#contents ---- *穏乃 607 名前:4月9日(火)[saga] 投稿日:2013/06/25(火) 05:25:11.76 ID:gJOGb28Do 俺は―― 考えた。 考え抜いた。 布団にくるまり。 鈍いまどろみの中で。 これまでの俺自身のこと。 次にこれからの俺自身のこと。 遥々奈良まで来て何がしたいのか。 麻雀部に入って何をするつもりなのか。 そのへんのなんやかんやをあれこれ考えて。 ショート寸前の思考回路が導き出すひとつの解。 ――諦めるか、攻略。 624 名前:4月9日(火)[saga] 投稿日:2013/06/26(水) 01:27:54.89 ID:wpCub4ejo …… ………… ……………… 教室の喧騒の中で、昨夜のことを思い出す。 あれはまさしく苦渋の選択と呼ぶに相応しかった。 新子さんとは仲良くなりたい。 しかし神はそれを許さず、残酷なトラブルとアクシデントの波状攻撃が俺達を襲った。 入学初日と部活初日、たった二日の間にだ。 それから数日が経った程度では、未だに新子さんからの当たりが尋常でなく厳しいのも無理からぬこと……うん、からぬからぬ。 このまま新子さん一人に拘泥すれば、その過程で周囲の心証をも悪くしてしまう恐れがある。 俺の目標は青春を謳歌することだ。 故に今、勇気が求められている。 順番を入れ替える勇気が。 即ち、新子さんの攻略は一旦保留。 先に同じ部活の仲間との親交を深める。 それこそが、俺が暗中に見出した唯一の活路なのだった。 625 名前:4月9日(火)[saga] 投稿日:2013/06/26(水) 01:57:35.49 ID:wpCub4ejo と、いうわけで。 短い休み時間、素早く行動しなくては。 颯爽と席から立ち上がり、身体ごと横を向く。 京太郎「おーい、新子さーん」 憧「……なに?」ジトッ うーん今日も平常運転。 しかし俺の方は一味違う。 京太郎「穏乃って隣のクラスだっけ?」 憧「、へ?」 京太郎「穏乃。隣のクラスだったよな確か」 憧「そうだけど……しずのクラスなんて訊いてどうするのよ?」 京太郎「もちろん会いに行くに決まってんだろ」 憧「は?」 京太郎「んじゃなー」 憧「あ、ちょっと!?」 627 名前:4月9日(火)[saga] 投稿日:2013/06/26(水) 03:02:28.44 ID:wpCub4ejo 京太郎「となりのしっずの♪ しっずーのー♪」フンフン 俺が作詞作曲を手掛けた圧倒的オリジナルソングを口ずさみながら廊下に出る。 憧「ちょ、ちょっと待ちなさいってば!」 すると新子さんに呼び止められた。 京太郎「どーした?」 憧「………………あたしもついて行く」 京太郎「!?」 なん……だと…… 急がば回れ作戦がこんなにも早く効果を上げたというのか? しかし俺の見立てでは彼女はまだツン期の真っ只中のはず…… ……待てよ? つまり? これは? 「あのセリフ」を言わせるチャンスなんじゃなかろうか。 そう考えた途端、自然と口が動いた。 京太郎「新子さん、もしかして………………ヤキモチか?」キリッ 憧「勘違いしないでよね。別にそんなんじゃないんだからね。須賀くんがしずにヘンなことしないか心配なだけなんだからね」 京太郎「あ、はい……」 真顔で言われたぁ…… 654 名前:4月9日(火)[saga] 投稿日:2013/06/27(木) 01:45:56.37 ID:V211d0tqo 気を取り直して隣の教室へ。 京太郎「えーっと……あ、いた」 窓際でクラスメイトと談笑しているようだった。 憧「良かった、あたしら以外にもちゃんと友達いたんだ」ホッ 京太郎「ひでーな……おーい、しz」 新子さんの毒舌(無自覚だろう。だよな?)に呆れながら、俺は穏乃を呼――ぶのを中断した。 憧「なに、どうかしたの?」 京太郎「いや……」 新子さんに訝しまれながら、俺は考える。 他のクラスから来た男子にいきなり名前で呼ばれていたら、穏乃は自分のクラスメイトにどう思われるだろう。 考え、加味した結果、 京太郎「……高鴨~」 憧「??」 日和ったった。 655 名前:4月9日(火)[saga] 投稿日:2013/06/27(木) 02:21:46.18 ID:V211d0tqo 穏乃「でさーくさくってさー」アハハ 「へーそうなんだー」ウフフ しかし聞こえてないっぽい。 注意する余り声が小さ過ぎたか。 京太郎「高鴨ー」 中くらいの声量でリトライ。 穏乃「」ピクッ おっ。 穏乃「?」キョロキョロ 不思議そうに教室内を見渡す穏乃。 どこの誰に呼ばれたかまでは分かっていないのか。 仕方ない、もう少しだけ声を張ってみよう。 京太郎「たーかーかーもーっ」 こっちこっち。廊下廊下。 穏乃「!」 今度こそ確実に聞こえたらしく、とうとう目が合った。 すると穏乃はパァッと笑顔になって立ち上がり―― 穏乃「京太郎ー! 憧ー!!」ブンブン 京太郎「オレノドリョクガー!!?」ガーン ――元気一杯、大声と共に手を振りやがる穏乃に、俺も思わず声を荒げてしまった。 657 名前:4月9日(火)[saga] 投稿日:2013/06/27(木) 03:04:38.63 ID:V211d0tqo ざわ... ざわ... ざわ... 京太郎「あああ……」 案の定、広がるざわめき。 多くの視線が俺と穏乃へ交互に向けられる。 憧「何やってんだか……」 今まで静観していた新子さんも呆れている。ぐうの音も出そうにない。 京太郎「ぐう!」 憧「!?」ビクッ 出た。 穏乃「どしたのっ?」 そうこうしている内に、穏乃がとてとてと駆け寄って来た。 本人こそあっけらかんとした表情だが、その背後では―― 「うそ、高鴨さんに男子の来客……!?」ガタッ 「ないないないないノーウェイノーウェイ」ガクガク 「まさか入学一週間で彼氏……? メゲるわ」カタカタ 姦しいことこの上なかった。 京太郎「あー……とりあえず廊下に出よう。な?」 穏乃「?」キョトン 659 名前:4月9日(火)[saga] 投稿日:2013/06/27(木) 03:18:56.77 ID:V211d0tqo 三人で廊下の窓際に並ぶことに。 京太郎「ふぅ」トスッ 穏乃「ほっ」ポスッ 憧「……」 憧 京 穏 窓 窓 窓 ↓ 憧 京 穏 窓 窓 窓 ↓ 憧 京 穏 窓 窓 窓 ↓ 京 穏 憧 窓 窓 窓 泣かねぇ。 662 名前:4月9日(火)[saga] 投稿日:2013/06/27(木) 04:20:43.10 ID:V211d0tqo 穏乃「で、本当にどうしたの? なんか用事?」 京太郎「用事ってほどじゃないんだけど……穏乃と話したくってさ」 穏乃「私と?」 京太郎「おうよ。部活のメンバー同士仲良くしようぜ」ニッ 穏乃「おぉー! 友情って感じでなんかいいね! なに話す!?」ワクワク 京太郎「その前に。お前、さっき俺のこと名前で呼んだよな?」 穏乃「呼んだよ? ていうか京太郎こそなんで苗字で? 穏乃でいいって言ったよね?」 京太郎「いや言われたけどさ。部活以外の場所で呼ぶと人目とか気になるかなーとか思ったんだよ」 穏乃「人目? ならないならない! 友達なんだから気にすることないじゃん!」ペカー 京太郎「おおお……」 なにこの新鮮な反応。 拒絶されない――たったそれだけのことが泣きそうなぐらい嬉しい。 自分で感じていた以上に傷付いてたんだな、俺。 