これまでのあらすじ
キャリアーの新型ドローン「ブロッカー」の包囲網を突破した天井破りチームだったが、その代償としてバテラは愛機「ラージブレード」を失ってしまうのであった。
そして次の階層、中間一層では…


パーフェクト・クライムアップ
第12話「溶鉱炉の悪魔」


中間一層…マグマ流れる岩石地帯の中央の空間に、巨大なリング状の"穴"が開いていた。
「……なんだあれは?」
アオヤギがバテラに尋ねる。
「あれこそがキャリアーの発生源、アンノーンゲートだ」


「…5年前の政府によるリド閉鎖は、このゲートから出現すると予測された侵略者《キャリアー》を封じ込める為に行われたものだ」
「…予測だと?こんな事態を予測できた奴がいるのか?」


「宿主バテラ・サアバスとその父、オシズシ・サアバス博士…彼等が命を顧みず出現まもないゲートの中へ侵入し、"向こう側"を探索した成果だ」
そう言いバテラは付近に放棄されていた"灰色の翼の無い飛行機"のコクピットを開いて見せた。


「こいつは…」
「…これは俺が一人で"向こう側"から脱出する為に使ったポッドだ、ここにこの事件の真相が保存されている」
座席の記録装置を起動し、アオヤギの機体…ロックスミスへ動画ファイルを送信する。


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『こちら、オシズシ・サアバス…これから未確認ポータルの"向こう側"の調査報告を行う』
映像の再生が開始され、モニター内で白衣の男が語り始めた。


『…"向こう側"の基本的な環境はヘブンのものと大差ないが、大気汚染…無数に存在する工場らしき施設の排気ガスにより人体への悪影響がある。』

『…そして、その文明の支配種族は"機械生命に寄生する微生物"。
回収したサンプルから採取した遺伝子構造はトンドルの原生生物に酷似していた』


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…動画が途絶え、次のファイルの再生が開始される。

『…かの文明の言語解析を完了、これより傍受した通信の内容を読み上げる…
「第三の月が頂点に達した時、我々は肉の世界への進出を開始する。肉の住人を機械へ変え、我々の新たな身体とする」』


『要約すると…かの文明は、ヘブン時間で約72時間後、ヘブンに"人体を機械化するウイルス"を散布、それらを新たな肉体とするつもりだ。
…直ちにリドを閉鎖、最高クラスの警戒を要請する』


『最後に、助手…いや我が息子バテラ・サアバスに"奴等への対抗策"を投与した。
…このメッセージの送信後、脱出艇に彼を乗せる。
希望は、まだ潰えてはいない』

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「…バテラ、いや、お前は…」
「俺は…リド症候群感染者第一号・ヴァイパー・バイラス。この事件に終止符を打つ者だ。」
…その直後、ポータルが光を放ち、中から白装束の中年男性が三体出現する!


『…聞いたぞ、今の話…貴様らはここで始末する』
「…お前たちは!」
『グヒヒ…我等、キャリアー夜文参強大…不甲斐ないスコルピオ・バイラスに代わって貴様らを支配する存在よ!』


白い太った三人組は一糸乱れぬ動きでレイブースターを使用し、分解…一体のアームヘッドへと合体した!
『ケケケケ!!顕現、リザード・バイラス!!!』


「うげえ…新手の顔面蒼白野郎か!」

次回、第13話「上層の剣士」に続く。


リザード・バイラス:Carrier-03
"キャリアー"が所持する特殊顕現アームヘッドの一つ。
主な武装として頭部アームホーン、ウイルス汚染クロー、"目"から射出される血圧レーザーを装備しており、中距離~近距離戦闘を得意とする。


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最終更新:2020年06月28日 15:56
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