663 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/09/29(日) 00:21:47.59 ID:ZDKFMn+Qo 今日は朝から快晴だった。 東の低い位置から差す陽の光が心地良い。 こんな天気を『五月晴れ』と呼びたいが、ここで言われる『五月』とは旧暦――つまり6月のことである。 ちなみに読みは『さつきばれ』で、『ごがつばれ』と読む場合は新暦の5月を指す。とかなんとか。 閑話休題。 うららかな日和に欠伸を一つ、通学中の俺。 そういえば通学路で麻雀部のみんなと会ったことってないな。 入学式の日に憧を見かけたきりだ。 時間帯がズレてるんだろうけど、一度くらい女子と肩を並べて登校してみたい。 そんなことを考えながら歩いていると、 前方に不審者を発見した。 #aa{{{ ___ 〃 ´ `丶、 ヾ /: : : : : : : : : \: : : :ヽ /: :/: :│: : : : :ヽ : : : : : : :. : :/:/l: :|: : :|ヽ: : : :│: : : : :. {{ |: i: ト匕|\:ト-\|: :ト | : :| :| { } |八{{ ̄ `}}_{{ ̄`}|: :「 | : :| :| }} |汁===介===1|: :|ノ| : :|リ |: |} -〈┼‐ .:}}: :|ノー弌 |:个ー‐_ァ==≦l : |_______}、 |i人___ _リ: :厂 ̄__}\ /{ ̄ ‐‐==厶イ__彡⌒ヽ : \ { {: :\_______彡 i :|/{{ }\:ハ { }} ∨: 人__∧人__| : i :| {{/ |∨} : } }} . |八_/ { | : i :| /{{ | 〈/ /l〃l{ o} \乂/ i{ リ \ } //イ 八 {、 / }} ,゙| \ {{ /〃 | ヽ oヘ / /{{/│ \ { / 〃 │ -=い 丶/ /}八 \}} / {{. 八 〉 o/´ / {{ }\ \ . / .}}/ ∨ } ,′ / }} \.\ }}} ていうか宥さんだった。 670 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/09/29(日) 00:38:53.38 ID:ZDKFMn+Qo 宥「うぅぅ……」ノロノロ 京太郎「……」 眠っちまいそうなほどスロウリィな歩みだった。 部活が終わって帰る時にも目にする光景だが、清々しい朝日の下ではまた違った印象を受ける。 もう言ってしまったが、不審者にしか見えない。 しっかり着付けた冬服にマフラー、そして外出用(?)のマスクにメガネ。 寒さに丸まった背中。緩慢で覚束ない足取り。 どこに出しても恥ずかしくない不審者だった。 こうしちゃいられねぇ。 京太郎「宥さん!」タタッ 駆け寄りつつ名前を呼ぶ。 声が届き、宥さんが振り返る。 宥「わ、わ、京太郎くん?」 京太郎「おはようございます」 宥「お、おはよぉ」プルプル 小動物チックに震える宥さんの隣で立ち止まる。 誰かと並んでいれば不審者レベルも下がる筈だ。 676 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/09/29(日) 01:10:11.42 ID:ZDKFMn+Qo 京太郎「玄さんは一緒じゃないんですか?」 宥「うん……玄ちゃんは日直だから先に家を出たの」 京太郎「なるほど」 宥「だから朝ごはんの後おこたで二度寝してても誰も起こしてくれなくて……」プルプル 京太郎「なるほど……」 つーか、おこたで二度寝て。 可愛い(確信)。 京太郎「じゃあ学校までご一緒してもいいですか?」 宥「え……いいの……?」 京太郎「俺の方がお願いしてるんですよ」ニコッ 宥「わわわ……え、えと、ふつつかものですが……」ペコリ 京太郎「結婚してください(そんな嫁入りじゃないんですから)」 宥「ふえっ!?」 京太郎「あっ!?」 やべえ逆だった! 京太郎「すんません噛みました!」 宥「か、噛んだの……?」 京太郎「はい、噛みました」 宥「……びっくりしたぁ。怪我してない……?」 (改めて結婚を申し込みたい) 681 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/09/29(日) 01:40:01.23 ID:ZDKFMn+Qo テクテクテク... 