エロパロ > 日向×ユイ > IS THIS A DREAM?

鮮やかだった夕日の朱色が、段々と白に染まっていき、突如真っ暗になった。
暗いのは、瞼を閉じているからだと気づく。
目を開くと、見慣れた光景が広がった。
身動きがとりやすいように、最低限の家具だけ置かれた部屋。
遊びに使われたことのない人形に、生活感のない部屋には似つかわしくない高級テレビ。
部屋の中心で存在感を放つ医療用ベッドに、ゆいは伏せていた。

「……ああ」
ゆいは嘆息した。
全て、夢であったのだ。
死の存在しない死後の世界。そこで過ごしたこと。
仲間がいて、時に戦ったこと。
できないこと全てを可能にしてくれた場所。
バンドもプロレスもサッカーも野球も。
大いに、泣いて、笑って、怒って。
大好きな人ができた場所。
全部、幻だったのだ。
「……うっ」
涙が自然と頬を伝った。
幸福な夢と、不幸な現実のギャップに心が痛めつけられる。

何もできない、一人で生きることすらできない。
ただ、愛する人に厄介をかけ、苦行の日々を送らせる。
そんな地獄のような日々は、終わっていなかったのだ。
これからも、ずっと続く。
助けてくれる仲間は、もうどこにもいない。
「……日向、先輩っ」
自然とその人の名前がこぼれた。
ぐっと拳を握り締めようとしたが、指先に力は入らなかった。
これからどうしていけばいい。
最悪の考えが脳裏をよぎりそうになったとき、部屋の扉が開いた。

「ゆい、ご飯よ」
にこやかな顔で母が料理の載ったお盆を持って入ってきた。
けれど、すぐにその顔面は蒼白となった。
「ゆい!!」
お盆を乱暴にテーブルに放り出すと、母は駆け寄ってきた。
「どうしたの? どうして泣いているの? どこか痛むの?」
ゆいに寄り添うと、気遣ってくれる。
その姿を見ていると、余計に涙があふれてきた。
「違、う……ひっく……違う、の、お母さん。あたし、えぐっ」
何もかも言葉にならず、涙へ変わっていく。
泣きじゃくるゆいを見て、ただ事ではないと感じたのか、母は叫んだ。
「日向くん!! ちょっと来て! ゆいが、大変なの!」

(……へ?)
聞き覚えのないはずの、聞き覚えのある名前。
「どうしたんすか!?」
懐かしい声が遠くから響き、ドタバタと廊下を駆けぬける音が近づいてくる。
その人物は、扉の外から、ひょいと顔を出した。
ゆいは信じられないものを見たかのように、ぽかんと口を広げた。
「……先輩?」
「ゆい!」
日向も母と同じように心配そうに駆け寄ってきた。
「どうしたんですか? 何があったんすか?」
「それがわからないのよ。急に泣き出しちゃって」
「先輩!!」
「うお!!」
ゆいは日向の首に飛びついた。そして彼の肩に顔をのせて、大声で泣き喚いた。
「先輩! 先輩! 先輩!! えぐ、えぐ、ふぇぇぇ~~~~っ!」
「ゆ、ゆい……ぐ、ぐるじい」
それが当然とでも言うかのように、いつの間にかゆいは日向にヘッドロックを決めていた。
「ほれ、鼻かめ」
ティッシュを鼻に押し当てられて、ちーんと鼻をかむ。
日向自身も鼻水と涙まみれになった肩を拭った。
「落ち着いたか?」
「うん」
もう涙は止まっていた。
「一体どうしたんだよ?」
「……なんでもない」
「なんでもなくてあんな大泣きするかよ。何があったか言え」
「……幸せな、夢を見たの」
「それで、なんで泣く――」
言いかけて、日向はばつが悪そうに口を噤んだ。
「私、席外すわね」
日向に任せた方がいいと思ったのか、母は部屋から出て行った。
沈黙が重苦しく部屋を包む。
「先輩」
耐え切れなくなってゆいは話しだした。
「さっきから何で『先輩』なんだよ。俺はお前より年上だけど、お前の先輩じゃねえぞ」
「それじゃあ、日向……先輩」
「ああ、もういいよ、先輩で。今日のお前なんかおかしいぞ」
「先輩、どうしてここにいるの?」
「はぁ?」
日向の顔が怪訝そうに歪んだ。
ゆいは疑問をそのまま口にしてはいけないのだとわかった。
どうやら日向に死後の世界の記憶はないようだ。
「先輩とあたしの出会いっていつでしたっけ?」
「なんだよ、急に」
「いいから」
「2年前くらいかな。俺がボールでここの窓ガラスぶち破って、謝罪に来たときだ。あん
時は本当に肝冷やしたよ。カミナリ親父がいたらどうしよう、とか思ったもんだ」
日向は懐かしそうに笑った。
ゆいはもうさほど驚かなかった。日向がここにいるということは、そういうことなのだろ
うと感づいていた。
「ありがとう、先輩」
そう言いたくなった。
記憶が無いにも関わらず、日向は約束したとおり、2年もゆいの傍にいてくれたのだ。
「……なんで、お礼?」
当の本人はピンときていないようだったが。