665 名前:4月9日(火)[saga] 投稿日:2013/06/27(木) 04:52:04.03 ID:V211d0tqo [7/10] 京太郎「お前……いい奴だなぁ」ナデナデ 穏乃「ふぉ」 気が付けば俺は穏乃の頭を撫でていた。 まったくの無意識だった。 すかさず新子さんが吠える。 憧「ちょっ、なにいきなり女の子の頭撫でてるのよ!?」 京太郎「あ、悪い。つい」ナデナデ クセで。 咲よりもいくらか低い位置にある頭は非常に触り心地が良く、いつまでも撫でていられそうだった。゙ 憧「だから撫でるのやめなさいったら!」 京太郎「ウィッス」パッ 「いつまでも撫でていられそうだった」じゃねーよって話ですよね。 668 名前:4月9日(火)[saga] 投稿日:2013/06/27(木) 06:29:33.73 ID:V211d0tqo 穏乃「えー、もうやめちゃうの?」 「「!?」」 京太郎「し、穏乃サン?」 憧「しず、あんた今……なんて?」 穏乃「気持ち良かったから続けて欲しいな~」 「「!!?」」 固まる。 俺が、新子さんが、それぞれ驚愕に硬直する。 指一本たりとも動かせないレベルの緊張。 俺が新子さんより早くその状態から抜けられたのは、まったくの幸運だった。 京太郎「………………撫でていいの?」 穏乃「いいよー」 いいらしい。 女の子ってわっかんねー。 思わず穏乃と新子さんを見比べてしまう俺だった。 671 名前:4月9日(火)[saga] 投稿日:2013/06/27(木) 07:02:56.28 ID:V211d0tqo 京太郎「えっと、じゃあ、まあ」スッ ぽす。 なでなで。 穏乃「ん……んへへ……♪」ニマ どんな笑い方だ。 目を細めて俺の手を受け入れている穏乃。 犬か猫を愛でてるみたいで、とても心が和む。 京太郎「お客さん、どこか痒いところはございませんかー」ナデナデ 穏乃「ございませーん……ってそれ違うから」テシッ などとゆるいやり取りを楽しみながら。 結局、休み時間が終わるギリギリまで俺は穏乃の頭を撫で続けた。 その際、ようやく硬直の解けた新子さんから、 憧「しーずー! 髪っていうのは女の命で、男に気安く触らせていいものじゃないんだからね!? ちゃんと分かってるの!?」 穏乃「???」 とか説教されてたが、本人はイマイチ分かっていない風だった。 ---- *玄 691 名前:4月10日(水)[saga] 投稿日:2013/06/28(金) 00:43:46.73 ID:Ny+tLUH6o …… ………… ……………… キーンコーン カーンコーン キーンコーン カーンコーン 今日も休み時間がやってきた。 チャイムが鳴り止むと同時に、隣の新子さんへ声をかける。 京太郎「なあなあ、玄先輩って何組か知ってる?」 憧「玄? 知ってるけど……もしかして、今日も行く気なの?」 京太郎「ロンオブモチ。目指すは部員コンプリートだ!」キリッ 憧「呆れた……」ガタッ 京太郎「……」ジー 憧「……なに?」 京太郎「あ、いや、新子さんこそ今日もついてきてくれるんだな」 憧「文句ある?」ギロッ 京太郎「アリマセンッ! で、でも流石に今日は大丈夫だって。相手も先輩なんだし」 憧「甘いわね」 京太郎「ひょ?」 憧「確かに玄は先輩だけど、危なっかしさで言えばしずと同等かそれ以上なんだから」 京太郎「なにそれこわい」 695 名前:4月10日(水)[saga] 投稿日:2013/06/28(金) 01:26:13.19 ID:Ny+tLUH6o ~二年の教室~ 憧「ほら、玄のクラスはここよ」 京太郎「サンキュー。さてさて先輩は……あ、いた」 また窓際だった。窓際ブームか。 ここで先輩を呼ぶ為に大きな声を出しては昨日の二の舞だ。 しかも二年に男子はゼロ。更に目立つこと請け合いである。 ので、 京太郎「スイませェん……」 廊下側にいた見知らぬ先輩に話しかける。 「はーい? って男子だ!?」ギョッ 男子です。 696 名前:4月10日(水)[saga] 投稿日:2013/06/28(金) 01:36:43.52 ID:Ny+tLUH6o 京太郎「あの、一年の須賀という者ですが、松実先輩を呼んでもらえますか?」 「まつみ……って、松実玄ちゃん?」 京太郎「はい」 「ん、分かった。ちょっと待ってね」 京太郎「よろしくお願いします」 頼み事、滞りなく終了。 隣で新子さんが「え、なに今の猫被り……?」とでも言いたげな顔をしているように見えるがきっと気のせいだろう。 憧「え、なに今の猫被り……?」 気のせいじゃなかった。 それに対して反論しようとした時、俺の頼みを聞き入れてくれた親切な先輩がすぅーっと大きく息を吸い込んでいるのが見えた。 次の瞬間。 「クロちゃーーーん!! 男の子が面会にきたよーーーーー!!!」>ワ< 京太郎「アイエエエエエエエエ!!?」 698 名前:4月10日(水)[saga] 投稿日:2013/06/28(金) 02:06:35.48 ID:Ny+tLUH6o センパイ!? センパイナンデ!? なんで今の流れでそんな大ボリューム!? あと先輩が満足気に「ふぃ~いい仕事したぜー」とでも言いたげな顔をしているように見えるのはきっと気のせいですよね!? 「ふぃ~いい仕事したぜー」 気のせいじゃなかった。 それに対して抗議しようとしても時既に遅し、教室内は上を下への大騒ぎとなっていた。 玄「!? !!? !?!」 中心は当然、玄先輩。 遠目に見ても可哀想なくらい狼狽してらっしゃる。 「なにあの子! もしかしてクロちゃんの彼氏!?」 玄「ち、違うよぉ! 須賀くんは部活の後輩で……!」 「部活の後輩に手ぇ出しちゃったかー。やるね松実さん」 玄「だから違うんだってば~!」 灼「ヒューヒュー」 玄「灼ちゃんは知ってるよね!?」 なにやってんだ鷺森先輩。 699 名前:4月10日(水)[saga] 投稿日:2013/06/28(金) 02:42:09.47 ID:Ny+tLUH6o そんな騒動が数分続いて。 群衆から解放された時には、玄先輩はボロ雑巾のように成り果てていた。 玄「お、おまたせ~」 そのまま俺達の前に立つ玄先輩。 かなり際どいレベルで着衣が乱れている。眼福。 京太郎「こんにちは先輩。お疲れ様でした」 玄「あはは……あれ、憧ちゃんも来てたんだね」 憧「やっほー玄」ヒラヒラ 玄「やっほー。二人でどうしたの?」 京太郎「実は今ですね、部員との親睦を深めよう週間というのを個人的に実施してまして」 隣で新子さんが「本当に毎日やる気か」という顔をしている。これはもう気のせいではない。 京太郎「昨日が穏乃だったんで、今日は玄先輩とお喋りなんかしたいなーと……迷惑でした?」 玄「ううん、すごく素敵な考えだと思うよ! 私で良ければお相手します!」ニコッ 京太郎「ありがとうございます! じゃ、訊きたいことを何なりと!」 玄「私が質問する方なんだ!?」ギョッ 701 名前:4月10日(水)[saga] 投稿日:2013/06/28(金) 03:40:01.34 ID:Ny+tLUH6o 京太郎「はい!」 玄「うぅ、すごく爽やかに肯定されちゃった……」 京太郎「なにせ思い立ったのが月曜の夜だったんで、トークの中身までは用意出来なかったんですよね」 玄「そ、それはなかなかのなかなかだね。質問かぁ……」 うむむ、と律儀に悩んでくれる玄先輩。良い人だ。 玄「あ、そうだ!」 京太郎「何か思いつきました?」 玄「うんっ。………………あー、でも、どうしよ……」 京太郎「?」 なにやら言い淀んでいるご様子。 