これまでのあらすじ
バテラは皆を上層へ逃がし、単身キャリアー世界へと渡った。
そして天井破りを完遂したアオヤギ達を追ってきたリザード・バイラスだったが、突如乱入してきた政府軍の機体「μT-RONIN」に解体され絶命、圧倒的な力の差を目の当たりにするのだった…


パーフェクト・クライムアップ
第14話「リド最後の砦」


「待て!俺たちは民間人だ!」
『民間人に偽装したキャリアーの襲撃はこの5年の間に143回ほどあった』
2色の機体《ローニン》は、赤い装甲の右半身を前にした姿勢で構え、淡々と話す。
『ここを通りたければアームヘッドバトルで健康な人間であることを証明しろ』


「アームヘッドバトル…!」
こちらの戦力は相手と同シリーズの《ロックスミス》、そして《ファランクス》。
頭数だけで見れば勝算はあるかもしれない。
「やるしかないですぜ!アオヤギの旦那」
「…いいだろう、そのバトル乗ったぜ」


『では行くぞ』
ローニンが動く!重装甲の半身を盾にした突進!2機の迎撃フィジカル弾を受け、全てアーマーで弾き返す!
「速ェ!」「それに硬いぞこいつ!」
そして距離を詰めると刃物だらけの左半身に切り替え、素早い斬撃を放つ!!


「面白ェ!俺たちのファランクスで迎え撃ってやるぜ!」「兄貴ー!」
ファランクスは怯まず盾とシールドで斬撃を正面から受け、アームキルを狙う!
だがローニンはアームホーンを肩のブレードと手に持った剣で挟み込み、それを止める!
「なっ…」


『判断自体は悪くない、だが攻撃が普通すぎる…これだけでは健康な人間とは言えんな』
ローニンが飛び去ると同時に巨大な生物の首が折れる音が周囲に響き、ファランクスは地に倒れ伏す。
「サモン!ギョック!ガリバー!」
「お…俺たちは大丈夫でさ、それよりアイツを」


「くっ…」『次は君だ』
ローニンが来る!先程と同じく突進からの斬撃!!
「…やってやろうじゃねえか!」
対するロックスミスはライフルを手放し、磁力操作で付近の鉄骨を引き寄せ、装備!!


「オラ!鉄骨!」
両手で持った鉄骨を振り回し迎撃!
剣や装甲では受け流せないと瞬時に判断したローニンは後ろに距離を取る!
ロックスミスは更に鉄骨を最高速度でジャイアントスイング投擲し追撃!回避不能!!


『ほう、これを使わせるとは…やるな』
…が、ローニンは健在だった。
機体背部のウイング型粒子ブレードを展開、鉄骨を切り刻み無効化したのだ。
『本当に君がキャリアーでないのならば、その機体を残した前最高責任者の判断は間違っていなかった事になるな』


「"前"だって?どういう事だ」
『いいだろう、褒美に教えてやる…前最高責任者及びリド政府軍幹部は全員戦死、もしくは病死した』
「何!じゃあアンタは」
『リド政府軍最高責任者"代理"だ、最早政府軍の戦力は私ただ一人だからな』


「…他の地区への封鎖はどうやって継続しているんだ?アンタ一人でどうやって…」
『知りたいか?それはな…』
ローニンは会話の途中に突如着地し、地面に剣を突き刺す!
「何を…」『"ニヒャクゴジュウロク"』


ローニンのパイロットが謎の言葉を発すると、地面や天井から綺麗な直方体にスライスされた"壁"が次々とせり上がり…対峙する2機を閉じ込めた!
『調和能力だ、君も知っているだろう』
「…この目で見るのは初めてだ」


『この壁は固く、あらゆるものを通さない。私はこれで5年間キャリアーをリドに閉じ込め続けた』
「本当に凄いな、アンタ…」
『いや、遅くて攻撃に転用しにくい微妙な能力だ…そのせいで5年間ここを守ることしかできていない』


『…おっと、喋り過ぎたな…さあ、続きと行こうか』
真っ暗な壁の中、ローニンのカメラアイが威圧的に輝く!
「…やっぱそうなるか」
呼応するように、ロックスミスのカメラアイも輝きを放つ!


『さあ見せろ、健康な人間の証拠を…』
闇の中の決闘…



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最終更新:2020年06月28日 16:33