日向は急に真剣な顔になった。
「ゆい……お前、自分を不幸だと思うか?」
「……え」
「だって、幸せな夢を見て泣き出したくなるのは、現実が不幸だからだろ?」
さきほどの話の続きだった。
確かにゆいは不幸だったけれど、この変化後の現実ではどうなのだろうか。
考えているうちに、日向は話を続けた。
「お前は確かに今まで不幸な境遇だったかもだけど、もうすぐ自由に動けるようになるか
もしれないだろ。ようやく立てるようになったんだし」
(……え)
「一人で歩くことだってきっともうすぐ――」
「先輩!! 立てるって誰が!?」
「え、お前以外に誰が――」
「立つ! 立つ! あたし、立つ!」
「ちょ、お前、待て!」
身体を動かすと、嘘のように身体が軽やかだった。
そういえば、さっきもヘッドロックを決めることができていた。
日向が差し出した手を掴んで、ゆいは床に飛び出した。
「……うそ」
日向の手に重心を載せているし、足はぶるぶる震えている。それでもゆいは確かに自身の
両足で地を踏みしめていた。
「先輩、あたし、立てる! 立てるよ!」
「あ、ああ、そうだな」
ゆいはひなたに飛びついて、叫んだ。
「あたし……あたし、幸せだよ! 凄い幸せ! だって、だって!」
自分自身を支えられる身体があって、大好きな人を抱きしめられる。
「ああ! もうなんでもいいや! とにかくあたしは幸せなの!」
大声で泣いたかと思えば、急に喜悦する。
そんなゆいを見て、日向は呆気に取られていた。

ゆいが立てるようになったのは、手術と壮絶なリハビリのお陰だったらしい。
前の現実では、ゆいの身体は手の施しようのない絶望的な状況だった。
日向の存在だけじゃなく、様々な面で現実は変わっていた。
それもいい方向に。
なぜ?
それだけがわからない。神様の仕業? それとも、死後の世界で過ごしたことが原因? 
もしかしたら、ただの偶然?
しかし、今となっては瑣末なことにすぎなかった。