心なしか顔も赤いような…… 京太郎「玄先輩? どうかしました?」 玄「ん……あのね、ちょっと真剣な質問なの。正直に答えてくれるかな?」ジッ 京太郎「は、はい」ゴクリ 703 名前:4月10日(水)[saga] 投稿日:2013/06/28(金) 04:01:49.37 ID:Ny+tLUH6o 俺はいかなる質問――例えば3サイズ――にも答えられるよう身構える。 玄「……よしっ!」グッ 玄さんも覚悟完了したようだ。 視線が強く交差する。 そして、 玄「須賀くん!」 京太郎「はい!」 #size(15){#aa{{{ -――- . . : : : : : : : : : : : : `丶、 / :/: : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ . : : :/:/::.::.::./::.::.::.::.::.::.::.:: : ヽ::.::. /::/::.:: /::.::.::./:|::.::.::.::.:|::.::.::.::.:i.::. ::.: ,'::/::.::.: i:.::.:: / │::.::.::.::|\| .:: |::.| ::.i |::i::.::.:|::.|::`ト| | :|::.::.::.L イ::.::|::.| ::.| |::i::.::.:|::从≫=ミ|八 .::. 抖=ミ从::| ::.| |::i::.::.:|::.:|{ rJハ \_{.rJハ }|::.:| ::.| V|::.::.|::.:| 弋ツ 弋ツ ::. | ::.| /Ⅵ:|::.:| /// ' /// /|: | ::.| ,::/゚|::.l :.仏 __ 厶|: | ::.| .:/::.:|::.| :.|:个: . . ‘ ’ . :介/::/::八 /::{/{∧::.::.i.::|〈 {≧ ‐≦} |/::.::.: /ヽ::.. / ::.::/ _V^>、|∧ ∨ーヘ. /iレく∨ ∧.::.、 . / ::.::.」 // \く>、∨| /∨rく_ン⌒∨ |::.::.\ /::.::. 〔/ //⌒7┴ヘ_,//ー| ̄\\.\ 〕 .::.::.:\ /::.::.:/ 〈 -={_}=ー 〉` \ .::.::.::.::\ . /.::.::/{ 人_,/| |\_人 ト、.::.::.::.::.: \ }}}} 「女の子の胸に……興味、ある?」 京太郎「あります(即答)」 707 名前:4月10日(水)[saga] 投稿日:2013/06/28(金) 04:18:28.50 ID:Ny+tLUH6o #aa{{{ /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::゚。 :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}:} :.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.|:.:.:.|:.:.:.:.: | | |:.:|:.:.:.:.://:.:/|:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.|:.:.:.| ...:.::::::゚ |:.:.|:.:.:.:|:.:.:.:.:.:ト、!:.:.:.//:.:/ :.:.:.:.:.:.:.:|:|:.:.l:.:.:.|:|i:.:.:.::::::::::::} |:.:.|:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|.ノ`≧ュj/,_./i.:.:.:.:.:.:.:jム斗匕}:|i:.:.:.:::::::|::::| キュピーン |:.:.|:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|:.ノ=云=ミ イ:.:.:./ノx=云リ jノi:.:::::::::イ::/ |:.:.|:.:.:.:|:.:.:.:.:.i|/_人:+ハ /:./ _人:+ハ‘, }.:.::// j/ .:.:.:.゚,:.:.:.|:.:.:.:.:.i| マY:.:oノ マY:.:oノ/厶イ!{ /:.:.:.:.゚。.::|:.:.:.:.:.i| ー'″ `ー'゙ /::::::|::| :′:.:.___@∨:.:.:.i| .:.:.:.:.:.: ′ .:.:.:.:.: ::::::::|::| /:.:.:.: ´ ハ 。:.:.八 /ー―‐1 {::::::/ :| :.:.:./ 、|::ヘ ゚。:.:/ )、 { } ィ:::: ∧; ┐ :. / / ̄)/ /:.:、 > ゝ--- ′< ノ:::::///: : ′ _ | 丁 | |` ミ \ ̄/,,_ |彡"彳/ /::::::::.___ : | 、__) ー | ,.:┐t'⌒{ } 入 | r v // r―::′ ! r‐、} '^ | | {ニ=- ∨ _ノ┴ュ'′/ } 〈_/ \ し ー |ニニニ{ニ}ニニニニ} / ,ノ、 rヘ,_〉 } / ニニニィ¨ト=ニニ7 { ‘,  ̄}::. . イ∧ /ニニニ/ マニニニ\ :, /し':::::::. / ゝ /'⌒ヽ/ マ> ´ \ /::::::::::::i::} }}} 「本当に!!?」 京太郎「おうっ!?」ビクッ 玄「本当に興味あるの!?」ズイッ 京太郎「は、はい」 玄「ほんとのほんと!?」ズズイッ 京太郎「ほんとのほんと」 玄「やっぱり男の子はみんな好きなのかな!?」ズズズイッ 京太郎「嫌いな奴は少ないと思いますけど……」 玄「じゃあじゃあ須賀くんも!?」 京太郎「大好きですね(即答)」 玄「~~~ッ……やったぁー!」ダキッ 京太郎「ふおおおおおおおおおおッ!?」 むにゅうと潰れた感触ガー!? 憧「いーかげんにしなさいっ!」 #aa{{{ |\_ \ /´ __r― r‐ r‐、.ト .. < /_ /乂 f i | ! i ∨::.::.::ミ:.、 |/\| 二 ミ 、 ..:..:\ 八} { } } }::.:.:.:.:.:.::.::\ , ..:..:..:.:.:\ ' __,.. -- ':.:.:.:.:.:.:.:.:.::.::.:\ / ..:..:..:.:.:.:.:.:.:.:.` ¨¨´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ヽ:.:.::.::.::ヽ / :..:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: i ..:..:.. ヽ:.:.:.:..:.. ‘,:.::.::.ハ / / .:/ :.:.:.:./ ..:.:.:.:.:.:.:.:| ..:.:.:.:.:.:..i:.:.:. :. . i ’ .′′...... / / ..} ..:.′ :.:.:.:.:.:. |:.....‘. ..:.|....:.::.::.::..| i..:.i ..:.:.:/ ..:.:.:′.:.:.:./:.′/| .:.:.:.:.:.:.:.:.:}i:.:.:.:.|:.::.