二人で通学路を歩く。 スピードは宥さんに合わせて、やや遅め。 まあ遅刻はしまい。 宥「きょ、今日も寒いね……」プルプル 京太郎「太陽さんさん熱血パワーですよ!?」 毎度のことながらこの人の感覚には驚かされる。 妹の玄さんや付き合いの長い憧は慣れっこという風なので、やはり俺はまだまだ新参者だなぁと思う。 京太郎「それだけ着込んでても寒いもんなんですか?」 宥「うん……コート出してくれば良かった……」プルプル えぇー。 京太郎「だったら、もう一枚着ます?」 宥「え? もう一枚?」 京太郎「はい。よっ……」ヌギッ 宥「はゎ!?」ドキッ 687 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/09/29(日) 02:10:00.23 ID:ZDKFMn+Qo 制服の上着を脱いで宥さんの肩に掛ける。 体格差があるからすっぽり収まった。 宥「ゎ、わわゎわ」 京太郎「どうですか? あったかくなりました?」 傍目にはこの上なく暑苦しいが。 宥「……う、うん。あったかい……」ポワ 羽織った上着にくるまって表情を綻ばせる宥さん。 こちらまで微笑ましい気持ちになるというものだ。 どう見ても暑苦しいけど。 宥「ありがとうね、京太郎くん」ニコッ 京太郎「なんのこれしき。お役に立てて光栄ですよ」 可愛い笑顔も拝めたし、役得だよな。 薄着になった俺と厚着になった宥さんとでまた歩き出す。 京太郎「ところで、そのメガネも防寒具なんですか?」 宥「うん、ないよりマシかなって」 京太郎「いっそ水泳用のゴーグルにしたら気密性があってあったか~い、かもですね」アハハ 宥「……!」 京太郎「「その手が!」みたいな顔しないでください」 691 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/09/29(日) 02:34:22.70 ID:ZDKFMn+Qo …… ………… ……………… ~教室~ 京太郎「――という訳だったのサ」 憧「ふぅん、それで上着を回収し損ねたんだ」 京太郎「はい」 憧「アホね」ズバァッ 京太郎「最近の憧ちゃん、キツイや……」 だがまあ、ひとり衣替え状態で教室に入って悪目立ちしたのは事実だ。 男子連中から「夏を先取りヒューッ!」とか煽られたのが業腹である。 京太郎「でも仕方ねーだろ、あの宥さんから一度着せたものを剥ぎ取るとか出来るか?」 憧「うーん……そう言われると、確かに難しいかもしれないけどさ」 京太郎「だろ? あの小動物みたいな目は反則だって」 憧「あ、それ分かる。女のあたしでもたまにドキッとするもん」 京太郎「マジでか」 同性をも虜にする宥さん。 恐るべし、だ。 692 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/09/29(日) 02:53:22.73 ID:ZDKFMn+Qo 憧「にしてもコタツムリで遅刻寸前とか、宥姉は相変わらずだなぁ」 京太郎「昔からそうなのか?」 憧「うん。基本的に玄に頼りっきりだから生活能力は皆無よ」 京太郎「へー可愛い」 憧「その反応おかしくない?」 京太郎「おかしくない」 おかしくないよ。 憧「ま、いいけど……。……そんなんだからさ、付き合いも限られてくるわけでさ」 京太郎「え?」 急に憧の声音が変わる。 少しだけ、真剣なトーン。 憧「年がら年中あんな格好してると、あまり人は寄り付かないって話」 京太郎「……あー……」 そういう話か。 695 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/09/29(日) 03:08:56.09 ID:ZDKFMn+Qo 憧「玄が寂しくさせないよう頑張ってるけど、家族のそれと友達のそれって別でしょ?」 京太郎「ああ、まあ、そうかもな」 カピの尻を撫でても怒られないが咲の尻を撫でたら怒られる、みたいな理屈だろう。 憧「……だからさ、男のアンタに頼むのもどうかとは思うんだけど、でも」 憧「宥姉のこと、気に掛けてあげてね」 京太郎「お……おうっ! 任せとけ!」ムンッ 憧「もちろん、くれぐれもやりすぎないようにね」ジトッ 京太郎「ウィッス」 釘を刺されこそしたものの、憧の公認が下りた。 その事実に俺は喜びを隠しきれなかった。 