「ふふー」
「……」
「あーん、んっ、もぐもぐ……」
ゆいは昼食を日向に食べさせてもらっていた。
満面の笑みでスプーンを頬張るゆいを、怪訝そうに日向は見ていた。
「今日のお前、なんかきもいぞ」
「きもい!? こんな美少女に向かって何言ってんだゴルァ!」
「こら、食べてるときに話すな! 飛ぶ! 飛んでる! きたねえ!」
未来に希望を持ちながら、好きな人と過ごす時間。
幸せな気持ちにゆいは包まれていた。
しかし、ふと、疑問が湧いた。
(そういえば、先輩の記憶がないってことは、あの結婚の約束も消えちゃったってこ
と?)
「俺も食ーべよ」
日向は自分の分の昼食に手をつけはじめた。
(でも、こうしてここに来てくれてるんだし、全部消えちゃったってことはないよね? 
今のあたしとは、どういう関係になっているんだろう)
「ねえ、先輩、あたしと先輩ってどんな関係?」
「……どんなって、そりゃ、友達だろう」
(友達……? 2年も経ってるのに?)
「まだ、キスとかしていないの?」
「ぶっ!!!!」
日向は盛大に噴き上げ、噴出物を全身にかぶった。
「な、何言い出すんじゃお前は!」
(え、うそ、マジ……まだキスもないの?)
死後の世界では結婚するとまで言ってくれたのに。
「でも、あたしのことは好きなんでしょ? ねえ?」
「な、何を……!」
日向は椅子から転げ落ちると後ずさった。
その様子を見て、ゆいは急に不安に駆られた。
この世界の日向は自分のことをなんとも思っていないのではないか。
余りにもすべてが上手く行きすぎていたから、そんな気持ちになったのかもしれない。
「せ、先輩……ふぇ……」
「お……おいおいおい! もう、今日のお前は本当わけわかんねー!」
急に日向が血相をかえて戻ってきて、ゆいの頬に手を伸ばした。
気づかずに涙ぐんでしまっていたらしい。
「もう、泣いたり笑ったり、また泣いたり……何なんだよお前は……どうしたら落ち着い
てくれるんだ」
「先輩……あたし、結婚したい」
「結婚? ああ、できる、できるよ。お前は可愛いからな。世界中の男が放っとかない
ぜ」
赤ん坊をあやすような口調で日向はふざけたように言う。
ゆいは首を振った。
「違う……あたし、先輩と結婚したいんだ」
俯いていたため、ゆいには見えなかったが、日向がぎょっと身を引いたのがわかった。

「お、俺と?」
「うん」
「なんで?」
「好きだからに決まってんじゃん」
日向は息を呑み、返答はなかった。不安が募る。
「やっぱり、こんな身体の女は嫌?」
「そうじゃねえ。そうじゃねえよ」
ゆいの中の不安がどんどん大きくなっていく。
「じゃあ、好きじゃない?」
「ちげーよ、俺はお前が好きだよ! 好きじゃなかったら2年もここに通ってるわけねー
だろ!」
ゆいは目を丸くし、日向は両目を手で覆った。
「でも、なんつーか、お前をそういう対象で見ちゃいけない気がしてたんだよ。だって、
お前そんなだし……他に男の友達もいねーだろ。俺が迫ったら、お前の逃げ場なくしちゃ
うような気がして……」
その告白を聞いてゆいはやっと理解することができた。自分は大切にされていたのだと。
日向はすぅっと深呼吸をすると、厳かに言った。
「……結婚してやんよ」
あの時の情景が再生され、世界が朱と影に染まったように見えた。
「もし、あたしがこのまま一生寝たきりでも?」
「当たり前だっての。お前がどんなハンデ背負ってたってずっと傍にいてやる」
「先輩……」
ぽろ、とゆいが涙をこぼす。
「だから、何で泣くんだって」
「これ、夢だったらどうしようって……また消えちゃったらどうしようって。不幸でも悲
しいけど、幸せすぎても涙が出るんだ」
「夢じゃねえっつの! 全部現実だ! たとえ夢でも、俺は忘れたりしない!」
「うん、先輩は……忘れてなかった」
癒される気持ちに反比例して涙の量は増えていく。
「ああ、もうどうしたら泣き止むんだお前は……」
それは独り言だったのだが、ゆいは要望した。
「キス、して……ちゅって」
「うぇっ!?」
「いいじゃん、夫婦になったらもっと凄いことするんだし」
結婚すると言った以上、日向に拒否権はない。
「わ、わーったよ」
恐る恐る日向が顔を近づけ、ちゅっと口付けた。
ゆいの頬に。
ピクピクとゆいのこめかみが蠢く。
「なんじゃあそりゃ……」
「え、キスだけど?」
「ほっぺにちゅーって子供かてめぇはぁ!! こういうときは唇だろ、ディープキスだ
ろ!!」
「わ、わかった。わかったからもう少しおしとやかにしてくれ! 雰囲気が死ぬ!」
「やり直し!」
今度こそ、日向はゆいの唇に口付ける。