}:..:.::.::.:i::.} ..:.::. ..:.:.:′ ..:.:.i.:\,.ィ:./}.:./ }.:.i..:.:.:.:.:.:}:ハ:. イ::;′.::.::.::}::′ | ..| ..:.::i :.:.:i:/ /`/>ー}:/:.:.:.::/斗イ}:/ }:/,!::.::.}::.// ノノ| ..:/′..:.:.:.::| ノ' /' }:.:.:/ノ}ノ ノ' ノ /}::. /イノ′ //´ }.:/ |r‐ 、 .::|z==ミ、 /イ ノ,斗==ミ /:ノイヽ{ . / .:/ ,o'>{ ハ::.: ! xxx ` ^´ xxx {::.:.:./⌒ヽ / . .:././:r‐{ |__ノr‐込 ' 厂/ | |\ .. .:.//r‐ミ! 廴ノ 人 \ r . n , イ::厶イ)、_.厂}:ヽ . .:.:/{ {∧ }ー′ /` ノ { ≧=r`〒 ≦爪 / / {_.ノヽ:’. ..:.:.{ |爪 / }.八__ イ厂ト . __} / } { ∧:ハ .:.::ノ ィ 7~入 ノ く ./ ./| 》 /{ `{ ノ:.ト} }}} 「ぁたっ」 713 名前:4月10日(水)[saga] 投稿日:2013/06/28(金) 04:54:38.88 ID:Ny+tLUH6o ぽこん、と。 一発のゲンコツが狂乱めいた事態を終息させた。 いつの間にか玄先輩の背後に回っていた新子さんの仕業だ。 憧「玄ってば興奮しすぎ! 落ち着いて前見てみなさいよ!」 玄「へ? 前……」チラッ 京太郎「」 玄「………………わひゃあああっ!?」バッ 大慌てで俺から飛び退く玄先輩。 口ではゲスゲス言ってる俺もリアルでの接触には免疫がないので、今は素直にホッとしてる。 玄「ごごご、ごめんね須賀くん! お仲間に会えたのが嬉しくって、つい……」 京太郎「こ、こちらこそ……って、お仲間?」 憧「玄も好きなのよ。女の人の、その……胸、が」 京太郎「なんと!?」 714 名前:4月10日(水)[saga] 投稿日:2013/06/28(金) 05:18:32.15 ID:Ny+tLUH6o 玄「えへへ、お恥ずかしいのです」テレテレ 憧「照れるとこじゃないから」 京太郎「女の人で胸が好きってのも珍しいですよね」 玄「そうなの。だから同じ趣味の人って今まで会ったことがなくって」 憧「だからって抱きつくのは行き過ぎ」ジトッ 玄「うぅ、ごめんなさい」シュン 叱る新子さんと叱られる玄先輩。どっちが年上だっけ。 玄「でもでも、本当に嬉しかったんだよ? これからは毎日おもち談義が出来るんだーって」ニコニコ 憧「毎日やる気なの? いや玄ならやりそうだけどさ……」 京太郎「……あのー、おもちって?」 会話の流れからなんとなくは分かるが、一応。 憧「胸のことよ」 京太郎「ですよねー」 玄「ただの胸じゃないよ! 程よく大きくて柔らかくって……まさにおもちと呼ぶに相応しい胸のことなのです!」フンス 717 名前:4月10日(水)[saga] 投稿日:2013/06/28(金) 05:45:37.91 ID:Ny+tLUH6o 京太郎「ふんふむ」 どうやら並々ならぬ情熱と拘りがあるらしい。 かく言う俺も長野では『「京太郎」の「きょ」は「巨乳万歳」の「きょ」』というキャッチフレーズで通っていた身。 まさか奈良で同好の士(しかも女子!!)に出会えるとは思ってもみなかった。 ここはひとつ、軽妙洒脱なトークで以ってより親睦を深めるとしよう。 京太郎「だったら、」 玄「はい?」 京太郎「玄先輩も結構なおもちをお持ちですよね」 玄「」 憧「」 京太郎「」 やってもうた。 720 名前:4月10日(水)[saga] 投稿日:2013/06/28(金) 06:07:23.19 ID:Ny+tLUH6o [13/17] やってもうた! さっきまでナチュラルに胸という言葉が飛び交っていたせいで上の口がゆるゆるになってもうた! 憧「 」 京太郎「あわわわわわ」ガタガタ 新子さんが筆舌に尽くし難い表情になってる! 一刻も早く玄先輩に謝らねば! 京太郎「せ、先輩! 今のは言葉の綾と言いますか、断じてセクハラとかそういうんじゃあなくて――先輩?」 憧「玄……?」 玄「」 玄「……」 玄「――」 #size(17){#aa{{{ /:..:..:..:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ |:.:.:.ハ:.:.:.:j:.:.:.:.} ゚。:|\ :.:.:.:.:.|:..:。:..:..:..:.\ /:..:..:..:/:.:.:.:.:.:.:.:/|__;.ム斗:./ |:.:.:.し:.:.;\_}:.:|__ ゚。.:.:.:.|:.:..゚。:..:..:\:.゚。 /:..:..:..:/ :.i:.:.:.:i:.:/│:./ |:.′ |:.:.:.:.:.:./ Ⅵ :。:.:.:|:.:.:..:。:..:..:..:}ⅵ /.......:.:.,:.:.:.:|:.:.:.:レ彡|:./三ミ:{、 | :.:.:.:./ 彡=リ三ミト、 :.:.|:.:.:.:.:゚:..:..:..:| リ /:..:..:.:.: ′:.:.|:.:./〃 リ リヾ:、 :.:.:.:./.〃 ヾ:、リ .:.:.:.:i:..:..:..| /:..:..:.:. イ:.:.:.:.:.| /il{ }li }:.:./ il{ }li | .:.:.:.:|:..:..:∧ /:..:..:./ :|.:.:.:.:.:リ il{ }li l/ il{ }li | :.:.:.:.|:.:.:..:.∧ /:..:./..:.:.:.|.:.:.:.:.:.| ミト、 ィj/ ミト、 ィj/ | :.:.:.:.|:.:.:.:..:.∧ 「ふぇ゛えええええええええええっっっ!!?」 j:./ .:..:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:| ゞ=====彡 ゞ=====彡 │ :.:.:.|:.:.:.:.:..: ∧ イO/:.:..:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|////////////////{ :.:.:.:.|:.:.:.:.:.:..:..∧ /:..// .:..:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|、 r――――― 、 ι ノ :.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.. ∧ /:..:..//:..:..:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|:.\ ι | | イ:|:.:.:.:.:.|:.:.:.:.゚:,:.:.:..:..∧ 京太郎「Σ∵」 /:..:..:..// .:..:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|:.:.:个:. . ノ ---―‐ ____} . .:个:.:.:.|:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:゚。