【ぜんかいのあらすじ】
謎の敵「キャリアー」の操るドローン・アームヘッド部隊を撃破したバテラ達。
その戦闘の後、ガリバーが空腹を訴え倒れるのであった。
彼の身体を蝕む"リド症候群"とは…


パーフェクト・クライムアップ
第06話「絶食の病」


…リド症候群。
五年前のリド区域封鎖とほぼ同時期に発生したこの未知の病は、感染者の消化器系を退化させ餓死に至らせる恐るべきものであった。


「サモン、お前が上層を目指す理由は…」
「…はい、リド症候群を治す方法を見つける為です」
ガリバーの腕には栄養剤が注射されており、今は落ち着いている。


「なら、早く天井破りをやり遂げないとな…俺は探索に戻るぜ」
アオヤギは静かに立ち上がり、無人病院を後にし軍事施設へと向かった。
「アオヤギの旦那…」


ーーーーー


「…バテラ、何か使えそうな物あったか?」
「ああ…かなりのレアものだ」
政府軍事施設内の研究室…その中央には、四つ目のアームヘッドが一機。
「見ないタイプだな、試作機か?」


「μT-ROCKSMITH(ミュート・ロックスミス)…狙撃型の実験機らしい」
バテラは近くに置いてあった解説書を拾い、読み上げる。
「狙撃型、ねえ…」
コクピットハッチを開き、状態を確認するアオヤギ…


その壁面には、『重要機材付近でのスクラップサーチャー使用禁止』・『足下に向けてスペアキーを射出してはいけません』と書かれた2つの張り紙。
「…こりゃ相当なクセモノだな」


ーーーーー


…そして、数時間後。
ラージブレードと、盾を失い損傷を負ったファランクスの2機が起動する。
「…ガリバーの様子はどうだ?」
『バテラの旦那…ええ、あいつは無事です、一応まだ後ろで寝かせていますが…』


「それがいい…栄養剤だけでは、あの空腹感は消えないからな…」
『待たせたな皆、ロックスミスの調整が終わったぜ』
その通信と共に、バテラ達の目の前に四つ目のアームヘッド"ロックスミス"が降下する。


「…行くか」『ああ』『へい!』
3機は移動を再開し、中間二層へと続くエレベーターへと向かう…


ーーー


エレベーター室付近、ゲート前。
「みんな止まれ!何か居る…」
周辺にはファランクスと思しき青い装甲の残骸が散乱し、代わりに四脚のドローン・アームヘッド《オフィシャル・ガード・ユニット》の部隊が待ち構えて居た。


『あの暴走ドリル野郎か』
「どうする?俺が先行しようか」
探知範囲外からその状況を確認し、作戦を立てる3機…
『いや、俺が行く…ロックスミスの力を試したい』


「…気をつけろよ、アオヤギ」

次回、第07話「空飛ぶ屑鉄」に続く。


ANX-S-0428:μT-ROCKSMITH
NTN3000年代の地下複合都市「ガフ」で確認された特殊機体の一つ。
右腕部に周囲の金属を引き寄せる機構「スクラップサーチャー」、背部に試作型空間穿孔光線射出装置「スペアキー」を装備している。

【リド症候群】
地下複合都市ガフの封鎖区画「リド」のみで蔓延している謎の感染症。
消化器系を退化させ、栄養失調で感染者を死に至らしめる事で知られている。



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最終更新:2019年10月06日 17:31
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