知り合った当初に比べれば格段の信頼を得たということだよな。 京太郎「テンション上がってきたぜーーーーーーーーーーッ!!!」 憧「やりすぎないようにね!?」ギロッ 京太郎「ウィッス」 719 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/09/30(月) 00:40:04.33 ID:ftCg23Bmo …… ………… ……………… ~中庭~ 京太郎「水銀・コバルト・カドミウム~♪」 俺達の通う阿知賀学院は広い。無駄に広い。 京太郎「鉛・硫酸・オキシダン~♪」 それでいて生徒数は減少の一途を辿っているので、人口密度が低い。 京太郎「シアン・マンガン・バナジウム~♪」 昼食を早めに済ませた俺は、その閑散とした敷地を散策中だった。 京太郎「クロム・カリウム・ストロンチウム~♪」 朝から続く陽気に、思わず軽快なメロディが口をついて出る。 京太郎「汚れちまった海♪……ん?」ピタッ その途中で、足を止める。 今、何か聞こえたような…… ニャー> 京太郎「あ」 猫だ。 723 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/09/30(月) 01:09:33.62 ID:ftCg23Bmo どうやら近くに猫がいるらしい。 しかも、続けて聞こえる鳴き声から察するに複数。 これは探さねばなるまい。もふらねばなるまい。 長野を出てから一ヶ月、即ちカピから離れて一ヶ月。 動物の感触が懐かしい頃合いだ。 穏乃で時々発散させてもらってはいるが、やはり実物には及ばない。憧の監視も厳しいし。 本当はもっとメチャメチャに撫でくり回してやりたいのに。れじぇじぇ。 京太郎「こっちの方から聞こえてきたよな……?」テクテク 鳴き声を頼りに足が向かうのは校舎の陰だ。 いかにも猫がたむろしていそうな場所だし、期待が高まる。 京太郎「……?」ピタッ と。 猫の鳴き声以外にも何か聞こえることに気付く。 ゴロニャー ニャーン ニャー 「にゃー」 ニャーニャー ウニャー フニャー 人の声だ。 しかも、この声は…… 京太郎「……」テクテクテクテク 角を曲がる。 そこには、 「ニィ、ニィ」 宥「ふふ、にゃあ~」モフモフ (新居では白い大きな犬を飼お) 729 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/09/30(月) 01:34:30.42 ID:ftCg23Bmo 「ニャーン」スリスリ 宥「えへへ、可愛いなぁ……♪」ポワワー アンタがな!!! と叫びそうになったのをグッと堪えた。 よくぞ耐えたと自分を褒めてやりたい。 子猫と戯れる宥さん。 こんな神々しい光景を壊さずに済んで本当に良かった。 京太郎「……宥さーん」ボソッ 宥「ふぇ」ピクッ そっと近付き、声を掛ける。 宥さんは驚きこそしたものの、纏わりつく猫達が逃げることはなかった。 ゆっくりと、宥さんが振り返る。 宥「きょ、きょ、京太郎くん……?」プルプル 京太郎「どもです」 その身体はいつものように小刻みに震えていたが、顔だけがポッと赤く染まっていた。 733 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/09/30(月) 01:53:32.12 ID:ftCg23Bmo 宥「み、見てたの?」 京太郎「見てたというか、見かけたので話しかけてみたんですけど……迷惑でした?」 宥「あ、ぅ、うぅん、迷惑なんて。でも……」ゴニョ 京太郎「でも?」 宥「………………聞いてた?」 京太郎「にゃあ~(裏声)」 宥「~~~~~~~~~~っ///」モフン 「フニャー」 抱き上げた親猫のお腹に顔を埋めてしまった。 もーなにこの年上ー。 宥「は、恥ずかしぃぃぃ……///」プシュー 京太郎「可愛かったですよ(ゲス顔)」 宥「やめてぇぇぇ///」モフモフ 「ウニャニャー」タシタシ 抱きしめられた猫が猫パンチを浴びせている。 嫌ならそこ代わってくれよ。 738 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/09/30(月) 02:21:44.01 ID:ftCg23Bmo で、 とりあえず日の当たる場所に移動する俺達。 宥さんの後ろを猫の親子が付いてきて、さながらカルガモの行進だ。 そのまま中庭の芝生に腰を下ろす。 