:.:..:..:∧ 〃:..:/|〃 .:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.ハ:.:.:.≧==- __ -==≦:.ハ.:.:j:.:.:.:.|:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:|i:..:.:.:.:.∧ 憧「Σ∵」 /:../ l/ :..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|:.:.:/ }:.:.:.:.:/ { } \:.:.:.:/ }.:.:.:.:. |:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:}ト :.:..:..:..∧ }}}} 721 名前:4月10日(水)[saga] 投稿日:2013/06/28(金) 06:29:33.38 ID:Ny+tLUH6o 玄「いいいいいいいい今、いま、私の……む、胸っ?」 京太郎「あ、えっと、はい。すんませんでした」ペッコリン 玄「~~~~~っ!」カァァァ おおお、玄先輩の顔が見る見る内に茹だって…… 玄「わ!!!」 京太郎「WA!?」 玄「わ、わわわ私の胸なんてそんな全然、まだまだだよ! おもちなんかじゃないよっ!」 京太郎「そんなことないですよ! 紛れもなくおもちです!」 ここだけは譲れねぇ!! 玄「そんなことあるもん! だって前に自分で触ってみてもなんかヘンな感じがするばっかりで楽しくなかったし!」 京太郎「さわッ!?」ブホッ もしかしてとんでもないこと口走ってないかこの人!? 玄「大体おもちって言うのはね誰にも邪魔されず自由でなんというか救われてなきゃあダメなのです! 独りで静かで豊かで――」 憧「だからいーかげんにしなさいっての!」 #aa{{{ |\_ \ /´ __r― r‐ r‐、.ト .. < /_ /乂 f i | ! i ∨::.::.::ミ:.、 |/\| 二 ミ 、 ..:..:\ 八} { } } }::.:.:.:.:.:.::.::\ , ..:..:..:.:.:\ ' __,.. -- ':.:.:.:.:.:.:.:.:.::.::.:\ / ..:..:..:.:.:.:.:.:.:.:.` ¨¨´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ヽ:.:.::.::.::ヽ / :..:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: i ..:..:.. ヽ:.:.:.:..:.. ‘,:.::.::.ハ / / .:/ :.:.:.:./ ..:.:.:.:.:.:.:.:| ..:.:.:.:.:.:..i:.:.:. :. . i ’ .′′...... / / ..} ..:.′ :.:.:.:.:.:. |:.....‘. ..:.|....:.::.::.::..| i..:.i ..:.:.:/ ..:.:.:′.:.:.:./:.′/| .:.:.:.:.:.:.:.:.:}i:.:.:.:.|:.::.}:..:.::.::.:i::.} ..:.::. ..:.:.:′ ..:.:.i.:\,.ィ:./}.:./ }.:.i..:.:.:.:.:.:}:ハ:. イ::;′.::.::.::}::′ | ..| ..:.::i :.:.:i:/ /`/>ー}:/:.:.:.::/斗イ}:/ }:/,!::.::.}::.// ノノ| ..:/′..:.:.:.::| ノ' /' }:.:.:/ノ}ノ ノ' ノ /}::. /イノ′ //´ }.:/ |r‐ 、 .::|z==ミ、 /イ ノ,斗==ミ /:ノイヽ{ . / .:/ ,o'>{ ハ::.: ! xxx ` ^´ xxx {::.:.:./⌒ヽ / . .:././:r‐{ |__ノr‐込 ' 厂/ | |\ .. .:.//r‐ミ! 廴ノ 人 \ r . n , イ::厶イ)、_.厂}:ヽ . .:.:/{ {∧ }ー′ /` ノ { ≧=r`〒 ≦爪 / / {_.ノヽ:’. ..:.:.{ |爪 / }.八__ イ厂ト . __} / } { ∧:ハ .:.::ノ ィ 7~入 ノ く ./ ./| 》 /{ `{ ノ:.ト} }}} 「ぁたあっ」 726 名前:4月10日(水)[saga] 投稿日:2013/06/28(金) 06:59:44.23 ID:Ny+tLUH6o ~教室~ 憧「ったく玄は相変わらずなんだから……」ブツブツ あの後。 つまり、新子さんによる撃滅のセカンドゲンコツが放たれた後。 気付けば休み時間が終わりそうだったので、俺達はそそくさと教室に帰ってきた。 次の授業の始まりを待ちながら、受取人不在の小言を続ける新子さんをボーッと眺める。 憧「男子の前であんなに胸の話ばっかり……それであの無防備さってなんなの……?」ブツブツ いやに恨みがましい言い草だった。 何か理由があるんだろうか。何か…… 京太郎「……あぁ~」ポムッ 憧「……なに? あんまりジロジロ見ないで欲しいんだけど」 京太郎「いや、うん。なんというか、」 憧「?」 京太郎「大丈夫、新子さんもまだ育つって!」ニカッ 憧「うっっっさい!!!」 抹殺のラストゲンコツが火を噴いた。 ---- *宥 765 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 01:03:17.56 ID:DOOpfPvlo …… ………… ……………… キーンコーン カーンコーン キーンコーン カーンコーン 憧「今日は誰と会うの?」 とうとう新子さんの方から行き先を尋ねられるようにまでなった、部員めぐり三日目の休み時間。 京太郎「そーだなぁ。昨日が玄先輩だったし、次はお姉さんの宥先輩かな」 憧「宥姉か……なら早く行きましょ」ガタッ 京太郎「お、おう」ガタッ 言い終わるより先に動き始めた新子さんを、俺も慌てて追いかける。 二人で(間に十分な距離を取って)並んで廊下を歩く。 京太郎「やけに急ぐんだな。三年の教室ってこの階の一つ上だろ?」 憧「教室はね。行ってもいいけど、多分時間の無駄よ」 京太郎「え、なんで?」 憧「ついてくれば分かるわよ」 そう言って新子さんは、差し掛かった階段を迷わず下った。 767 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 01:32:53.87 ID:DOOpfPvlo テクテクテク... 京太郎「けど新子さんも意外と付き合い良いよなー」 憧「……意外とは余計」 京太郎「あ、わり」 憧「何度も言わせないでよね。あたしは監視の為について来てるんだから」 京太郎「へいへい。でも今の所どうだ? 問題ないだろ?」 憧「しずの頭を無断で撫でた」ジロッ 京太郎「う」 憧「玄の胸トークに乗っかった」ジロリッ 京太郎「うぐぅ」 憧「これで宥姉にまで何かしたら絶対に許さないから」ゴゴゴ.... 京太郎「き、肝に銘じておきます」 おっかねー。新子さんマジおっかねー。 もはや恐怖が骨の髄まで染み込んでいた俺だった。 