「んっ……ちゅ」
両者とも、唇が擦れあい、押し合う感覚に酔いしれる。
物体を体内に摂取する器官。
その入り口を触れ合わせるだけで、どうしてこんなにも気持ちいいのか、相手を感じ取る
ことができるのか不思議に思った。
「やっと涙止まったな」
日向が柔らかに笑いかけてくる。
ふと、思った。
一体、この人に自分はどれだけ心配をかけてきたのか。
一体、どれほど尽くされてきたのか。
途端、自分も何か返さなければいけないという焦燥に駆られた。
「先輩……続き、する?」
「続きって……」
「えと、その、色々、口じゃ言いにくいこと……」
返事も待たずに、ゆいは日向の股間に顔を寄せた。
「ちょ、おい、待てって!」
止めようとする日向を一睨みで制する。
彼のパンツを下ろそうとしたが、指先はまだ上手く動かない。
「ま、いいや」
ゆいは大口をあけて日向の腹に噛み付いた。
「い、いてぇ!! なにすんだてめぇは!」
「あ、ごめんごめん、わざとじゃないよ、てへ」
ゆいはパンツの留具を噛むと器用に外した。
チャックも同様に口だけで降ろし、パンツを剥いていく。
その緩慢で非日常的な動作に、日向の剛直が否応なく興奮していく。
「お、おお~、グレイト……」
目の前で下着を突き破りそうにそそり立つものを見て、ゆいは感嘆をもらした。
「や、やめろって」
いよいよ、日向はゆいを掴もうとした。
「ちゃっかり興奮してんじゃん。嫌よ嫌よも好きのうち~♪」
ちろりと下着の上から一舐めすると、日向の身体がばねのように跳ね上がった。
「ふふん、面白い~」
調子に乗ったのかゆいは剛直にしゃぶりついた。
下着の上から剛直が唾液に濡れていく。
暖かさとともにぬめとした感触が広がっていく感覚に日向は生唾を飲んだ。
「はむ……はむ……ん、やっぱり布の上からじゃよくわかんないや」
ゆいは下着も引き摺り下ろした。ビンと剛直が屹立する。
「……すご」
日向を見上げると、日向は息絶え絶えにこちらを見下ろしていた。
必死に快感に抗いながらも、逆らうことができないようだった。
ゆいは舌なめずりをすると、剛直の裏筋を麓から頂上に向けて舐めあげた。
日向の身体が、びくびくと横に振動する。