「ニャー」 「ニャニャー」 「ニャニャニャー」 宥「よしよし」モフモフ 「ゴロニャーン」 京太郎「人懐っこいですね、こいつら」モフモフ 宥「うん、よく遊んでるから……」 京太郎「ああ、迷い猫とかじゃないんですね」 宥「私が寒くて困ってると寄ってきてくれるんだぁ」ポワワ 涅槃かな? 741 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/09/30(月) 02:46:58.70 ID:ftCg23Bmo 京太郎「あー……ところで、その上着なんですけど」 宥「え?」キョトン 小首を傾げられた。可愛い。 いやそうじゃなくて。可愛いけどそうじゃなくて。 京太郎「えっと、俺のブレザー……」 宥「………………あっ!」 どうやら今になって気付いたご様子だった。 宥「ご、ごめんね京太郎くん、朝からずっと借りちゃってたんだね」アセアセ 京太郎「ええまあ。気にしてませんけどね」 宥「でも寒かったでしょ?」 京太郎「それはあなただけです」 宥「あぅ……と、とりあえず返すね。んしょ……っ」モゾモゾ 言って、羽織っていたブレザーを脱ぐ宥さん。 その途端、 宥「ゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎ」プルプルプルプル 京太郎「えぇー……」 震え出す。 743 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/09/30(月) 03:26:43.57 ID:ftCg23Bmo 宥「さ、寒、寒ぃぃぃぃぃ……」ガタガタガタガタガタ 京太郎「あ、あの宥さん、俺は平気なんでブレザー着ててください」 一度でも着ていたものがなくなると、宥さんでなくても寒さを感じるものだ。 そして宥さんは宥さんなので、感じる寒さは俺達のそれとは段違いなのだろう。 しかし、 宥「う、うぅうううん。だだ、大丈夫、わわわ私は、猫さ、さん、呼ぶから、からっ」プルプルプルプル 京太郎「いや呼ぶって……」 宥「あったかいの……あったかいの……あったかいの、来て……っ」グッ 「「「ニャー!!」」」 京太郎「!?」ビクッ なんと。 宥さんが震えながら念じた(?)結果、四方八方から猫が飛び出してきた。 「寒くて困ってると寄ってきてくれる」って、そんな即効性のものだったのか…… 746 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/09/30(月) 03:58:39.40 ID:ftCg23Bmo 宥「ふわあ……あったかいの、いっぱゎぷっ!?」モフン と、 何やら様子がおかしいことに気付く。 猫、多すぎ。 宥「ね、猫さん……重い、苦しい~っ……!」ベシャッ たかられてる。 宥さんはあっという間に猫山の下敷きになっていた。 京太郎「ちょ、大丈夫ですか!?」 慌ててうずたかく積み上がった猫の撤去を試みる。 しかし一匹、二匹とどけても、またすぐに宥さんにくっついてしまう。 そればかりか、俺の干渉で興奮したらしく、 「ニャース!」モゾモゾ 宥「ふあっ!? そ、そんなところ入っちゃ……!///」 宥さんのスカートの中に潜り込む猫まで現れる始末である! おい代われ(真顔)。 787 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/09/30(月) 22:30:59.32 ID:ftCg23Bmo 「ニャンニャン」モゾモゾ 宥「やっ、奥……っ///」ピクンッ 京太郎「」ゴクリ 一体ナニが起きているというのか。 ただひとつ言えるのは、小動物に好き放題されてる宥さんがめっちゃエロいということだ。 混ざりたい。 宥「京太郎くん……っ」 京太郎「あ、はい!?」ビクッ 宥「み、見てないで、助け、てぇ……!」ピクピク 京太郎「うわぁそうでした! でも助けようにもこの猫の数じゃ」 宥「とりあえずスカートの中に入った子だけでも……」 京太郎「え?」 宥「お願い……中に突っ込んで、出してぇ……っ///」 主語ぃのおおおおおんほおおおおお!!! 793 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/09/30(月) 23:04:35.96 ID:ftCg23Bmo 京太郎「ゆ、ゆ、宥さん!? 自分で引っ張り出せないんですか!?」 