769 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 02:12:23.51 ID:DOOpfPvlo 憧「着いたわよ」 と。 いつの間にか先行していた新子さんが振り返る。 俺も数歩分の空白を埋め、立ち止まった。 京太郎「ここは……温室?」 かなり立派だ。 生徒数の割に何かとスケールの大きな学校である。 憧「宥姉ーいるー?」 ギ、と音を立てて開く扉。 中には、 宥「……ふぇ?」 宥先輩がいた。 スカートを履いていなかった。 770 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 02:49:24.28 ID:DOOpfPvlo 憧「って何やってんのよ宥姉ぇーーーーーーーーーー!!?」 すかさず新子さんの絶叫が轟いた。 その迫力に宥先輩もハッと我に帰る。 帰れば、 宥「っ……ふぇえええ!? 憧ちゃんと、す、須賀くん!?」バッ 当然こうなる。 大慌てで制服の裾を引っ張って下半身を隠そうとする宥先輩。 まあ、全然隠せてないんだけどな。 京太郎「……!!!」 俺はもうギンッギンである。……目がな! 限界を超えて見開かれた両目に、タイツに包まれた先輩のおみ足を焼き付ける。 程よくむちっと、程よくすらっとした脚。 その付け根を守る布は全貌こそ見えないが、忙しなく動く手と裾の隙間から覗く控えめな白がかえって男心をくすぐってやまない。 恥ずかしそうに――実際に物凄く恥ずかしいのだろう、もじもじとすり合わせられる太もも。 京太郎「」ゴクリ その質感に俺は思わず唾を飲んだ。 憧「いつまで見てんのよーッ!!」グサー 京太郎「目ガー!?」グワー 772 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 03:13:02.77 ID:DOOpfPvlo 転がる俺! 踏み付ける新子さん! そのまま宥先輩へと詰め寄る! 憧「マジで何してんのよ宥姉! こんな所で脱ぐなんて……!」 宥「だ、だだだだって、ジョウロの水がスカートにこぼれちゃって、冷たくって、それで……」プルプル 憧「だからってガード緩すぎ! もう女子校じゃないんだよ!?」 宥「ごめんなさいぃぃ」プルプルプルプル 叱る新子さんと叱られる宥先輩。 新子さんと松実姉妹じゃ誰が一番年下だっけ。 そんなことを考えながら、俺はまだ地面に這いつくばっていた。 だって、起き上がったら多分また目潰しされるし。 新子さんならそろそろ事態の収拾に動いてくれるだろうから、もう少しの辛抱だ。 憧「とにかくスカート履こうよ! また誰か来たら今度こそアウトだから!」 ほらな。 773 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 03:37:11.32 ID:DOOpfPvlo 宥「わわ、でも、スカート濡れちゃってて……」 憧「それぐらい我慢しなさい。もしジャージとか持ってたら取って来てあげてもいいけど」 宥「あ、ある。あるよ、ジャージ」 憧「ん……じゃあ教室までひとっ走り行ってくるわ。宥姉はちゃんと服着て待つこと! 分かった?」 宥「う、うん」 母親が子供に言い聞かせるような光景だな。見てないけど。視界は回復したけど見てない。 次に聞こえたのは足音。新子さんが温室を走り去る音だ。 続いて衣擦れの音。つまり、宥先輩がスカートを履いている音だ。 ………………見てぇ。 宥「ん、しょっ……ぁぅ、ホックが、ぅうう」カチャカチャ 見てぇぇぇ。 痛みとは別の事情で地面をゴロンゴロン転がる俺。 やがて音が止んで、 宥「あ、あのぅ……もういいよ、須賀くん」 お許しが出たので、ゆっくりと顔を上げる。 775 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 04:42:50.53 ID:DOOpfPvlo 宥「た、立てる? 大丈夫?」スッ 京太郎「あ、どうも」グッ 差し伸べられた手を掴ませてもらって立つ。 宥「……ぁ、うぅ」パッ そして繋がっていた手が離れると、 京太郎「……」 宥「……///」 はい気まずーい。 どうしよう。 宥先輩も今更ながら顔を真っ赤にして俯いちゃってるし。 まあ、男にあんな格好を見られたんだから当たり前か。 見てしまった側としては、次の行動がとても重要になってくる。 下手は打てない。 どうすることが正解かなんて分かりはしないが、とにかくこの空気をなんとかしたいと思った。 776 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 05:15:07.73 ID:DOOpfPvlo 京太郎「あ、あのっ!」 宥「ひゃうっ」ビクッ 怯える宥先輩に俺の小粋なトークが火を噴く! 京太郎「………………お、温室ですね」 口下手だった。 宥「う、うん……温室、だね」 こっちもだった。 ええい、このまま世間話ムードで突っ切ってしまえ。 京太郎「先輩はどうしてここに?」 宥「ん……ここ、あったかいから好きなの」 京太郎「ああ、寒いの苦手なんでしたっけ」 宥「うん……」モフ マフラーに口元うずめるの可愛い(可愛い)。 778 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 05:52:59.77 ID:DOOpfPvlo 京太郎「もしかして休み時間の度に来てるんですか?」 宥「流石に毎回は……20分休みと昼休みに来られたら来る、くらいかな?」 十分多い。 一度視線を先輩から外し、周りをぐるりと見渡した。 京太郎「すげー眺め……かなり立派ですよね、この温室」 宥「うん……好きな花も沢山あって、とっても大切な場所なんだぁ」ニコッ 京太郎「――っ!」ドキッ い、今の笑顔、やばい。 めちゃくちゃ可憐だった。 玄先輩もそうだけど、この姉妹は何かと心臓に悪い。 宥「?」キョトン ああっ、そんな不思議そうな顔でこっちを見ないで! なんとか気を逸らさなければ…… 779 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 06:17:05.02 ID:DOOpfPvlo 京太郎「せ、先輩! あの花ってなんて名前ですか?」 宥「え、どれ?」 京太郎「ほら、先輩の後ろの……」 宥「後ろ――ゎ、きゃっ……!?」ヨロッ 京太郎「っ先輩!?」 その時、先輩が不意にバランスを崩した。 俺が急に振り向かせたせいだ。 先輩の身体がぐらりと傾ぐ。 京太郎「!」 倒れる先にも、花壇が――!? 京太郎「危ないッ!」バッ 一か八か、俺は先輩の下に滑り込むように身体を放った。 そして、 ドサッ...! 780 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 06:45:27.97 ID:DOOpfPvlo 京太郎「い、っつつ……」ゴホッ 背中と、右半身に鈍痛。 宥先輩をすっぽり抱きすくめての胴体着陸――それ自体は成功したようだ。 問題は、 京太郎「先輩、花、花壇は無事ですか!?」 腕の中の宥先輩に問い掛ける。 先輩も恐る恐るといった様子で花壇を確認する。 宥「ぁ……大丈夫、花はなんともないみたい……」 京太郎「ま、マジで?」 宥「」コクリ 京太郎「っ……よ、良かったぁぁ……」 一気に力が抜けた。 着替え(?)は覗くわ花は傷付けるわ、なんてことになったら最悪だもん、俺。 