「先輩、気持ちいいですか?」
「……あほ、俺は――」
「わかってます。……もっともっと気持ちよくしてあげますから」
ちゅっと鈴口に口付けると、そのまま山頂全体を頬張った。
前後に頭をゆする。
「ふぇんぱい、あたし、ふぇんぱいのふぁめなら……!」
「しゃべんな……って、……舌がっ」
舌がぬめぬめと余すことなく、日向自身に這い回る。
ゆいは手を使えない上に、技術は拙い。
が、彼女の口内を自身が犯しているという妄想だけで日向は激しく昂揚していく。
「ずっ…じゅるっ…ちゅぱちゅっ…ちゅっずちゅ…ふぇんぱい……らして…いいれふよ」
「うっ……あっ……ゆいっ!」
彼女の頭を掴んで固定し、日向は大量の精を放った。
口内にヨーグルトのような固形に近い液体を大量に注ぐ。
ゆいはそれを飲み干そうとしたが、当然できずに、大半が口の端からこぼれていった。
「げほっ、げほっ」
「ゆ、ゆいっ」
日向はティッシュをとってゆいを吐かせようとした。
けどゆいは首を振り、やがて、ごくりと喉を鳴らした。
「お、おいしかったです!」
と言いつつ、下呂を吐きそうな顔をしている。
日向はため息をついて、ゆいを小突いた。
「あいて! なにすんじゃゴルァ!」
「あほ」
日向はゆいをぎゅっと抱きしめる。
「こんなことしてもらわなくたって、俺はお前の傍にいてやんよ。心配すんなっての」
「……うん、わかってます」
不安はたやすく見抜かれていた。けど、奉仕したいのは不安だからだけじゃない。好きな
人と繋がりたいという純粋な気持ち。
「先輩、あたし、もう準備万端なの……」
ゆいは日向に擦り寄り、彼の手を股間に導いた。
「先輩の童貞、ください」
「なんかおかしくねーか、その台詞……」
日向は首を傾げる。
「違うんですか?」
「いや、違わないけど、っと!」
「ひゃう!」
日向は荷物を投げるように、ゆいの身体をベッドに転がした。
そしてその上に覆いかぶさり、ゆいを見下ろしてにやついた。
「もう、びんびんに興奮してんだからな、止めるって言ったってとめねーぞ」
「望むところです……にゃんっ!? にゃっ……」
日向はゆいの首筋にキスを降らし、彼女の胸に手を伸ばした。
巧みに興奮を持続させながら、彼女を素の姿に剥いでいく。
やがて自身を彼女に押し当てた。
「いくぞ……」
「……はい」
ずぶと一息に突き入れる。ゆいの顔が苦痛に歪んだ。
日向は押しつぶされそうな息苦しさとともに、引っこ抜かれそうな感覚を覚えた。
それは日向が動かさなくても、生き物のように蠢き、彼を虜にしようとする。
余りの気持ちよさに、即座に射精しそうになった。
「どう、ですか、先輩。ゆいにゃんの、気持ちいいですか?」
その彼女自身の呼称が気に入らなかったが、今は文句を言う気になれなかった。
もし、怒らせて抜かれたりしたら生殺しだ。
「動いていいか?」
「どう、ぞ」
日向は抽送を始めた。初めは振幅も小さめに、周期も長く。けれど段々と、加速させてい
く。
しかしゆいが苦しそうにしているのを見ると躊躇した。
ゆいはそんな日向の頬に手を差し伸べた。
「もう、結婚するんだから、ゆいは先輩のものです。自由に使っていいんですよ。全部、
あたしの身体は先輩のものです。ただし、先輩も、あたしのものですけど」
彼女の言葉に理性の枷が取り払われ、日向は夢中で腰をたたきつけ始めた。
「ひゃ!……あんっ……んっ、ひゃうっ!……せんぱい、せんぱい!」
それに伴いゆいの言葉も喘ぎと日向を呼ぶ言葉だけに変わっていく。
「ゆいっ……ゆいっ!」
「せんぱい……せ、んぱい! しぇんぱい!」
お互いの身体がふれあい、絡み合い、とろけそうだった。
二人は同時に高みの訪れを感じた。
「ゆい……もうっ……イクっ!」
「うん、きてっ、きてっ……きてぇっ!」
身体の感覚も、思考も、何もかもが真っ白になって消えていく。
それはあの死後の世界から抜け出たときの感覚に似ていた。


7年後。
赤煉瓦造りの古びたチェペル。
その化粧室で、花嫁と思しき桜色の少女は、くるりと可憐に回った。
ドレスのスカート部分が華麗にはためく様は、幻想的と言ってもいい。
だが、新郎と思しき青色の男は、見向きもせず欠伸をかいていた。
少女は男に飛びかかり、不平不満を喚き散らす。
男はもがきながら、頭に決まった少女の腕を必死にタップする。
例のごとく、子犬同士のようにじゃれあう二人。
これから夫婦になるようにはとても見えない。
それでも二人は深く結びつき、通じ合っていた。
やがて新郎は先に行き、少女は後を追って、礼拝堂の扉を開いた。
たくさんの懐かしい顔に見守られる中で、ようやく少女の願いは叶えられた。
夢ではなく、現実で。

終わり

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最終更新:2010年06月06日 19:24