宥「だ、だって、それだとスカートをめくり上げないといけなくて……そしたら……///」カァァ 京太郎「お、おおぅ……。いやでも、だからって男の俺がスカートに手を入れるなん――」ムグッ 言いかけて、口を噤む。 よそう。 俺の余計な見栄でチャンスを棒に振りたくない。 京太郎「――いいんでゲスね?(ゲス顔)」 宥「う、うん……早くぅ……///」プルプル この欲しがりさんめ! 本人が望んでいるのなら俺が断る理由はない。ないのだ。ないのだから、 京太郎「失礼しまーす(ゲス顔)」スルッ 宥「ふぁっ///」ピクンッ 柔らかっ! スカートの裾を少しだけ摘み上げ、そこから手を差し込む。 その際たまたま指が太ももを掠めたのだが……柔らかっ! これで膝枕とかしてもらえたら、もう死んでもいいな。 804 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/09/30(月) 23:46:47.17 ID:ftCg23Bmo 京太郎「おーい、猫やーい」モゾモゾ 「フシャー」ジタジタ 宥「んんん……///」ムズムズ 黒いタイツに包まれた脚。 その上で暴れ回る猫。 必然、手も躍る。 京太郎「……そこだっ!」ワシッ 宥「ふにゃあ!?」ビクンッ 鷲掴んじゃった。どことは言わない。 本物の猫には避けられたが、代わりに宥さんが猫みたいに鳴いた。 「ニャー」スリスリ 「ブニャー」ウロウロ 「トレニャー」ワサワサ 京太郎「ええい鬱陶しい!」 一匹にさえ手を焼いているというのに、周りに群がる連中の妨害まであるから厄介だ。 今や芝生に横たわる宥さんの上に跨り、両手をスカートの中に突っ込んでいた。 ら、 ザッ 憧「宥姉~。今日も猫ちゃん来てる? 来てたらあたしにも触らssssssssssssss」ピーガガガガガ 京太郎「あっ」 宥「あっ///」ピピクンッ ボーナスステージ終了のお知らせ。 814 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/10/01(火) 00:07:40.45 ID:s+efvdiAo ザザザザザザッ!! 途端、何かを察知したケモノ達が散り散りに逃げ出す。 モーゼかな? その中には今までスカート内に潜んでいた一匹も紛れ込んでいやがって。 気付けば、残ったケダモノは俺だけだった。 憧「……」 京太郎「……」 宥「はぁ……はぁ……///」クタッ おさらいしよう。 中庭。芝生に横たわる宥さん。 顔は赤く、息も絶え絶え。 仰向けになっても強く存在を主張するおもち。 タイツは――所々が伝線し、白い素肌を晒していた。 その宥さんに覆い被さってスカートの中をまさぐっている俺。 オレェ。 宥「んっ……は、ぁ……///」ピクンッ 憧「……………………………………………………なんか言ってみなさいよ」 京太郎「にゃあ~(裏声)」 816 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/10/01(火) 00:09:36.51 ID:s+efvdiAo #aa{{{ ,.'`──、 _,.-'" ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`丶、 / ::::::::: `ー─'" ∴ `ヽ、 __,.-'"ヽ } ヾ::::::: . ∵ | ∵ ー'" :::::,.-'" { } `` ,,, | ,,, ー ,' ヾ ∵ 憧 ∵ - ,' 三 、 ∴ | ∴ _, ヾ / 彡三 ` ∵ | ∵ '" 三 ミ 彡 _,,,,,,,,,,_ | ___,,、 三≦ 彡 ,' ヾ、::¨::::ゝ | イ::¨:::::ア ', 彡ミ } |  ̄ヾ! /`ー‐'" ', ::: 彡 } |! |! |! ∴ 三`ヽ, ヽ |! |! |! |! ミ三 `ヽ、 } ` / ヽ 三 :: `ヽ、 } / ::: \ :: :::: ミ :::: `ー─────── 彡 { ,、_,.-──、_,.、 |! ::: / :::: :::: ::::: ヾ |! \,、:::::::::::::::,、ノ |! / :::: :::: ::::: :::: :::: 彡 ,.=キ'" \_/ `==|ミ、 / :::::::::: ::::::::: ヾ / /ヽ | `=/ミ、ヾ _,.