第2章
『クララ、立つ』
アナン「なんてこった…」
言葉にならなかった。
キタノハーテのカジノで全財産をスッたアナンは途方に暮れ、今日のハイライトを思い浮かべた。
前半25分、小笠原のロングシュートがっとぅーぞ顔面ブロック、という新聞の切れはじが、夜風に飛ばされアナンの足元に飛び込んできたが、アナンの視界にはまるで入っていないようであった。
アナン「ちくしょう、ちくしょう・・」
この極寒の地における生活か始まって早三週間が経っていた。ジョナタンに無意識のまま連れ去られ、気がついた時には身ぐるみを剥された挙句、極寒の中あぶない水着のみを身にまとい倒れていた。
アナン「この水着が無かったら危うく凍死してたぜ…」
すると建物の影から二人の人影が現れた。
リー「見事な水着だ…」
ウサンク「着こなしも素晴らしいな、リー。」
アナン(なんだこいつらは…)
アナンはカジノの景品で入手したスコウターで二人の戦闘力を調べた。
アナン「なっ、なんだと…」
数値はみるみるうちに上昇、スコウターの値は二人とも43000を示していた。
アナン「なんてこった…」
ウサンク「なんか言ったか…?」
男たちが接近してくる。アナンは後ずさりをしながら、股間に涙すらうかべだ。
リー「怖がらなくてもいいぜ、おれはリー=ウラギ(裏城)だ、こっちはウサンク=サーイ(山田)、俺の右腕だ」
ウサンク「・・おい、ふざけたことぬかすなや。誰がうぬなんぞの右腕じゃ。いてこましたろか、この酔いどれ野郎が!」
リー「あんだとこら。貴様、まさか昨日ケロッグコーンフロスト食わせてやったの忘れたわけじゃねぇだろうな、はぁん?」
ウサンク「あ?このみみっち大臣が!ちょっと表出ろや!!」
リー「望むところだ!」
二人は既に表に出ていることも忘れて、あさっての方向へ消えていった。
アナン「・・いとをかし。だが、郷に入っては郷に倣えということか」
アナンがその場を立ち去ろうと、水着位置を気にしながら立ち上がったその時だった。
アナンの目の前をビームが通り過ぎた。
ウサンク・リー「逃がすか!」
二人は争いつつもアナンから目を離していなかった。ウサンクの指から放たれたビームだった。
アナン「な、なんと…逃げられないというのか…」
リー「その水着、今修正したな?」
アナン「な、なんだと?なぜ分かった!」
ウサンク「リー、聞いたな。こいつは確かに水着位置を修正したことを認めた!」
リー「うむ、水着位置の修正はキタノハーテ迷惑防止条例で禁止されている。過料として2300万ティバクーを支払え。」
アナン「そんなこと言ってもさっきカジノでスッちまって金なんかないよぅ」
ウサンク「なんだと?そんなに立派な水着を着ておいてか。だったらりらたらりらら~ん♪」
リー「おっと、たりらり発動か!貴様、ウサンクを本気で怒らせたみたいだな」
ウサンク「たりゃり~たりゃり~たりらりら~ん♪」
ウサンクは4ビートのリズムを刻みながら、そのまま地平線の彼方へと消えてしまった。
アナンはしばし呆気にとられてただウサンクを眺めていたが、ふと我に返って、リーに身構えた。・・が、リーはアナン以上に呆気にとられていた。
リー「・・・た、たりらりらん・・」
アナン「スキあり!くらえっ、飛龍昇天波!」
アナンは思いきって使ったこともない技の名を製品名にして浄水器の通信販売を始めた!
しかし放送後3分と経たないうちにクレームが入り、なんと商標を侵害していることが判明した!
アナンは多額の損害賠償を支払う羽目になった!
さらに悲劇はこれに収まらず、浄水器自体についても「使用後水質の改善は確認できない」として、詐欺罪の疑いまでかけられた!
損害賠償と保釈金を水着の売却代金で支払ったアナンは、もはや葉っぱ一枚、略してハッパイチマイ、全く略せていないどころかむしろ冗長になってしまった。
リー「水着を売ってしまうとは…だがハッパイチマイの姿も堂々としてかつ
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