781 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 07:09:40.09 ID:DOOpfPvlo 宥「……」ギュッ 京太郎「ん?」 と。 学生服の胸の辺りを強く握られた。 京太郎「先輩……?」 宥「……」 京太郎「あの、どうかしました?」 宥「うん……」 うん? 肯定? 京太郎「もしかしてどこか怪我を!?」 宥「」フルフル 違うらしい。 京太郎「じゃあ一体……?」 宥「……あの花……」ボソッ 京太郎「花?」 783 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 07:29:22.71 ID:DOOpfPvlo 宥「今、潰しちゃいそうになったあの花……私のお母さんが好きだった花なの……」 京太郎「お母さん……?」 宥「……守ってくれてありがとう、須賀くん……」ギュウッ そう言って、宥先輩は一層強く俺にしがみついた。 ぽかぽかの塊が俺の心臓の上に重なる。 叶うならいつまでも感じていたい柔らかさ。 が、 今、俺の脳裏を、ある予感がよぎった。 新子さん、そろそろ戻ってくるんじゃね? これは、やばい。 京太郎「あ、あの、宥先輩? よろしければそろそろ起き上がっていただきたいな~なんて……?」 宥「……っかぃ……」 京太郎「せんぱい?」 宥「あったか~い」ポワーン 京太郎「センパイ!?」 784 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 07:40:52.15 ID:DOOpfPvlo 宥「あったかあったか……」ズリズリ 京太郎「センパーイ!!?」 なに!? なんなの!? なんでこの人俺の身体をよじ登ってくるの!? 宥「ふふ、あったかぁい……♪」ムギュー なんで俺の頭を胸に抱きかかえるのー!!? 京太郎「もぷっ、ちょ、先パイ、宥先輩っ!」モゴモゴ 宥「ぁん、動かないでぇ……」モゾッ トリップしてらっしゃる!? なんとか拘束から逃れようとしても、上からのしかかられて抱き着かれてる状況をそう易易とは打破出来ない。 物理的にも、精神的にも。 宥「あったかいの、逃げちゃだめぇ」ムギュッ むにょん。 京太郎「うごごご……!!」 なにこの幸せ物体。 この感触に抗える男なんてこの世にいないんじゃないだろうか。多分いない。 いやでもしかし、俺は抗わなくてはならないのだ。 このまま宥先輩に押し倒されて抱き締められて胸元に顔をうずめているような状態を、間違っても新子さんに見つかるわけにはいかないのだ――! 785 名前:4月11日(木)[saga] 投稿日:2013/06/29(土) 07:46:48.30 ID:DOOpfPvlo バタンッ! 憧「宥姉お待たせ! ジャージ取っっっっっっっっっっっっっっっっ」 あー。 ---- *灼 833 名前:4月12日(金)[saga] 投稿日:2013/06/30(日) 01:37:47.49 ID:kzFcFqeJo …… ………… ……………… いよいよ部員めぐりも最後の一人・鷺森先輩を残すのみとなった。 彼女は玄先輩と同じクラスということで、最初はそちらに顔を出したのだが―― ――玄「灼ちゃん? んー……今はいないみたい。職員室に行ったんじゃないかな」―― ――とのことらしいので、その情報に従って歩いている次第である。 京太郎「けどなんで職員室? 呼び出しでも食らってんのかな」 憧「そんなワケないでしょ。須賀くんじゃあるまいし」 #size(13){#aa{{{ _人人人人人人人人人人_ > 須賀くんじゃあるまいし <  ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄ }}}} 不意打ちはやめて欲しい…… そうこうしている間に職員室に到着した。 憧「失礼します」 京太郎「失礼しまーす」 ガラッ 834 名前:4月12日(金)[saga] 投稿日:2013/06/30(日) 01:58:52.24 ID:kzFcFqeJo レジェンド「はあ……」 灼「ハルちゃん、どうしたの? 溜め息なんてついて」 レジェンド「灼ァ……もうレジェンドもインターハイもないんだよ……はあぁ……」 灼「落ち込むなんてハルちゃんらしくないよ……?」 レジェンド「放っといてくれ! お前はいいよなァ、どうせ私なんて……」 灼「放っとけない! ハルちゃんを放っておくなんて出来ないよ!」 レジェンド「……灼は、どうしてそこまで私を信頼してくれるんだ?」 灼「え……?」 レジェンド「どうして?」 灼「だ……だって、ハルちゃん最高だから……」ボソッ レジェンド「聞こえないな。もっと大きな声で言いなさい」 灼「ッ! ハルちゃんは最高です!」 レジェンド「もっと大きな声で!!」 灼「ハルちゃんは最高です!!」 レジェンド「もっとだ!!!」 灼「ハルちゃん最高! いやっほぉーーーーーぅ!!!」 レジェンド「まあまあ良い応援だった。65点といったところだな」 灼「ありがとうございます!」 なにやってんだこの人達。 839 名前:4月12日(金)[saga] 投稿日:2013/06/30(日) 02:20:57.86 ID:kzFcFqeJo 憧「なにやってんのアンタ達」 言っちゃうのかよ。 レジェンド「お? おー憧。須賀くんもいらっしゃい!」 灼「こんにちは」 京太郎「ちわス」ペコリ 憧「で、もっかい訊くけどなにやってんの」 レジェンド「何って言われても……なあ灼?」 灼「うん、ただの暇つぶし」 京太郎「職員室でやることですか」 周りの先生方に怒られたり……あれ? 誰も気にしてない!? そんな俺の動揺を見て取ったレジェンドがニヤリと笑う。 レジェンド「ふふふ……気付いたようね須賀くん」 京太郎「監督……まさか――!」 レジェンド「そのまさかよ! 毎日やってたら誰も気にしなくなった!!」バーン 京太郎「な、何ィーーーッ!?」ガーン 憧「……新任早々見放され気味?」ヒソッ 灼「しっ。ハルちゃんに聞こえる」ヒソヒソッ 841 名前:4月12日(金)[saga] 投稿日:2013/06/30(日) 02:55:03.46 ID:kzFcFqeJo レジェンド「でも落ち込んでたのも本当なんだけどね」フー 京太郎「そうなんですか?」 レジェンド「教師とコーチの両立が思ってたよりも大変でさぁ」 京太郎「あ~……毎日お疲れ様です」 灼「お疲れ様」 憧「おつー」 レジェンド「あはは、ありがと。まあ自分からやるって決めたことだしね、頑張るよ!」ムンッ 憧「その意気その意気」 灼「やっぱりハルちゃんナンバーワン!」イヤッホォーゥ 仲良いなぁ。 大人と子供とか、教師と生徒とか。そういう立場の違いを感じさせない気安さがある。 これもレジェンドの人徳……なんだろうか? レジェンド「さて! じゃあ今から勉強しようかな」スッ 憧「なにその本?」 レジェンド「参考書。全ての女性監督必読の一冊だよ」 京太郎「へー。ちなみにタイトルは?」 レジェンド「おおきく振りかぶって」 京太郎「ダメだこいつ!!!」 860 名前:4月12日(金)[saga] 投稿日:2013/07/01(月) 01:03:20.88 ID:tnaswXc2o レジェンド「ところで二人は何しに来たん?」 京太郎「あ、そうだった。鷺森先輩を探してたんですよ」 灼「私?」 京太郎「はい。