-" :::: :::::::: ::::::: ::::::::: ::::::: \ ' _人_ / _,.-'" `rー-、,ヾ, '"´ ̄ ̄ ̄`ヾ、,.-'"´ } `'ヾ, , ,_, ,-'"´ ヾ / }}} 同じネコ科でも格の違いを思い知らされた。 840 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/10/01(火) 00:53:44.29 ID:s+efvdiAo …… ………… ……………… ~温室~ レジェンドから「部活を始めたいから宥を連れてきて」と頼まれた。 憧の視線が恐ろしかったが、これもマネージャー業の一環なので仕方ない。 扉を開けると、むわっと熱気が漂ってきた。 京太郎「宥さーん」 宥「あ……京太郎くん」 目当ての人物は入り口から見える位置に立っていた。 片手にはジョウロ、肩には俺のブレザー。 ……まあ、帰る時に返してもらえば問題ないだろう。 京太郎「当番お疲れ様です。お迎えに上がりました」ウヤウヤー 恭しく礼なんてしてみる。なんちゃって執事だ。 宥「わ、わざわざごめんね。すぐ終わらせるから……」 京太郎「お構いなく。何か手伝うこととかあります?」 宥「んと……もう水遣りだけだし、大丈夫だよ」 京太郎「りょーかいでっす」 844 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/10/01(火) 01:18:29.13 ID:s+efvdiAo 宥「~♪」ショワー 鼻歌混じりに花に水を撒く宥さん。 マイホームの庭でエプロン着てやって欲しい。 と、そこである物を発見する。 京太郎「宥さん、それ水筒ですか?」 宥「え? あ、うん。そうだよ」 おもちを斜めに横断する形で魔法瓶が提げられていた。 京太郎「もしかして寒さ対策ですか? お茶とか」 宥「熱湯」 京太郎「え?」 宥「ただのお湯だよ」 京太郎「な、なんでただのお湯を持ち歩いてるんですか……?」 宥「寒くて寒くて仕方ない時に頭から被る用に……」プルプル 京太郎「追い詰められすぎィ!!?」 849 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/10/01(火) 01:57:40.65 ID:s+efvdiAo 宥「ま、まだ一度も実行したことはないよ?」プルプル 京太郎「そりゃそうですよ……」 実行に移さずとも、熱湯を携行してる時点で大分アウトだ。 口ぶりからすると遠からずやらかしそうな気配もあるし。 こうして言葉を交わす度に、宥さんに対する認識が上書きされていく。 最初は単純に儚げな美少女だったが、今は目の離せない愛すべきダメ人間だ。 京太郎「!」ピコーン と、その時。 不意に素晴らしいナイスアイディアを思いついた。 京太郎「宥さん、ちょっとその水筒貸してもらっていいですか?」 宥「? いいけど……」ハイ 京太郎「ありがとうございます。んで……」キョロキョロ 辺りを見回して、 京太郎「あった!」 宥「?」コクビッ 小首を傾げる宥さんに背を向けて作業。程なく完了。 そして振り返りざまに―― 京太郎「それっ!」プシュッ 宥「きゃっ!?……ぁ、あったか~……い?」ポカン ――霧吹きに注いだお湯を宥さんの頭上に噴射した。 &color(red){851 名前:5月10日(金)[!red_res saga] 投稿日:2013/10/01(火) 02:01:32.55 ID:s+efvdiAo} #aa{{{ . . . . . /. . . : :/: : :/: : : : : : : :ヽ: : : 、: . . 寸三ニ7 : : : : /. . : /:/: : /:!: : : : : : :.|: : :゙、: : :!: : . . 寸三} 原村です。 : : : /. . ://! !: :,':.:.|: :.:|: : : : :!: : : :ヽ: :l:| . . . ゙ニ7 : : / . .:Ll-┼┼-l、: :|: : : :.!|ヽ,r|''T:ーt、: : : :├'ヾ、 : :,'. : :.´!.! |:∧ | l.| ! ,'|:.l: : :|| |: !:||: |: : :.l: : ! ヽ、 突然ですが解説です。 : :l{: : : :|!