじゃないけど……少ないよなぁ」 京太郎「ま、ただでさえ生徒数の少ない阿知賀で男子は新入生だけなわけだし、仕方ないか」ウム ヒソヒソ「ねぇ見てあれ、一人でブツブツ言ってる~」ヒソヒソ ヒソヒソ「うそやだきもーい」ヒソヒソ「死ねばいいのに」ヒソヒソ ヒソヒソ「ヒくわァ」ヒソヒソ「これだから男子って……」ヒソヒソ 京太郎「………………うん。この珍獣扱いも仕方ない。慣れだ慣れ」 35 名前:4月5日(金)[saga] 投稿日:2013/05/30(木) 01:51:43.93 ID:R/834AKjo (とは言え不審者として通報されても困るのでモノローグに)切り替えていく。 引き続き好奇の視線を浴びながら桜並木の下を歩いていると、 京太郎「ん?」 ???「……」 前を行く一人の女子高生に目が留まった。 京太郎「あれ、あの子って――」 我々はあの少女を知っている! いや! あの髪型と、あの尻の形を知っている! 京太郎「やっぱり昨日の子……、………………だよな?」 呟き、しかし自分の言葉に首を傾げる。 なにやら様子がおかしい。 容姿だけ見れば間違いないのだが、態度が。 昨日と違い過ぎる。 コソコソ? ビクビク? とにかく挙動不審に、人の流れを右へ左へ漂っていた。 36 名前:4月5日(金)[saga] 投稿日:2013/05/30(木) 04:00:05.87 ID:R/834AKjo ???「っ……」 小尻の君は今日も俺の視線に気付くことなく、忙しなく歩道を行き来している。 ふらふらと右端に寄ったかと思いきや、ハッとして左端へダッシュ。 そこで一息ついたのも束の間、また慌てたように真ん中、右端へと移動。 うーむ…… 京太郎「面白ぇ」 目が離せない。主に翻るスカートから目が離せない。 思わず立ち止まり、腕を組み、桜吹雪の中を駆け回る美少女という格別の花見に興じる。 女の子が前進するスピードは極めて遅い。 だだっ広い道を端から端へと走っているのだから自明だ。 ので、 これ幸いとばかりに堪能させてもらいました。ギリギリで見えなかったけど。 38 名前:4月5日(金)[saga] 投稿日:2013/05/30(木) 04:55:54.03 ID:R/834AKjo 京太郎「……ん? んん?」キョロキョロ ふと気付くと、俺達以外の通行人の姿は影も形もなくなっていた。 いかん、つい熱中し過ぎたっぽい。 京太郎「時間は……うげ」 結構ヤバい。 走る必要まではないが、流石に天下の往来で仁王立ちしている余裕はなさげ。 もうちょっと粘ってたら見えそうな気がするんだけどなぁ……パンツ。 見たかったなぁ……パンツ。 見えないかなぁ……パンツ。 京太郎「………………はっ!?」 だからボーッとしてる暇はないんだっての! しゃーない。今日は諦めよう。パンツ。 深く長く大きく溜め息を吐いて、涙の一歩を踏み出――そうとした、その時。 39 名前:4月5日(金)[saga] 投稿日:2013/05/30(木) 05:49:27.50 ID:R/834AKjo 「やっべー! 遅刻遅刻!」ダッ 「オイちょっと待てって!」ダッ 背後から声。そして影。 京太郎「うおっ?」 堪らずよろめく。 なんとか持ち直して顔を上げると、他校の学ランを着た二人の男子高校生が走り去るところだった。 確か阿知賀より少し離れた位置にある高校の制服だったな、あれ。 なるほど、この時間にまだこの場所にいるなら、彼らこそ全力疾走でなければ間に合わないだろう。 しかし人がコケそうになったのに気にも留めないとは…… 俺が若者の礼儀離れに嘆いてる間にも、モブ顔ダブル男子は猛然と走り続け―― 京太郎「!」 危ない、と声を上げる間もなく。 野郎共は懲りずにド直進、道の真ん中で少し前の俺みたいに溜め息をついているあの女の子の両脇をすり抜けた。 40 名前:4月5日(金)[saga] 投稿日:2013/05/30(木) 06:30:35.46 ID:R/834AKjo と、 ???「――――――――――――――――――――ッ!!!」 そこから先は一瞬の出来事だった。 女の子は声にならない叫びと共にその場で盛大に跳び上がり、着地の拍子に蹴躓き、蹴躓き、蹴躓きに蹴躓いて……とうとう歩道の端まで辿り着き、そのまま植え込みに頭から勢い良く突っ込んだ。 って、 京太郎「ええええええええええ!!?」 どんだけオーバーリアクション!? 凡々に生きていては中々お目にかかれない珍事に焦る。 駆け寄る。 覗きこむ。 パンツ。 …… パンツ! 桜色の、名状しがたい小洒落た柄の、パンツだ!!! 41 名前:4月5日(金)[saga] 投稿日:2013/05/30(木) 07:38:34.01 ID:R/834AKjo 京太郎「おおおおおお……!!」ゴクリ ここに来て俺のテンションがうなぎ上りである。 しかも! しかもだ。 この子が着てる制服……今はスカートしか見えないが……阿知賀の制服じゃあないかッ! 主に脚とか、肌が露出してる部分に目を奪われていたせいで気付かなんだ。 ……待てよ? つまり? これは? 入学式の朝+美少女との再会+同じ学校=マジで薔薇色の高校生活が始まる!? なにやだこわい。順調過ぎてこーわーいー。昂る。 ???「ぅ、うーん……」モゾッ 京太郎「!」 身動ぎする度に太ももが震えて……げへへ。 とか言ってる場合じゃねぇ。 ここはあくまで紳士的に――紳士的に、全力で! フラグを立てに往く!! 42 名前:4月5日(金)[saga] 投稿日:2013/05/30(木) 08:06:44.67 ID:R/834AKjo 京太郎「お嬢さん、大丈夫ですか」キリッ ???「……っ」 女の子が息を呑んだのが分かった。茂みから手が伸び、何かに捕まろうと宙を掻く。 京太郎「おっと、これは失礼」キリッ その手を素早く掴んで、 ???「ひ――ッ」 引き起こす。