今、部員めぐりってのを個人的にやってまして、鷺森先輩でラストなんです」 レジェンド「へー、そんなことしてんだ。他の子達はどうだった?」 京太郎「なんというか……刺激的でしたね!」キリッ 主に松実姉妹的な意味で。 レジェンド「あはは! 順調に打ち解けてるみたいで何よりだね」ケラケラ 京太郎「お陰様でー」ワハハ 憧「どこが順調なんだか……」ボソッ レジェンド「で、灼が最後だって?」 京太郎「そっすね。つーわけで鷺森先輩! 俺と楽しくお喋りしま」 灼「お断り」 京太郎「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」 861 名前:4月12日(金)[saga] 投稿日:2013/07/01(月) 01:38:58.03 ID:tnaswXc2o 灼「私はハルちゃん以外と語らう言葉を持たな……」コォォ ストイック過ぎやしませんか。 レジェンド「あーらーた。せっかく仲良くなろうって来てくれてるんだから、ちゃんと相手してあげなよ」 灼「む……ハルちゃんがそう言うなら……」 レジェンド「よろしい。さあ須賀くん、なんでも訊いちゃってよ」 京太郎「えーっと……じゃあ、まずご趣味は」 憧「お見合いか」 灼「ハルちゃん」 「「即答!?」」 灼「私はハルちゃん以外に何も必要としな……」コォォ やはりストイック過ぎる。 そういえば自己紹介の時も「好きなものはハルちゃん」とか言ってた気がする(ていうか、それしか言ってなかった)し、まさに筋金入りってやつだ。 864 名前:4月12日(金)[saga] 投稿日:2013/07/01(月) 02:29:02.74 ID:tnaswXc2o しかし、 京太郎「ぶっちゃけ監督のどこがそんなにいいんですか?」 レジェンド「ぶっちゃけ過ぎじゃない?」 ぶっちゃけ過ぎでした。 対する鷺森先輩の返答は―― 灼「……私にハルちゃんのことを語らせたいなら、まず石仮面を被ってくることをオススメする」 京太郎「不老不死になれと!? どんだけ語るつもりですかってか先輩の寿命の方は持つんですか!? 先輩も人間ですよね!?」 それとも座敷童かな? 京太郎「……オホン。じゃあちょいタンマ、質問変えます」 どうしよう。 更に直球を投げてみようか。 京太郎「鷺森先輩はどうしてそんなに監督のこと好きなんですか?」 すると、 意外にも、鷺森先輩は素直に柔らかく微笑んでこう言った。 灼「ずっとファンだったから」 865 名前:4月12日(金)[saga] 投稿日:2013/07/01(月) 03:37:31.03 ID:tnaswXc2o 京太郎「ファン?」 教師と生徒の関係に用いるには、いささか不適当に思える表現だ。 というのが顔に出ていたのか、新子さんが鷺森先輩に言った。 憧「あ……もしかして、他県の人だから知らないんじゃない? 阿知賀のレジェンド」 京太郎「れじぇ?」 そういえば自己紹介の時も「人呼んで――阿知賀のレジェンド!」とか言ってた気がする(ていうか、それしか覚えてない)。 俺が脳内で「阿知賀の」を除いてあだ名として使っているソレとは、きっと意味合いが大きく異なるのだろう。 灼「その発想はなかった……須賀くん、本当に知らない? 阿知賀のレジェンド」 京太郎「さっぱり」 灼「ジーザス」 天を仰いだ。そこまでのことか。 悲嘆に暮れる鷺森先輩。しょうがないなとばかりに新子さんが前に出る。 憧「代わりに説明するけど……10年前、奈良最強と言われるインハイ常連校を阿知賀が倒したことがあって、その時のエースがハルエだったのよ」 京太郎「へー」 そりゃ確かに凄い。 地元の人間からヒーロー扱いされるのも頷ける。 京太郎「人は見かけによらないんですねぇ」シミジミ レジェンド「よーしちょっとツラ貸そうかー?」ニコニコ 867 名前:4月12日(金)[saga] 投稿日:2013/07/01(月) 04:18:01.04 ID:tnaswXc2o ~面談室~ レジェンド「オラッとっとと座りな!」ドンッ 京太郎「キャー(裏声)!」ドサッ 本当に連行されてしまった。 俺をソファに突き飛ばし、レジェンドも反対側に腰を下ろす。 京太郎「こ、こんなところに連れ込んで……俺に乱暴する気ですね! エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!」 レジェンド「しないよ」 京太郎「あ、はい」 真顔で返された。 さっきまでノってくれてたのに…… 京太郎「てか本当になんすか、新子さんと鷺森先輩まで置き去りにして」 レジェンド「別にあの二人は放っておいても問題ないから。ちょっとキミと話しておきたいことがあってねー」 京太郎「オレェ?」 わざわざこんな個室に押し込んでする話。 なんだろう…… 868 名前:4月12日(金)[saga] 投稿日:2013/07/01(月) 05:12:10.08 ID:tnaswXc2o レジェンド「憧とはその後どう?」 京太郎「え」 詰まった。 喉に。 言葉が。 京太郎「ゲッホゲッホゲッホゲッホ!」 盛大にむせる。 レジェンド「あははははははは」 それを豪快に笑い飛ばす阿知賀のレジェンドとかいう鬼畜教師。 レジェンドは苦しむ俺を見て心ゆくまで楽んで、そして改めてニッと笑って、 レジェンド「あの子は難易度高いっしょー」 と言った。 京太郎「あー…………………………。そっすね、なかなかのなかなかです」 そーだろー、と何故か得意げなレジェンド。 873 名前:4月12日(金)[saga] 投稿日:2013/07/01(月) 07:21:04.05 ID:tnaswXc2o レジェンド「今日とか二人で割と仲よさげだったよ?」 京太郎「部員めぐりには付き合ってくれてますからね。ただし本人曰く監視役で、それ以外では避けられがちってのが実際のところです」 言っててちょっと情けなくなってきた。 レジェンド「ふんふむ」 腕を組み、思案するレジェンド。 その間、俺は彼女のエッジの効いた前髪を眺めることぐらいしか出来ない。 レジェンド「須賀くんはさ」 京太郎「はい」 レジェンド「憧と仲良くなりたい?」 京太郎「はい」 今更な質問に反射的に即答する。 京太郎「せめて他の部員と同じくらいには、と思うんですけど……」 後から付け足した言葉に、レジェンドは黙ったまま頷く。 居心地の悪い沈黙が1分程度続いて―― レジェンド「……っよし! 分かった!」 不意に立ち上がる。 そして驚く俺に向かって、レジェンドはこう言い放った。 レジェンド「私にいい考えがある!!」 わー、嫌な予感しかしねー。 【TO BE CONTINUED...】 ---- #bold(){ 【須賀京太郎のステータスが更新されました!】 称号:阿知賀学院麻雀部全員と友達になる男(願望)(new!) 憧への印象:...暴力ハンタイ! →せめて友達になりたい(new!) 【新子憧のステータスが更新されました!】 称号:阿知賀学院麻雀部良識派筆頭(new!) 京太郎への印象:...→くたばれヘンタイ! →依然として警戒(new!) 【高鴨穏乃のステータスが更新されました!】 京太郎への印象:...→仲良くなれそう! →また撫でて欲しいな(new!) 【松実玄のステータスが更新されました!】 京太郎への印象:...→仲良くしようね! →是非おもち談義を……(new!) 【松実宥のステータスが更新されました!】 京太郎への印象:...→あったかーい? →あったか~い(new!) }