| i' ヾ |! |/,'/|: :/|! |/|' |:./!|:.,イ: :.i! i! : :l|ヽ: : | ┳━┳━/' /:/./'┳━┳' イ:/,': : ,'| ノ : :.i!: :lヽl ┃//┃ /'´ ┃//┃ イ'l/: :,イリ 作中では霧吹きから噴いた水を温かいとか言っていますが、 : : : : | ‘ ━ ’ ‘ ━ ’ '://: | : : : : | ,':´:!: : . .! : : : : L """ ' """ |: : |: : . .l そんなオカルトありえません。 : : : : ト.ヽ イ: : l: : . ∧ : : : : |ヽ|ヽ ⊿ .ィ´: !: : i: : . . .゙、 : : : : ト、l} ` _ _ ....:チ: : :.,':λ: :!: : . . . ト、 実際には、お湯は噴射の瞬間から急速に冷めてしまいます。 : : : : ゙、/ 7"/': : :.,': : :./:/ |: : !: : : . .ト、゙、 : : . : : lヽ ,'-.、_: : /: : :./!,' .!: :.|:. : : . .l ヾ. : : . . : :゙、:\ ∧:::::::::::-.:_//' !: :.|: : : : . ! l:l ですが裏を返せば至近距離で浴びればまだ熱いまま、ということも有り得ますので良い子は決して真似しないでくださいね。 ヽ: . . . . ヽ、:`ヽ ヽヽ::::::::::::|!`! |: : !: : : : . | リ }}} 855 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/10/01(火) 02:28:32.03 ID:s+efvdiAo 京太郎「どうですか? これなら直接お湯を被るよりはマシだと思いますけど」 宥「うん……」ポワワ 少し濡れた前髪を摘んで、どこか夢見心地な声を上げる宥さん(可愛い)。 宥「ね、ね、京太郎くん」チョイチョイ 京太郎「はい?」 いつになく幼げな感じに俺の袖を引っ張る宥さん(可愛い)。 そしてほんのり上気した顔でふんわりと笑って、 #aa{{{ ,...-''´ ̄ ̄゛`.ヽ.、. /./../...://...,.........\ /ィ/::::::/::://:/:::::::/::::::....l ╲ ///:{{:::ィ‐ナt:ハ::::::iハ:::::{:::::|. 〵 |//:::ん't元ぅ| { ╲::l{ t-ん::l:: | | /:::::,;|'´じ熱` `'tぇミ|ノノ:: l l /i:::::/:l x x x も温ツ.:: / l 「あったかいの、もっとちょうだい……?」 ,..-っ i::l::l/:/ __’ x x x /::: /: // //ニヲ, _....,-‐イ::|:|::l: ╲ ヽ_> /::::ハ: // _/ /ニフ/::::ノ⌒く|:::╲;|\:\--..、___ //:/ノ// /'´::i'´ レ´ツ'´ ̄\:.:.:|::::::::|:.:.:. ̄:¯:.:.:.:.:.¯'//:. /:/ //::::::| {´ノi,,l,,..-‐''\|::/:::|\:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/イ::::/:|::| /::/::/{、_/´/ l ,,/ ___ノ/::::/:.:.:.:`:ー:―:./::/:::/‐:r、{╲ |/-/ ソ´,,,,,二ブ:::/⌒ヽ-:、_:_:_:./:::/:/、:{╲╲.}} |ィ ,,-‐''´ ノi/ / {:.ノ:r'二_ソ,へ:.:.:.ヽ|:::i/ i\╲ V り ,,-'´ // /...... ╲_::-‐'.○{\_:.:..;.ヘ:::╲ ヽ,〉 /|, / ..{::::::::::::...... / ╲:.:ー:ヘ ╲:::\r{____,,,,ハ |:╲ ,,,,-イ 人:::::::::::::::::::... / '´ ̄  ̄ノ / l::::: ╲ /:.:{ //}:::::::::::::::::::::::... i........... } `i.|::::::. ╲ :.:.:.:.:| //; ○ l:::::::::::::::::::::...... / i {.