……なんか妙な反応? まあいいや、続行。 京太郎「いやはや災難でしたね。お怪我はありませんか?」キリッ 視線を頭から爪先まで巡らせる。 ???「ぅ……」タジッ 自分の身体を庇うように抱きしめている女の子。腕を打ったのかと心配したが違うっぽい。 京太郎「む、膝を擦り剥いていますね」キリッ 右膝に血が滲んでいた。転んだ時に傷がついたんだろう。 京太郎「ちょうど絆創膏を持っています。どうぞ使ってください」キリッ 内ポケットから取り出した絆創膏を二枚、女の子に握らせる。 ???「ぁ……う……!」パクパク ああ、ありがとう咲! 何もない所で転ぶお前と長年一緒だったお陰で持ち歩くクセのついた絆創膏が今、素晴らしい活躍をしているぞ!! 43 名前:4月5日(金)[saga] 投稿日:2013/05/30(木) 08:59:18.72 ID:R/834AKjo ???「あ、のっ!」 京太郎「はい?」キリッ 脳内お花畑で咲と手を取り合ってアハハウフフと踊っていたところに声をかけられ、振り返り、 ギョッとした。 この子すっげー顔色悪い。 赤? 青? 白? 目まぐるしく変化してるし、目もぐるぐるしてるし。 更によく見れば身体は小刻みに震え、手渡した絆創膏は握り潰されてる。 ???「……ぁの。その……」プルプル 一体どうしたっていうんだ。 なんだ。アレか。感極まってるのか。 もしかしてこのまま「キャー素敵! 抱いて!」みたいな、そんな展開が待ち受けているのか。 上等じゃないか!! ???「あゎ、あのっ、えと、う、ぅう~~~っ……!」スゥーッ 京太郎「大丈夫ですよお嬢さん。俺は全て理解しています! さあ恥ずかしがらずに思いの丈をぶちま――」 44 名前:4月5日(金)[saga] 投稿日:2013/05/30(木) 09:02:39.70 ID:R/834AKjo #aa{{{ .             xァ′ /       |                ヽ {__j__            '   /   ′       / |     |      .         :, `丶 \       /  / /    i |    i  | |     |     i |  i     :,    \ \       /  /         | |  ‐-L_ | |     | j |i  | |  |         \ \    .         |    |:八  人j ト八      i |斗匕|「 | |  |   l: .,        ヽ       /     |    |  Ⅳj]xぅ妝斥 \    i/≫ぅ妝ミxV|  |   |: .′       , .      ′     八  :{  |  |坏´_)「:::ハ   \ ∨  _)「:::ハⅥ  |   |: .        ′   ;           \乂_|  |八 rヘしi::::}     \   rヘしi::::} オ |  . .|: . i           ;   |   i        l .⌒|  |   乂__/ソ          乂__/ソ |  |  . .|: . |       i   |   |   |          | . . .|  |    ,,,      ,      ,,,   |  |  . .|: . |       |   |   |   |         /:| . . .|  |\i                 |  |  . .|: . |       |   |   |   |          | . . .|  |:::八     r'ア ̄`ヽ       /::|  |  . .|: . |       |   |   |   |       i | . . :|  {::::::个:...   ∨     ノ    イ:::::}  |  . .|: . |       |   |   |   |       | | . .八  V斗ri:i:i:〕ト       ィ:〔:i:i:iTV  八   .|: . |       |   |   |   |       | | . . . :\ Vi:i:i:i:i:i:i:|. : j>--<. : .{: |:i:i:i:iV //   廴_|       |   |   |   |     r七i| . . . . : |\i:i:i:i:i:i:i:|: . : . : . : . : . : . :|:i:i:i:/i:i/    // /i:\       |   |   |   |     ∧ Ⅵ. . . . . :|:i:i:\i:i:i:i:|─-. : . : . : .-─|:/i:i:i:/    // /:i:i:i:i∧    |   | }}}        「もうあたしに話しかけないでくださいっ!!!」 京太郎「」 45 名前:4月5日(金)[saga] 投稿日:2013/05/30(木) 09:13:27.82 ID:R/834AKjo …… ………… ……………… 京太郎「」 あれから―― あの女の子が走り去ってから、どれだけの時間が経っただろう。 俺は立ち尽くしたままだった。 何秒? 何分? それとも何時間? 分からない。 分かるのはたったふたつ――  リーン... ゴーン...     リーン... ゴーン...              リーン... ゴーン...                 リーン... ゴーン... 今、聴こえているこの音が阿知賀学院の鐘の音だということと、 俺が入学式に遅刻したということだけだ。

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