ト;i:::: i〵 :.:.:.:.:{___,...ィッ'"´./ / ╲:::::::::::::::::::::::::. | ╲ .ド,╲:::::::||:| ::::_;::-‐'"´ / / i \:::::::::::::::::::イ| \| \}:::ノ.リ :/ ノ-‐'´ 〵 ` ''´/:.:.|:| `i ╲ / ○ 〵 / |:.:.:|| ノ | _,..-'´ ╲ / |:.:.:リ } ii ,..< `ー-, \ / l:::::╲ / ll -'´ `i 〵:::::╲_/:| || | ╲::::::::::::::l:.|::| || ○ | ╲::::::::::::l::l::╲ || {`ー-〵 \::::::::::|....} || }}} ごくり。 857 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/10/01(火) 03:01:00.30 ID:s+efvdiAo 京太郎「………………」 プシュッ 宥「やんっ」ピクン プシュッ 宥「きゃう……♪」フルフル プシュッ プシュッ プシュッ 宥「ふああぁ……///」ポワワーン エロい(確信)。 霧吹きから発射されるお湯を全身に浴び、恍惚とする宥さん。 うっとりとした表情も、悩ましげに漏れる声も、どれも官能的ですらある。 これで服が透けでもしたら最高なんだが、いかんせん冬服だ。そして宥さんだ。 いつぞやの憧のようにブレザーの下まで濡れて……とはならない。れじぇじぇ。 しかし、 京太郎「そ~れ、まだまだ行きますよー」アハハ 宥「あったか~い」ウフフ 水を滴らせヨロコぶ宥さんを見ると、ついつい調子に乗ってしまう俺だった。 その結果、 宥「さ、ささ、さむいぃぃぃ……」ガチガチガチガチガチガチガチガチ 京太郎「あー……」 数分後にはこの有り様である。 860 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/10/01(火) 03:38:30.99 ID:s+efvdiAo いくら噴射時はお湯でも、時間が経てば水になる。 少し考えれば分かることだ。 問題は、俺に少しも考える気がなかったということだ。 宥「ゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎゎ」ガチガチガチガチガチガチガチガチ 京太郎「おお、もう……」 あんなに暖かそうにしていた宥さんも、今ではただの濡れ鼠。 見るからに寒そうだし、きっと傍目よりも寒いのだろう。 宥「きょうたろうくん、あっためてぇぇぇ」カタカタカタカタ 京太郎「あっためてと言われても……」 曰く最終手段であるお湯は使ってしまったし。 京太郎「えーっと……俺の胸に飛び込んできてください! な~んちゃっ」 宥「おじゃましますっ!」ムギュッ 京太郎「てえええええええええ!!?」 マジか! なんの躊躇もなく抱き着いてきたぞ。 しかし、その身体と密着して納得もする。 冷たい。 常人よりも、水を被った常人よりも、明らかに。 それは俺が招いてしまったものだ。 宥「ぅぅぅぅぅ……」ブルブル 京太郎「ゆ、宥さん……」ソーッ 胸板に押し付けられる柔らかな感触を意識の端っこに追いやる。 そして、少しでもこの人を暖めてあげたい一心で、その背中に両手を回―― ガチャッ 憧「京太郎ー宥姉ー? 二人ともあんまり遅いからハルエに言われてあたしまで見に来ちゃったんだけど覚悟はいいわよね?」ゴッ 京太郎「ウィッス」 862 名前:5月10日(金)[saga] 投稿日:2013/10/01(火) 03:44:19.49 ID:s+efvdiAo …… ………… ……………… ~部室~ 玄「おねーちゃん、どうしてジャージなんて着てるの?」 宥「そ、それは……ぅう///」モフン 玄「?」 穏乃「京太郎ー、なんで包帯なんて巻いてるの?」 京太郎「これには複雑な事情があってだな……」モガモガ 穏乃「?」 憧「」ツーン 灼「あっ……(察し)」 【TO BE CONTINUED...】 ---- #bold(){ 【松実宥のステータスが更新されました!】 京太郎への印象:...→不思議なあたたかさを感じる →あったかい男の子&font(red){(new!)} }